JPS6324839Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はトレーに載せた容器内の食べ物をトレ
ーに載せたままで加熱することのできるトレーと
加熱用容器のセツトに関する。

病院、旅館、食堂、機内食等、一時に大量の食
事を配る場合、多数のトレーにそれぞれ一人分の
食べ物をセツトしておき、決められた時間に一斉
に出すのが普通である。ところでトレーには、温
かくして食べるものと冷やした方が良い食べ物と
が共存しており、トレーごと全体を温めたり冷や
したりできない。従つて現状では、温かい食べ物
はオーブンで温めておき、また、冷たい食べ物は
冷蔵庫で冷やしておき、食事を出す前にこれらを
トレーにセツトしている。しかしこのように、食
事の前に食べ物をトレーにセツトすることは繁雑
で且つ時間のかかる大変な作業であり、特に狭い
場所で熱いものを取り扱う場合には火傷したり落
して食事を台無しにする等のトラブルの原因とな
つていた。また、このようにしても、食事までに
食べ物が冷えてしまい、おいしく食べることがで
きなかつた。

本考案はかかる現状に鑑みなされたもので、オ
ーブンを用いることなく食べ物をトレーに載せた
状態で加熱でき、従つてトレーへの食べ物の並べ
かえを必要とせず温かい食べ物を出すことのでき
るトレーと加熱用容器のセツトを提供することを
目的とする。

本考案のトレーと加熱用容器のセツトは、面状
発熱体を有する加熱用容器と該容器を保持するト
ルーとからなり、前記容器は下面に面状発熱体に
通じる電気接点を有し、前記トレーはその上に前
記容器を載せた時該容器の電気接点に接触する第
１電気接点と、外部電源に対する第２電気接点
と、前記第１電気接点と第２電気接点を結ぶ配線
とを有することを特徴とするもので、使用にあた
つてはトレーの所定場所に前記加熱用容器を載せ
その容器内に温めたい食べ物を入れ、トレー上の
他の部分に温める必要のない食べ物を載せ、該ト
レーを外部電源に通じる電気接点を備えた収納器
内に収納してトレーの第２電気接点と収納器の電
気接点とを接続し、トレー上の加熱用容器の面状
発熱体に通電し、トレー上に食べ物を載せた状態
で所望の食べ物のみを温め、その後トレーを収納
器から取り出してそのまま配膳することのできる
ものである。

以下、図面の実施例により本考案を更に詳細に
説明する。第１図に於いて、１は収納器で下部に
車輪を有し移動可能である。この収納器１はハン
ドルグリツプ２及び前面のドア３を有し内部に本
考案になるトレー４と加熱用容器５が多数、多段
に収容されている。このトレー４は第２図の如
く、一人分の食べ物（図面では簡略化のため、食
べ物の図示を省略し容器のみを図示している）を
載せており、この内、加熱用容器５内に温められ
るべき食べ物が入れられている。

第３図に拡大して示すように、トレー４は隆起
部４Ａを有し、その隆起部４Ａ上に容器５が底面
のくぼみを利用して載せられる。容器５にはその
ほぼ全面に面状発熱体１１が埋めこまれている。
面状発熱体１１としては公知のものを適宜使用可
能であるが、第４図に示すように、導電性物質の
発熱体１１Ａの両側に絶縁性プラスチツク１１
Ｂ，１１Ｂを配したもの、例えば帝国産業株式会
社のフレツクスワツト（商標）が好適である。面
状発熱体１１は裏面に断熱材層１２を配して、射
出成形により容器５を構成する樹脂１３内に埋め
こまれる。なお、樹脂１３内に埋めこむかわりに
容器表面に張りつけてもよい。面状発熱体１１は
必ずしも容器５の全面に設ける必要はなく、例え
ば底面のみのように容器の一部に設けてもよい。
容器５の底面には面状発熱体１１に通じる電気接
点１４が設けられている。一方、トレー４の上面
には、その上に容器５を載せた時容器５の接点１
４に接触するように第１電気接点１５（第５図参
照）が設けられている。更にトレー４の側縁下面
には第６図、第７図に拡大して示すように円弧状
の湾曲面１６が形成され、該湾曲面１６には第２
電気接点１７が設けられている。この接点１７は
トレー４の樹脂内を通る配線１８により第１電気
接点１５に接続されている。第１及び第２電気接
点やこれらを結ぶ配線はトレーの射出成形時に型
内に配置して同時に成形することにより、容易に
トレー内に埋め込むことができる。なお、第１及
び第２電気接点を結ぶ配線は必ずしも線材である
必要はなく、１枚の銅板あるいはアルミ板をトレ
ー内に埋め込み第１、第２電気接点及びそれらを
結ぶ配線を構成するようにしてもよい。

第８図に於いて、収納器１の両側の内壁２０，
２０にはトレー４の側縁を支持するガイドレール
２１，２２が取りつけられている。右方のガイド
レール２２は単にトレーを支持するものである
が、左方のガイドレール２１はトレーの浮き上が
りを防止するためトレーの側縁を挟むような形状
である。このガイドレール２１は第９図に示すよ
うに途中で切れており、その部分に内壁２０から
電気接点２３が突出している。電気接点２３の取
付位置は、トレー４を収納器１内の所定位置に挿
入した時、トレー４の重量によりその側縁の電気
接点１７が電気接点２３に接触する（第１０図参
照）位置である。接点１７は円弧状湾曲面１６の
最下端位置の両側に配置されているので、接点２
３に安定して接触することができ、且つこの時接
点２３は湾曲面１６の動きを拘束し、トレーを動
きにくくする機能を果たす。電気接点２３は収納
器１の壁内の配線により、収納器１を外部電源に
接続する接続端子に接続されている。なお、トレ
ー側の接点１７や収納器１内壁側の接点２３の構
造及び容器５側の接点１４やトレー側の接点１５
の構造は図示のものに限定されず、適宜変更可能
である。例えば、互いに接触する接点の一方にば
ねを設け、ばねの押圧力により接点を確実に接触
させるようにしてもよい。トレー４の接点取付位
置も図示の側縁下面に限定されず変更可能である
が、図示実施例の位置はトレーの見栄えを損なわ
ず好適である。

再び第８図に於いて、トレー４上の加熱用容器
５には必要に応じ、発泡スチレン等の保温カバー
２５がかぶせられる。

収納器１は後側に冷風供給及び排出口が設けら
れ、収納器１を保管位置に置いた時、その位置に
設けてある冷却装置（図示せず）からの冷風を受
け入れて内部が低温に保たれるようになつてい
る。

次に上記収納器１、トレー４及び加熱用容器５
の使用方法を説明する。トレー４に調理済の食べ
物をいれた種々な容器を第２図のようにセツトす
る。この時加熱用容器５の面状発熱体１１は接点
１４，１５の接触によりトレー側縁の接点１７に
接続されている。次に食べ物を載せたトレー４を
収納器１内の所定位置に収納する。この時トレー
４の接点１７は収納器１の接点２３に接触する。
収納器１を所定の保管位置に置き冷却装置を作動
させる。これにより、収納器１内は冷却装置から
の冷風により低温に保たれている。この状態で食
べ物を保存しておき、食事を出す適当な時間前
に、収納器１を外部電源に接続し通電を行う。す
ると、収納器１内の各トレー４上の加熱用容器５
内の面状発熱体１１への通電が行われ、容器５内
の食べ物が温められる。次に収納器１を保管位置
から引き出し、食事を配る場所に運び、トレー４
を取り出して配膳する。かくして、トレー４上に
食べ物をセツトしなおす必要なく、温かい食べ物
と冷たい食べ物を容易に且つ敏速に配膳すること
ができる。

なお、上記実施例では収納器１に冷風を供給し
て食べ物を冷やすようにしているが、食べ物の冷
却は本考案に不可欠ではなく、省略してもよい。
また、収納器１は必ずしも移動可能なものに限定
されず定置式のものでもよい。

上記の如く、本考案は面状発熱体を有する加熱
用容器５と、該容器を支持すると共に前記面状発
熱体への電気接続を行う接点及び配線を備えたト
レー４とのセツトであるので、トレー４上に食べ
物を載せた状態で収納器内に入れ、加熱用容器５
内の食べ物のみを温めることができ、従来のよう
にオーブンを必要とせず、また温めた食べ物をト
レーにセツトするという繁雑な且つ火傷の恐れの
ある作業を必要とせず、容易に且つ敏速に温かい
食べ物を配膳することが出来る。しかも、本考案
に用いる加熱用容器５やトレー４にはそれぞれ電
気接続用の接点を設けているので、加熱用容器５
やトレー４には電線が繋がれておらず、形状が単
純で洗いやすく、安価に製作できる等の効果を有
している。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案になる加熱用容器５のトレー４
のセツトを収納した収納器１の要部の斜視図、第
２図は食べ物を載せたトレーの斜視図、第３図は
トレー４に加熱用容器５を載せた状態を示す断面
図、第４図は加熱用容器５の面状発熱体配置部分
の拡大断面図、第５図はトレー４の第１電気接点
１５の近傍の平面図、第６図はトレー４の側縁の
下面に配置された第２電気接点１７を示す平面
図、第７図は第６図のＡ−Ａ矢視断面図、第８図
は収納器１内にトレーを収納した状態を示す断面
図、第９図は収納器内壁のガイドレール及び接点
を示す斜視図、第１０図は第８図のＢ−Ｂ矢視断
面図である。 １……収納器、４……トレー、５……加熱用容
器、１１……面状発熱体、１２……断熱材層、１
３……樹脂、１４……電気接点、１５……第１電
気接点、１７……第２電気接点、１８……配線、
２１……ガイドレール、２３……電気接点。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 面状発熱体を有する加熱用容器と該容器を保持
   するトレーとからなり、前記容器は下面に面状発
   熱体に通じる電気接点を有し、前記トレーはその
   上に前記容器を載せた時該容器の電気接点に接触
   する第１電気接点と、外部電源に対する第２電気
   接点と、前記第１電気接点と第２電気接点を結ぶ
   配線とを有することを特徴とするトレーと加熱用
   容器のセツト。