JPS6325163B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本発明は、内燃機関における潤滑油の油圧低下
を的確に検出するための油圧低下監視装置に関す
るものである。

＜従来の技術とその問題点＞ 内燃機関において、潤滑油の量は十分にあり、
しかも機関内を正常に循環しているにもかかわら
ず、潤滑油の油圧低下を検出する手段として用い
られている油圧スイツチの接点が瞬間的に閉じる
場合がある。これは、潤滑油ポンプの特性などに
よつて潤滑油の循環に大きな脈動が生じた場合に
生ずるもので、特に低速回転での運転中や、急減
速を行なつた場合などに発生しやすい。

このような場合、従来はたとえ瞬間でも油圧ス
イツチの接点が閉じると、油圧低下が検出された
ことになつて警報の発信あるいは緊急停止が行な
われるのが普通である。（例えば実開昭57−36307
号公報参照）。緊急停止機構を有しない機関の場
合には、警報が出るだけで運転は継続されるの
で、それほど問題とはならないが、例えばヒート
ポンプ駆動用機関などのように無人運転を行なう
ために緊急停止機構を設けている機関では、不必
要な緊急停止が行なわれてしまう。またヒートポ
ンプ駆動用機関では、システム効率向上のために
低速から高速までの変速運転が普通であり、低速
運転や急減速が比較的頻繁に行なわれるので、油
圧スイツチが瞬間的に閉じるチヤンスが多くな
る。従つて、前記公報の装置の場合には不必要な
緊急停止の可能性が高くなるのでこのような用途
には不向きであり、実用化が困難である。更に、
過小回転数のチエツク機能を持つ機関の場合に
は、油圧低下以外の何らかの原因で機関が停止す
る過程において、過小回転数設定値に達する前に
油圧低下検出機能が作動してしまい、いかにも油
圧低下で緊急停止したような状態となつて、異常
原因の調査に手間取るということになりやすいも
のである。

このような問題を解決するために、油圧スイツ
チの接点がある時間継続して閉じた場合に油圧低
下検出機能が作動するようにすることが考えられ
るが、この場合には設定時間をかなり長くしない
と誤動作を完全になくすことはできず、しかも実
際に油圧低下となつた場合の機関停止が手遅れに
なり、機関の耐久性の面で好ましくないという問
題が生ずる。

＜問題点を解決するための手段＞ 本発明は上述のような諸問題を解決し、誤動作
がなく的確に油圧低下を検出することのできる油
圧低下監視装置を提供することを目的としてなさ
れたものであり、潤滑油の油圧低下を検出する油
圧低下検出手段と、機関回転数検出手段と、次に
述べるような機能を有する演算手段とを備えたこ
とを特徴としている。この演算手段は、機関回転
数が予め定められた設定回転数以下の時、及び機
関回転数の変化率が予め定められた設定変化率以
上の時は油圧低下検出手段の検出出力を無視し、
また前記の設定条件に適合せず検出出力を無視し
得ない時には、検出出力の継続時間を機関回転数
に対応して予め設定された判定時間と比較し、継
続時間が判定時間以上である場合にのみ油圧低下
確認信号を出力するのである。

＜作用＞ 上記の各種設定値は機関の使用条件や潤滑油圧
力の動的特性、油圧低下検出手段の設定圧力など
を考慮して決定すればよく、設定値以下の低速運
転時や設定値以上の速度変化時における油圧低下
は実質的には検出されず、また検出された油圧低
下も短時間の場合には異常とは判定されない。従
つて、異常がないのに運転条件によつて一時的に
生ずる油圧低下を異常と誤認することが防止され
る。なお上記の判定時間は、機関回転数に応じて
瞬間的な検出出力の発生が生じやすい低速になる
ほど長く設定されることが望ましい。

＜実施例＞ 次に、図示の一実施例について本発明を具体的
に説明する。

第１図は概念系統図であり、１は内燃機関、２
は回転数検出手段として用いられているパルス検
出器、３は油圧低下検出手段として用いられてい
る油圧スイツチ、４はマイクロコンピユータ、５
は燃料遮断弁である。

マイクロコンピユータ４は、CPU１１、ROM
１２、RAM１３、Ｉ／Ｏインターフエース１
４、システムバスライン１５等を備えており、パ
ルス検出器２によつて検出された機関１の回転数
は、パルス数をカウンタ１６でカウントすること
によりマイクロコンピユータ４に入力され、ま
た、油圧スイツチ３の検出出力は、Ｉ／Ｏインタ
ーフエース１４を介してマイクロコンピユータ４
に入力される。ROM１２には、後述のような制
御のためのプログラムや各種の設定値が記憶させ
てあり、CPU１１では機関回転数の検出値及び
油圧低下を示す検出出力に応じて所定の演算を行
ない、油圧低下が確認された場合には油圧低下確
認信号Ｓを出力し、信号Ｓで警報機構や緊急停止
機構を作動させる。第１図においては、信号Ｓは
パワートランジスタアレイ１７で増幅され、燃料
遮断弁５を作動させて燃料１８をカツトして機関
１を停止させる。またCPU１１の演算結果や各
検出値等は、LEDドライバー１９を経てLEDデ
イスプレイ２０に適宜表示される。

第２図は制御フローチヤートを示すもので、一
定のインターラプト周期、この実施例では１秒周
期で繰返されるようになつている。

まず、ステツプ１において機関回転数Ｎ（ｎ）
を検出するとともに、前回すなわち１秒前の機関
回転数Ｎ（ｎ−１）との差N′を求める。N′は１秒
当りの回転数変化率に対応している。ステツプ２
では油圧スイツチ３の接点状態を判定し、オンと
なつている場合にのみステツプ３に進み、油圧低
下回数カウンタＣを１回ごとにカウントアツプす
る。この実施例では、油圧スイツチ３がオンとな
つた状態の継続時間をカウンタＣのカウント数、
すなわちオン状態の継続回数によつて検出してい
る。ステツプ４は急減速あるいは定常時にはない
低速回転の場合に、油圧低下が発生したと誤認す
ることを防ぐためのものであり、この実施例で
は、１秒当りの変化率N′が300rpm以上の場合、
及び機関回転数Ｎ（ｎ）が800rpm以下の場合には
ステツプ５へ進まず、油圧スイツチ３のオン状態
は無視されるようになつている。

ステツプ５は油圧スイツチ３のオン状態の継続
時間（継続回数）を機関回転数に対応して予め設
定された判定時間（判定回数）とを比較するもの
である。この実施例では800〜1000rpm以下、
1000〜1500rpm以下、1500rpmを超える場合、の
３段階に分けて、油圧低下判定回数Crをそれぞ
れ６、４、２に設定してあり、カウンタＣのカウ
ント数をＮ（ｎ）≦1000rpmの場合にはCr＝６と比
較し、Ｎ（ｎ）≦1500rpmの場合にはC_r＝４と比較
し、またＮ（ｎ）＞1500rpmの場合にはC_r＝２と比
較し、Ｃ≧C_rの時、すなわち、油圧スイツチ３の
オン状態がそれぞれ６回（６秒）以上、４回（４
秒）以上あるいは２回（２秒）以上継続した時
に、油圧低下が発生したものと判断して油圧低下
確認信号Ｓが出力されるのである。この信号Ｓに
よつて、燃料遮断弁５の閉動作あるいは油圧警報
表示等が行なわれる。

＜発明の効果＞ 以上の実施例の説明からも明らかなように、本
発明に機関回転数及び回転数の変化率等に応じ
て、油圧低下検出手段の検出出力を処理するよう
にしたものであり、特に低速回転中や急減速時の
ように瞬間的な油圧低下の生じやすい運転条件の
際に、発生した検出出力を直ちに油圧低下による
ものと誤認することがなくなり、しかも油圧低下
が続く場合の異常は見逃されることはない。従つ
て、運転状態に応じて潤滑油の油圧低下を的確に
検出することができ、また瞬間的な油圧低下が生
じやすくなる低速になるほど判定時間を長くすれ
ば、低速での誤動作を一層少なくすることができ
る等の効果が得られ、例えばヒートポンプ駆動用
内燃機関の無人運転を円滑に行なうことが可能と
なるのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例の概念系統図、第２
図は制御フローチヤートである。 １……機関、２……パルス検出器（回転数検出
手段）、３……油圧スイツチ（油圧低下検出手
段）、４……マイクロコンピユータ（演算手段）、
Ｓ……油圧低下確認信号。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 潤滑油の油圧低下を検出する油圧低下検出手
   段と、 機関回転数検出手段と、 機関回転数が予め定められた設定回転数以下の
   時、及び機関回転数の変化率が予め定められた設
   定変化率以上の時は油圧低下検出手段の検出出力
   を無視し、また検出出力を無視し得ない時には、
   検出出力の継続時間を機関回転数に対応して予め
   設定された判定時間と比較し、継続時間が判定時
   間以上である場合にのみ油圧低下確認信号を出力
   する演算手段、 とを備えたことを特徴とする内燃機関の油圧低
   下監視装置。