JPS6333072B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は上水汚泥や下水汚泥のような粘着性の
ある湿潤物質を乾燥するために用いられる撹拌翼
付乾燥機に関するものである。

（従来技術） ケーシングの内部に互いに逆方向に回転する２
本の中空の撹拌翼付乾燥軸を配設し、該撹拌翼付
乾燥軸の内部に熱媒体を供給してケーシングの一
端から供給された湿潤物質を撹拌翼により搬送す
る間に乾燥させる撹拌翼付乾燥機は従来から知ら
れているが、従来の撹拌翼付乾燥機は粘着性の高
い湿潤物質を乾燥する場合には湿潤物質が撹拌翼
に粘着して硬い固着層を形成し易く、湿潤物質の
移動及び熱伝達を妨げて湿潤物質の槽内滞留時間
の制御が不可能となるうえ撹拌翼の寿命低下、回
転負荷の増大、乾燥の不均一等の種々の問題を生
じていた。

（発明の目的） 本発明はこのような従来の問題点を解決し、粘
着性の高い湿潤物質を処理する場合にも撹拌翼へ
の固着を生じ難く、しかも、湿潤物質の移動や熱
伝達を妨げることがないうえに湿潤物質の槽内滞
留時間の制御が行い易い湿潤物質の撹拌解砕等の
効果に優れた撹拌翼付乾燥機を目的として完成さ
れたものである。

（発明の構成） 本発明はケーシングの内部に互いに逆方向に回
転する少なくとも２本の撹拌翼付乾燥軸を隣接す
る撹拌翼を互いに入り込ませて平行に配設した撹
拌翼付乾燥機において、各撹拌翼の送り翼部を撹
拌翼付乾燥軸に対して所要の送り角度を持たせて
取付けるとともに送り翼部の後端には該送り翼部
に対して120〜170度の相対角度をなし、該送り翼
部の中心角に対して10〜20％の中心角を有する返
し翼部を設けたことを特徴とするものであり、以
下、図示の実施例につき詳細に説明する。

１は横長のケーシング、２はその端部上方に形
成された湿潤物質の供給口、３はケーシング１の
他端部後方に形成された排出口、４はケーシング
１の外周壁部に形成された加熱室、５及び６は加
熱室４への蒸気等の供給口及びその排出口であ
る。ケーシング１は水平面に対して１〜４度排出
口３側が低くなるよう傾斜させて配置されてい
る。ケーシング１の内部には互いに逆方向に同一
または異なる速度で回転する２本の中央の撹拌翼
付乾燥軸７，８が平行に配設されている。各撹拌
翼付乾燥軸７，８には一定間隔をおいて中空の撹
拌翼９が配設されており、各撹拌翼付乾燥軸７，
８の一端から供給された蒸気等の加熱媒体が該撹
拌翼付乾燥軸７，８及び撹拌翼９を内側から加熱
してケーシング１内の湿潤物質を乾燥させる構造
とされている。各撹拌翼９はSUS304等のステン
レス鋼から成るものであり、第３図に示されるよ
うに撹拌翼付乾燥軸７，８の回転面に対して10度
以下程度の所要の送り角度αを持つ送り翼部１０
と該送り翼部１０の後端に送り翼部１０に対して
120〜170度の相対角度βをなして形成された返し
翼部１１とからなるものである。実施例において
は各撹拌翼９は撹拌翼付乾燥軸７，８上に一定間
隔で２枚ずつ形成されているものであり、各送り
翼部１０が90〜170度、好ましくは120〜150度の
中心角γを持つに対して返し翼部１１はその10〜
20％に相当する中心角δを持たせるものとする。
これらのの中心角は湿潤物質の性状や目的とする
乾燥度に応じて上記範囲内において選択されるべ
きであり、低水分となるまで乾燥させる場合には
例えば送り翼部１０の中心角γを145度、返し翼
部１１の中心角δをその約17％に相当する25度と
し、高水分でもよいときには前者を130度、後者
をその15％に相当する20度とすればよい。各撹拌
翼９は同一の撹拌翼付乾燥軸上に90度宛位相をず
らせて形成されているが、本実施例のような２枚
羽根形に変えて３枚羽根形とした場合には60度ず
つ位相をずらせて形成することが好ましい。ま
た、各撹拌翼付乾燥軸７，８は第３図に示すよう
にそれぞれの撹拌翼９の位置を半ピツチずらせる
ことにより隣接する撹拌翼９間の軸方向の間隙Ｓ
を10mm程度持たせて互いの干渉を防止するととも
に隣接する撹拌翼９を互いに入り込ませて配置し
て湿潤物質の撹拌解砕効果を高めている。なお、
１３は各撹拌翼付乾燥軸７，８の内部へ蒸気等の
加熱媒体を供給する供給口、１４はその排出口で
ある。

このように構成されたものは、ケーシング１の
供給口２から下水汚泥のような湿潤物質を供給し
つつケーシング１の内部に平行に配設された撹拌
翼付乾燥軸７，８を0.01〜１ｍ／ｓの周速度で互
いに逆方向に回転させれば、湿潤物質は撹拌翼付
乾燥軸７，８に対して所要の送り角度を持たせて
取付けられた送り翼部１０により次第に後方へ移
送されつつ撹拌翼付乾燥軸７，８及び撹拌翼９の
内部に供給された加熱媒体により加熱乾燥される
とともに送り翼部１０の後端に送り翼部１０に対
して120〜170度の相対角度βをなし、送り翼部１
０の中心角γに対して10〜20％の中心角δをなし
て形成された返し翼部１１によつて激しく撹拌解
砕されてケーシング１内を後方へ移動し、排出口
３から排出されるものである。しかも、ケーシン
グ１はその外周壁部に形成された加熱室４に供給
される蒸気により加熱されるので湿潤物質はケー
シング１との接触面においても加熱乾燥される水
分は蒸気となつて上部の排気口１２から排出され
るものである。このように湿潤物質は互いに入り
込ませて配設された撹拌翼９の送り翼部１０によ
り移送されるとともに返し翼部１１により激しく
撹拌解砕されるため、粘着性の高い湿潤物質を処
理する場合にも撹拌翼９に固着することがなく、
湿潤物質の移動や熱伝達が妨げられることがな
い。

（発明の効果） 本発明は以上の説明からも明らかなように、粘
着性の高い湿潤物質をも撹拌翼への固着を生じさ
せることなく乾燥させることができるものであ
り、湿潤物質の移動や熱伝達が妨げられることが
ないから湿潤物質の槽内滞留時間を正確に制御す
ることができて均質な乾燥が可能となるうえに撹
拌翼の寿命低下や回転負荷の増大等の問題をなく
することができるものであり、従来の撹拌翼付燥
機の問題点を解決したものとして産業の発展に寄
与するところは極めて大である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例を示す一部切欠正面
図、第２図は同じく一部切欠側面図、第３図は同
じく一部切欠平面図である。 １：ケーシング、７，８：撹拌翼付乾燥軸、
９：撹拌翼、１０：送り翼部、１１：返し翼部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ケーシング１の内部に互いに逆方向に回転す
   る少なくとも２本の撹拌翼付乾燥軸７，８を隣接
   する撹拌翼９を互いに入り込ませて平行に配設し
   た撹拌翼付乾燥機において、各撹拌翼９の送り翼
   部１０を撹拌翼付乾燥軸７，８に対して所要の送
   り角度αを持たせて取付けるとともに送り翼部１
   ０の後端には該送り翼部１０に対して120〜170度
   の相対的角度βをなし、該送り翼部１０の中心角
   γに対して10〜20％の中心角δを有する返し翼部
   １１を設けたことを特徴とする撹拌翼付乾燥機。