JPS6329703Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は手足を動かせない寝たきり病人に簡
単に着せることのできる寝巻に関し、特に従来の
ものに比べて衿を改良したものである。

〔従来の技術〕

病人用の寝巻として、袖を展開できる構造にし
て、寝たままの状態で着脱できるようにしたもの
が従来より様々考えられている。ところが、従来
のものはいずれも衿の構造に不都合があり、使用
しにくいものであつた。

例えば、実開昭50年第66811号に記載のものは
衿が上下に分断されているため衿に安定性がな
く、実開昭48年第20612号のものは、衿が上半分
しかないので窮屈であり、実開昭48年第57207号
のものは衿は長くとつてあるものの、これは前身
頃の上半部を長くして前身頃の上半部の下端が腰
の近辺に達するように作つているのでこれに伴つ
て衿が長くなつたのであつて、この構成では、前
身頃の上半部と下半部の留め位置と腰ひもの締め
位置が近接しているために、腰ひもをしめた時前
身頃の上半分と下半分を留める留め具どうしの間
が波を打つてだぶつき隙間ができて具合良くな
い。

〔考案が解決しようとする問題点〕

この考案は前記従来の技術における問題点を解
決して、前身頃の上半分（前ヨーク）を短く構成
した状態で長い衿を分断せずに用いることができ
る病人用寝巻を提供しようとするものである。

〔問題点を解決するための手段〕

この考案は、衿をその先端部が前ヨークの外端
縁から外方に向けて延長するようにして前ヨーク
に取付け、衿の先端部を前ヨークと前身頃の留め
位置より下方の位置において前身頃に留めるよう
にしたものである。

〔作用〕

この考案の前記解決手段によれば、長い衿を分
断せずに使用でき、かつ前ヨークも短いままです
み、使用しやすい病人用寝巻を実現することがで
きる。

〔実施例〕

以下、この考案を添付図面の実施例を参照して
詳しく説明する。以下の実施例においては上下別
（上身頃と下身頃）にした場合について示してい
る。

第１図，はそれぞれ上身頃、下身頃の型紙
（実線は裁断線、破線は折曲線、一点鎖線は折曲
線で折曲げた状態、斜線は不要な部分）である。

イは後身頃、ロは後身頃イに続く前ヨーク、ハ
は前身頃、ニは内袖、ホは外袖、ヘは衿、トは腰
布、チは腰ひも、ルは内袖と外袖との間のマチと
なる部分である。

大巾物布巾を二枚折にし、上記の型紙をのせて
裁断する。裁断した布は第２図のように組合せ
て、前ヨークロおよび後身頃イに対して外袖ホお
よび内袖ニを縫付ける。また、後身頃イに前身頃
ハを縫付ける。

第３図は第２図のものを広げて衿ヘを縫付け
たものである。衿ヘはその各先端部ワが前ヨーク
ロの外端縁オから外方に向けて延長するようにし
て前ヨークロに縫い付ける。このようにしてでき
あがつたものを更に第３図に示すように、前ヨ
ークロおよび内袖ニを後身頃イおよび外袖ホにそ
れぞれに折り重ね、かつ前身頃ハを後身頃イに折
り重ねて、前ヨークロの外周縁と前身頃ハの外周
縁とをマジツクテープ、ボタン、スナツプ等の留
め具ヌで留め、外袖ホの外周縁と内袖ニの外周縁
とを留め具リで留める。また、マチルを内袖ニ側
に折り返して、マチルの外周縁と内袖ニの外周縁
とを留め具リで留める。これにより、衿ヘは前ヨ
ークロのほかに前身頃ハとも一体となり、普通の
寝巻のように衿ヘははずめから前身頃ハに縫い付
けられている場合と同様に機能することができ
る。

こうして完成したものを第４図に示す。第４
図は下身頃の腰布の完成図である。

病人に着せるときは上身頃、下身頃を広げた状
態にして病人をその上に乗せる。このとき腕を外
袖ニに伸ばしておく。そして上身頃については前
身頃ハ、前ヨークロ、内袖ニを病人にかぶせて、
前ヨークロを前身頃ハに留め具ヌで留め、外袖ホ
に内袖ニを留め具リで留めるようにする。また、
マチルを内袖ニに留め具リで留め、衿ヘの各先端
部ワを前身頃ハに留め具ヌで留めるようにする。
下身頃については腰布トを病人の腰に巻付けて腰
ひもチでしばるようにする。このようにして簡単
に着せることができる。脱がすときもこれと逆の
手順で簡単にできる。

尚、上記実施例では上下別にしたが、一体にし
てもよい。

〔考案の効果〕

以上説明したようにこの考案によれば、衿をそ
の各先端部が前ヨークの外端縁から外方に向けて
延長するようにした前ヨークに取付け、前ヨーク
を折返したとき衿の各先端部を前ヨークと前身頃
の留め位置より下方の位置において前身頃に留め
るようにしたので、衿は前ヨークと前身頃の２つ
の部分に分断されることなく通常の着物と同じよ
うな形状を保つことができる。したがつて、衿は
通常の着物と同じように長くゆとりがあり、かつ
衿の形状は安定して着くずれすることがないうえ
に、衿をはだけて体温計を差し込む等の処置も留
め具をはずさずにでき、しかもデザインも普通の
着物と変らないので、見た目にもいい。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の寝巻を作るために用いる型
紙の一例を示す図で、は上身頃用、は下身頃
用である。第２図は第１図の型紙を用いて裁断し
た布を組合せた図で、片方の身頃を重ね、もう一
方の身頃を広げて示した図、第３図は第２図の
ものを広げ衿を付けた状態を示す図、第３図は
留め具の取付け位置を示す図、第４図は上身頃
の完成図、第４図は下身頃の完成図である。 イ…後身頃、ロ…前ヨーク、ハ…前身頃、ニ…
外袖、ホ…内袖、ヘ…衿、ト…腰布、チ…腰ひ
も、リ，ヌ…止め具。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 後身頃イの上部に前ヨークロを形成し、後身頃
   イおよび前ヨークロの側部に外袖ホおよび内袖ニ
   をそれぞれ形成し、衿ヘをその各先端部ワが前ヨ
   ークロの外端縁オから外方に向けて延長するよう
   にして前ヨークロに取付け、かつ後身頃イの側部
   に前身頃を形成し、前ヨークロを後身頃イに折重
   ねたとき内袖ニが外袖ホに折重なるようにし、内
   袖の外周縁と外袖ホの外周縁を着脱可能に留め、
   前身頃ハを後身頃イに折重ねて、前ヨークロと前
   身頃ハとを胸部において着脱可能に留めさらに衿
   ルの各先端部ワを前ヨークロと前身頃ハの留め位
   置より下方の位置において前身頃ハに留めるよう
   にしてなる病人用寝巻。