JPS632859Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は冷暖房機、特に燃焼ガスによる冷媒を
加熱して暖房を行なう冷媒加熱式冷暖房機に関す
るもので、冷房時の圧縮機の起動性を改善せんと
するものである。

従来の冷媒回路図を第１図に示す。第１図にお
いて、１は圧縮機、２は四方弁であり、冷房時と
暖房時で冷媒の流れを逆転させる働きをする。３
は室外側熱交換器であり、冷房時凝縮器として働
く。４は冷媒加熱器であり、暖房時、灯油等を燃
焼させ、その燃焼ガスにより冷媒を加熱し、蒸発
させるものである。５は室内側熱交換器で、冷房
時には蒸発器として働き、暖房時には凝縮器とし
て働く。６は冷房用毛細管であり、冷房時、室外
側熱交換器３により凝縮し、高温、高圧の液とな
つた冷媒を絞り作用により低温低圧の液ガス混合
状態に変化させるものである。７，８は逆止弁で
あり、冷房時には冷媒加熱器４へ冷媒が流入しな
いよう、また暖房時には室外側熱交換器３に冷媒
が流用しないように設けられている。９は逆止弁
であり、暖房時に冷房用毛細管６をバイパスする
ように設けられている。

次に動作を説明すると、まず暖房時は冷媒加熱
器４で加熱され、蒸発して高温高圧のガスとなつ
て冷媒は、四方弁２を通り、圧縮機１へ吸入され
吐出側から吐出され、四方弁２を通つて室内側熱
交換器５へ圧送され、室内側熱交換器５で空気と
熱交換され、凝縮して液となり、逆止弁９，７を
通つて再び冷媒加熱器４で加熱されるというサイ
クルを繰り返す。

暖房時には冷媒を蒸発させる為に燃焼ガスを利
用するので蒸発温度が高くても良く、従つて冷媒
回路は全体が15〜20Kg／cm²Ｇの圧力で保持されて
いる。この為、低温の外気に接している室外熱交
換器３内は冷媒は凝縮しており、暖房時は冷媒が
満液状態となつている。

次に冷房時には冷媒は圧縮機１から四方弁２を
通り室外側熱交換器３で凝縮され高温・高圧の液
となり、逆止弁８を通り冷房用毛細管６を通り、
低温・低圧の液ガス混合状態となり、室内側熱交
換器５で蒸発して四方弁２を通り、圧縮機へ戻る
というサイクルを繰り返す。この時冷媒加熱器４
の内部は冷媒液で満たされている。

冷房を停止すると室外側熱交換器３及び冷媒加
熱器４内の高圧の冷媒は冷房用毛細管６を通り、
室内側熱交換器５へ流入し、高低圧がバランスす
る。ところが、室内側熱交換器５は冷却されてい
た為流入した冷媒は凝縮して液状態となり、室内
側熱交換器５内に溜まることになる。この時、室
内側熱交換器５を加熱してしまうので再運転時再
び冷却する為エネルギーを浪費する。特に冷媒加
熱式冷暖房機の場合は、前述の如く、冷媒加熱器
４に液が満たされているので、冷媒量が多く、高
低圧バランスに時間がかかり、バランスした後に
室内側熱交換器５に溜まる液冷媒の量も多い。こ
の状態で冷房運転で再始動させると室内側熱交換
器５内の液冷媒が直接圧縮機１に吸入され、液圧
縮を起こし、起動できなくなつてしまう。

なお暖房時は高低圧の圧力差が３Kg／cm²〜５
Kg／cm²と小さく、また各熱交換器の温度差も少な
いので前述の如き問題はない。

以上述べた如く、従来の冷媒回路では冷房運転
開始時の起動が困難になり、また室内側熱交換器
を加熱してしまう為、再び冷却する必要があると
いう欠点を有していた。

本考案は上記の点に鑑みてなされたもので、
高・低圧を分離したまま停止し、圧縮機１の前後
を低圧圧力でバランスさせることにより上記の欠
点を除去させんとするものである。

以下一実施例をもとに本考案を説明する。第２
図は本考案の一実施例の冷媒回路図である。第２
図において、１は圧縮機、２は四方弁、３は室外
側熱交換器、４は冷媒加熱器、５は室内側熱交換
器、６は冷房用毛細管、７，８，９は逆止弁であ
る。１０は逆止弁であり、圧縮機１の吐出側から
四方弁２に至る管路に設けられている。１１は電
磁弁であり、冷房時、冷房用毛細管６の流入口に
設けられている。１２はバイパス路であり、圧縮
機１の吐出側から逆止弁１０に至る管路と、圧縮
機１の吸入側を接続している。バイパス路１２に
は通電時閉（無通電の時は開く）形の電磁弁１３
が設けられている。

暖房時は、電磁弁１３に通電することによりバ
イパス路１２を閉じ、冷媒を圧縮機１→逆止弁１
０→四方弁２→室内側熱交換器５→逆止弁９→逆
止弁７→冷媒加熱器４→四方弁２→圧縮機１の順
路で循環させ、暖房を行なう。

冷房運転時は、電磁弁１３及び電磁弁１１に通
電することによりバイパス路１３を閉じ、冷媒を
圧縮機１→逆止弁１０→四方弁２→室外側熱交換
器３→逆止弁８→電磁弁１１→冷房用毛細管６→
室内側熱交換器５→四方弁→圧縮機の順路で循環
させ冷房を行なう。

冷房運転を停止すると電磁弁１１が閉じ、この
電磁弁１１を逆止弁１０、四方弁２、逆止弁９に
より高圧側と低圧側が遮断され、高圧側の冷媒が
低圧側の室内側熱交換器５に流入し、液状で溜ま
ることはなく、また室内側熱交換器５を加熱する
こともない。一方、停止と同時に電磁弁１３の通
電がなくなり電磁弁１３は開くのでバイパス路１
２が開き、圧縮機１の吐出側と吸入側が連通し、
圧縮機１の前後はバランスする。

再起動の時は電磁弁１１，１３を閉じ圧縮機１
を起動させれば良い。室内側熱交換器５内に液冷
媒が溜まつていないので、液圧縮することもな
く、また圧縮機１の前後の圧力がバランスしてい
るので、速やかに運転できる。

以上述べたように本考案によれば、冷房時の起
動性が改善でき、また室内側熱交換器が加熱され
ることがないので、再運転時室内側熱交換器を再
冷却する必要がないので急速に冷房でき、消費エ
ネルギーも少なくてすむ等極めて大きな効果が期
待できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の冷暖房機の冷媒回路図、第２図
は本考案の一実施例の冷媒回路図である。 図中、１は圧縮機、２は四方弁、１０は逆止
弁、１１は電磁弁、１２はバイパス路、１３は電
磁弁である。図中同一符号は同一または相当部分
を示す。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 圧縮機の吐出側から四方弁に至る管路に逆止
   弁を設け、冷房時凝縮器となる室外側熱交換器
   から冷房用毛細管に至る管路に電磁弁を設ける
   とともに、圧縮機の吐出側から前記逆止弁に至
   る管路に圧縮機の吸入管を接続するバイパス管
   を設け、冷房運転中は前記電磁弁を開き、バイ
   パス管を閉じ、停止中は前記電磁弁を閉じ、バ
   イパス管を開くことを特徴とする冷暖房機。 (2) バイパス管の開閉手段として通電時閉形電磁
   弁を使用したことを特徴とする実用新案登録請
   求範囲第１項記載の冷暖房機。