JPS6334787Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、連続鋳造の凝固進行中の鋳片ストラ
ンドに電磁撹拌を加えるための装置に関するもの
である。電磁撹拌によつて凝固殻中の未凝固溶鋼
に適切な撹拌を与えることにより、等軸晶の増
大、中心部ポロシテイの分散による中心偏析の低
減等の鋳片性状の改善効果が得られる。

（従来の技術） 鋳片ストランドに電磁撹拌を加える時期は、鋳
造鋼種、鋳片サイズ及び鋳造速度によつて、最適
位置が決定される。

従来の鋳片電磁撹拌装置は概ねその位置を選ん
で固定的に設置されている。

（考案が解決しようとする問題点） 鋳造条件が一定でなく鋳片サイズ、鋼種、鋳造
速度等に変更があつた場合は、前記の最適電磁撹
拌位置がかなり変化するので、従来の固定式電磁
撹拌装置はこの変化に対応できず、撹拌効果の低
下により満足する所期の性状改善効果が得られな
いようになる。

本考案は、前記の変化に対応して鋳片ストラン
ドを水平に誘導する円弧曲げ矯正ガイド域、水平
ガイド域にわたる間の最適電磁撹拌位置の近傍に
準備時間中に電磁撹拌コイルを移設して適切な位
置で電磁撹拌を加えることを可能とする装置を提
供することを目的とする。

電磁撹拌装置を移動可能とするに当つては、こ
の移動が鋳片誘導ローラテーブルのローラその他
施設との干渉を起さないようにすることが必要で
あり、本考案ではこの干渉の問題を併せて解決す
る構成を与えることを課題とする。

（問題点を解決するための手段、作用、実施例） 前記の考案目的および課題は、電磁撹拌コイル
を鋳片ストランドに対し移行させることを目的と
した台車をストランドの上方に設置し、の台車に
走行装置、電磁撹拌コイルの昇降装置、傾動装置
を具備し、それらの操作により電磁撹拌コイルを
ストランドに対する所望位置に置換え設置を可能
とすることを基本的構想とする本考案により達成
される。

すなわち、本考案の移動可能な電磁撹拌装置
は、構成上、連続鋳造設備において、列設ローラ
によりわん曲されて水平に移行する鋳片ストラン
ドの水平ガイド域と平行にその上位を走行する台
車を設け台車上に走行装置を付設して自走移行可
能とし、台車の両側には昇降ガイドフレームを台
車にピン結合して垂下させ傾動装置に連結して鋳
片ストランドのわん曲位置では昇降ガイドフレー
ムを傾斜配置に傾動可能とし、両側昇降ガイドフ
レームのガイドレール間には各鋳片ストランドに
対応する電磁撹拌コイルを持つコイルケースをガ
イド車輪により昇降可能に装備し、台車上の昇降
装置に連結して電磁撹拌コイルケースを台車走行
可能な上昇避退位置と台車停止後の鋳片ストラン
ドの電磁撹拌可能な下降作動位置との間に移動す
るようにしたものである。

以下、本考案を添付図の実施例により具体的に
説明する。図示の装置は３ストランドの連続鋳造
装置を例としたものであつて、３本の平行の鋳片
ストランドは列設ローラ１により誘導され上下対
設ローラ間を円弧曲げ矯正ガイド域および、水平
ガイド域を通つて連続的に移行する。第１図は円
弧曲げ矯正ガイド域における本考案装置の側面
図、第２図は昇降ガイドフレームが垂直状態の本
装置の正面図、第３図はその平面図を示す。

鋳片ストランドの水平ガイド域の上方にはこれ
と平行に水平の走行軌道２を上部架構に敷設し、
台車３をその前後左右の走行車輪４により走行可
能に搭載する。台車３には走行装置５が付設さ
れ、この走行装置５はケーブルベア６を経て固定
部に電気接続される台車後部上の走行用モータ７
から自在接手８を介して１対の後輪４を駆動し、
台車３は自走する。そして図示省略されているが
走行軌道２と平行にローラチエーンが張渡されこ
れと噛合うスプロケツトに台車上のパルスゼネレ
ータが連結され、台車の走行に伴い発生するパル
スをケーブルベア６を通じ外部制御装置（図示せ
ず）に発信してそのパルス数のカウントにより台
車を所望の停止位置に自動的に停止させることを
可能とする。

台車３の両側にはそれぞれ昇降ガイドフレーム
１０，１０を上部のピン１１，１１により結合し
て揺動可能として垂下させる。両側の昇降ガイド
フレーム１０，１０はそれぞれ中程を傾動装置１
２の傾動用パワーシリンダ１３，１３を介し台車
前部のブラケツト１４，１４にピン連結する。シ
リンダ１３，１３の同時短縮により昇降ガイドフ
レーム１０，１０をピン１１，１１を中心として
傾動し、傾斜姿勢とすることが可能である。この
傾動装置１２は両側のパワーシリンダ１３，１３
を駆動する傾動用モータ１５，１５にそれぞれパ
ルスゼネレータを設けることにより両側の昇降ガ
イドフレーム１０，１０の同調傾動および予め外
部制御装置により設定された傾動角度での自動停
止を行なわせることを可能とする。

両側の昇降ガイドフレーム１０，１０間には、
この例では３つの電磁撹拌コイル１６を持つコイ
ルケース１７をその両側上下に取付けた昇降ガイ
ド車輪１８により昇降ガイドフレーム１０，１０
の内側に形成したガイドレール１９，１９をはさ
み込むことにより昇降可能に装備する。

コイルケース１７は、台車３上に装備した昇降
装置２０の昇降用モータ２１により減速機２２、
伝動軸２３を介して駆動されるドラムウインチ２
４，２４に巻取り巻戻しされるワイヤーロープ２
５をコイルケース１７側のシーブ２６，２６に巻
き掛け、モータ２１の駆動により電磁撹拌コイル
１６、コイルケース１７を昇降させることを可能
とする。

３つの電磁撹拌コイル１６およびコイルケース
１７はその上昇避退位置では台車３の走行による
移動中に連続鋳造設備の構成部分と干渉せず、ま
た下降位置では列設ローラ１の所定の前後ローラ
間の設定位置に下降して列設ローラ１との干渉が
起らない配置を与える。鋳片ストランドのわん曲
矯正域では昇降ガイドフレーム１０の傾動により
わん曲路の列設ローラ間に斜降下するようにす
る。そして下降位置では３つの電磁撹拌コイル１
６の中心通孔２７を鋳片ストランドが許容間隔を
保つて通過する関係となるような構成配置を与え
る。昇降するコイルケース１７はケーブルベア２
８を介して台車３の部分に電気接続される。

コイルケース１７の下端には、第４図に拡大図
示するように、位置決め用車輪２９が取付けられ
ており、これに対して固定側のベースフレーム３
０にはＶ溝を持つ位置決めブロツク３１が設けら
れている。コイルケース１７の下降位置で車輪２
９がブロツク３１にはまり込むことにより、前記
のパルスカウントによる予定停止位置からさらに
正確な最終的な位置決めがなされる。このベース
側での位置決めの正確さを活用してベースフレー
ム３０のスタツド３２をコイルケース１７の受枠
３３の受孔に円滑に貫通させ、スタツド３２の横
方向孔にコツタ３４を挿込むことにより停止位置
での確実な固定を行うようにすることができる。

鋳片ガイドローラ１間にはダミーバー挿入時に
ダミーバーをガイドする目的でガイドシユー３５
が設けられている。図示例ではガイドシユー３５
は下方のバランスウエイト３６を持つ２つのレバ
ー３７で支持されその１方の支持点はスライド溝
３８内を滑動するようになつている。ダミーバー
挿入時にはバランスウエイト３６力が優りガイド
シユー３５はダミーバー案内の役割をするが、本
考案により電磁撹拌コイルケース１７の下降時に
はその大きい重量で押下げられて避退するので、
取り除き作業は不要である。

３９は台車３に設けたメンテナンス用のホイス
トで、各ローラセクシヨンのメンテナンスおよび
交換等の目的に利用される。４０はストツパであ
る。

以上の構成を有する本考案装置は次のように操
作し作動させる。

（） コツタ３４を外しコイルケース１７をベ
ース側から自由とする。

（） 昇降用モータ２１を駆動しドラムウイン
チ２４を正転させてワイヤーロープ２５を巻取
り、コイルケース１７を上昇させ上限位置で保
持する。

（） 走行用モータ７を駆動し、あらかじめ設
定された位置までパルスゼネレータによつてパ
ルスカウントしながら走行し自動または制御停
止する。

（） 次のその位置が水平ガイド域ならばその
ままコイルケースを降下させるが、円弧曲げ矯
正ガイド域の場合には、傾動装置１２によりあ
らかじめ設定された角度までパルスをカウント
しながら昇降ガイドフレーム１０を自動または
制御傾斜させる。

（） こうして昇降装置２０のドラムウインチ
２４を逆回転させワイヤロープ２５を巻戻し３
電磁撹拌コイル１６およびコイルケース１７を
自重で位置決め車輪２９が位置決めブロツク３
１にはまり込むまで降下させる。

（） 次にコツタ３４によりコイルケース１７
をベースフレーム３０に結合固定する。

（） こうして連続鋳造を開始し鋳片ストラン
ドを電磁撹拌コイル１６の通孔２７を通過さ
せ、ケーブルベア６，２８を経てコイル１６に
通電して電磁撹拌を行う。

（考案の効果） 以上のように、本考案の電磁撹拌装置による
と、連続鋳造の鋼種、鋳造速度、鋳片サイズ等に
よつて変化する最適電磁撹拌コイル設置ポイント
またはそれに近い位置に、鋳造準備時間の間にコ
イルを容易かつ迅速に置き換えて鋳片に適正な電
磁撹拌を加えることにより鋳片性状改善効果を確
実なものにすることができる。

また台車上にメンテナンス用ホイストおよびエ
プロン仮置きスペースを設けることにより各ロー
ルセクシヨンのメンテナンスおよび交換が容易に
行えるという副次的効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は３ストランド連続鋳造設備における本
考案の１実施例の移動可能な電磁撹拌装置の側面
図、第２図はその正面図、第３図はその平面図、
第４図は下降位置のコイルケース下端とベースフ
レーム側とのはめあい関係を示す側面図である。 １……ローラ、２……走行軌道、３……台車、
４……走行車輪、５……走行装置、６……ケーブ
ルベア、７……走行用モータ、８……自在接手、
１０……昇降ガイドフレーム、１１……ピン、１
２……傾動装置、１３……傾動用パワーシリン
ダ、１４……ブラケツト、１５……傾動用モー
タ、１６……電磁撹拌コイル、１７……コイルケ
ース、１８……走行ガイド車輪、１９……ガイド
レール、２０……昇降装置、２１……昇降用モー
タ、２２……減速機、２３……伝動軸、２４……
ドラムウインチ、２５……ワイヤロープ、２６…
…シープ、２７……通孔、２８……ケーブルベ
ア、２９……位置決め用車輪、３０……ベースフ
レーム、３１……位置決めブロツク、３２……ス
タツド、３３……受枠、３４……コツタ、３５…
…下側ガイドシユー、３６……バランスウエイ
ト、３７……レバー、３８……スライド溝、３９
……メンテナンス用ホイスト、４０……ストツ
パ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 連続鋳造設備において、列設ローラによりわ
   ん曲されて水平に移行する鋳片ストランドの水
   平ガイド域と平行にその上位を走行する台車を
   設け台車上に走行装置を付設し、台車の両側に
   は昇降ガイドフレームを台車にピン結合して垂
   下させるとともに傾動装置に連結して傾動可能
   に装備し、両側昇降ガイドフレームのガイドレ
   ール間には各鋳片ストランドに対応する電磁撹
   拌コイルを持つコイルケースをガイド車輪によ
   り昇降可能に装備するとともに台車上にその昇
   降装置を付設したことを特徴とする連続鋳造設
   備における移動可能な電磁撹拌装置。 (2) コイルケースの下端に列設ローラ間の位置決
   めブロツクと相対する位置決め用車輪を設けた
   実用新案登録請求の範囲第１項記載の装置。 (3) ローラ間のガイドシユーがコイルケースの下
   降で押下げられて避退可能な構造を与えた実用
   新案登録請求の範囲第１項に記載の装置。