JPS6329535Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、筒部外周面にヒレ状突周条を一体に
附形した弾性ある合成樹脂により成形される合成
樹脂製品の射出成形金型装置に関するもので、充
分な突出高さのヒレを成形できると共に割金型を
も組合せることができるように構成することを目
的としたものである。

嵌合筒部の外周面にシール条としてのヒレを附
形した中栓または注出栓を成形するのに際し、充
分なシール効果および強固な組付きを得るべく前
記ヒレの突出高さは充分に大きいことが望まし
い。

この充分に大きい高さをもつヒレを成形するの
には、このヒレを成形する部分の金型を割金型と
すれば良いのであるが、このような割型を使用す
ると、シールを達成すべき筒体部分にパーテイン
グラインが成形されてしまい、外観が悪くなるば
かりかシール効果が劣化してしまうという不都合
がある。

この不都合を解消すべく、ヒレ成形金型をドー
ナツ状板体により構成し、成形品の離型時に各ド
ーナツ状板体間に間隙を形成して、ヒレがこの間
隙内で弾性変形して円滑に離型できるよう構成し
たものが特公昭41−20356号公報に示されている。

この特公昭41−20356号公報に示された金型装
置は、確かに良好に高さの大きいヒレを有する成
形品を成形でき、かつ離型させることができるの
であるが、複数の板体から成るヒレ成形用の中間
金型が、この中間金型が収納されているキヤビテ
イホルダーに形成された孔部内に型締め時に侵入
位置するキヤビテイの突出端により型締めされる
構成となつているので、ヒレを附形した筒壁部以
外の部分を割金型で成形するという構成を採用す
ることができなかつた。

すなわち、特公昭41−20356号公報に示された
成形装置は割金型を使用できない構成となつてい
るために、成形できる成形品の形状が大幅に制限
されることになつていたのである。

本考案は、上記した従来例における欠点を解消
すべく考案されたもので、ヒレを成形するヒレ金
型の一部を型締め力を直接受けるキヤビテイプレ
ートに取付け、このキヤビテイプレートの型締め
によりヒレ金型自体も型締めされ、前記キヤビテ
イプレートに割金型を摺動可能に組付け、さらに
型開き時にキヤビテイプレートを相対的に変位さ
せる固定プレートに前記ヒレ金型の他部を摺動変
位可能に組付けて構成したものである。

以下、本考案の一実施例を図面に従つて説明す
る。

本考案による金型装置は、離型の都合上、割金
型を使用しなければならない成形品Ｓの嵌合筒部
外周面にヒレを附形すべく構成されたもので、割
金型８，８を上面に摺動可能に組付けたキヤビテ
イプレート１１に複数のヒレ成形型体９−１，９
−２……を組合せて構成された金型９の一部を固
定し、このキヤビテイプレート１１に対して相対
的に、成形品Ｓの離型方向に変位できるよう組付
けられた固定プレート１５に前記ヒレ金型９の一
部を変位可能に組付けて構成されたものである。

ヒレ金型９は、図示実施例の場合、３つのヒレ
成形型体９−１，９−２，９−３を組合せて構成
されており、各ヒレ成形型体９−１，９−２，９
−３は、中央に開孔した孔縁部を成形型面とした
型板部９ａの下面周端部から組付き筒部９ｂを垂
下設した構造となつている。

すなわち、各ヒレ成形型体９−１，９−２，９
−３は有頂筒形状体の頂板中央に孔を開孔した形
状をしており、各ヒレ成形型体９−１，９−２，
９−３はその型板部９ａを積重させた状態で各組
き筒部９ｂで順に嵌装組付けされる寸法関係に設
定されている。

この複数のヒレ成形型体９−１，９−２……か
ら組立てられるヒレ金型９は、その最上位でかつ
最も外側に位置するヒレ成形型体９−１をキヤビ
テイプレート１１に固定することにより、キヤビ
テイプレート１１にその一部を組付け、このキヤ
ビテイプレート１１の直下に位置する固定プレー
ト１５に他のヒレ成形型体９−２，９−３を昇降
変位可能に組付けている。

また、キヤビテイプレート１１に固定されたヒ
レ成形型体９−１は、このキヤビテイプレート１
１上での割金型８，８の摺動に支障を与えないよ
うに、このキヤビテイプレート１１上面に凹部を
形成しない状態で組付けられている。

ヒレ成形型体９−２，９−３の固定プレート１
５への組付けは、固定プレート１５に開孔された
組付け孔１６内に各ヒレ成形型体９−２，９−３
の組付き筒部９ｂの外周面下端に附形された鍔片
９ｃにより、固定プレート１５に対する変位量を
規制されるようになつている。

また、この固定プレート１５の組付け孔１６内
にはスペーサブロツク１８が固定されていて、各
ヒレ成形型体９−２，９−３別にその移動量を設
定している。

このヒレ金型９を組付けたキヤビテイプレート
１１と固定プレート１５との間には、固定プレー
ト１５に対するキヤビテイプレート１１の変位量
を規制するストツプピン１９が設けられていると
共に、固定プレート１５に対してキヤビテイプレ
ート１１を常に上昇変位させるべく弾力を作用さ
せるスプリング２０が設けられている。

それゆえ、キヤビテイプレート１１は、金型装
置が型開きすると、スプリング２０の弾力の作用
により固定プレート１５に対してストツプピン１
９により設定される位置まで自動的に上昇変位す
ることになる。

なお、図中１はコアーで、このコアー１はコア
プレート２に固定されており、上方のアダプター
プレート７に固定されたコアピン６と組合さつて
成形品Ｓの内周面の成形型面を形成している。

コアプレート２上に配置されたエジエクタープ
レート５には、その挿入孔４にコア１を摺動自在
に挿入位置させ、上端面を成形品Ｓの下端面成形
型面としたエジエクターピン３が取付けられてい
る。

前記固定プレート１５の下面にはキヤビテイホ
ルダー１３が配置されていて、このキヤビテイホ
ルダー１３にはヒレを附形した成形品Ｓの筒部の
下部を成形するための成形型面を提供するキヤビ
テイブツシユ１０が最下位のヒレ成形型体９−３
内に位置した状態で組付け固定されている。

前記エジエクタープレート５には固定プレート
１５に対するキヤビテイプレート１１の移動変位
をガイドするガイドピン２１がキヤビテイプレー
ト１１および固定プレート１５を突き抜けて固定
されているが、このガイドピン２１が挿入位置す
べくキヤビテイホルダー１３に開孔された通孔１
４には、ガイドピン２１に嵌装された状態で、下
端をエジエクタープレート５に弾接させ、上端を
固定プレート１５に形成された装着孔１７に弾接
させた離型スプリング２２が組付けられている。

本考案は上記の如き構成となつているので、第
１図に図示した型締め状態から、例えばコアピン
６内に形成されたスプルーを通して、コア１、コ
アピン６、割金型８，８、ヒレ金型９、キヤビテ
イブツシユ１０そしてエジエクターピン３により
形成される成形空間内に溶融樹脂材料を射出して
成形品Ｓを成形する。

成形品Ｓの成形が完了したならば、第２図に示
すごとく、コアピン６およびアダプターブツシユ
１２を上昇変位させ、次いで両割金型８，８を左
右に移動させて型開きする。

この型開きにより、キヤビテイプレート１１に
作用していた型締め力が無くなるので、まずスプ
リング２０の弾力によりキヤビテイプレート１１
はストツプピン１９により規制された量だけ固定
プレート１５に対して上昇変位する。

このキヤビテイプレート１１の上昇変位によ
り、ヒレ金型９を構成するヒレ成形型体９−１，
９−２……のうちキヤビテイプレート１１に固定
されたヒレ成形型体９−１だけはキヤビテイプレ
ート１１と一体に上昇変位するが、他のヒレ成形
型体９−２，９−３はキヤビテイプレート１１と
一体となつて変位することはなく、固定プレート
１５およびスペーサブロツク１８との関係により
設定された量だけ変位して、各ヒレ成形型体９−
１，９−２，９−３の型板部９ａおよびキヤビテ
イブツシユ１０間に間隙を形成し、成形品Ｓに附
形成形されたヒレＳ１が弾性変形できる空間を形
成する。

なお、この型開き状態時において、成形品Ｓは
キヤビテイプレート１１の固定プレート１５に対
する変位分だけコア１から離型することになる。

この型開きが完了して各ヒレ成形型体９−１，
９−２，９−３の型板部９ａ間に成形品Ｓに成形
されたヒレＳ１が自由に弾性変位できる空隙が形
成されると、装置全体の型開き動作に伴つてエジ
エクタープレート５が離型スプリング２２の弾力
に逆つてキヤビテイホルダー１３に接近変位して
エジエクターピン３を前進（第３図において上昇
変位）させて成形品Ｓを離型させる。

このエジエクターピン３の前進に伴う成形品Ｓ
の離型に際して、成形品ＳのヒレＳ１は、各型板
部９ａ間に形成された空隙内で弾性変形して、上
位にある型板部９ａの成形型面である開孔縁部を
乗り越えて離型されることになる。

このように、本考案による金型装置は、ヒレ金
型９をキヤビテイプレート１１に固定し、型締め
力がヒレ金型９に直接作用するのではなく、キヤ
ビテイプレート１１に作用するようにし、かつキ
ヤビテイプレート１１に固定されたヒレ金型９
は、このキヤビテイプレート１１上面に凹部を形
成しないようにしたので、このキヤビテイプレー
ト１１上面に割金型８，８を摺動自在に組付ける
ことができ、よつてヒレ金型９と割金型８，８と
を支障なく組付けた金型装置を得ることができ
る。

また、各ヒレ成形型体９−１，９−２，９−３
の型板部９ａ間に間隙を形成するのは、型開き力
によるものではなく、型締め力の解除により発揮
されるスプリング２０の弾力によるものであるの
で、この型板部９ａ間に間隙を形成するための面
倒な押圧ピン等の構造を必要とせず、かつ型開き
動作と同時に必然的に間隙を形成することができ
ることになる。

以上の説明から明らかな如く、本考案の金型装
置は、ヒレ金型９と割金型８，８とを支障なく組
付けることができるので、ヒレＳ１を有する成形
品Ｓの形状を自由に成形することができ、また各
ヒレ成形型体９−１，９−２，９−３の型板部９
ａは、型開き動作と同時に型締め力の解除に従つ
て相互間に間隙を形成するので、この間隙形成動
作が確実に達成され、これがため成形品Ｓのヒレ
Ｓ１が切断されるような不都合の発生する恐れが
ない等優れた効果を発揮するものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示す縦断面図で、第
１図は型締め状態を、第２図は型開き状態を、第
３図は離型操作状態を、そして第４図はヒレ金型
の拡大図である。 符号の説明、１……コア、２……コアプレー
ト、３……エジエクターピン、５……エジエクタ
ープレート、６……コアピン、７……アダプター
プレート、８……割金型、９……ヒレ金型、９−
１，９−２，９−３……ヒレ成形型体、９ａ……
型板部、９ｂ……組付き筒部、１０……キヤビテ
イブツシユ、１１……キヤビテイプレート、１３
……キヤビテイホルダー、１５……固定プレー
ト、１６……組付け孔、１８……サーブロツク、
１９……ストツプピン、２０……スプリング、Ｓ
……成形品、Ｓ１……ヒレ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 孔縁部を成形品の筒部外周面に設けられたヒレ
   成形型面としたドーナツ板状の型板部から組付き
   筒部を垂下設した構造の複数のヒレ成形型体を前
   記型板部が重合できる状態で前記組付き筒部で摺
   動可能に嵌装組付けして構成されたヒレ金型の最
   上位の前記ヒレ成形型体を、上面に割金型を摺動
   可能に組付けたキヤビテイプレートに組付けると
   共に、他のヒレ成形凝体を、前記キヤビテイプレ
   ートの直下に位置する固定プレートに上下に変位
   可能に組付け、前記キヤビテイプレートを前記固
   定プレートに対し、型開き時に上昇変位すべく組
   付けて成る合成樹脂製品の射出成形金型装置。