JPS6330539Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は連続地中壁の先行壁と後行壁との境界
をなす鉛直継手部を洗浄する連続地中壁の継手部
洗浄装置に関するものである。

地中に連続したコンクリート壁を構築する場
合、施工条件あるいは地盤条件等の制約からコン
クリート壁全体を一括構築することは極めて困難
なものであり、所定の長さの単位壁を順次結合し
ながら構築するのが一般的であつた。即ち、先ず
安定液を注入しながら先行壁部のトレンチを掘削
し、その中に鉄筋篭を挿入し、後行壁との境界と
なる部分に仕切鉄板、補強鉄筋等を一体化した鉛
直継手部材料を建込む。この場合、鉄筋篭、鉛直
継手部材は予め地上に於て組立てられる。次い
で、トレンチ内にコンクリートを打設し、このコ
ンクリートの硬化を持つて隣接する後行壁用のト
レンチを連続させて掘削する。以下、順次同様の
工程の繰返しで所定のコンクリート地中壁を一体
的に構築するものである。

従つて、この単位壁間の継手部分には構造的に
充分な強度が要求されるものである。しかしなが
ら、前述の鉛直継手部材の特に後行壁側の面は長
期にわたつてベントナイトの泥水等による安定液
の中にあるため、安定液中の不純物が付着した
り、トレンチ掘削時のスライム等が付着し易く、
そのままの状態でコンクリートの打設を行なつた
場合、この鉛直継手部材とコンクリートの密着が
充分ではなく、所望の強度が得られず、漏水等の
原因にもなつていた。

従来、これらの問題を解決するため、種々の継
手部洗浄装置が提案されており、それらの多くの
ものは連続地中壁の先行壁と後行壁との境界をな
す鉛直継手部に沿つて上下に移動し、その前方お
よび両側方へジエツト噴流水を射出するジエツト
パイプ、鉛直継手部の仕切鉄板、鉄筋類をこすつ
て付着している不純物類を除去するブラツシ等か
ら成る洗浄部と、前記ジエツトパイプに噴流水を
供給する水中ポンプを備えた噴流水加圧部とから
成るものである。鉛直継手部に付着した不純物、
スライム等を、下降、上昇するこの洗浄部のワイ
ヤーブラシでこすりとり、ジエツト噴流水で流し
去つて鉛直継手部材が清浄されたトレンチにコン
クリートが打設することで継手部の耐力の低下を
防ぐことができる。

しかしながら、この様な継手部洗浄装置では、
ジエツトパイプから側方へ射出されたジエツト噴
流水がトレンチ側壁面に直接ぶつかるため、安定
液によつてトレンチ側壁面に形成された泥水膜を
破壊してその壁面を削落する恐れがあり、この削
落によるスライムはコンクリートに混入して継手
部の耐力を低下させる要因ともなつて、洗浄作業
の効果を著しく減殺するものであつた。そのた
め、鉛直継手部材の後行壁に面する仕切鉄板の両
側に防膜鉄板を取り付け、ジエツトパイプよりジ
エツトパイプ噴流水が直接トレンチの側壁にぶつ
からないようにすることも考えられるが、各継手
部毎に大量の鉄板を埋殺してしまうため、大変不
経済であるばかりか施工的にも困難なものであつ
た。

本考案はこれらの点に着目してなされたもの
で、ジエツトパイプよりのジエツト噴流水が鉛直
継手部材の後行壁側の各部を清浄に洗い流すが、
トレンチ側壁面には直接ぶつからない様にして、
側壁面の削落を防止した連続地中壁の継手部洗浄
装置を提供するものであつて、掘削されたトレン
チの幅より若干狭い間隔をもつて、前記洗浄部の
両側を覆う様に配置された一対のガードプレート
を備えたことを要旨とするものである。

以下図面に示す実施例を参照しながら詳細に説
明する。

第１図は本考案に係る連続地中壁の継手部洗浄
装置の一実施例の外観を示す斜視図であり、第２
図はその正面図、第３図はそのＡ−Ａ線縦断面
図、第４図はＢ−Ｂ線横断面図、第５図はＣ−Ｃ
線横断面図である。図に於て、１は洗浄部であつ
て、ジエツトパイプ１１、ブラツシ１２等を供え
ている。ジエツトパイプ１１は洗浄部１の中央部
に横一列に３本配置されており、夫々先端部と両
側部にジエツト噴出孔１３を備えていて、この洗
浄部１の前方と両側方にジエツト噴流水を射出す
る。また、ブラツシ１２は板状の芯材１４に無数
の毛１５が植設されたものであつて、前記ジエツ
トパイプ１１の上下に対応付けられて３枚ずつ合
計６枚が配置されている。この各ブラツシ１２の
毛１５は隣接するそれらと互に接触する程度の長
さとなつている。第１図に於ては繁雑となるのを
さけるため、この毛１５は図示を省略している。
これらのジエツトパイプ１１、ブラツシ１２は仕
切板１６に夫々固定され、支持金具１７で互に連
結されて、相互の位置関係を保つている。

また、２は噴流水加圧部であつて、内部に水中
ポンプ２１を備えており、底部から吸込んだ安定
液を加圧して給水ハイプ２２を介してジエツトパ
イプ１１へ供給している。この水中ポンプ２１は
外箱２３の底部に架設された梁２４上に据えられ
ており、２５はこの水中ポンプ２１のキヤプタイ
ヤーである。外箱２３には吊金具２６が固着され
ており、ここにワイヤーロープ２７を掛けてこの
連続地中壁の継手部洗浄装置をトレンチ内の鉛直
継手部材４の近傍にクレーン等で吊り下げる。

３は前記洗浄部１の両側部を全面的に覆うよう
に対向配置されたガードプレートであつて、例え
ば、前記外箱２３の側板と一体に形成されてい
る。このガイドプレート３の配置間隔は掘削した
トレンチの幅Ｄより若干狭く設定されていて、そ
の上下の端縁が若干内側へ折曲げられている。

次に、この様な構造の連続地中壁の継手部洗浄
装置による鉛直継手部材４の後行壁側の洗浄作業
を説明する。

先ず、吊金具２６にワイヤーロープ２７を掛け
て、クレーン等によつてこの継手部洗浄装置を吊
り上げ、後行壁トレンチの鉛直継手部材４の近傍
に降ろす。この時、ガードプレート３の前面先端
部が鉛直手部材４の仕切鉄板４１に接するように
配慮する。次に、この継手部洗浄装置を除々に下
降させながら、水中ポンプ２１を作動させてジエ
ツトパイプ１１よりジエツト噴流水を射出する。
継手部洗浄装置の降下に伴なつて、ブラシ１２の
毛１５が鉛直継手部材４の仕切鉄板４１、水平継
手鉄筋４２、せん断補強鉄筋４３等をこすり、こ
こに付着している不純物、スライム等をこすりと
り、ジエツトパイプ１１よりのジエツト噴流水
で、洗い流す。この作業を継手部洗浄装置をクレ
ーンによつて上下させてトレンチの地表部から底
部まで行なえば鉛直継手部材４からは不純物、ス
ライム等が完全に取除かれる。

この時、ジエツトパイプ１１から両側方向に射
出されたジエツト噴流水はガードプレート３にぶ
つかつて直接トレンチの側壁面にまで達しないた
め、側壁面に形成された泥水膜を乱すことはな
く、また側壁面の削落を完全に防止することがで
きる。

ここで、前方に射出されるジエツト噴流水によ
る水圧の反動によつて、この継手部洗浄装置全体
が振子運動を起すと鉛直継手部材の完全な洗浄は
望めなくなる。この様な場合には適当量のカウン
ターウエートを取付けることによつて前記振子運
動を防止すれば、完全な洗浄作業が可能となる。

以上詳細に説明した如く、本考案に係る連続地
中壁の継手部洗浄装置によれば、洗浄部の両側面
がガードプレートで覆われているため、鉛直継手
部材の仕切鉄板に保護用の鉄板等を取付けなくと
も、ジエツト噴流水が直接トレンチの側壁面にぶ
つかることなく、経済的な負担を増すことなく、
簡単にトレンチ側壁面の泥水膜を保護し、側壁面
の削落を防止することができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る連続地中壁の継手部洗浄装
置の一実施例を示すものであつて、第１図は斜視
図、第２図は正面図、第３図はＡ−Ａ線断面図、
第４図はＢ−Ｂ線横断面図、第５図はＣ−Ｃ線横
断面図である。 １……洗浄部、１１……ジエツトパイプ、１２
……ブラシ、１３……ジエツト噴流孔、１４……
芯材、１５……毛、１６……仕切板、１７……支
持金具、２……噴流水加圧部、２１……水中ポン
プ、２２……給水パイプ、２３……外筐、２４…
…梁、２５……キヤプタイヤー、２６……吊金
具、２７……ワイヤーロープ、３……ガードプレ
ート、４……鉛直継手部材、４１……仕切鉄板、
４２……水平継手鉄筋、４３……せん断補強鉄
筋。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 連続地中壁の先行壁と後行壁との境界をなす鉛
   直継手部に沿つて上下に移動し、その前方および
   両側方へジエツト噴流水を射出するジエツトパイ
   プ、鉛直継手部の仕切鉄板、鉄筋類をこすつて付
   着している不純物類を除去するブラツシ等から成
   る洗浄部と、前記ジエツトパイプに噴流水を供給
   する水中ポンプを備えた噴流水加圧部とから成
   り、後行壁のコンクリート打設時に鉛直継手部の
   洗浄を行なう連続地中壁の継手部洗浄装置に於
   て、掘削されたトレンチの幅より若干狭い間隔を
   もつて、前記洗浄部の両側を覆う様に配置された
   一対のガードプレートを備えて成る連続地中壁の
   継手部洗浄装置。