JPS6335347Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はアルミナ製品を連続的に焼成するため
に用いられる非酸化性雰囲気炉に関するものであ
る。

（従来の技術） アルミナ製品を連続的に焼成するための従来の
非酸化性雰囲気炉としては炉室内を耐火れんが製
の隔壁により複数に区画して炉室内に適当な温度
カーブを持たせるとともに、該炉室内には被処理
物であるアルミナ製品の移動方向と逆方向に水素
ガス、窒素ガス等の非酸化性ガスを流すようにし
たものが知られている。

（考案が解決しようとする問題点） ところが、このような従来の非酸化性雰囲気炉
においては、被処理物および耐火れんが炉材中に
微小量含有されているシリカ、マグネシア等の成
分が炉室内の高温部において蒸発し、この蒸発成
分が非酸化性ガスの流れに乗つて低温部へ移動し
て前記の隔壁に触れて凝結したうえ被処理物上に
落下することがある。この落下物はシリカ、マグ
ネシア等が隔壁の耐火れんがと反応した不純物を
含有するので、落下物の付着した被処理物が高温
部へ移動したときに不純物が再蒸発して付近の被
処理物全体を汚損する重大な欠点を生ずることが
ある。従つて、このような汚損を生ずる虞れのな
い非酸化性雰囲気炉が求められていた。

（問題点を解決するための手段） 本考案はこのような従来の問題点を解決するた
めに完成されたものであり、非酸化性ガスにより
満たされた炉室の内部を隔壁により温度の異なる
複数の区画に区分するとともに、炉体の外側には
隔壁の前後の区画内の天井部に開口部を有しその
途中に冷却器を備えたバイパスパイプを設けたこ
とを特徴とするものである。

（実施例） 次に本考案を図示の実施例について詳細に説明
すれば、１はケーシング２の内部に耐火れんが３
及び天井れんが４を積上げて構築した炉体、５は
炉体１の中心部にその全長にわたつて形成された
炉室である。炉室５の内部下面には中央上面が凹
んだハースれんが６とその上面を摺動できる移動
板７とからなる移動機構８が設けられており、ア
ルミナ製品である被処理物５０はこの移動板７の
上面に載置されたまま炉体１の入口側に設けられ
たプツシヤー９により押圧されて炉室５の内部を
矢印Ａで示される一定方向に間歇的に移動するこ
とになる。また、炉体１の出口側には図示を略し
たガス供給装置が取付けられており、水素ガス等
の非酸化性ガスが矢印Ｂで示される反対方向に炉
室５内を流れて炉室５全体を満たすようにされて
いる。この炉室５の所要個所の天井部には耐火れ
んが製の隔壁１０が突設され、炉室５の内部を温
度の異なる複数の区画１１，１２，１３に区分し
ている。ここで中央の区画１１は例えば1800℃以
上の最高温度の区画であり、これに隣接する入口
側の区画１２及び出口側の区画１３は例えば1300
〜1600℃の区画である。このほか入口側の区画１
２の更に入口側には隔壁１４によつて区分された
更に低温の予熱用の区画１５を形成してもよい。
炉体１の外側には入口に近い側の隔壁１０の前後
の区画１１，１２の天井部に開口部１６，１７を
有するバイパスパイプ１８が設けられている。バ
イパスパイプ１８は区画１１の天井部の開口部１
６から前記したシリカ、マグネシア等の蒸気を含
む炉内ガスを吸引し、バイパスパイプ１８中にお
いて冷却して凝結させたうえ残りの炉内ガスを開
口部１７から区画１２へ排出するためのものであ
り、このため水冷式の冷却器１９がその途中に設
けられている。また、開口部１６からの吸引力を
増加させるために、バイパスパイプ１８の開口部
１６に近い部分には必要に応じて加熱器２０が設
けられる。なお、バイパスパイプ１８中には凝結
したシリカやマグネシア等の成分が次第に蓄積す
るので、図示のように両側のフランジ部２１から
上方の部分が容易に交換できるものとしておくこ
とが好ましい。

（作用） このように構成されたものは、炉室５の内部を
水素ガスその他の非酸化性ガスで満すとともに炉
室５を電気ヒータにより加熱して隔壁１０により
区画された複数の区画１１，１２，１３に所定の
温度カーブを与えたうえでアルミナ製品等の被処
理物５０を移動機構８により一定方向に移動させ
れば、被処理物は温度の異なる各区画を順次通過
しつつ非酸化性雰囲気内において連続的に焼成さ
れることは従来と同様であり、また、被処理物５
０および高温部の耐火れんが炉材４中に含有され
ている微量のシリカ成分やマグネシア成分が高温
部において蒸発することも従来と同様である。し
かし、本考案の非酸化性雰囲気炉においてはこれ
らのシリカ成分やマグネシア成分は最高温度の区
画１１の天井部の開口部１６からバイパスパイプ
１８中に吸引され、その途中の冷却器１９により
冷却されてバイパスパイプ１８中で凝結したうえ
で残りの炉内ガスのみが開口部１７から区画１２
内へ排出されるので区画１１と区画１２とを区分
している隔壁１０にはシリカ成分やマグネシア成
分が凝結して付着することがない。従つて従来の
ように隔壁１０の耐火れんがとこれらの蒸発成分
とが反応して不純物を生じ、これに起因して被処
理物が汚損されるという事故は完全に防止され
る。なお、バイパスパイプ１８中に多量のシリカ
やマグネシアが蓄積されたときにはフランジ部２
１から上方部分を交換すればよい。

（考案の効果） 本考案は以上の説明からも明らかなように、被
処理物中から蒸発したシリカあるいはマグネシア
等の成分はバイパスパイプ中において凝結して除
去されるので、これらの成分が隔壁の耐火れんが
と反応して不純物を生ずることがなく、これに起
因する被処理物の汚損を完全に防止することがで
き、しかも炉室内は隔壁により温度の異なる複数
の区画に区分されているので従来と同様の好まし
い温度カーブを維持することができるものであ
る。よつて、本考案は従来のこの種の非酸化性雰
囲気炉の問題点を解決したものとしてその実用的
価値は極めて大なものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す縦断面図、第２
図は要部の一部切欠正面図である。 １：炉体、５：炉室、１０：隔壁、１１，１
２，１３：区画、１６，１７：開口部、１８：バ
イパスパイプ、１９：冷却器。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 非酸化性ガスにより満たされた炉室５の内部を
   隔壁１０により温度の異なる複数の区画１１，１
   ２，１３に区分するとともに、炉体１の外側には
   隔壁１０の前後の区画１１，１２内の天井部に開
   口部１６，１７を有しその途中に冷却器１９を備
   えたバイパスパイプ１８を設けたことを特徴とす
   る非酸化性雰囲気炉。