JPS6332929Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は内燃機関の点火時期制御装置に係り、
特に排ガス浄化率および燃費を向上させた内燃機
関の点火時期制御装置に関する。

排ガス中のNOx濃度を低減させるためには、
点火時期を遅角して燃焼温度を低下させることが
有効である。このため従来では、遅角装置に吸気
管圧力を作用させ、吸気管圧力が略大気圧になる
まですなわち全負荷状態になるまで点火時期を遅
角させることが行なわれていた。しかし、かかる
装置では、軽負荷および高負荷域において点火時
期が遅角されるためNOx濃度を低減することが
できるが、燃費が悪化するという問題があつた。
上記問題を解決するため、部分負荷域において大
気圧が作用するようにスロツトル弁下流側にポー
トを設け、このポートに作用する負圧で点火時期
を遅角させると共に、スロツトル弁が開きポート
に大気圧が作用したとき遅角制御を解除する装置
が提案されている。しかし、かかる装置では、上
記の装置に比較して燃費が良好になるが、軽負荷
域において遅角制御が復帰するため燃費が悪化す
るという問題がある。軽負荷域の燃費を良好にす
るために、スロツトル弁全閉時に負圧が作用しか
つスロツトル弁が開いたとき大気圧が作用するよ
うに、アイドル状態のスロツトル弁の僅か下流側
にポートを設け、このポートに作用する負圧で点
火時期を遅角すると共に、ポートに大気圧が作用
したとき遅角制御を解除することが考えられる。
しかし、かかる装置では、アイドリング状態から
加速したとき急激に遅角制御が解除されて点火時
期が進角されるため、燃焼温度が上昇してNOx
が増加する、という問題が発生する。

本考案は上記問題点を解消すべく成されたもの
で、排ガス浄化率および燃費を向上させた内熱機
関の点火時期制御装置を提供することを目的とす
る。

上記目的を達成するために本考案の構成は、バ
キユーム進角装置を備えた従来の点火時期制御装
置において、機関冷却水温が所定温度以下のとき
バキユーム進角装置の遅角室へ大気を導入する大
気通路と、アイドリング時に前記遅角室へ吸気管
圧力を作用させる吸気管圧力通路と、アドバンス
ポートとバキユーム進角装置の進角室とを連通す
る連通路に設けられて制御室に大気が導入された
ときアドバンスポートに作用する負圧を前記進角
室に作用させかつ制御室に負圧が作用されたとき
前記進角室に大気を導入する負圧制御弁と、バキ
ユームポートに作用する大気を遅延させて前記制
御室に導入させる大気遅延通路と、バキユームポ
ートに作用する圧力を遅延させて前記遅角室に作
用させる遅延通路とを設けたものである。

上記本考案の構成によれば、アイドリング時に
点火時期が遅角され、加速時に点火時期の遅角制
御が徐々に解除される。また、遅角制御を徐々に
解除している途中であつても全負荷になると吸気
管圧力が略大気圧と等しくなるため直ちに遅角制
御が解除される。更に、一旦遅角制御が解除され
ると、アイドリング状態になるまで遅角制御が行
なわれない。

従つて、上記本考案の構成によれば、加速時の
NOxが低減されると共に、燃費の向上が図れる
という特有の効果が得られる。

以下図面を参照して本考案の一実施例を詳細に
説明する。

第１図に示すように、アイドリング状態のスロ
ツトル弁２の僅か上流側のスロツトルボデイにア
ドバンスポート４が穿設され、スロツトル弁２の
僅か下流側にバキユームポート６が穿設されてい
る。また、アドバンスポート４の上流側には大気
ポート８が穿設され、スロツトル弁２の下流側の
サージタンク１０には吸気管ポート１２が穿設さ
れている。従つて、アイドリング時にはアドバン
スポート４に大気圧が作用しバキユームポート６
に負圧が作用し、スロツトル弁がアイドリング状
態から開かれたときにはアドバンスポート４に負
圧が作用しバキユームポート６に大気圧が作用す
る。また、大気ポート８には常時大気圧が作用
し、吸気管ポート１２にはスロツトル弁全開時に
大気圧が作用する。

バキユーム進角装置１４は、メインダイヤフラ
ム１６およびサブダイヤフラム２０によつて隔離
された遅角室２２および遅角室２４を備えてい
る。このメインダイヤフラム１６およびサブダイ
ヤフラム２０は、デイストリビユータ内に設けら
れかつ接点が固定されたコンタクトブレーカプレ
ート２６に連結されたロツド２８に固定されてい
る。このバキユーム進角装置１４は、遅角室２２
および遅角室２４に作用する圧力差に応じてコン
タクトブレーカプレートを所定角度回転させるこ
とにより、コンタクトブレーカプレートに設けら
れた接点を所定角度回転させて点火時期を制御す
るものである。

負圧制御弁３０は、ダイヤフラム３２および隔
離板３４により隔離された制御室３６、大気室３
８および負圧室４０を備えている。この負圧室４
０には、一端がバキユーム進角装置の進角室２４
に連通された第１の連通路４２の他端が突出さ
れ、この連通路４２の他端と隔離板３４に設けら
れた突起３４Ａとにより弁座を構成している。そ
して、この弁座に当接する弁体４４がダイヤフラ
ム３２に固定され、この弁体４４により第１の連
通路４２と大気室３８または負圧室４０とを切換
えて連通するようにされている。なお、大気室３
８にはエアクリーナ３８Ａが設けられている。

アドバンスポート４は、第２の連通路４６を介
して負圧制御弁３０の負圧室４０に連通されてい
る。バキユームポート６は、ジエツト５０を備え
た遅延通路４８を介してバキユーム進角装置の遅
角室２２に連通されると共に、オリフイス５２Ａ
およびチエツクバルブ５２Ｂにより構成された負
圧遅延弁５２を備えた大気遅延通路５４を介して
負圧制御弁の制御室３６に連通されている。ま
た、大気ポート８は、機関冷却水温が所定温（例
えば、60℃）以下で開かつ所定温を越えたとき閉
となる温度感知弁５６を備えた大気通路５８を介
してバキユーム進角装置の遅角室２２に連通され
ている。そして、吸気管ポート１２は、大気圧が
作用したときに開弁されるチエツクバルブ６０を
備えた吸気管圧力通路６２を介してバキユーム進
角装置の遅角室２２に連通されている。

なお、上記ジエツト５０として負圧遅延弁を使
用することができ、デイストリビユータには通常
のようにガバナ進角装置が設けられている。

以下第１図および第２図を参照して本実施例の
動作を説明する。

機関冷却水温が所定温度以下では温度感知弁５
６が開弁されるため、大気ポート８から大気通路
５８を介して大気が遅角室２２に導入される。温
度感知弁５６が開弁された状態でのアイドリング
時には、バキユームポート６に負圧が作用する
が、遅角室２２が大気に開放されているため点火
時期は遅角されない。このときバキユームポート
６に作用する負圧は、負圧遅延弁５２を介して制
御室３６に作用して大気室３８と第１の連通路４
２とを連通させるため、エアクリーナ３８Ａから
進角室２４に大気が導入される。従つて、点火時
期は遅進角されず初期値となる。温度感知弁５６
が開弁された状態で加速するためにスロツトル弁
を開くと、アドバンスポート４に負圧が作用し、
バキユームポート６に大気が作用する。この状態
では、バキユームポート６に作用する大気により
チエツクバルブ５２Ｂが閉じられ、オリフイス５
２Ａを介して制御室３６へ徐々に大気が導入され
ると共に、アドバンスポート４に作用する負圧が
負圧室４０に導入される。このため、弁体４４が
第１図の右方に徐々に移動され、最終的に第１図
の状態になる。従つて、進角室２４にアドバンス
ポート４の負圧が徐々に作用され、点火時期が初
期値から徐々に進角される。なお、スロツトル弁
全開状態では、チエツクバルブ６０が開弁され
る。

機関冷却水温が所定温度を越えると温度感知弁
５６が閉弁され、大気ポート８と遅角室２２とが
遮断される。この状態でのアイドリング時には、
バキユームポート６に作用する負圧がジエツト５
０を介して遅角室２２に作用すると共に、負圧遅
延弁５２を介して制御室３６に負圧が作用する。
従つて、進角室２４に大気が導入され、バキユー
ムポート６に作用する負圧に応じて点火時期が初
期値より遅角される。温度感知弁５６が閉弁され
た状態で加速するためにスロツトル弁を開くと、
バキユームポート６に作用する大気が、ジエツト
５０を介して徐々に遅角室２２に導入されると共
に、負圧遅延弁５２のオリフイス５２Ａを介して
徐々に制御室３６に導入される。従つて、進角室
２４には、アドバンスポート４に作用する負圧が
徐々に作用されることになる。上記のように、遅
角室２２に徐々に大気を導入する結果、点火時期
の遅延制御が解除されて点火時期が初期値へ徐々
に進角され、更にアドバンスポート４に作用する
負圧により点火時期が進角される。ここで、理想
的な特性を得るためには、オリフイス５２Ａの径
をジエツト５０の径より小さくして、遅角室２２
に充分大気が導入された後、アドバンスポートの
負圧を進角室２４に作用させるのが好ましい、ま
た、スロツトル弁が全開になる全負荷において
は、吸気管圧力が略大気に等しくなるため、チエ
ツクバルブ６０が開いて遅角室２２に大気が導入
され、遅角制御解除の途中であつても直ちに遅角
制御が解除される。

上記のようにして遅角制御が解除された後は、
スロツトル弁がアイドリング状態になるまでバキ
ユームポート６に負圧が作用しないため、アイド
リング状態にもどるまでに点火時期が遅角される
ことがない。そして、スロツトル弁がアイドリン
グ状態になる。ジエツト５０を介して徐々に負圧
が遅角室２２に作用されるため、点火時期は徐々
に遅角される。

上記実施例における機関回転数が一定のときの
スロツトル開度、吸気管負圧、遅角室の負圧、バ
キユーム進角、NOx濃度および燃費率の関係を
第２図に示す。実線は本実施例における特性を示
し破線は全負荷時に遅角制御を解除する従来例に
おける特性を示す。従来例と比較して本実施例で
は、図の斜線で示す部分NOxの低減が図られる
と共に燃費が向上している。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す概略図、第２
図は上記実施例と従来例との特性を比較して示す
線図である。 ４……アドバンスポート、６……バキユームポ
ート、１４……バキユーム進角装置、３０……負
圧制御弁、４０……遅延通路、５４……大気遅延
通路、５８……大気通路、６２……吸気管圧力通
路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. アイドル状態でのスロツトル弁上流側に設けら
   れたアドバンスポートと、アイドル状態でのスロ
   ツトル弁下流側に設けられたバキユームポート
   と、ダイヤフラムにより隔離された遅角室および
   進角室を備えかつ該遅角室および該進角室に作用
   する圧力の差に応じて点火時期を制御するバキユ
   ーム進角装置と、機関冷却水温が所定温度以下の
   ときに前記遅角室へ大気を導入する大気通路と、
   スロツトル弁全開時に前記遅角室へ吸気管圧力を
   作用させる吸気管圧力通路と、前記アドバンスポ
   ートと前記進角室とを連通する連通路に設けられ
   て制御室に大気が導入されたとき前記アドバンス
   ポートに作用する負圧を前記進角室に作用させか
   つ該制御室に負圧が作用されたとき前記進角室に
   大気を導入する負圧制御弁と、前記バキユームポ
   ートに作用する大気を遅延させて前記負圧制御弁
   の制御室に導入させる大気遅延通路と、前記バキ
   ユームポートに作用する圧力を遅延させて前記遅
   角室に作用させる遅延通路と、を含む内燃機関の
   点火時期制御装置。