JPS6331608Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ａ 産業上の利用分野 本考案は、コイル状の連続線条によつて形成さ
れたフアスナーエレメント（咬合素子、以下単に
エレメントという）を、テープ地の織成と同時に
テープ地の一側縁部のエレメント織込部に織込ん
だ織込みスライドフアスナーに関するものであ
る。

ｂ 従来技術 従来、この種の織込みスライドフアスナーにお
いては、織込むコイル状エレメントが経糸、緯糸
に対してはるかに太く堅い材質であつて、コイル
状に折り曲げた状態で織込まれるため、その反力
によつてフアスナーチエーンが縦方向に伸びか
つ、コイルループが傾倒する傾向があるため、単
にテープ端にエレメントを織込むだけでは、コイ
ルのピツチの安定性およびコイルループの良好な
直立状態を保持することが困難であつた。このた
めこの点に関する改良がいろいろなされており、
例えばエレメント織込部の経糸をテープ主体の経
糸よりも多く密に配列したもの（特公昭46−7018
号）があるが、このものは各コイルループの傾倒
は防止できるものの、フアスナーチエーンが縦方
向に伸縮しピツチの安定性に未だ問題があつた。
また２つのエレメントの上をまたいで走行し、つ
いでこれらのエレメント間の基本緯糸の下を通る
ように配列した固定用経糸により、エレメント間
に配した二重緯糸をループ状に形成して、エレメ
ントの上下両脚部間にパツドとして配置すること
により、エレメントのねじれに対する抵抗力を改
良してピツチの安定性を良好にしたもの（特開昭
56−60504号）があるが、このものは固定用経糸
が緯糸により束ねられるためフアスナーチエーン
が厚くなり柔軟性に欠ける点に問題があつた。

ｃ 考案の目的 本考案は、前記のような欠点を改良してフアス
ナーチエーンの柔軟性を損うことなく、コイルル
ープの良好な直立状態を保持し、かつコイルのピ
ツチの安定性を高めた織込みスライドフアスナー
を得ること、特にこれによりフアスナーチエーン
の折曲げ引張り強度及び突上げ強度を向上させた
優れた織込みスライドフアスナーを得ることを目
的とするものである。

ｄ 考案の構成 本考案の構成は、実用新案登録請求の範囲に記
載したところのものであり、特にエレメントの上
脚部ｃの上面にほぼストレートに延びる上固定経
糸２と、同じくエレメントの下脚部ｄの下面にほ
ぼストレートに延びる下固定経糸３及び固定経糸
の間にコイル締付用経糸６を配すると共に、テー
パ部からエレメント織込部に延びる緯糸４を、固
定経糸とコイル締付用経糸６とを交互に上下して
走行するように配して、コイルループの良好な直
立状態を保持すると共にコイルのピツチの安定性
を高めた点を特徴とするところのもので、本考案
を図示した実施例にしたがつてさらに具体的に説
明すると、図面は合成樹脂製モノフイラメントの
連続線条をダブルピツクに緯入れしつつコイル状
のループを描くエレメントを成形し、これをフア
スナーテープ部の織成と同時にテープの一側縁部
に織込んでなる本考案の織込みスライドフアスナ
ーの要部を示す斜視図であり、１は、一定間隔で
加圧変形された連続線条１′を加圧変形部で折曲
することにより、反転部ａ及び咬合頭部ｂを形成
しながら螺旋状に巻回してなる扁平コイルであつ
て、各単位エレメントは、その両端、すなわち両
反転部ａにおいて、それぞれ他の単位エレメント
に連接し、前記扁平コイル１は全体としてエレメ
ント列Ｂを構成する。２はエレメントの上脚部ｃ
の上面に沿つてほぼストレートに延びる上固定経
糸であつて、これら上固定経糸間にはコイル締付
用経糸６が交互に配列されている。３はエレメン
トの下脚部ｄの下面に沿つてほぼストレートに延
びる下固定経糸であつて、上固定経糸と同様に下
固定経糸間にコイル締付用経糸６が交互に配列さ
れている。４は緯糸であつて、ニードル繊維によ
りダブルピツクに緯入れされているため２本で一
つの緯を形成しており、エレメント織込部におい
てはほぼストレートに延びる上下の固定経糸によ
りエレメントの上下の脚部側近くでループを描く
ように周回して配列され、テープ部においては経
糸５と交絡してテープ地を織成するものである。
そして緯糸４は、エレメントの上脚部側を走行す
る時、上固定経糸２とコイル締付用経糸６とが平
織組織状に上下に交互に配置され、またエレメン
トの下脚部側を走行する時にも、下固定経糸３と
コイル締付用経糸６とが平織組織状に上下に交互
に配置されている。なお上下の固定経糸２，３
は、図面では真直ぐな直線状に記載されている
が、実際には緯糸４の張力のため、僅かに上下に
波打ち、全体的にみてほぼストレートに走行する
ものである。５はテープ地用の経糸であつて、緯
糸４と交絡してテープ地を織成する。６はコイル
締付用経糸であつて、上下の固定経糸の夫々の固
定経糸の間に１本おきに交互に配列されており、
緯糸４に対しては2/2、モノフイラメントの連続
線条１′に対しては1/1に織込まれ、緯糸４及び連
続線条１′と交絡して扁平コイル１を織込み織成
するものである。

なお図面に示す実施例においては、上固定経糸
２が４本、下固定経糸３が５本、コイル締付用経
糸６が６本を夫々用いた例が示されているが、
夫々の本数は、エレメントの脚部の太さや長さ、
形状等に応じて適宜増減しても差支えない。

ｅ 考案の効果 本考案は、フアスナーチエーンの縦方向にほぼ
ストレートに伸びる固定経糸を、エレメントの上
脚部の上面および下脚部の下面に夫々配している
ため、従来の固定経糸をエレメントの脚部に上下
に交絡して織込んだものよりフアスナーチエーン
の伸びが少く、したがつてコイルのピツチが非常
に安定し、また各固定経糸の間に交互にコイル締
付用経糸を配列してあるため、各コイルループを
良好な直立状態に保持することができ、しかも緯
糸が固定経糸とコイル締付用経糸に対して平織組
織状に上下に配置されているため、固定経糸のズ
レを防止できるとともにエレメントの脚部上の経
糸が重ならずに横に拡つて配列することができる
ので、広い範囲でエレメントを保持することがで
き、コイルループの良好な直立状態の保持と、コ
イルのピツチの安定性が一段と向上し、チエーン
の折り曲げ引張り強度及び突上げ強度が高くな
り、しかもフアスナーチエーン自体は薄くしなや
かであるという優れた効果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

図面は、本考案の１実施例の織込みスライドフ
アスナーの要部を示す斜視図である。 １……扁平コイル、１′……連続線条、２……
上固定経糸、３……下固定経糸、４……緯糸、５
……経糸、６……コイル締付用経糸。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. テープ主体の一側縁部にコイル状のフアスナー
   エレメント（咬合素子）を形成する連続線条をダ
   ブルピツクに緯入して、経糸及びテープ部から連
   続して延びる緯糸と一体に織成してなる織込みス
   ライドフアスナーにおいて、エレメント織込部の
   経糸に、エレメントの上脚部ｃの上面をほぼスト
   レートに走行する数本の上固定経糸２とエレメン
   トの下脚部ｄの下面をほぼストレートに走行する
   数本の下固定経糸３とを配し、かつ固定経糸の間
   にあつて、エレメントを形成する連続線条１′の
   上面および下面において、該連続線条１′とテー
   プ部からエレメント織込部に延びる緯糸４とをま
   たいで交絡するコイル締付用経糸６を配すると共
   に、前記緯糸４をエレメントの上脚部ｃ側および
   エレメントの下脚部ｄ側において、固定経糸とコ
   イル締付用経糸６とを交互に上下して走行するよ
   うに配したことを特徴とする織込みスライドフア
   スナー。