JPS632079B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、放射性廃棄物を収容する室を有し、
ガンマ線遮蔽シールドとして形成された鋳鉄製又
は球状黒鉛鋳鉄製の容器外套と、上記の室を密閉
する閉鎖蓋と、中性子減速部材とを具備してお
り、断面が略々円形であつて互いに間隔を置いて
長手方向に延びる減速管路が容器外套内に形成さ
れており、上記管路内に減速材が充填されそれに
よつて中性子減速部材を構成している種類乃至型
式の原子力発電所等の放射性廃棄物用の搬送及び
貯蔵容器に関する。容器外套が鋳鉄製又は所謂球
状黒鉛鋳鉄製であるということは、鋳造金属マト
リクスがその包有物としてガンマ線吸収物質を有
していることを特徴とする。本発明に於ける中性
子減速材とは、生命体や非生命物に悪い影響を与
えない程度まで中性子を減速させる物質を意味し
ている。

公知の搬送及び貯蔵容器（ドイツ連邦共和国実
用新案第7727690号公報）に於いては、複数本の
減速管路は容器周辺部に於て可能な限り互いに相
近接して延びている。これら減速管路は全体とし
て恰かも１つの如き閉鎖遮蔽を形成しなければな
らない。更に、減速管路は又長楕円状又は長矩形
状断面形状を有しており、この場合に断面部の長
軸線は多かれ少なかれ周方向又はこれに対して接
線方向に延びており、しかもその断面部は半径方
向に重畳して配置されている。この公知実施形に
於て減速管路を断面円形状となすことは勿論除外
されていない。直径及び減速材は充分な中性子減
速がもたらされるように選択される。

減速管路が他の断面形状を有している場合であ
つても、支配的な原則は、容器外套の構造的安定
性を考慮しながら、できるだけ大きな減速部材の
横断面をもたらすことであり、更に上記の構造的
安定性を考慮しながら、減速管路間の間隔をでき
るだけ狭めることである。

減速管路を接近させるにつれて、或るいは減速
管路の容積を与えられた容器外套厚さに対して増
大させるにつれて、外套の強度は減少するので、
減速管路の横断面や間隔についての要求を満足さ
せるためには外套厚さを増大させねばならない。

更に、従来の容器構造においては、減速部材収
容減速管路は一般に、外套を内層と外層とに分離
する列の状態に配列されており、従つてこれらの
層の結合は比較的薄いウエブによつて達成されて
いた。このことも、容器の機械的安定性を阻害す
るものであつた。

主たる欠点は、搬送したり或るいはその他の取
扱いの際に容器が受ける突然の衝撃に外套が耐え
られないということである。それを補償するに
は、やはり容器の質量や、外套厚さ、寸法を増大
させ、低下する安定性に対抗することになるが、
そのために取扱いの複雑さ、搬送費、製作費を増
大させることになる。

本発明の目的は、高強度で、しかもすぐれた中
性子減速特性を有し、また重量は妥当なものであ
り、更に著しい機械的応力に耐える能力のある、
改良された放射性廃棄物用搬送及び貯蔵容器を提
供することである。

この課題を解決するために、本発明は、減速管
路の合計容積が、容器外套外表面に層をなしてこ
れにより中性子を減速するように配置された上記
同様の減速材から成る面被覆を想定した場合に、
この面被覆の容積に略々相当する容積又はこれよ
りも大なる容積を有しており、且つ減速管路がそ
の直径の少なくとも２倍に相当する間隔を有して
いることを教示する。

従つて、本発明によれば、隣り合う減速管路の
間には比較的大きな間隔をとることができるの
で、隣り合う減速管路の間の容器外套材料の量は
多くなり、従つて、鋳鉄製又は球状黒鉛鋳鉄製の
容器外套の全体強度は極めて大きくなり、また容
器はこれまでよりもはるかに破壊したり割れたり
し難くなり、更に容器外套の壁厚を過度に大きく
する必要はない。

本発明は、先ず、中性子減速に関しては、均斉
な面被覆と、互いに間隔を置いて配置された複数
本の減速管路から形成された本発明によるスクリ
ーンとの間に重大な差異は存しないと謂う意外な
事実から出発する。裂断応力に弱い鋳鉄又は球状
黒鉛鋳鉄を容器の材料とするにも拘らず、機械的
な点では個々の管路間の間隔が比較的に大になさ
れているために、外套全体に強度が大きくなり、
容器が裂断したり割れたりする可能性は極めて少
なくなり、従つて外套を不都合なほどに厚くする
必要はない。容器外套及びこれを具備する容器
は、機械的要求のすべてを満たす単一の構造物の
ように挙動する。本発明による搬送及び貯蔵容器
に於ては、外套は減速管路によつて弱体化される
のではなく、却つて一般に高強度及び高衝撃抵抗
を有する多室梁構造体乃至は同様な構造的に安定
な区画体のようになると類推される。

減速材は実質上当該分野に於て慣用されている
ものが使用可能であるが、水が好ましいことが見
出されている。

本発明の範囲に於て、閉鎖蓋及び基部には減速
材を収容する小室が設けられる。

本発明により達成される利点は、要約すれば、
遮蔽技術的に必要な程度以上に全重量が増加する
と謂う不利益をもたらすことなしに、本発明によ
る搬送及び貯蔵容器は一面に於て遮蔽技術的に考
慮し且つ他面に於て機械的に考慮しても全ての要
求を満足することにある。

次に、単なる１実施形を例示している図面に基
き本発明の既述の及び更に他の特徴を詳細に説明
する。

第１及び２図は原子力発電所等の放射性廃棄物
用に企図された搬送及び貯蔵容器を示している。
この容器はその基本的構成要件として、放射性廃
棄物を収容する室を有し、ガンマ線遮蔽シールド
として形成された鋳鉄製又は球状黒鉛鋳鉄製の容
器外套１と、上記室を密閉する閉鎖蓋２と、中性
子減速部材４とを具備している。中性子減速部材
は互いに間隔を置いて長手方向に配置された減速
管路３から成つている。この管路は略々円形の断
面形状を有している。管路内には減速材４例えば
水が充填されている。第１及び２図は搬送及び貯
蔵容器の１実施形を示しており、該実施形に於て
は容器外套１と一体的に又は他の方法で取付けら
れ冷却フインとしての役目を果たす肋部乃至フイ
ン５が設けられている。この肋部乃至フイン５に
関しては本発明を定義する上に重要なことではな
い。この部材はガンマ線遮蔽に関しては寄与する
が発明の構成要件に係るものではない。

第２図と第３図とを比較して考察することによ
り、減速管路３の容積は一緒にて即ちその合計容
積が、該管路３内に存在する減速材と同じ減速材
から成り容器外套１上に層をなしておりこれによ
り中性子を減速するように配置された面被覆６を
想定した場合に、この面被覆の容積に略々相当す
る容積を有していることが理解されよう。減速管
路の合計容積はこの面被覆６の容積よりも大であ
ることができる。何れにせよ、減速管路３はその
直径の少なくとも２倍に相当する距離乃至間隔７
を有するように配置される。これによつて、容器
外套１の構造は大きな機械的安定性を与えられ
る。

即ち、減速管路３全部の合計容積が面被覆６の
容積に等しいか或いは大きく、また隣り合う減速
管路３間の間隔７が減速管路の直径の少くとも２
倍である場合、間隔７が比較的広くなつているに
もかかわらず、第２図に示す容器は第３図に示す
容器と同じ放射線遮蔽効果を有することが判つ
た。減速材を封入した減速管路は中性子の吸収体
をなし、ここに中性子が流入する。第１図には、
閉鎖蓋２及び基部８が減速材を収容する小室９を
有していることが示されている。

図示されてはいないが、本発明の範疇にある１
実施形によれば、減速管路３が容器外套１内に外
套周辺に対して少なくとも２列に配置されており
且つ各減速管路３がそれぞれ他の列の減速管路の
間に配置されていることを特徴としている。

【図面の簡単な説明】

添付図面中、第１図は本発明による搬送及び貯
蔵容器の縦断面図、第２図は第１図の容器を第１
図よりも拡大尺にて且つ切断状態でＡ―Ａ方向に
見た断面図、第３図は第１及び２図による実施形
と遮蔽技術的に近似する容器を第２図と同様に示
した図面である。尚、図示された本発明容器要部
と参照数字との対応関係を略示すれば下記の通り
である。 容器外套……１、閉鎖蓋……２、中性子減速部
材乃至減速管路……３、減速材……４、管路３間
の距離乃至間隔……７、基部……８、小室……
９。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 放射性廃棄物を収容する室を有し、ガンマ線
   遮蔽シールドとして形成された鋳鉄製又は球状黒
   鉛鋳鉄製の容器外套と、上記の室を密閉する閉鎖
   蓋と、中性子減速部材とを具備しており、断面が
   略々円形であつて互いに間隔を置いて長手方向に
   延びる減速管路が容器外套内に形成されており、
   上記管路内に減速材が充填されそれによつて中性
   子減速部材を構成している、原子力発電所等の放
   射性廃棄物用の搬送及び貯蔵容器において、複数
   本の減速管路３の合計容積が、容器外套１外表面
   に層をなしてこれにより中性子を減速するように
   配置された上記同様の減速材から成る面被覆６を
   想定した場合に、この面被覆の容積に略々相当す
   る容積又はこれよりも大なる容積を有しており、
   且つ減速管路３がその直径の少なくとも２倍に相
   当する間隔７を有していることを特徴とする、搬
   送及び貯蔵容器。 ２ 減速管路３内に減速材４として水が収容され
   ていることを特徴とする特許請求の範囲第１項に
   記載の搬送及び貯蔵容器。 ３ 閉鎖蓋２及び基部８が減速材を収容する小室
   ９を有していることを特徴とする、特許請求の範
   囲第１項又は第２項に記載の搬送及び貯蔵容器。 ４ 減速管路３が容器外套１内に外套周辺に対し
   て少なくとも２列に配置されており且つ各減速管
   路３がそれぞれ他の列の減速管路の間に配置され
   ていることを特徴とする、特許請求の範囲第１乃
   至３項の１つに記載の搬送及び貯蔵容器。