JPS6321528Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔技術分野〕 本考案はダブルフエースあるいはリバーシブル
と呼ばれる両面使用可能な二重織物を用い、一重
仕立て（リバーシブル仕立て）とした衣服（例え
ばコート、ジヤケツト等）の衿に関するものであ
る。

〔従来技術〕

従来、ダブルフエース生地を用いたリバーシブ
ル仕立ての衿は、芯地を全く使用しないものと、
芯地を使用したものとがある。芯地を全く使用し
ない場合は、裁断した衿において、外周折り代お
よび衿付け縫代に必要な一定幅で二重織物の接結
糸を切断して表布と裏布とに分離し、外周折り代
は毛抜き合せで始末し、衿付け縫代により身頃に
縫合する。芯地を使用する場合は、裁断した衿全
面の接結糸を切断して、表布と裏布とに分離し、
全面に芯を接着して外周を縫い返すか、または更
に両面接着芯を使して表布と裏布を貼合せてい
る。

しかるに、芯地を全く使用しない場合は、芯地
による補強がないため、衿としての形の整形、保
形が充分でなく、形くずれしやすいという問題が
ある。

また、衿に芯地を使用する場合は、衿の整形性
はよいが、身頃には芯を使用しないため、衿と身
頃との外観が著しく異なり、問題である。更に、
この場合、衿の全面にわたつて接結糸を切断しな
ければならないが、通常接結糸の切断は手作業で
行われ、４cm幅程度までしか一度に切離せない。
従つて、衿の全面にわたつて接結糸を切離すのは
非常に手間がかかる。

〔考案の目的〕

本考案は、上述したような問題を解決し、衿と
身頃との外観的差異を生じさせることなく且つ保
形性のよい衿を提供することを目的とするもので
ある。

〔考案の構成〕

本考案は、二重織物からなる衿であつて、表衿
側においては衿羽根と衿腰とが折返り線よりも下
で切替えられており、裏衿側においては衿羽根と
衿腰とが折返り線で切替えられており、衿羽根の
主部は表衿側布と裏衿側布とが接結された状態で
あり、衿腰は接結糸が全面的に切られて表衿側布
裏衿側布とが切離され且つ表衿側布と裏衿側布と
の間に芯が挿入されていることを特徴とするもの
である。

本考案によれば、好ましくは、表衿側の切替え
においては縫代が割り処理され、裏衿側の切替え
においては縫代が衿腰側に片返しされる。また、
衿腰において表衿側布および裏衿側布にそれぞれ
芯を接着し、好ましくは、裏衿側布の芯の方が表
衿側布の芯よりも厚手とする。表衿側の切替え縫
い目上に落しミシンを掛けて、表衿側布と裏衿側
布とを縫合するとよい。

〔作用〕

本考案の二重織物からなる衿においては、衿羽
根は表衿側布と裏衿側布とが接結された状態であ
つて、衿羽根には芯が挿入されていないので、身
頃と同様にソフトな外観を保てる。一方、衿腰は
接結糸が全面的に切られて表衿側布と裏衿側布と
が切離され、表衿側布と裏衿側布との間に芯が挿
入されているので、整形性および保形性がよく、
形くずれしない。

また、表衿側においては、衿羽根と衿腰とを折
返り線よりも下で切替えているので、外から切替
え箇所が見えず、外観を損うことがない。これに
対して、裏衿側においては、衿羽根と衿腰とが折
返り線で切替えられているので、衿羽根を折返し
易く、しかもその折り山が形くずれしない。更
に、表衿側の切替えと裏衿側の切替えとの位置が
ずれているので、切替え縫代によつて厚ぼつたく
なることが避けられる。

〔実施例の説明〕

以下、図面に示した実施例に基いて本考案を詳
細に説明する。

第１図は本考案の二重織物からなる衿（ステン
カラー）の表衿側の平面図である。第２図は第１
図に示した衿の裏衿側の平面図である。第３図は
第１図の−線に沿つた断面図である。本考案
の衿はダブルフエース生地から製造されるもので
あるが、衿羽根１と衿腰２とが切替えられてい
る。第１図に示すように、表衿側においては、衿
羽根１ａと衿腰２ａとの切替えは折返り線５より
も下で切替えられている（切替え箇所を符号６で
示した）。一方、第２図に示すように、裏衿側に
おいては、衿羽根１ｂと衿腰２ｂとは折返り線５
の箇所で切替えられている（切替え箇所を符号７
で示した）。

第４図は裁断した状態の衿羽根１を示す平面図
であり、第５図は第４図におけるＶ−Ｖ線に沿つ
た断面図である。第４図において、２点鎖線１１
は出来上がり線を示す。第５図は衿外周の折り代
１４および衿腰付け縫代１５の部分の二重織物の
接結糸を切断した状態を示しており、その切離し
止まりは第４図において一点鎖線１２で示され
る。衿腰付け縫代１５は衿腰２と縫合するための
ものであり、従つて折り代１４の幅に左右される
ことなく、１cm程度とすることが好ましい。この
ように衿羽根１は周縁部のみが表衿側布１ａと裏
衿側布１ｂとに切離されており、衿羽根１の主部
１３は表衿側布１ａと裏衿側布１ｂとが接結され
たままである。

第６図は裁断した表衿側、すなわち内側、とな
る衿腰２ａおよび芯地３を示す平面図である。芯
地３は衿腰２ａのほぼ全面に接着され、比較的薄
手の生地とするのが好ましい。第６図において２
点鎖線９は出来上がり線を示しており、この衿腰
２ａの縫代は衿腰付け縫代１５の半分とするのが
好ましい。

第７図は裁断した裏衿側すなわち外側となる衿
腰２ｂおよび芯地４を示す平面図である。第７図
において２点鎖線１０は出来上がり線を示してお
り、この衿腰２ｂの縫代は衿腰付け縫代１５と同
寸法とするのが好ましい。芯地４は出来上がり衿
腰２ｂのほぼ全面に接着され（すなわち縫代部分
には接着されおらず）、比較的厚手の生地とする
のが好ましい。

本考案の衿の縫製は次のようにして行う。

衿羽根１の外周は従来の縫製方法通り、一定幅
で分離した表衿側布１ａおよび裏衿側布１ｂの折
り代１４を折込み、毛抜き合せとして、手縫い等
により縫合する。

一方、衿腰２は二重織物の接結糸を全面的に切
断して、完全に表衿側布２ａと裏衿側布２ｂとに
分離し、その各々に異なる芯地を接着する。表衿
側布２ａは切替え線側の縫代を第６図に示すよう
に、裏衿側布２ｂの縫代よりも、細くする。

衿羽根１と衿腰２を縫合する場合、裏衿側では
衿羽根１ｂおよび衿腰２ｂ共に出来上がり線に沿
つて同一の縫代で縫合し、衿腰部が高くなるよう
に縫代を衿腰側に片返しする。この縫合箇所が第
２図で切替え７として現れている。

表衿側では、衿腰２ａと衿羽根１ａとを衿腰付
け縫代１５のほぼ二分の一の幅でもつて縫合す
る。この縫合箇所が第１図で切替え６として現れ
ている。そして、その縫代を上下に割り処理す
る。このようにすると割り処理された衿羽根１ａ
の縫代は、第３図に示したように折返し線５より
下の衿腰内におさまる。

次に、表衿側の切替え縫い目６上から落しミシ
ン８を掛け、衿腰２の表衿側布２ａと裏衿側布２
ｂとを縫合固定する。この落しミシン８は衿付け
の出来上がり線より１cm手前で止め、裏衿側の衿
腰切替えを片返しのまま固定するが、衿付けの出
来上がり線から７mmの箇所に衿羽根１ｂの縫代に
切込みを入れて割り処理する。このようにする
と、衿付け近くの縫代端部が薄く仕上がる。

第８図は本考案の衿の別の実施例の表衿側の平
面図である。第９図は第８図に示した衿の裏衿側
の平面図である。この実施例の衿はテーラードカ
ラーである点で、前述した実施例と異なつている
が、その他の点はほぼ同じである。第８図におい
て符号２０ａは表衿側の下衿を示し、符号２１ａ
は裏身頃を示している。また、第９図において、
符号２０ｂは裏衿側の下衿を示し、符号２１ｂは
表身頃を示す。

〔考案の効果〕

本考案によれば、従来のダブルフエース生地か
らなる衿と異なつて、衿羽根と衿腰とが切替えら
れており、衿羽根の主部は表衿側布と裏衿側布と
が接結された状態であるが、衿腰は接結糸が全面
的に切られて表衿側布と裏衿側布とが切離され、
表衿側布と裏衿側布との間に筒が挿入されてい
る。従つて、衿羽根は身頃と同様にソフトな外観
を保つたままであり、且つ衿腰には芯が入つてい
るので、整形性および保形性がよく、形くずれし
ない。

また、表衿側において、衿羽根と衿腰とを折返
り線よりも下で切替えているので、外から切替え
箇所が見えず、外観を損うことがない。裏衿側に
おいては、衿羽根と衿腰とが折返り線で切替えら
れ、その縫代が衿腰側に片返しされているので、
衿羽根を折返し易く、しかもその折り山が形くず
れしない。更に、表衿側の切替えにおいて、縫代
が割り処理され、且つ裏衿側の切替えと位置がず
れているので、切替え縫代によつて厚ぼつたくな
ることを避けられる。また、表衿側の切替え縫い
目上から落しミシンを掛けて、衿腰の表衿側布と
裏衿側布とを縫合するので、表衿側布と裏衿側布
とを確実に固定することができる。

更に、本考案によれば二重織物の接結糸は衿腰
部分の接結糸のみを切断すればよく、衿腰部分は
幅が狭いので、簡単に接結糸を切ることができ
る。従つて、本考案の衿は製造が容易で、効率よ
く生産できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の二重織物からなる衿（ステン
カラー）の表衿側の平面図、第２図は第１図に示
した衿の裏衿側の平面図、第３図は第１図の−
線に沿つた断面図、第４図は裁断した状態の衿
羽根を示す平面図であり、第５図は第４図におけ
る−線に沿つた断面図、第６図は裁断した表
衿側、すなわち内側、となる衿腰２ａおよび芯地
を示す平面図、第７図は裁断した裏衿側、すなわ
ち外側、となる衿腰２ｂおよび芯地４を示す平面
図、第８図は本考案の衿の別の実施例の表衿側の
平面図、第９図は第湯図に示した衿の裏衿側の平
面図である。 １……衿羽根、２……衿腰、１ａ……表衿側衿
羽根、２ａ……表衿側衿腰、１ｂ……裏衿側衿羽
根、２ｂ……裏衿側衿腰、３……芯地、４……芯
地、５……折返り線、６……裏衿側切替え、７…
…裏衿側切替え、８……落しミシン、９……出来
上がり線、１０……出来上がり線、１１……出来
上がり線、１２……切離し止まり、１３……主
部、１４……折り代、１５……衿腰付け縫代、２
０ａ，２０ｂ……下衿、２１ａ……裏身頃、２１
ｂ……表身頃。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 二重織物からなる衿において、表衿側におい
   ては衿羽根と衿腰とが折返り線よりも下で切替
   えられており、裏衿側においては衿羽根と衿腰
   とが折返り線で切替えられており、衿羽根の主
   部は表衿側布と裏衿側布とが接結された状態で
   あり、衿腰は接結糸が全面的に切られて表衿側
   布と裏衿側布とが切離され且つ表衿側布と裏衿
   側布との間に芯が挿入されていることを特徴と
   する二重織物からなる衿。 ２ 表衿側の切替え縫い目上に落しミシンが掛け
   られ、表衿側布と裏衿側布とが縫合されている
   実用新案登録請求の範囲第１項記載の二重織物
   からなる衿。 ３ 表衿側の切替えにおいては縫代が割り処理さ
   れ、裏衿側の切替えにおいては縫代が衿腰側に
   片返しされている実用新案登録請求の範囲第１
   項記載の二重織物からなる衿。 ４ 衿羽根の周縁部の接結糸が切られ、該周縁部
   が毛抜き合せで仕立てられている実用新案登録
   請求の範囲第１項記載の二重織物からなる衿。 ５ 衿腰において表衿側布および裏衿側布にそれ
   ぞれ芯が接着されている実用新案登録請求の範
   囲第１項記載の二重織物からなる衿。 ６ 裏衿側布の芯の方が表衿側布の芯よりも厚手
   である実用新案登録請求の範囲第５項記載の二
   重織物からなる衿。