JPS6332370Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は空気循環式クロスフロー水車に関し、
汚水や薬品が混入した水を使用した場合に臭気や
薬品が空気と一緒に放出されないように改良した
ものである。

第１図に従来のクロスフロー水車の構造を示
す。第１図において、１はクロスフロー水車のケ
ーシングであり、このケーシング１内に水流に交
叉してランナ２が設置されており、吸水管３より
流入した水はガイドベーン４を通過したのち一旦
ランナ２内に入つてから再びランナ２を抜けるこ
とによつてランナ２を回転駆動し、その後ドラフ
ト管（吸出管）５を経て放水路６より放水され
る。７はケーシング１に設けた空気導入弁であ
り、ケーシング１内を負圧にしてドラフト負圧を
発生させることにより排水落差を有効に活用して
いる。つまり、クロスフロー水車の運転時にはガ
イドベーン４を通過した水はケーシング１内で開
放され、ここで空気と混合してから排水されるた
め、ドラフト管５の下端が放水面に没するように
しておくことにより、ケーシング１内が負圧とな
つてドラフト管５内の水位が上昇し、これにより
排水落差が利用されることになるが、負圧になり
過ぎてランナ２が水没するまで水位が異常に上昇
すると回転の抵抗となつて返つて効率が下るの
で、空気導入弁７外部から空気をケーシング１内
に吸入し、ケーシング１内の負圧を調整し、水位
がランナ２の下端すれすれまで上昇するようにし
ている。空気導入弁７において、７ａは弁体、７
ｂは負圧が適正値内の場合は負圧に抗して弁体７
ａをケーシング１の弁座に押し付けるスプリング
である。なお、８は建屋及びスラブであり、また
白抜きの矢印は水の流れを示し、黒矢印は空気の
流れを示す。

ところが、上述の如くクロスフロー水車では、
吸水管３より流入した水はガイドベーン４を通つ
てランナ２に入ると、ケーシング１内で、開放さ
れてここでケーシング１内の空気と必然的に混合
してから排出されることになるから、使用水が汚
水や薬品の混入した水である場合は放水路６の排
水から空気と一緒に臭気や薬剤が放散されること
がある。なお、クロスフロー水車は小水力水車と
して種々の流水を利用して運転されるため、使用
水が汚水であつたり、あるいは薬品が混入した水
であつたりすることは十分考えられる。

本考案は上記従来技術に鑑み、排水から臭気や
薬剤を放散させることがないクロスフロー水車を
提供することを目的とする。この目的は、ケーシ
ング内には空気導入弁により空気を補給する必要
があることから、ケーシング内で水に混合した空
気を排水から外部へ漏らすことなく回収し、回収
した空気を空気導入弁を介して再びケーシング内
に戻す空気循環式の構成とすることにより達成で
きる。但し、排水中の空気は完全には回収できな
いので、ケーシング内の空気が次第に不足し、ド
ラフト水位が異常上昇する恐れがあるため、空気
補足装置を備える必要がある。

上述の観点から本考案の空気循環式クロスフロ
ー水車の構成は、ランナのケーシングに空気導入
弁を有するクロスフロー水車において、前記空気
導入弁として弁体がスプリングにより空気出口側
から弁座に押し付けられ、空気出口側が空気入口
側よりも負圧の場合に開く弁を備えると共に、放
水路の上部空間を蓋で閉じてなる排気だめ室と、
この排気だめ室の空気を前記空気導入弁の空気入
口に導入する空気管と、排気だめ室に該排気だめ
室が外気よりも負圧の場合に排気だめ室を外気に
連通させ、外気から排気だめ室に不足空気を補給
する空気補足装置とを備えたことを特徴とする。

第２図は本考案の一実施例を示す。なお、第１
図の従来構造と同一部分には同一符号を付して説
明の重複を省く。第２図において、９は排気だめ
室であり、放水路６の出口付近を必要な長さまで
蓋で覆つて放水路６の上部（開口部）を閉塞した
ものである。この実施例では建屋８の床８ａを放
水路６の出口側へ延ばし且つその先端に放水面下
まで下がる側壁８ｂを設けることにより蓋を構成
している。排気だめ室９は排水量が減少しても大
気に開放されることがないよう、側壁８ｂを上下
にスライドできる構造としたり、あるいは排気だ
め室９の下流側に堰１０を設けておくと都合が良
い。

このように構成した排気だめ室９を空気管１１
で空気導入弁７に連通している。したがつて、排
水中に混合した空気が排気だめ室９で浮上し、こ
こに集まつてから空気管１１及び空気導入弁７を
通つて再びケーシング１内に戻るので、排水中の
臭気や薬剤の気化分は外部へ漏れ出ることはな
く、水との接触に際して再び水に混入したものだ
けが流出するにすぎない。

１２は空気補足装置の一例であり、排気だめ室
９に空気導入弁７と同じものを連通してある。１
３は空気管である。わずかではあるが排水に混入
した空気が排気だめ室９の側壁８ｂを通過して外
部へ流出しこれにより排気だめ室９の空気が減つ
て負圧になつてくると、空気補足装置１２から新
しい空気が吸引されることになり、ドラフト水位
が所定の水位に保たれる。なお、空気補足装置１
２は建屋８の内外いずれに設置してもかまわな
い、 第３図ａ，ｂに空気補足装置の他の例を示す。
この例の空気補足装置１４は、排気だめ室９の出
口側に布やビニールシート等の気密性を有する軟
質覆い１５を垂らし、この軟質覆い１５の下端に
沿つて棒状の重錘１６を設けたものであり、排気
だめ室９の側壁８ｂは放水面に没してはいない、
１７は気密と固定のための押え板である。この空
気補足装置１４は排気だめ室９の蓋の一部でもあ
り、排気だめ室９の空気が十分な場合は第３図ａ
に示すように、軟質覆い１５に当る水流によつて
重錘１６が下流に流されながら必要以上の空気が
出入りしないように排気だめ室９を気密に保つ。
排気だめ室９の空気が不足して負圧になつてくる
と第３図ｂに示すように、軟質覆い１５が排気だ
め室９側へ引つ張られて下端が放水面とすれすれ
になり、ここから空気が吸入される。この場合、
水量の増減に対しては覆い１５が軟質であるから
水位に十分対応でき、また重錘１６の重量を加減
することによつて円滑な運転ができる。なお、軟
質覆い１５は側壁８ｂをなくして建屋８の床８ａ
から直接垂下させても良い。一般に放水路６に堰
１が設けられるが、重錘１６を垂した軟質覆い１
５を用いることにより、この堰１０を低くする
か、全くなくすことができる。その理由は、放水
水位が低くても軟質覆い１５の下端が水面に接す
るので、排気だめ室９の空気が外部に放散しない
からである。堰１０が低いか、全くない場合は放
水水位が高くならないから、その分水車出力が減
ることがないので経済的であり、効率が良い。

以上説明したように、本考案によれば臭気や薬
剤を外部へ放散することがないクロスフロー水車
を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のクロスフロー水車を示す断面
図、第２図は本考案の一実施例を示す断面図、第
３図ａ，ｂは空気補足装置の例を動作態様に分け
て示す断面図である。 図面中、１はケーシング、２はランナ、３は吸
水管、４はガイドベーン、５はドラフト管、６は
放水路、７は空気導入弁、８は建屋及びスラブ、
８ａと８ｂは排気だめ室の蓋を構成する建屋の床
と側壁、９は排気だめ室、１０は堰、１１と１３
は空気管、１２は空気導入弁による空気補足装
置、１４は軟質覆いによる空気補足装置、１５は
軟質覆い、１６重錘、１７は押え板である。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) ランナーのケーシングに空気導入弁を有する
   クロスフロー水車において、前記空気導入弁と
   して弁体がスプリングにより空気出口側から弁
   座に押し付けられ、空気出口側が空気入口側よ
   りも負圧の場合に開く弁を備えると共に、放水
   路の上部空間を蓋で閉じてなる排気だめ室と、
   この排気だめ室の空気を前記空気導入弁の空気
   入口に導入する空気管と、排気だめ室に該排気
   だめ室が外気よりも負圧の場合に排気だめ室を
   外気に連通させ、外気から排気だめ室に不足空
   気を補給する空気補足装置とを備えたことを特
   徴とする空気循環式クロスフロー水車。 (2) 上記排気だめ室の排水出口側の蓋の少なくと
   も下部を放水面に垂下する軟質覆いと、この軟
   質覆いの下端に設けた重錘とで形成し、この軟
   質覆いと重錘が上記空気補足装置を構成したこ
   とを特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項
   記載の空気循環式クロスフロー水車。 (3) 前記空気補足装置として、弁体がスプリング
   により空気出口側から弁座に押し付けられ、空
   気出口側が空気入口側よりも負圧の場合に開く
   弁を排気だめ室に接続したことを特徴とする実
   用新案登録請求の範囲第１項記載の空気循環式
   クロスフロー水車。