JPS6325286Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、内燃機関のバルブ機構に使用される
ハイドロリツクラツシユアジヤスタの中で特に非
圧縮性の流体を使用するものに関する。

従来この種のハイドロリツクラツシユアジヤス
タは、流体がほとんど圧縮されることがないので
カムシヤフトの回転中心に対してカムベース面に
微小の凹凸があると、それに応じてアジヤスタボ
デーを変位させる力が作用する。このようなハイ
ドロリツクラツシユアジヤスタは、例えば実公昭
47−8263号公報等に紹介されている。凹部におい
てはアジヤスタボデーがカムシヤフト側に変位す
るから圧力室の圧力が低下しチエツクバルブが開
口しリザーバ内から圧力室に流体が流入する。凸
部においてはアジヤスタボデーをプランジヤ側に
変位させる力が作用するが、それに応じてアジヤ
スタボデーが素早く変位するほどには圧力室にリ
ーククリアランスが設けてないので流体は圧力室
から流出することはできない。この様にしてカム
ベース面の凹凸により圧力室には過剰の流体が充
填されることとなり、流体の非圧縮性により、カ
ムシヤフトからアジヤスタボデー、バルブに所定
以上の力が作用してバルブが開き、出力低下がお
こり、またカムベース面に異常摩耗が生じること
があるという欠点があつた。

そこで本考案は、従来のハイドロリツクラツシ
ユアジヤスタにおいてポンプアツプと呼ばれるカ
ムベースにてバルブが開いてしまうという現象
と、カムベース面の異常摩耗を軽減することを目
的とし、圧力室内に圧縮性の部材を配したことを
構成の要旨とするものである。これにより、カム
シヤフトの回転中心に対してカムベース面に凹凸
があることにより、たとえアジヤスタボデーが微
小変位しても圧縮性部材が膨張収縮して圧力室内
には常に所定の圧力が保持される。よつて、カム
シヤフト面の凹凸によりチエツクバルブが開口す
ることがないので圧力室に過剰の流体が流入する
ことがなく、本考案の目的とするポンプアツプ及
びそれによるカムベース面の異常摩耗の抑制を達
成できることとなる。

その上に本考案によれば、カムベース面に凹凸
があつても圧力室内が所定の圧力に保たれるの
で、チエツクバルブの作動回数が低減しその耐久
性が向上するという効果を有する。

以上本考案の一実施例について、添付図面に従
つて説明する。第１図は本考案のハイドロリツク
ラツシユアジヤスタが装着された内燃機関のバル
ブ機構を示す断面図である。第１図に於て、シリ
ンダロツク１０に配設されたシリンダ１１の内部
を、ピストン１２が往復運動をする。シリンダ１
１の上端部を形成するシリンダヘツド１３によ
り、ピストン１２の上方に燃焼室１４が形成され
ている。該燃焼室１４とシリンダヘツドポート１
５との連通は、バルブ１６によつて開口制御され
る。シリンダヘツド１３に植設されたバルブガイ
ド１７にバルブステム１８が挿入されている。シ
リンダヘツド１３の上端面に形成されたバネ座１
９と、バルブステム１８の上端に固定されたリテ
ーナ２０との間に、バルブスプリング２１が張設
されている。該バルブスプリング２１によつて、
バルブ１６は常時バルブシート２２に着座するよ
うに図示上方に付勢されている。ロツカアーム２
３は、その一端２３ａがバルブステム１８の頂部
１８ａと接合し、その他端２３ｂがブツシユロツ
ド２４の頂部２４ａと接触している。シリンダブ
ロツク１０に形成されたオイル通路２５は、オイ
ル供給源であるオイルポンプ（図示せず）の吐出
側に連通している。シリンダブロツク１０に形成
されたアジヤスタガイド２６に、本考案のハイド
ロリツクラツシユアジヤスタ３０が摺動可能に遊
嵌合している。

該ラツシユアジヤスタ３０は、その上端面がプ
ツシユロツド２４の下端面２４ｂ（第２図に示す）
と作動的に連結し、その下端面がカムシヤフト２
７のカムに接触している。該カムシヤフト２７が
回転運動すると、カムの円周面からなるカムベー
ス面２７ａに設けた突起部２７ｂによりラツシユ
アジヤスタ３０は上下運動をし、該上下運動はプ
ツシユロツド２４を介してロツカアーム２３に伝
達される。その結果、バルブ１６が開閉作動を繰
り返すようになつている。

次に第２図に従つて、本考案ハイドロリツクラ
ツシユアジヤスタ３０について詳細に説明する。
アジヤスタボデー３１には、その内部に上端開口
のシリンダ３２が、その外周面に前記オイル通路
２５と連通するオイル供給環状溝３３と該環状溝
３３と連通するオイル通路３４とが、その内周囲
にオイル通路３４と連通する環状溝３５が、夫々
形成されている。アジヤスタボデー３１のシリン
ダ３２内にはプランジヤ３６が挿入されている。
プランジヤ３６には、その外周面に前記アジヤス
タボデー３１の環状溝３５と連通する環状溝３７
と、該溝３７と連通するオイル通路３８とが、
夫々形成されている。プランジヤ３６は内部にオ
イルリザーバ３９を有し、該リザーバ３９内にオ
イルポンプから圧送されるオイルが、オイル供給
環状溝３３とオイル通路３４，３８を介して供給
される。

カツプ４０は、その凹状球面から成る上端部４
０ａが前記ブツシユロツド２４の凸状球面から成
る下端部２４ｂと作動的に連結し、その下端部が
リザーバ３９の上端開口に嵌合している。従つ
て、カツプ４０は前記バルブスプリング２１の付
勢力をプツシユロツド２４を介して受け、プラン
ジヤ３６に伝達するとともに、プランジヤ３６と
一体に上下方向に往復運動をするものである。ま
た、カツプ４０の中心部にオイル通路４１が形成
され、該オイル通路４１を介してリザーバ３９内
のオイルがプツシユロツド２４とカツプ４０との
摺動面に供給され、潤滑の作用をなすものであ
る。

アジヤスタボデー３１のシリンダ３２内に、プ
ランジヤ３６の底部４２により圧力室４３が形成
されている。プランジヤ３６の底部中央部にオイ
ル通路４４が形成され、該通路４４の圧力室４３
側に周知のボールチエツクバルブ４５が配設され
ている。該チエツクバルブ４５は、リザーバ３９
から圧力室４３へのオイルの流通は許容するが、
圧力室４３からリザーバ３９へのオイルの流通を
阻止するものである。リテーナ４６に一端に支持
されたスプリング４７の他端により、チエツクバ
ルブ４５はその閉方向につまりバルブシート面４
８に当接する方向に常時付勢されている。圧力室
４３には前記スプリング４７より強く前バルブス
プリング２１より弱いプランジヤリターンスプリ
ング４９が配設されており、該スプリング４９に
よりプランジヤ３６はアジヤスタボデー３１に対
して常時上方に付勢されている。アジヤスタボデ
ー３１の上方内周部に形成された環状溝５０にス
ナツプリング５１が嵌入されており、該スナツプ
リング５１によりカツプ４０及びプランジヤ３６
の上方への移動が規制されている。アジヤスタボ
デー３１の内周面とプランジヤ３６の外周面との
間に形成されるリーククリアランス５２は、前記
圧力室４３からの漏れオイル通路となつている。

尚、リーククリアランス５２は極めて小さな値
が要求されるものである。更に、圧力室４３内に
はボデー３１の底部に圧縮性部材５４が固着され
ている。第３図及び第４図に示されるように圧縮
性部材５４は、ゴムなどの弾性部材の内部に中空
部分もしくは多孔を設け、ここに圧縮性の流体が
配されていることより形成されている。よつて、
圧力室の圧力により膨張・収縮するものである。

上記構成に於て、次にその作用について詳細に
説明する。

先ず、エンジンが始動すると、クランクシヤフ
トによりカムシヤフト２７が回転を開始し、該カ
ムシヤフト２７のカム面２７ａに接触するアジヤ
スタボデー３１が図示上方に押し上げられる。従
つて、ブツシユロツド２４に加わるバルブスプリ
ング２１の荷重が増大するので、圧力室４３内の
オイル圧力が上昇し、圧縮性部材５４が収縮する
上にボールチエツクバルブ４５がバルブシート面
４８に密着する。その結果、圧力室４３内からオ
イルがリーククリアランス５２より流出するの
で、プランジヤ３６は流出オイル相当分だけアジ
ヤスタボデー３１に対して沈むことになる。

次にカムシヤフト２７が更に回転を進めると、
アジヤスタボデー３１は図示下方へ下がる。従つ
て、ブツシユロツド２４に加わる荷重が略ゼロに
なるので、プランジヤリターンスプリング４９の
上方付勢により、プランジヤがアジヤスタボデー
３１に対して押し上げられる。その結果、圧力室
４２内のオイルの圧力が下がり圧縮性部材５４が
膨張する上にボールチエツクバルブ４５がスプリ
ング４７の付勢力に打ち勝つてバルブシート面４
８から離接する。このとき、リザーバ３９内のオ
イルが圧力室４３内に流入する。従つて、ラツシ
ユアジヤスタ３０全体としては、元の長さに戻る
ことになる。この様にして、ラツシユアジヤスタ
３０は、作動中常時前述の伸縮を繰り返すもので
ある。

そして、カムベース面２７ａに凹凸があること
により、たとえカムシヤフト２７の回転中心に対
してアジヤスタボデー３１が微小変位しても、圧
力室４３内に配した圧縮性部材５４が膨張収縮し
て圧力室４３内には常に所定範囲内の圧力が保持
されるからチエツクバルブ４５が開口することは
なくリザーバ３９から圧力室４３内に過剰の流体
が流入することはない。即ち、本実施例によれば
カムベース面２７ａの凹凸等は圧縮性部材５４の
膨張収縮により吸収されるので、カムシヤフト２
７、アジヤスタデー３１、及びバルブ１６に作用
する力を所定値未満に押さえることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のハイドロリツクラツシユアジ
ヤスタを装着した内燃機関のバルブ機構を示す部
分断面図、第２図は第１図に於ける本考案の実施
例を示す断面図、第３図及び第４図は第２図に於
ける本考案の要部即ち圧力室内の圧縮性部材の実
施例である。 ２１：バルブスプリング、３０：ハイドロリツ
クラツシユシアジヤスタ、３１：アジヤスタボデ
ー、３２：シリンダ、３６：プランジヤ、３９：
リザーバ、４０：カツプ、４２：プランジヤ底
部、４３：圧力室、４５：チエツクバルブ、４
９：プランジヤリターンスプリング、５４：圧縮
性部材。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 上端開口のシリンダを有するアジヤスタボデ
   ー、 該ボデーのシリンダ内を往復運動するように配
   設されたプランジヤ、 該プランジヤ内部に形成されたリザーバ、該リ
   ザーバの上端に嵌合され、バルブスプリングの付
   勢力を前記プランジヤに伝えるカツプ、 前記ボデーと前記プランジヤの底部とにより形
   成された圧力室、 前記リザーバから該圧力室へのみリザーバ内の
   オイルの流通を許容するチエツクバルブ、 前記圧力室内に張設され前記プランジヤを前記
   シリンダの解放端方向に常時付勢する付勢手段、
   及び、 前記圧力室内に配設され、前記圧力室の内部圧
   力に応じて膨張収縮する圧縮性部材、 を有するハイドロリツクラツシユアジヤスタ。