JPS6332122B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は内径測定機に係り、特に２つの測定子
間の間隔を変位検出装置により検出して被測定物
の内径を測定する内径測定機に関する。

従来の内径測定機、例えば特願昭54―54421号
に記載されている内径測定機は、一対の接触子を
有する検出ヘツドを備え、これらの接触子は、測
定テーブル上に載置固定された所定寸法の基準リ
ングゲージ及び被測定物の一側の内壁に同時に当
接され、次に測定テーブルが移動されて両接触子
がリングゲージ及び被測定物の他側の内壁に当接
され、この時の両接触子間の傾きの差からリング
ゲージを基準とした相対測定により被測定物の内
径寸法が求められていた。

この測定は前述のように相対的な測定、すなわ
ち、同一の測定テーブル上に載置された所定寸法
のリングゲージの内径との寸法差として被測定物
の内径を測定するものであるため、また、測定機
の構造上被測定物とリングゲージとの取付けに所
定の相関関係をもたせねばならず、取付けに非常
な手間を必要とする等、測定操作が煩雑であるた
め、長時間を要するという欠点があつた。

この様な欠点をなくすために実願昭54―146754
号の内径測定機が提案されており、これによれ
ば、被測定物の内径をリングゲージを用いること
なく絶対測定が行える方法として、検出ヘツドに
２つの接触子を設け、この接触子を保持する部材
と移送手段との間に平行ばねを介在させ、前記２
つの接触子を保持しているそれぞれの保持部材間
の変位量を検出する方法が提案されている。

しかし、このような内径測定機も、被測定物の
設置をリングゲージに対して所定の間隔で設置し
なければならない方式のものに比べれば簡易とな
つてはいるが、内径の測定時に真の直径を探す為
に接触子を前後左右に移動させつつ、しかも各点
における測定値を記憶しておき、最大値を直径と
して表示する最大値検出機能を必要とするなど、
測定操作のわずらわしさや測定機の必要付属機能
すなわちコストの点で改良が望まれていた。

本発明の目的は、被測定物の設置が容易で、真
の直径のさぐり作業を必要とせず、内径の絶対測
定が行ないうる内径測定機を提供するにある。

本発明は、被測定物を設置すべく載物台に対し
移動可能に設けられる位置決め部材の先端部をテ
ーパー形状とし、このテーパー形状の外周面の直
径方向の対応する位置に測定子の接触子が２つ突
出する構造とし、被測定物の内径面を位置決め部
材のテーパー面に当接させながら載物台上に被測
定物を設置すれば、自然と接触子は被測定物の内
径の真の直径部分に当接した状態となり、２つの
接触子間の寸法を変位検出装置により読みとるこ
とにより、被測定物の内径寸法を得れるようにし
て前記目的を達成しようとするものである。

以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明
する。

ベース１上の四隈に立設される４本の支柱２の
上端近傍に載物台３が固設されている。この載物
台３の中心部近傍には円筒状の開口部４が設けら
れており、この開口部４に対応して略円柱状の位
置決め部材５が前記開口部４内を移動可能に設け
られている。この位置決め部材５の先端部ヘツド
２７はテーパー形状を成しており、位置決め部材
５全体は前記ベース１に立設されるガイド棒６に
案内溝１１にて案内され、さらに、位置決め部材
５の下端近傍とベース１との間に介在されるばね
７に押圧され、前記載物台３の被測定物取付面１
２に対し直角方向に昇降自在に設置されている。

位置決め部材５の外周部近傍には、対向する２
つのＬ字形（かぎ形）の測定子８が、位置決め部
材５の外周の軸方向に延在して設けられた収容溝
９内に軸方向及びこれと直交する直径方向へ摺動
自在に収容されている。この測定子８の先端部に
は被測定物２６の内径に当接される接触子１０が
一体に形成されており、この接触子１０は前記位
置決め部材５の先端テーパー面近傍に配置されて
いる。２つの対向する接触子１０の先端を結ぶ線
は、前記位置決め部材５のヘツド２７のテーパー
中心軸を通る様配設されている。

前記相対向する２つの測定子８のＬ字形の水平
な辺部は、それぞれ保持部材１３上に固定されて
おり、これらの保持部材１３は基台１４に設けら
れるばね取付部材１５にそれぞれ２枚の平行ばね
１６を介して水平方向移動可能に支持されてい
る。基台１４は前記４本の支柱２に上下方向移動
可能に支承されており、基台１４の支柱２との係
合部近傍に設けられるギヤボツクス１７内のピニ
オンと支柱２に形成されるラツク（共に図示され
ていない）とにより、ギヤボツクス１７に設けら
れたハンドル１８を回転させることにより昇降可
能となつている。これにより、基台１４を昇降さ
せることによつて載物台３の取付面１２上からの
接触子１０の高さを調整することができるように
なつている。

又、基台１４上に設けられるばね取付部材１５
のうち少なくとも一方、第１図においては右方の
取付部材１５は、基台１４の上面とばね取付部材
１５の下面とに形成されるアリ溝等のガイド部１
４Ａに案内されて互いに離隔近接自在に摺動でき
るように構成されている。ばね取付部材１５の移
動は、先端部が取付部材１５の側部にねじ込まれ
るとともに、他端部近傍が基台１４に設けられた
軸受部材１９に回転自在に支持された送りねじ軸
からなる調整部材２０の回転により行われる。す
なわち、送りねじ軸からなる調整部材２０を軸受
部材１９に設けられた回転ハンドル１９Ａを回す
ことにより図示しないギヤ連動機構を介して回転
させ、調整部材２０とばね取付部材１５との螺合
位置を変更して行なわれる。

前記２つの測定子８が載置されている保持部材
１３の一方すなわち第１図中右方の下面には変位
検出装置としての差動トランス２１のコイル２２
が垂下されており、コイル２２の中に摺動可能に
設けられるコア２３は、ロツド２４を介して他方
すなわち第１図中左方の保持部材１３に固定され
ている。又、２つの保持部材１３の間には圧縮コ
イルスプリング２５が介装されており、このスプ
リング２５により測定子８は位置決め部材５の収
容溝９から突出する方向に付勢されている。この
測定子８の突出方向すなわち互いに離れる方向の
動きは、載物台３の左右両端面から垂下されたブ
ラケツト３１の下部に進退可能にねじ込まれたね
じからなる停止位置調整部材３２の先端に両保持
部材１３の外端がそれぞれ当接することにより規
制され、停止位置調整部材３２のねじ込み位置を
調整することにより、保持部材１３を介して測定
子８の突出量が調整できるようにされている。

また、前記スプリング２５と前記平行ばね１６
との働きにより測定子８は位置決め部材５の中心
部へ移動したりもとの位置へもどることができる
ようにされている。この測定子８の動きにより、
接触子１０は位置決め部材５のテーパー面に対し
突没自在の動きが可能となつている。この動き
は、載物台３上に被測定物２６を載置しようとす
る際に、被測定物２６の内径の角部が接触子１０
に当つても接触子１０がテーパー面内方に移動し
て接触子１０を保護できるようになつている。

さらに、第２図に示されるごとく位置決め部材
５の外周面には接触子１０を収納する収容溝９と
共に、この収容溝９と直交する直径方向外周面に
位置決め部材５の回転止め用と垂直上下用の案内
溝２８が設けられており、この案内溝２８に係合
するガイド部材２９が基台１４側に設けられてい
る。

次に本実施例の作用を測定手順に従つて説明す
る。

まず、被測定物２６の被測定内径に応じたテー
パー径を備えたヘツド２７なり位置決め部材５な
りを選定する。被測定物２６を載物台３上に載せ
る前は位置決め部材５の先端ヘツド２７は第１図
中２点鎖線で示されるごとく載物台３上に大きく
突出されている。

この突出しているヘツド２７のテーパー面に被
測定物２６の内径部分を当接させながら被測定物
２６をばね７に抗して降下させ、載物台３上の取
付面１２に当接させると、当然ながら位置決め部
材５の中心と被測定物２６の内径中心とが合致し
た状態にて位置出しされる。

被測定物２６をヘツド２７のテーパー面に当接
させる際に、テーパー面より突出している接触子
１０に内径部の角が当ることがあるが、この時は
スプリング２５の変形により接触子１０は収容溝
９内に逃げることができ、接触子１０を破損する
ことはない。この際、接触子１０の突出量が被測
定物２６の内径に対してあまり大きいと、接触子
１０の収容溝９への移動が円滑には行なわれない
ため、停止位置調整部材３２を移動させて被測定
物２６の内径より少し外方まで両接触子１０の外
端が突出するように調整されている。又、スプリ
ング２５は被測定物２６が正しく載物台３上に載
置されると内径面に接触子１０を一定の押圧力に
て押し付ける役目も果している。

測定子８やその保持部材１３、変位検出装置と
しての差動トランス２１等が一緒に取り付けられ
ている基台１４を支柱２をガイドとしてハンドル
１８を回転させて昇降させると、載物台３の取付
面１２に対して接触子１０を上下動させることが
でき、被測定物２６の厚みや、測定したい内径の
高さ位置調整に対応できる。

被測定物２６が載物台３上に設置され、２つの
対向する接触子１０が被測定物２６の内径に当接
した状態において、２つの接触子１０を結ぶ線上
にテーパー面の中心が合致する様に作られている
為、各接触子１０は真の内径測定点すなわち最大
内径点に最初から当接している。この時の２つの
接触子１０間の距離を測定子８、保持部材１３を
介して変位検出装置である差動トランス２１にて
読み取れば被測定物２６の内径が直読できる。変
位検出装置として本実施例に使用されている差動
トランス２１の場合、被測定物２６を載せる前
に、ばね取付部材１５を摺動させて差動トランス
２１の出力を零とする零調整をしておいた方が良
い場合もあるが、これは差動トランス２１からの
出力信号をその後の回路でどう処理するかにもよ
るので、必ずしも最初に零調整して測定結果を絶
対値で読みとらなくとも、最初の基準数値例えば
設計時の内径寸法と測定結果との相対比較により
内径を算出してもよい。

このようにして１つの被測定物２６の内径測定
が終了したら、次の被測定物２６に交換し、前述
と同様な手順で順次測定を繰り返えすこととな
る。この際、被測定物２６の内径寸法が前回の測
定時と大巾に異なるときは、回転ハンドル１９Ａ
を操作して右方のばね取付部材１５を摺動させ、
両測定子８間すなわち両接触子１０間の寸法調整
を行ない、この両接触子１０の外端間寸法が測定
しようとする被測定物２６の内径寸法より少し大
きくなるように設定し、以下、前述と同様に測定
を行なう。

なお、測定子８が載置されている保持部材１３
は平行ばね１６にて支持されているが、これは接
触子１０が互いに離隔近接する場合、変位検出装
置としての差動トランス２１のコイル２２とコア
２３とが常に平行な軸心にて摺動できるように配
慮されたものである。

本実施例によれば、テーパー形状のヘツド２７
を備えた位置決め部材５を載物台３の設置面に対
し直交して昇降自在に立設してあるので、被測定
物２６の内径をテーパー面に合わせて載物台３上
に載置するだけでよく、従来例のごとく接触子を
内径内にて移動させながら最大値を真の内径とし
て測定する直径のさぐり作業が不要となる。その
結果同一製品の繰返し測定を極めて正確迅速に行
えるという効果がある。

また、同様な理由から被測定物２６の自動供給
や自動測定が可能となる。さらに、穴の端面切欠
材や同一穴内異径物であつてもテーパー面にてガ
イドさえされれば測定が可能であり、外形が特殊
でも、穴基準方式で被測定物２６の位置決めを行
うので、格別な取付作業を要することなく短時間
で取付が行える。

なお、本実施例においては、位置決め部材５の
先端テーパー形状部のヘツド２７を一体とした図
になつているが、ヘツド２７を位置決め部材５に
対し交換自在としておくこともできる。この場
合、被測定物２６の内径の大小に対する対応が容
易で、大内径のものから小内径のものまで幅広い
範囲の内径を測定できる。

また、位置決め部材５の昇降案内ガイドとして
本実施例では中心部に丸棒を立設する構造を採用
しているが、この案内はガイド部材と位置決め部
材５との関係に限定すれば、ガイド部材を位置決
め部材５の外方に配置するいわゆるアウターケー
ジングを用いて摺動させる等の他の構造でもよ
い。

さらに、接触子１０、測定子８、変位検出装置
２１等が載せられている基台１４を昇降可能とし
ているが、これも載物台３側を昇降させる構造で
も、あるいは両方を別々に上下動できる構造で
も、相対的に接触子１０が載物台３に対し上下動
できる構造であればさしつかえない。

また、本実施例では変位検出装置として電気的
検出方式の差動トランス２１を採用しているが、
その他、磁気的方式や光学的方式の各種スケール
を用いても本実施例と同様の効果が得られる。

さらに、ばね取付部材１５は一方のみを摺動可
能にするものに限らず、両方とも摺動可能にして
もよい。この場合、両取付部材１５はそれぞれ単
独で移動できても、両者同時に１つの駆動源で移
動できてもよい。また、両取付部材１５を全く移
動できないよう、固定的に設けてもよい。

本発明は内径測定機において、前述のごとき構
成としたので、被測定物の設置や測定操作等の作
業性の向上が図れ、内径の絶対測定を行いうる内
径測定機を提供できるという優れた効果を有す
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る内径測定機の一実施例を
示す上部と下部とで断面位置を異ならした正面断
面図、第２図は第１図の―線断面図である。 ３…載物台、４…開口部、５…位置決め部材、
８…測定子、９…収容溝、１０…接触子、１２…
被測定物取付面、１４…基台、１５…ばね取付部
材、１６…平行ばね、２１…変位検出装置として
の差動トランス、２５…スプリング、２６…被測
定物、２７…テーパー形状先端部としてのヘツ
ド。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 被測定物を設置可能な載物台と、相互に離隔
   接近移動自在に配置された２つの測定子と、この
   測定子間の間隔を検知する変位検出装置とを備え
   た内径測定機において、前記載物台の被測定物取
   付面に直交する軸心を持つとともに外径が被測定
   物の被測定内径より大きくかつ先端部がテーパー
   形状に形成された位置決め部材を前記載物台の開
   口部に対し軸方向移動可能に設け、この位置決め
   部材のテーパー中心軸を含む直線上に対向配置さ
   れかつ軸線方向に延びる一対の収容溝を位置決め
   部材のテーパー形状の外周に設け、これらの収容
   溝内に前記両測定子の接触部を突没自在に収納す
   るとともに両接触部が離反する方向に両測定子を
   付勢し、前記載物台上に載置された被測定物に前
   記位置決め部材の先端のテーパー部を当接させて
   位置出しをしつつ内径測定ができるよう構成した
   ことを特徴とする内径測定機。 ２ 特許請求の範囲第１項において、先端部のテ
   ーパー形状部分が位置決め部材から脱着自在に構
   成されていることを特徴とする内径測定機。 ３ 特許請求の範囲第１項又は第２項において、
   前記変位検出装置が作動トランスを含み形成され
   たことを特徴とする内径測定機。 ４ 特許請求の範囲第１項ないし第３項のいずれ
   かにおいて、前記位置決め部材と測定子とが相対
   的に上下方向に移動可能に設けられていることを
   特徴とする内径測定機。 ５ 特許請求の範囲第１項ないし第４項のいずれ
   かにおいて、前記載物台が測定子に対し被測定物
   の内径軸心方向に昇降自在に設けられていること
   を特徴とする内径測定機。