JPS6337709B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はインク滴により文字・図形等の画像を
記録するインクジエツトプリンタに関する。

インクジエツトプリンタはノンインパクト方式
のプリンタであり、低騒音で記録媒体として普通
紙が使用でき、しかもカラー化が容易に実現でき
る等の優れた特長点を有している。インクジエツ
トプリンタは現在以下に示すような４種類に大別
することができる。

(1) 電荷制御型 (2) 電界制御型 (3) オンデマンド型 (4) インクミスト型 本発明は上記４種類の内で、 (1) 不要インク処理のない、 (2) カラー化が極めて容易な、 (3) インク滴の粒径が可変であり、濃淡表現が可
能な、 オンデマンド型インクジエツトプリンタに係
り、特にこのオンデマンド型に於いてはインク滴
を噴射するインクヘツドと称せられる部分に特長
があるので、先ずは現存する基本的なインクヘツ
ドに就いて説明を加える。

オンデマンド型のインクヘツドは第１図に示す
ようにインクが満されたインク室１が１室のシン
グルキヤビテイ型（特公昭53−12138号）と、第
２図に示す如く２室のダブルキヤビテイ型（特公
昭53−45698号）とが著名である。

この両者に共通することは、電気信号に応答し
て圧電振動子２が湾曲振動しその振動によつてイ
ンク室１内の圧力が上昇してオリフイス３からイ
ンク柱４を突出せしめ、そのインク柱４が自分自
身の運動エネルギと表面張力とによつてインク滴
５となり対向配置された記録媒体（図示せず）に
向つて飛翔するインク滴５の噴射メカニズムにあ
る。即ち、インクヘツドからは必要な時にのみ１
個若しくは数個のインク滴５が噴射されるオンデ
マンド型噴射メカニズムにある。

この様にオンデマンド型インクヘツドは構造が
簡単にも拘らず先に述べた特長を有している反
面、シングルキヤビテイ型に於いては噴射速度が
２〜3KHzと低く高速記録を行なう為にはヘツド
のマルチ化が必要となり、それだけ部品点数が増
加し信頼性が低下する。更に圧電振動子２がイン
ク室１内の内方に振動しインク滴５を噴射する
際、その圧力波が外部からインクを補充する為の
インク供給系６に逆伝播するのを防止する工夫を
凝うじなければならない。

一方、ダブルキヤビテイ型はシングルキヤビテ
イ型のもつ欠点を克服しているが、インク室１を
圧電振動子２と接する内方の室１ａとオリフイス
３と連通する外方の室１ｂとに分割する為に、そ
の中心に結合路７が穿たれた仕切板８を上記オリ
フイス３と結合路７とが一直線上になるように配
置しなければならない。通常の記録媒体に於ける
最低解像度は６個／mmとされておりこれを実現す
る為にはオリフイス３の開孔径を50μm程度とし
なければならず、また上記結合路７の内径もそれ
と同程度がよいとされている。即ち、上記仕切板
８の結合路７を50μmのオリフイス３と一直線上
に配置する為にはミクロンオーダの顕微鏡的微細
作業が必要となる。この結合路７とオリフイス３
との位置合せが正確でないと所望なインク滴噴射
が行なわれない。

更に両者の持つ欠点としてインク室１内に圧電
振動子２がインク滴５を噴射後逆方向に湾曲振動
した際にオリフイス３から空気を吸入したり、ま
た圧電振動子２が高周波振動する為にインクに溶
存していた空気が分離し気泡となることがある。

このインク室１内の気泡は圧電振動子２の振動
による圧力波を吸収する作用を有するので、該圧
電振動子２が振動したにも拘らずインク滴が噴射
されない事故が発生する。そこで、空気吸入に対
してはインク室１をダブルキヤビテイ型にするこ
とや、シングルキヤビテイ型に於いてはインク供
給系の流動抵抗を先に述べた圧力波逆伝播防止対
策と相俟つて一方向性とすること等の手段が凝う
じられている。また上記溶存空気に対しては特公
昭55−20882号等に示されている如く、インクに
酸素吸収剤を添加したり、脱泡処理を施こしたり
して溶存空気そのものを最初から減小せしめる工
夫が為されている。然し、何れの場合でもインク
ヘツド自体に何らかの理由により衝撃力が加えら
れ吸入した空気に対しては良策とはなり得ない。

本発明者等は斯る従来装置の持つ諸欠点を解消
した新規なインクヘツドを発明し、昭和55年６月
20日付で特願昭55−84264号として特許出願に及
んでいる。

本発明は更に上記新規なインクヘツドに改良を
施こしたインクジエツトプリンタを提供するもの
であるが、本発明の説明に先立ち上記インクヘツ
ドを簡単に述べることにする。

第３図は上記特願昭55−84264号に示された本
発明の基本となるインクヘツドを示し、１０は正
弦波状、矩形波状、鋸歯波状等の電気信号に応答
して振動する電気機械振動子としての圧電振動
子、１１は該圧電振動子１０が長径端の一側壁を
形成し対向箇所に小径の開孔１２を有するホーン
状の圧力室、１３は該ホーン状の圧力室１１の開
孔１２を閉塞する樹脂板、金属板、ゴムシート、
フイルム等の薄板、１４は該薄板１３によつて開
塞された圧力室１１を満たし圧電振動子１０の振
動を上記薄板１３に伝播せしめる伝播媒体で、該
伝播媒体１４は振動の伝播率が高く残留振動に対
してダンピング作用のある水、インク、シリコン
オイル、水銀等の液体、シリコングリス等の粘弾
性物質及び磁性流体等の如き液体に粉体をコロイ
ド状に混入したもの等が適宜用いられる。従つ
て、薄板１３は振動部として動作する。１５は薄
板１３の前方に僅小間隙を隔てて配置されその間
隙に一定の厚みのインク層１６を保持する前面
板、１７は該前面板１６の略中央の薄板１３対向
箇所に穿たれた微小径のオリフイス、１８は上記
インク層１６に外部からインクを供給するキヤビ
ラリイチユーブである。

斯るインクヘツドのインク滴噴射メカニズムを
説明する。圧電振動子１０に電気信号を給電する
と、該圧電振動子１０は圧力室１１の体積を減小
せしめる方向に湾曲振動する。この湾曲振動は圧
力室１１内部に充填されている伝播媒体１４を伝
播して対向配置された小面積の薄板１３に到達す
る。この薄板１３に到達した圧電振動子１０の振
動は圧力室１１の形状がホーン状となつているの
で、薄板１３に近づくにつれ増幅される。従つ
て、圧力室１１は圧電振動子１０の振動を小面積
に絞ることによつてその振動量を増幅せしめる圧
力増幅器として作用する。この様に圧力増幅され
た圧電振動子１０の振動によつて薄板１３は大き
くインク層１１側に湾曲振動し、該薄板１３近傍
のインクをオリフイス１７側に加圧してオリフイ
ス１７からインク柱を突出せしめる。然る後、圧
電振動子１０が逆方向に湾曲振動すると、このイ
ンク柱の先端部分は自分自身の運動エネルギと表
面張力とによりインク滴となりオリフイス１７か
ら飛翔する。

尚、更に詳しい説明は上記特許出願明細書を参
照されたい。

さて、本発明インクジエツトプリンタに組込ま
れるインクヘツドについて説明するが、先にも述
べた如く本発明のインクヘツドの基本構造は第３
図に示されておりその説明は割愛する。

第４図は本発明の主要部である薄板１３と前面
板１５に穿たれたオリフイス１７を含む要部拡大
断面図で、同図から明らかな如く本発明のインク
ヘツドの特徴は薄板１３の形状にある。即ち、薄
板１３の振動部が円滑振動可能に支持するコルゲ
ーシヨンエツヂ１９からなる支持部を、振動部の
周縁に形成している。このコルゲーシヨンエツヂ
１９は環状に形成されるのが望ましいが、適宜複
数の円弧状コルゲーシヨンエツヂ１９を同心的に
配置して形成してもよい。

この様に薄板１３に支持部としてのコルゲーシ
ヨンエツヂ１９を形成すると、薄板１３の振動が
円滑化されその結果圧電振動子１０のインク滴２
０を噴射せしめる為の最低振幅値を低下させるこ
とができる。即ち、圧電振動子１０に給電される
電気信号の閾値を下げることができ電気回路の簡
略化並びに省電力化が図れる。

また、圧電振動子１０に給電される電気信号を
可変することによつてインク滴２０の大きさが変
化することは此種インクヘツドでは自明である
が、上述の如く圧電振動子１０の最低振幅値が低
下するに反比例して大きさの異なるインク滴２０
の噴射が可能な振幅範囲が増大する。従つて、イ
ンク滴２０の大きさを容易に変化させることがで
き、而もこの大きさの変化によつて得られる中間
調の階調制御を正確に行なうことができる。更
に、薄板１３の振動はコルゲーシヨンエツヂ１９
によつて囲まれた振動部のみで行なわれ、この振
動部から上記薄板１３の外周を支持しているハウ
ジング２１に伝わろうとする振動は上記コルゲー
シヨンエツヂ１９によつて吸収されるので、上記
ハウジング２１の寄生振動は発生しない。そし
て、振動部自身の残留振動も抑圧することができ
る。

この様に更に優れた特長点を有するインクヘツ
ドを具備したオンデマンド型インクジエツトプリ
ンタが第５図に示されている。同図に於いて、２
２は上記インクヘツド、２３は該インクヘツド２
１のインク層１６にインクを供給するインク供給
系で、200c.c.程度のインクを貯蔵する交換自在の
インクカートリツジ２４と、該インクカートリツ
ジ２４とインクヘツド２２とをキヤピラリイチユ
ーブ１８，２５を介して結合するフイルタを内蔵
した小容量のインクコネクタ２６と、から構成さ
れている。２７は普通紙等の記録媒体２８が巻回
され該記録媒体２８を回転走査する回転ドラム
で、インクヘツド２２との間には２〜５mm程度の
飛翔距離が設けられている。

即ち、20KHz程度の電気信号に応答してインク
ヘツド２２のオリフイス１７から噴射されたイン
ク滴２０は２〜５mm程度飛翔後、回転走査せしめ
られている記録媒体２８に付着し極めて解像度の
高い文字・図形等の画像を記録する。

第６図は本発明インクジエツトプリンタに組込
まれるインクヘツドの他の実施例の要部を示し、
大きく異なるところは薄板１３の振動部周縁に形
成される支持部にある。即ち、薄板１３の振動部
の円滑化を主目的として形成される支持部の形状
を周縁に沿つて環状の溝を切削した如き凹所２９
としている。この様に凹所２９とすることによつ
ても上記主目的を達成することができる。また、
この凹所２９は第７図に示す如く、薄板１３の代
りに圧力室１１の形成時小孔を開孔せず、その後
その部分を切削、研磨等の手段により肉薄にし振
動部を形成した時に有利である。

更に、他の実施例として、図示はしないが支持
部と振動部とを剛性の異なる材料で形成してもよ
い。この場合振動部の方が剛性に富む必要がある
ことは先の説明から明らかである。例えば小径の
ステンレス円板を大径のゴムシートに円心的に貼
着すればよい。

本発明インクジエツトプリンタは以上の説明か
ら明らかな如く、電気機械振動子の振動を圧力室
の伝播媒体を介して小面積の振動部に集中的に印
加して前面に設けられたインク層からインク滴を
噴射するインクヘツドの上記振動部周縁に、該振
動部が円滑振動可能に支持する支持部を形成した
ので、上記電気機械振動子のインク滴を噴射せし
める為の最低振幅値を低下させることができる。
その結果、 (a) 電気回路の簡略化並びに省電力化が図れ、 (b) インク滴の滴径の可変が極めて容易となり、
中間調の階調制御を正確に行なうことができ、
綺麗な画像記録が得られ、更に (c) 振動部の外周に伝わろうとする振動をこの支
持部で吸収することができ、インクヘツドの寄
生振動を抑圧することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図並びに第２図は従来のオンデマンド型イ
ンクヘツドを示す断面図、第３図は本発明インク
ジエツトプリンタに組込まれるインクヘツドの基
本構造を示す断面図、第４図は本発明に組込まれ
るインクヘツドの要部拡大断面図、第５図は本発
明の概略を示す模型図、第６図は他のインクヘツ
ドの実施例を示す要部拡大断面図、第７図は更に
他の実施例を示す断面図である。 １０…圧電振動子、１１…圧力室、１３…薄
板、１５…前面板、１６…インク層、１７…オリ
フイス、１９…コルゲーシヨンエツヂ（支持部）、
２２…インクヘツド、２４…インクカートリツ
ジ、２７…回転ドラム、２８…記録媒体、２９…
肉薄エツヂ（支持部）。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 電気信号に応答して振動する電気機械振動子
   と、該電気機械振動子が一側壁を形成し対向箇所
   に小径の開孔を有するホーン状の圧力室と、該圧
   力室の開孔を閉塞し振動部として動作する薄板
   と、上記圧力室に満され上記電気機械振動子の振
   動を上記振動部に伝播せしめる伝播媒体と、上記
   振動部の前方に保持されたインク層と、から成
   り、上記電気機械振動子の振動を圧力室の伝播媒
   体を介して小面積の振動部に集中的に印加し該振
   動部を振動せしめて上記インク層からインク滴を
   噴射せしめ対向配置された記録媒体に文字・図形
   等の画像を記録するインクジエツトプリンタに於
   いて、上記薄板の振動部を円滑振動可能に支持す
   る支持部を、上記振動部の周縁に形成したことを
   特徴とするインクジエツトプリンタ。 ２ 上記振動部の周縁に設けたコルゲーシヨンエ
   ツヂで上記支持部を形成したことを特徴とする特
   許請求の範囲第１項記載のインクジエツトプリン
   タ。 ３ 上記振動部周縁に設けた環状の凹所で、上記
   支持部を形成したことを特徴とする特許請求の範
   囲第１項記載のインクジエツトプリンタ。 ４ 上記インク層の前面に該インク層の厚みを一
   定に保持する前面板を配置すると共に、該前面板
   の振動部対向箇所に微小径のオリフイスを穿ちこ
   のオリフイスを通して上記インク滴を噴射するこ
   とを特徴とした特許請求の範囲第１項、第２項又
   は第３項のいずれか１つの項に記載のインクジエ
   ツトプリンタ。