JPS632434Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はガス専焼焼鈍炉に関するものである。
更に詳述すれば本考案はエナメル線用導体等の線
材を連続的に焼鈍できるガス専焼マツフル炉を用
いた焼鈍炉に関するものである。

〔従来の技術〕

エナメル線は導体の上にエナメル塗料を塗布、
焼付することにより製造される。このエナメル線
は電機機器コイルとして巻線するとき容易に巻付
け成形できることが必要である。このためエナメ
ル線用導体はエナメル塗料の塗布、焼付直前に焼
鈍するのが通例である。

従来のエナメル線用導体焼鈍炉は温度制御が容
易な電熱ヒーターを熱源とする電熱炉が用いられ
ている。この電熱炉は温度制御が容易な反面、ヒ
ーターによる輻射熱加熱方式であるため、熱効率
が低く、その上エネルギーコストが高い電力を使
うためエネルギー代が高くなる難点がある。

また、従来のエナメル線用導体焼鈍炉は酸化劣
化を受ける線材、例えば銅線を焼鈍する時は炉の
出入口を水蒸気等でシールする必要があり、水蒸
気の費用がコストアツプの要因の一つとなつてい
た。

一方、ガス専焼焼鈍炉は安価なガスを燃料とす
るためエネルギー代が安くなるが、その反面プロ
パン、ブタン、天然ガス等の燃焼ガスが高温のた
め炉のガス燃焼部と炉外壁との接続部等で膨張破
壊が起こり易く、そして高温のため炉外壁から流
出する熱損失も大きいという欠点がある。特に、
このような膨張破壊や熱損失は、熱効率および温
度均一性をよくするためガス燃焼部を線材通過部
に比較して相対的に大きくした高温ガス専焼焼鈍
炉において大きい。

〔考案が解決しようとする問題点〕

本考案はかかる点に立つて為されたものであつ
て、その目的とするところは前記した従来技術の
欠点を解消し、ガス燃焼部が線材通過部に比較し
て相対的に大きい高温ガス専焼焼鈍炉において炉
外壁からの熱損失およびガス燃焼部と炉外壁との
接続部の膨張破壊を効果的に低減したガス専焼焼
鈍炉を提供することにある。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案の要旨とするところは、先端に長穴、中
間に断熱部がある支持具の長穴に、ガス専焼マツ
フルの側面に固定してある支持ピンを挿入して成
るガス専焼焼鈍炉にある。

本考案において、マツフルの線材通過部出口側
の上部には循環ブロワが設置されている。また、
マツフルの線材通過部入口側上部には同様に開口
部が設けられており、マツフルで発生した高温の
燃焼ガスが循環ブロワにより線材通過部に送り出
されるようになつている。そして線材通過部に送
り出された燃焼ガスは線材通過部側より循環ブロ
ワにより吸引され、繰り返し焼鈍炉内を循環する
ようになつている。

〔作用〕

本考案のガス専焼焼鈍炉は、ガス専焼マツフル
の側面に固定してある支持ピンを、先端に長穴、
中間に断熱部がある支持具の長穴に挿入して支持
することにより、ガス専焼マツフルの膨張を完全
に吸収してガス専焼マツフルと炉外壁との接続部
の膨張破壊を防止し、更に炉外壁からの熱伝導に
よる熱損失を効果的に抑止することにある。

〔実施例〕

次に本考案のガス専焼焼鈍炉の一実施例を図面
により説明する。

第１図は本考案のガス専焼焼鈍炉の一実施例を
示した概略縦断面図である。

第１図において、１は焼鈍炉の炉殻、２はガス
バーナ、３はつは循環ブロワ、４は炉内に設置さ
れているマツフル、４′はマツフルのスリツト開
口部、５は線材、２０は炉外壁である。

即ち、第１図のガス専焼焼鈍炉は、外周を炉殻
１と炉外壁２０により囲み、その炉内上部にガス
専焼のマツフル炉４を設け、更に炉の底部下部側
に線材通過部を設置したものである。

ここにおいて炉内上部のガス専焼マツフル４の
ガスバーナ２の燃焼により発生した熱風は、循環
ブロワ３により矢印のようにマツフル４のスリツ
ト開口部４′より線材５の入口側から線材５の出
口側にかけて送り出され、更に循環ブロワ３に吸
引されて強制循環するようになつている。

第２図は第１図のガス専焼焼鈍炉のマツフル４
および線材通過部の支持構造を示した−横断
面拡大説明図である。

第２図において、１２はスリツト板、１５は線
材通過部、１６は支持具、１７は支持ピン、１８
は長穴、１９は断熱材から成る断熱部である。

即ち、マツフル４の側面には支持ピン１７が一
体的に固定されており、この支持ピン１７が支持
具１６の上部にある長穴１８に挿入されている。
この支持具１６は炉外壁２０の底部内周面側に立
設されており、その中間部には断熱部１９が設け
られている。

マツフル４は支持ピン１７と長穴１８とにより
挿入、支持されているため、マツフル４が高温膨
張してもその熱膨張を完全に吸収でき、その結果
焼鈍炉の熱損傷を効果的に防止することができ
る。また、支持具１６の中間部には断熱材１９が
あるため、マツフル４の熱が支持具１６および炉
外壁２０を介して炉外に流出するのを効果的に防
止することができる。

本考案において、線材通過部１５はマツフル４
の底部に固定されており、この線材通過部１５は
複数本の線材５が容易に通過できるようにスリツ
ト板１２が設けられている。

線材５は線材通過部１５に送り出された熱風に
よる直接加熱とマツフル４の底部からの輻射熱と
により均一に加熱焼鈍される。そしてこのガス専
焼焼鈍炉の熱風は、ガスバーナ２の燃焼により発
生した不活性ガスでもあるため、線材の酸化劣化
性がなく、その結果線材通過部１５内を水蒸気シ
ールする必要もない。

〔考案の効果〕

本考案のガス専焼焼鈍炉は、ガス燃焼部が線材
通過部に比較して相対的に大きい高温のガス専焼
焼鈍炉で避けられなかつた焼鈍炉の熱膨張破壊お
よび熱損失を効果的に抑止できるものであり、工
業上有用である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のガス専焼焼鈍炉の一実施例を
示した概略縦断面図、第２図は第１図のガス専焼
焼鈍炉のマツフル４および線材通過部の支持構造
を示した−横断面拡大説明図である。 １：炉殻、２：ガスバーナ、３：循環ブロワ、
４：マツフル、４′：スリツト開口部、５：線材、
１２：スリツト板、１５：線材通過部、１６：支
持具、１７：支持ピン、１８：長穴、１９：断熱
部、２０：炉外壁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 炉外壁２０で囲まれた焼鈍炉の内側上部にガス
   専焼マツフル４が設けられており、該ガス専焼マ
   ツフル４の一端面にはスリツト開口部４′があり、
   その他端面には循環ブロワ３があり、しかも前記
   ガス専焼マツフル４の底部下面側には線材通過部
   １５が設置されており、かつ前記ガス専焼マツフ
   ル４が前記線材通過部１５に比較して相対的に大
   きい高温ガス専焼焼鈍炉において、前記炉外壁２
   ０の底部内周面側には中間部に断熱部１９、先端
   部に長穴１８が設けられて成る支持具１６が立設
   されており、該支持具１６の長穴１８に前記ガス
   専焼マツフル４の側面に固定されている支持ピン
   １７を挿入して成ることを特徴とするガス専焼焼
   鈍炉。