JPS6316806Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はクランクシヤフトを垂直に支持したク
ランクシヤフト縦置型のエンジンのオイル潤滑構
造に係り、特にオイルスリンガの配置に工夫を施
してオイル潤滑の向上を図つたものである。

動弁機構を有するエンジンにあつては、一般的
にはクランクシヤフト、又はカムシヤフトからギ
ヤ駆動等によりオイルスリンガを増速させて高回
転せしめ、斯かるオイルスリンガの高回転により
掻き上げたオイルをミスト状とし、ピストンの往
復動による空気の移動を利用してエンジン全体の
潤滑を行つていた。

以上従来の構造によれば、増速機構を介してオ
イルスリンガを回転させていたため、部品点数が
多く、構造も複雑であつた。

ところで本出願人は先に実願昭56−162109号
（実公昭62−11290号公報参照）にてクランクシヤ
フトを垂直に支持したクランクシヤフト縦置型の
エンジンにおいて、カムシヤフトをクランクシヤ
フトのシヤフト部に直交してギヤ噛合せしめ、該
カムシヤフトの一端に平面視でクランクウエブの
回転軌跡平面の下方にラツプしない部位にオイル
スリンガを装着して成るエンジンを開示した。

ところがカムシヤフトは吸・排気バルブの開閉
タイミングを制御する関係上、クランクシヤフト
に対して1/2の回転速度で回転するため、斯かる
低回転を行うカムシヤフトに装着したオイルスリ
ンガの回転力そのものでは掻き上げたオイルの効
果的なミスト状化を図ることは困難であつた。

本考案は以上の点に鑑みて成されたもので、そ
の目的とする処は、クランクシヤフト縦置型のエ
ンジンにおいて、クランクシヤフトのシヤフト部
に直交してギヤ噛合するカムシヤフトに装着した
オイルスリンガにより掻き上げたオイルの効果的
なミスト状化を実現し、併せて以上を簡単な構成
で実現するようにしたオイル潤滑構造を提供する
にある。

斯かる目的を達成すべく本考案は、垂直に支持
したクランクシヤフトの下部シヤフト部に、これ
と直交して水平に支持したカムシヤフトをギヤ噛
合せしめるとともに、該カムシヤフトの一端寄り
部であつて、且つクランクシヤフトのクランクウ
エブの直下方の部位、換言すれば平面視でクラン
クウエブの回転軌跡平面の下方にラツプする部位
にオイルスリンガを装着し、該オイルスリンガの
回転により跳ね上げられたオイルを高速回転する
クランクウエブに付着させ、該クランクウエブの
回転でもつてオイルをミスト状化するように構成
したことを要旨としている。

以下に本考案の好適一実施例を添付図面に基づ
いて詳述する。

第１図はエンジンの縦断側面図、第２図は同縦
断正面図で左右の半部の截断部の位相を前後に異
ならせて示した図である。

エンジン１０は図面に示されるようにクランク
シヤフト３０を垂直に支持したクランクシヤフト
縦置型エンジン（バーチカルエンジン）であつ
て、そのシリンダ１６を水平に、クランクケース
１１を垂直に向けて成り、クランクケース１１
と、シリンダ１６を構成するシリンダブロツク１
７及びシリンダヘツド１８を全一体に鋳造してそ
のケースが成形されている。クランクケース１１
の上部にはシリンダ１６の基部から斜めにカツト
した開口部１２が形成され、この開口部１２は鋼
板プレス成形品から成るカバー２１で着脱自在に
覆われている。

シリンダ１６内にはピストン２３が摺動自在に
嵌装され、シリンダヘツド１８には前上方から斜
めに点火プラグ２５が装着され、同中央部には左
右２本の吸・排気バルブ２６，２６（第１図では
縦断側面のため１本）が配設されている。バルブ
２６のバルブステム２７は夫々のロツカーアーム
２８の一端に係合し、各ロツカーアーム２８の他
端にはブツシユロツド２９の先端が夫々係合し、
このブツシユロツド２９はシリンダ１６の下方で
あつて、シリンダブロツク１７及びシリンダヘツ
ド１８の下部に形成したブツシユロツド通路１９
内に挿通されており、又シリンダヘツド１８の前
方からは鋼板製のカバー２２が装着されている。

一方クランクケース１１には上方から垂直にク
ランクシヤフト３０が上下の軸受部１３，１４で
もつて回転自在に下部で片持ち支持され、クラン
クシヤフト３０は下部１本のシヤフト部３１、ク
ランクウエブ３５及びクランクピン３６とから成
る片持式をもつて構成されている。

斯かるクランクシヤフト３０のクランクピン３
６と前記ピストン２３のピストンピン２４とはコ
ンロツド４１にて連結され、クランクピン３６の
上端面にはストツパプレート３７がボルト３８及
び凹凸係合３９により装着され、このストツパプ
レート３７の装着によりコンロツド４１のクラン
クピン３６からの抜脱が防止されている。又スト
ツパプレート３７は気化器のスロツトル制御を行
うガバナ装置４６のホルダプレート４７と一体に
形成され、このホルダプレート４７はクランクシ
ヤフト３０の軸線上まで充分に延出し、その上面
に既知の如きガバナ装置４６をクランクシヤフト
３０と同芯をもつて載置している。

更に下部で片持ち支持されたクランクシヤフト
３０のシヤフト部３１の上下のジヤーナル３２，
３３間の軸周にはギヤ３４が形成され、一方クラ
ンクケース１１の上下の軸受部１３，１４間のシ
リンダ１６側には上記ギヤ３４が臨む凹所１５が
横設形成され、この凹所１５にカムシヤフト５０
を水平に横架配設し、このカムシヤフト５０に形
成したギヤ５１を上記ギヤ３４に直交噛合してい
る。このカムシヤフト５０のギヤ５１の両側には
カム５２，５２が形成され、夫々のカム５２に
は、前記ブツシユロツド２９の基端に連結され、
その通路１９の基端壁１９ａに形成したガイド孔
１９ｂに挿通したリフタ５３の基端が当接係合し
ている。

又クランクシヤフト３０のギヤ３４には、第２
図に示す如くカムシヤフト５０と略々同一平面上
に水平配設され、且つカムシヤフト５０と直交す
る如く配設した出力軸６０に形成されたギヤ６１
が直交噛合しており、斯くしてクランクシヤフト
３０から直接出力軸６０に取出された駆動力はク
ラツチ機構を介して当該エンジン１０を搭載した
芝刈機等の作業機の車軸に出力される。

以上の如く構成して成るバーチカルエンジン１
０のクランクケース１１の下方にはクランクシヤ
フト３０のシヤフト部３１の下端３１ａが突出し
て垂下され、実施例では芝刈機に用いるエンジン
のため、このシヤフト部下端３１ａにはホルダ４
２を介してブレード４３が装着されている。

そして本考案では、前記カムシヤフト５０の一
端寄り部にオイル掻き上げ用のオイルスリンガ７
０を装着するとともに、該オイルスリンガ７０を
クランクシヤフト３０のクランクウエブ３５の直
下方に配置した。

即ち第２図に示されるようにカムシヤフト５０
の一方のカム５２より外端部であつて、前記出力
軸６０と反対方向のシヤフト部５５の端部寄りに
オイルスリンガ７０の取付ボス部７１をピン結合
５６する。更にシヤフト部５５の外端から皿状の
ストツパリングプレート５７を装着してピン５６
の抜脱を防止し、クランクケース１１の側壁に形
成したカムシヤフト挿入窓１１ａにキヤツプ５８
を装着して該窓１１ａを閉じ、キヤツプ５８の中
央の軸受部５９にてシヤフト部５５の端部を軸支
する。この場合オイルスリンガ７０の取付ボス部
７１は半円より若干大きい欠円状を成し、クラン
クケース１１の開口部１２からオイルスリンガ７
０を入れ、カムシヤフト５０に嵌着して以上の組
付けが行われる。

斯かるオイルスリンガ７０の複数の羽根部７２
…は取付ボス部７１より軸方向に位置を異ならせ
てカム５２方向へ臨んでおり、しかもクランクウ
エブ３５の直下方、即ち該クランクウエブ３５の
回転軌跡平面の下方に平面視でラツプする部分に
位置している。

尚カムシヤフト５０の他端部はクランクケース
１１と一体の軸受部にて軸支されている。

而して垂直に支持した下部片持式のクランクシ
ヤフト３０のシヤフト部３１に直交してギヤ噛合
するカムシヤフト５０の一端寄り部にオイルスリ
ンガ７０を装着したため、クランクシヤフト３０
に対して1/2の回転速度で回転するオイルスリン
ガ７０によりクランクケース１１の底部から掻き
上げたオイルはミスト状化されずに跳ね上げられ
るが、オイルスリンガ７０の直上方にはこれの２
倍の高速回転を行つているクランクウエブ３５が
位置しているため、このクランクウエブ３５に一
旦オイルが付着し、その高速回転でもつてオイル
のミスト状化がなされ、更にピストン２３の往復
動によりミスト状化オイルをエンジン内に移動さ
せ、全体の潤滑を行うことができる。

以上の説明から明らかな如く本考案によれば、
バーチカルエンジンにおいて、クランクシヤフト
の下部シヤフト部に直交してギヤ噛合するカムシ
ヤフトの一端寄り部であつて、且つクランクウエ
ブの直下方の部位にオイルスリンガを装着したた
め、比較的低速で回転するオイルスリンガにより
跳ね上げたオイルをクランクウエブに付着させ、
高速回転を行う該クランクウエブの回転によりオ
イルのミスト状化を達成し、効率良くエンジン内
の潤滑を行うことができる。

又以上をカムシヤフトにオイルスリンガを設
け、これをクランクウエブの直下方に配設するだ
けで実現でき、カムシヤフトを利用しつつ増速機
構を必要とせず、簡易な構成で実現することがで
きる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので、第１図
はエンジンの縦断側面図、第２図は同縦断正面図
である。 尚図面中１０はエンジン、３０はクランクシヤ
フト、３１はそのシヤフト部、３５は同ウエブ、
５０はカムシヤフト、５２はそのカム、７０はオ
イルスリンガ、７２はその羽根である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. クランクシヤフトを垂直に支持したクランクシ
   ヤフト縦置型のエンジンにおいて、カムシヤフト
   を水平に支持して該カムシヤフトをクランクシヤ
   フトの下部シヤフト部に直交させてギヤ噛合せし
   めるとともに、上記カムシヤフトの一端寄り部で
   あつて、且つクランクシヤフトのクランクウエブ
   の直下方の部位にオイルスリンガを装着したこと
   を特徴とするエンジンのオイル潤滑構造。