JPS6337279B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はスクロール圧縮機の制御装置に関する
ものである。

一般的な圧縮機に対しては従来よりその吐出流
量を増減させる圧縮能力制御法として、極数変換
電動機、周波数可変電動機等を搭載して圧縮機の
回転数を大幅に可変とする方法と、シリンダ内部
と吸入側をバイパスさせていわば空回り状態を設
定するバイパス法とが行なわれている。前記は機
構が複雑となつたり、装置が大がかりなものとな
るためコストアツプにつながるが、能力の可変幅
が大きいという長所を有する。これに対して後者
は構成が簡単であるためコスト上の長所を有する
ものの、能力の可変幅が小さいという短所を有す
る。そこでこれらはそれぞれの長所を生かした形
で実用化が図られている。たとえば空調用圧縮機
中でもローリングピストンロータリ式の圧縮機に
は、コスト上のメリツトからバイパス法が多く採
用されている。

一方、最近冷凍用圧縮機としてスクロール方式
のものが注目されてきている。

第１図は従来のスクロール圧縮機を示したもの
であり、ハウジング１の下部にステータ２Ａ及び
ロータ２Ｂよりなるモータ２を設け、このモータ
２の回転軸３をフレーム４の軸受５で支持すると
共に、該回転軸３の上端にクランク部６を設けて
いる。一方、７は固定スクロールであり、これは
鏡板７Ａの下面にインボリユート等のら線状のラ
ツプ７Ｂを設けると共にその鏡板７Ａの中央に吐
出口８を形成してなり、前記ハウジング１の上端
に固定されている。９は可動スクロールであり、
これは鏡板９Ａの上面に前記した固定スクロール
７のラツプ７Ｂと同一形状のラツプ９Ｂを有して
いる。固定スクロール７と可動スクロール９と
は、それぞれのラツプ７Ｂ，９Ｂが相互に包み合
う形態でかみ合うように組合せた状態で対向せし
められ、そしてその状態で可動スクロール９が前
記クランプ部６の偏心位置に軸受１０を介して支
持されている。この可動スクロール９はモータ２
の作動によつてその回転軸３の軸心周りで旋回せ
しめられるが、その旋回を確実ならしめるため、
前記フレーム４との間に自転防止機構１１が介在
される。なお１２は吸入口を示す。

このようなものによれば、第２図ａ〜ｄに示さ
れるように、固定スクロール７のラツプ７Ｂ（以
下固定ラツプという。）の内周面と可動スクロー
ル９のラツプ９Ｂ（以下可動ラツプという。）の外
周面とが２箇所で接触し、また固定ラツプ７Ｂの
外周面と可動ラツプ９Ｂの内周面とが２箇所で接
触する。したがつてこれらの接点１３Ａ，１３Ｂ
間においては、固定ラツプ７Ｂと可動ラツプ９Ｂ
との間で２つの密閉空間１４Ａ，１４Ｂが形成さ
れる。前記した２組の接点１３Ａ，１３Ｂはモー
タ２による可動スクロール９の旋回に伴ない、そ
の旋回中心を介する一定の位置関係を保つたまま
固定ラツプ７Ｂが形成するら線に沿つて移動し、
次第に前記旋回中心に近付くため、前記した２つ
の密閉空間１４Ａ，１４Ｂが次第に減容される。
したがつて吸入口１２からハウジング１に入つた
流体（冷媒）は、第１図ｄの状態で固定ラツプ７
Ｂと可動ラツプ９Ｂとの間の空間に入り、さらに
第１図ａのように密閉空間１４Ａ，１４Ｂに保護
された後、その減容に応じて圧縮される。そして
密閉空間１４Ａ，１４Ｂが吐出口８と通じること
によつて圧縮冷媒が吐出されることになる。なお
第１図ａ，ｂ，ｃ，ｄは可動ラツプ９Ｂが反時計
方向に90度ずつ旋回した状態を原理的に示したも
のである。

そしてこのようなスクロール圧縮機において能
力制御装置を具備したものとして第５図、第６図
に示すようなものがある（特開昭54−28002号公
報）。

同図において１０１は可動スクロール、１０２
は固定スクロールであり、対の溝１０４，１０５
が設けられている。１０３はこの溝１０５に設け
られたプランジヤーである。そしてこのプランジ
ヤー１０３を溝１０５に出し入れすることにより
能力制御を行なうものである。

しかしながらこのような構成では、溝を加工す
る場合に精度が要求されるとともに、全能時にプ
ランジヤーのヘツドと鏡面とが同一平面としなけ
ればならず、加工面で特に問題を有していた。

本発明は以上に鑑みてなされたものであり、そ
れによれば圧縮能力について高能力を要する場合
でも低能力を要する場合でも共通のスクロール圧
縮機を使用に供し得、またヒートポンプ装置にス
クロール圧縮機を搭載してそれを冷戻運転あるい
は暖房運転させる場合に、それぞれの運転におけ
る能力制御を容易に行なうことができるようにす
るとともに、構成が簡単な上に製作も容易で、加
工精度によることなく冷媒もれを防止でき、耐久
性にもすぐれたものとできるようにすることを目
的とする。

以下本発明の実施例を第３図、第４図に基づき
説明する。

図示例において固定ラツプ７Ｂと可動ラツプ９
Ｂとは位相が180度ずれた状態で相互に包み合う
形態でかみ合わされ、相互間に２つの密閉空間１
４Ａ，１４Ｂを保持する。固定スクロール７の鏡
板７Ａに一対の貫通孔１５Ａ，１５Ｂが形成され
る。この一対の貫通孔１５Ａ，１５Ｂは可動スク
ロール９の旋回中心周りで相互に180度変位した
状態で位置し、かつ一方の貫通孔１５Ａは固定ラ
ツプ７Ｂの外周面に接し、他方の貫通孔１５Ｂは
固定ラツプ７Ｂの内周面に接して形成される。し
たがつて可動ラツプ９Ｂの旋回に伴なつて２つの
密閉空間１４Ａ，１４Ｂが減容されつつその旋回
中心に次第に近づく場合には、その途中の状態に
達するまでの一定時間内は一対の貫通孔１５Ａ，
１５Ｂがそれぞれ各別に２つの密閉空間１４Ａ，
１４Ｂのそれぞれの相対応する位置に連通し、そ
れ以後は２つの密閉空間１４Ａ，１４Ｂから遮断
される。これらの貫通孔１５Ａ，１５Ｂにそれぞ
れ逆止弁１６Ａ，１６Ｂが設けられる。この逆止
弁１６Ａ，１６Ｂはハウジング１内への逆流を阻
止する作用を有し、貫通孔１５Ａ，１５Ｂが密閉
空間１４Ａ，１４Ｂに対応している場合には該密
閉空間１４Ａ，１４Ｂへの逆流を阻止し得る。逆
止弁１６Ａ，１６Ｂの出口、吐出口８、吸入口１
２の三者はそれぞれ連絡管１７、吐出管１８から
分岐された導圧管１８Ａ、吸入管１９に接続され
た戻し管１９Ａを三方向で相互に接続することに
よつて連通される。そしてこの接続部に三方弁２
０が介装される。

以上において、三方弁２０により導圧管１８Ａ
と連絡管１７を連通させ、これらに対して戻し管
１９Ａを遮断すると、可動ラツプ９Ｂの旋回によ
り吐出口８から吐出される圧縮流体の圧力が導圧
管１８Ａ、三方弁２０、連絡管１７を経て逆止弁
１６Ａ，１６Ｂに作用する。したがつて逆止弁１
６Ａ，１６Ｂは常時閉じた状態となる。この状態
は貫通孔１５Ａ，１５Ｂを有しない従来のスクロ
ール圧縮機（第１図、第２図参照）におけるのと
同じものであり、吸入流体量も吸入開始時に形成
される密閉空間１４Ａ，１４Ｂの容積で定まる。
したがつてその量も多く、吐出流量の多い高能力
運転が維持される。

これに対し、三方弁２０により連絡管１７と吸
入管１９とを連通させ、これらに対して導圧管１
８Ａを遮断すると、可動ラツプ９Ｂの旋回中にお
いて密閉空間１４Ａ，１４Ｂが貫通孔１５Ａ，１
５Ｂに連通している間は、密閉空間１４Ａ，１４
Ｂの減容度合に応じて流体が逆止弁１６Ａ，１６
Ｂを通して排出され、連絡管１７、三方弁２０、
戻し管１９Ａ及び吸入管１９を通じてハウジング
１内へ循環される。すなわち可動ラツプ９Ｂが消
費電力の少ない空回り状態となり、密閉空間１４
Ａ，１４Ｂ内の流体圧力は上昇しない。しかし密
閉空間１４Ａ，１４Ｂが減容しつつ移動せしめら
れ、貫通孔１５Ａ，１５Ｂから遮断されると、そ
の間は流体の圧縮が行なわれ、吐出口８より圧縮
流体が吐出される。この場合、圧縮開始時の密閉
空間１４Ａ，１４Ｂの容積が、前述した高能力運
転における圧縮開始時のものよりも小さいので、
その分だけ吐出量が少なく、したがつて低能力運
転が維持される。

低能力運転の場合、一対の貫通孔１５Ａ，１５
Ｂが間欠的に各密閉空間１４Ａ，１４Ｂの相対応
する位置〔可動ラツプ９Ｂの旋回中心を介して対
称な位置〕で連通する関係から、２つの密閉空間
１４Ａ，１４Ｂでは同時に圧縮が開始され、該空
間１４Ａ，１４Ｂ内の流体圧力は常時等しくなつ
ている。

スクロール圧縮機をヒートポンプ装置に搭載し
て冷暖房運転を行なわせる場合は、三方弁２０を
動作させて暖房運転時には前述の高能力運転時の
状態とし、冷房運転時には前述の低能力運転時の
状態とする。暖房負荷は冷房負荷よりも大きく、
かつ圧縮機としての所要の圧縮比も暖房時の方が
大きいから、前記三方弁２０の動作により所期の
目的、すなわち最適の使用状態が得られる。

この実施例では、密閉空間１４Ａ，１４Ｂ及び
貫通孔１５Ａ，１５Ｂをそれぞれ２つずつ形成
し、これらを１対１で対応させたものを説明した
が、これに限らず密閉空間１４Ａ，１４Ｂは２つ
以上の偶数のものを形成させるように固定ラツプ
７Ｂ及び可動ラツプ９Ｂの各巻回数を増加させ、
それらの密閉空間のそれぞれに貫通孔を対応させ
てもよい。この場合、貫通孔の数も偶数となる
が、その半数は固定ラツプ７Ｂの外周面に接して
形成され、残りの半数は固定ラツプ７Ｂの内周面
に接して形成される。そしてこれらの半数ずつに
分けられた各貫通孔群間では、可動ラツプ９Ｂの
旋回中心周りで相互に180度変位した状態で一対
ずつの貫通孔を相対応するように構成する。なお
第３図、第４図においては説明の便宜上、第１
図、第２図における要素と相応するものには同一
番号を付し、説明を省略した。

以上の説明から明らかなように本発明によれば
次の様な効果が奏される。

(a) 本発明はバイパス制御用穴が固定スクロール
を貫通する貫通孔であるために、従来のように
溝を設ける構成に比べて容易であり、加工精度
によつて圧縮機効率が著しく低下するという問
題がない。

(b) 貫通孔はラツプの外周面又は内周面に接して
形成するために、さらに加工が容易となる。

(c) 貫通孔は吐出口と同じ固定スクロールに形成
するためにいちどに加工することができ、その
加工性に優れている。

(d) また貫通孔は固定スクロールに形成され、こ
の固定スクロールは高温となるモータ部とはな
れた位置に設けられている（すなわち、モータ
はハウジングの下方に設けられ、その間にフレ
ーム等を有し、固定スクロールはハウジングの
上方に設けられている。）ため、モータ熱によ
るバイパスガスの温度上昇を防ぐことができ、
このバイパスガスを吸入側にもどした時に吸入
ガス温度が上昇することがなく、膨張による体
積効率の低下を防止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のスクロール圧縮機の切欠断面
図、第２図は同作動原理図、第３図は本発明実施
例の切欠断面図、第４図は同要部の説面図、第５
図、第６図は従来例を示す断面図である。 １……ハウジング、３……回転軸、６……クラ
ンク部、７……固定スクロール、７Ａ……固定ス
クロール鏡板、７Ｂ……固定スクロールラツプ、
８……吐出口、９……可動スクロール、９Ａ……
可動スクロール鏡板、９Ｂ……可動スクロールラ
ツプ、１１……自転防止機構、１４Ａ，１４Ｂ…
…密閉空間、１５Ａ，１５Ｂ……貫通孔、１６
Ａ，１６Ｂ……逆止弁、１７……連絡管、１８…
…吐出管、１８Ａ……導圧管、１９……吸入管、
１９Ａ……戻し管、２０……三方弁。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ シリンダ内部と吸入側をバイパスさせた能力
   制御装置を有するスクロール圧縮機において、ハ
   ウジング内部に、ハウジング下方から順にモー
   タ、このモータの回転を可動スクロールに伝える
   回転軸を支持するとともに前記可動スクロールの
   スラスト力を受けるフレーム、鏡板にら線状ラツ
   プを形成してなる可動スクロール、前記可動スク
   ロールのラツプとかみ合うように鏡板にら線状ラ
   ツプを形成するとともに、略中央に吐出口を有す
   る固定スクロールを設け、前記能力制御装置は、
   固定スクロールの鏡板に偶数の密閉空間に対して
   連通する複数の貫通孔を偶数形成し、その半数を
   固定スクロールにおけるラツプの外周面に接して
   形成すると共に残りの半数を固定スクロールにお
   けるラツプの内周面に接して形成し、前記外周面
   に接する貫通孔群と前記内周面に接する貫通孔群
   との間において、対応する一対の貫通孔が可動ス
   クロールの旋回中心周りで相互に180°変位した状
   態で位置するように構成し、前記貫通孔の直径を
   前記ラツプの厚さより小さくし、これらの貫通孔
   に密閉空間への逆流を阻止する逆止弁をそれぞれ
   設け、前記貫通孔の出口側を合流させた連絡管と
   前記スクロール圧縮機の吐出口と同吸入口とを三
   方弁を介して接続したスクロール圧縮機の制御装
   置。