JPS6334662Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案はベツドの上に横たわる患者の床ずれ
予防を目的として、患者とベツドとの接触圧を軽
減させるように槽内に固体粒子媒体としてのビー
ズを充填した箱形のビーズ槽にフイルターシーツ
を被せ、このビーズ槽内へ下方から圧縮空気を吹
込むことによつてビーズを流動化させて患者を浮
揚状態で支えるようにした医療用ベツドの改良に
関する。

まず第１図および第２図により、従来における
この種のベツドの構成並びに動作原理を述べる。
図において、１はベツド、２はベツドの上に横た
わる患者を示す。ベツド１は患者２を横たえるに
十分なサイズの箱形ビーズ槽３と、このビーズ槽
３の中に充填された例えばガラスの微粒子の表面
に樹脂をコーテイングした比重２〜３、粒径50〜
150μ程度の固体粒子媒体としてのセラミツクビ
ーズ４と、ビーズ槽３の上面に被せてビーズ槽３
の周縁に固定されたビーズ４の粒径より細かなメ
ツシユの通気性があるフイルターシーツ５と、ビ
ーズ槽３の底面側に配備されたプレナム室６と、
プレナム室６とビーズ槽３との境界に介在された
多孔質の空気拡散板７と、およびベツドの架台を
兼用する機械室８の中に収設された空気コンプレ
ツサ９，コンプレツサ９とプレナム室６との間を
結んで配管された圧縮空気供給用の導管１０、お
よび導管１０の途中に設置された放熱器１１を組
合わせた圧縮空気吹込機構などから構成されてい
る。

かかる構成において、コンプレツサ９の運転停
止時にはビーズ４は静止状態にあり、ベツドに横
たわる患者２には砂の上に寝るような感じを与え
る。この停止状態からコンプレツサ９を運転し、
プレナム室６および空気拡散板７を通じてビーズ
槽３の中へ圧縮空気を下方から吹込むと、圧縮空
気はビーズ槽内の隅々に行きわたり、フイルター
シーツ５により槽内に封じ込められているビーズ
４は圧縮空気流により流動化して浮揚状態を形成
する。この状態になると、ビーズ４の見かけの比
重は1.1〜1.2程度に低下し、この上に横たわる患
者は浮揚状態で支えられることになる。かかる状
態では患者２との間の接触圧は極めて小さくな
り、患者はあたかも空中に浮遊している感じとな
る。なお圧縮空気は連続して押込まれ、ビーズ槽
を通過した空気はシーツ５を透過して室内に放散
する。なおコンプレツサ９から吐出される空気は
圧縮行程で10〜20deg程度上昇するために、この
高温空気が患者２へ直接吹付けられると治療上の
障害となる恐れがあり、このために導管１０の途
中に前記した放熱器１１が設置されている。

かかる医療用ベツドは、例えば火傷を負つた患
者に対して患部への接触圧を押えつつ常時空気を
送風させることによつて治療効果を上げることが
できるし、また自分自身では身動きができぬ長期
療養の重症患者に対しては、ベツドとの接触圧を
抑えて床ずれを予防できる等の効果がある。

一方、かかる医療用ベツドでは、運転中に流動
化されたビーズ４をビーズ槽内へ封じ込めておく
ために、ビーズ槽３の上面を覆うフイルターシー
ツ５が僅かなすき間も残さずにベツド槽の外周縁
へしつかりと密着固定されていることが極めて重
要である。このための手段として既に実用化され
多くの病院等で使用されている従来のベツドで
は、第３図に示すように、ビーズ槽３の上縁より
側方へ張り出した上部周縁フランジ９に沿つてそ
の上面に手摺りを兼ねたシーツ押え用ハンドレー
ル１０を配備し、このハンドレール１０をナール
ドノブ１１あるいは止錠等でパツキン１２ととも
に締付け固定することにより、フイルターシーツ
５の周縁をハンドレール１０とフランジ９との間
に密着挾持するようにしている。

一方、ベツドを使用する患者が重傷患者である
場合には、患者をベツドへ移す際に看護婦等の人
手を借りて行う必要があり、この面から現在病院
等で実際に使用されているこの種の従来の医療用
ベツドに対して、その全高寸法の低減化が強く要
望されている。

かかる問題に対しては、ベツドを構成する各部
品を逐一縮小化すれば直ちに解決できると考えら
れるが、この種の医療用ベツドの構造部品のう
ち、機械室８に関しては、その内部に収容される
コンプレツサ等各種機械部品によつて高さ寸法が
規制され、現況よりも縮小することは機械部品の
レイアウトを大巾に変更しなければならず困難で
ある。またビーズ槽３に関しては、所定のビーズ
流動性能を発揮させるためにビーズ４の充填量等
の条件から槽寸法が予め最適寸法に設計されてい
るので高さ寸法の縮小変更はできない。ところで
第３図に示した従来のベツド構造では、ベツド全
体の高さＨは、ビーズ槽３の上縁まで高さHoに
更にハンドレール１０の所要高さ寸法ｈが加算さ
れた値になつている。しかもこのハンドレール１
０は前述のように手摺りを兼ねた部品であつて、
実際にはかなり厚手の寸法に構成されている。こ
のために患者をベツドに対して移し替える際に
は、このハンドレール１０が障害物となり、不注
意にこのハンドレールが患部に当たるなどの不便
さがあつた。

この考案は上記のハンドレールの取付部に着目
し、このハンドレールの取付部を改良することに
よつてベツドの機能を損うことなしにベツド全体
の高さを縮減して患者の移動の取扱いが容易に行
えるようにした医療用ベツドを提供することを目
的とする。

以下この考案を図示実施例に基づき説明する。
第４図において、この考案によりビーズ槽３の上
縁から側方へ張出した上部周縁フランジ９を図示
のように下方へ向けて折り曲げて、そのハンドレ
ール取付座面がビーズ槽３の上縁からハンドレー
ル１０の所要高さ寸法ｈだけ差引かれた低レベル
の位置に段付け形成されるように構成されてい
る。そしてハンドレール１０はこの段付けされた
取付座面の上に乗つてフイルターシーツ５をフラ
ンジ９との間に挾持固定している。

上記の構成によれば、ハンドレール１０の上面
はビーズ槽３の上縁高さと一致し、したがつてベ
ツド全体の高さＨはビーズ槽３の上縁高さHoつ
まり患者の就寝面と殆ど等しく、第３図の従来構
造と較べてハンドレール１０の所要高さ寸法ｈの
分だけ低減されることになるし、また患者の移動
の際にもこのハンドレール１０が障害物となるこ
とがなくなる。しかもフイルターシーツ５はハン
ドレール１０とフランジ９との間で従来と同様に
密着挾持することができ、ハンドレール１０の手
摺りとしての機能を損うこともない。

上述のようにこの考案は、ビーズ槽の上部周縁
フランジにおけるハンドレール取付座面をビーズ
槽の上縁からハンドレール分だけ差引いた低レベ
ル位置に段付けして形成したものであり、したが
つて医療用ベツドの機能をいささかも損うことな
しにベツド全体の高さを低減できるし、またハン
ドレールが従来のように上方へ突き出ないので、
患者移動の際の障害物になることもないなど、患
者の取扱いに便利な医療用ベツドを提供すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の対象となる医療用ベツドの
外形斜視図、第２図は第１図に示した医療用ベツ
ドの内部機構を示す断面図、第３図および第４図
はそれぞれ従来およびこの考案の実施例の要部の
構造断面図である。 ２……患者、３……ビーズ槽、４……ビーズ、
５……フイルターシーツ、９……上部周縁フラン
ジ、１０……ハンドレール。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ビーズが充填された箱形のビーズ槽の上面に通
   気性のフイルターシーツを被せるとともに、この
   フイルターシーツをビーズ槽の上部周縁フランジ
   に沿つて配備されたシーツ押え用ハンドレールに
   よつてビーズ槽との間に挾持してビーズをビーズ
   槽内に封じ込み、かつこのビーズ槽内へ下方から
   圧縮空気を吹込むことによりビーズを流動化し、
   シーツの上に就寝する患者を浮揚状態で支えるよ
   うにした医療用ベツドにおいて、ビーズ槽の上縁
   から側方へ張り出す上部周縁フランジを下方へ折
   り曲げてそのハンドレール取付座面をベツド槽の
   上縁からハンドレールの所要高さ寸法の分だけ差
   引いた低レベルの高さ位置に段付け形成したこと
   を特徴とする医療用ベツド。