JPS6315628Y2

JPS6315628Y2 -

Info

Publication number: JPS6315628Y2
Application number: JP1982148540U
Authority: JP
Priority date: 1982-09-29
Filing date: 1982-09-29
Publication date: 1988-05-02
Also published as: JPS5952255U

Description

【考案の詳細な説明】（産業上の利用分野）本考案は歯付ベルト、特に伝達応力が高く、か
つベルト歯部の剪断応力に対して優れた耐亀裂性
を有する歯付ベルトに関するものである。

（従来の技術）近年、歯付ベルトは、その機能の優秀性が認め
られて多分野に使用されつつあるが、高速回転、
高負荷、高温度などの苛酷な条件下だ使用される
ため、歯部材料の劣化が進み歯部の剪断亀裂が生
じ易く、歯部飛散してベルト破損を惹起するとい
う問題を有していた。

そのため、このような問題に対処し、これを解
決する手段として従来、ウーリー加工されたポリ
アミド繊維の織布や、伸度80％以上有する低配向
ポリエステリ繊維の織布、編布あるいは実開昭55
−22563号公報所載の如く耐熱性、耐摩耗性繊維
よりなる織布が歯形部表面に複数使用されてきた
が、何れも伸度が低く、かつ耐熱性に乏しかつた
り、熱時変形による可塑化のため歯形部とプーリ
ーの繰り返し接触により帆布が疲労劣化して摩耗
し、遂に帆布が切断するなどして歯形部の剪断亀
裂に至るという難があつた。

そこで、本考案者らは上記の如き難点を解消す
べく鋭意研究を重ね、さきに耐熱性の優れた芳香
族ポリアミド繊維を用いた編布の利用を提案し
た。

ところが、芳香族ポリアミド繊維は、フイラメ
ントであり、上記の難点に対しては、充分、実効
があるが、一方、使用に際し、歯形部ゴムとの接
着性が悪く、プーリーとの繰り返し接触によつて
帆布層と歯形部ゴム層との間の剥離を招き、これ
が帆布切断の一因となつてベルトライフを充分、
向上させるには至らなかつた。

（考案が解決しようとする問題点）かくして本考案は、前記歯形部の剪断亀裂を防
止すると共に、帆布と歯形部ゴムとの剥離を阻止
し、ベルトライフを増大せしめることを課題と
し、歯形表面被覆材料の構成を見出することによ
り改善された歯付ベルトを提供することを目的と
するものである。

（問題点を解決するための手段）即ち、本考案の特徴は、歯付ベルトの表面被覆
布の組成を考案することによつて前記課題を解決
するもので、高伸度を有するポリウレタン系繊維
と、耐熱性及び耐摩耗性を有する芳香族ポリアミ
ド繊維との混合使用を図り前者を芯とし、後者を
その周りに巻着せしめた混合コードによつて編織
してなる編織布でベルト歯形部表面を伸度の大な
る方を長手方向に配して被覆せしめた点にある。

ここで上記高伸度を有するポリウレタン系繊維
と、耐熱性および耐摩耗性を有する芳香族ポリア
ミド繊維との混合コードとは、例えば両繊維を引
揃え、又は合撚してコードとなすことも考えられ
るが、前者繊維、即ち高伸度を有するポリウレタ
ン系繊維のまわりに後者繊維を巻着してコアヤー
ン、カバリングヤーンとなすものであり、これに
よつて編織して布を形成する。

なお、芳香族ポリアミド繊維とは、ポリーＰ、
又はｍーベンズアミド又はポリーＰーフエニレン
テレフタルアミド、ポリーｍーフエニレンイソフ
タルアミドであるものを云う。

そして、上記の両種繊維は夫々、通常の手段に
よつ織成又は編成されて織布又は編布に形成さ
れ、、内側に一定ピツチの歯形を形成し、ピツチ
ライン位置に抗張体を埋設せしめたゴム製歯形ベ
ルトの、前記歯形部表面を覆つて被覆貼着され
る。このとき該編織布は伸度の大なる方をベルト
長手方向に配して被覆することが効果的である。

この場合、歯付ベルトを構成するゴムとしては
通常用いられるゴムであり、NB（天然ゴム）、
SBR（スチレン・ブタジエンゴム）、CR（クロロ
プレンゴム）、NBR（ニトリルゴム）、IIR（ブチル
ゴム）などの単一材もしくはブレンドならびにウ
レタンエラストマー（弾性体）などが含まれる。

（作用）かくして、このように前記高伸度を有する繊維
を芯とし、その周りに耐熱性、耐摩耗性を有する
繊維を巻着した混合コードで編織された編布又は
織布からなる帆布をベルト歯形部表面に被覆すれ
ば巻着による凹凸により歯形部ゴムとの接着は良
好となり成型時に必要な伸びは高伸度を有する繊
維で分担され、プーリーとの接触による疲労劣
化、摩耗に対しては耐熱性、耐摩耗性を有する繊
維で分担されて、さきに問題点とされていた歯形
部ゴム層との接着が改善される外、プーリーとの
接触によつても編織帆布層と歯形部ゴム層との間
が剥離し難く、しかも耐熱性、耐摩耗性を有する
繊維の存在から帆布との耐亀裂性も改善され、ベ
ルトライフを大巾に向上させることができる。

特に編織布の伸度大なる方をベルト長手方向に
配することはプーリーの繰り返し接触による疲労
を軽減する上に頗る有利である。

（実施例）以下、本考案に係る歯付ベルトの実施例を添付
図面により説明する。

図は、本考案に係る歯付ベルトの１例を示す部
分横断斜視図で、図において、ａはベルト本体、
１はガラス繊維、カーボン繊維、芳香族ポリアミ
ド繊維などよりなる低伸度高強力の繊維抗張体ロ
ープで、ベルトの伸長ゴム層２中のピツチライン
位置に並列状に埋設され又、３は歯形部ゴムで前
記伸張ゴム層２と一体化されている。そして前記
歯形部３の表面には、本考案の特徴をなす耐熱
性、耐摩耗性、接着性のすぐれたゴム付伸縮性帆
布４が被覆貼着されている。この帆布４は図にお
いては、高伸度を有するポリウレタン系繊維と、
耐熱性及び耐摩耗性を有する芳香族ポリアミド繊
維を用いて編成したもので、図の如き編布になつ
ており、伸度の大きい方をベルト長手方向に配置
して被覆がなされている。

しかし、この編布は、織布をもつて代替しても
同効である。そして、編織布を編成又は織成する
糸の態様は前述した通りであり、高伸度を有する
繊維、耐熱性及び耐摩耗性を有する繊維は前述し
た繊維よりなる。

なお、上記両繊維からなる帆布４は、通常は、
１プライ被覆で充分であるが、ベルト駆動の条件
により複数層にすることもあり、これによりベル
ト歯形部をより強固とすることが出来る。

（考案の効果）以上の如く、本考案歯付ベルトは、耐熱性、耐
摩耗性良好な芳香族ポリアミド繊維を高伸度を有
するポリウレタン系繊維の周りに巻着した混合コ
ードで編織された編織帆布をベルト歯形部表面に
貼着一体化せしめた歯付ベルトであり、外周は芳
香族ポリアミド繊維により耐熱性はもとより耐摩
耗性にも優れると共に巻着により接着性にもすぐ
れており、耐疲労化による耐摩耗性が向上し、従
来の課題とされた歯部の剪断亀裂を充分防止する
ことができるのみならず、芯部のポリウレタン系
繊維高伸度により成型時の伸びは確保されベルト
ライフをも著しく増大せしめるすぐれた効果を奏
し、高速回転、高負荷、高温度などの苛酷な条件
下で使用される歯付ベルトとして頗る好適で、今
後における使用が大いに期待される。

なお、本考案は、歯付ベルトの外、歯形部の耐
剪断亀裂性が要求されるコグ付ベルトにも適用可
能である。

【図面の簡単な説明】

図は本考案に係る歯付ベルトの部分横断斜視図
である。ａ……ベルト本体、１……抗張体ロープ、２…
…伸張ゴム層、３……歯形部、４……帆布。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

内側に一定ピツチの歯形を形成し、ピツチライ
ン位置に抗張体を埋設せしめたゴム製歯付ベルト
において、前記歯形表面を覆つて高伸度を有する
ポリウレタン系繊維を芯として、その周りに耐熱
性及び耐摩耗性を有する芳香族ポリアミド繊維を
巻着せしめた混合コードよりなる編織布を伸度の
大なる方を長手方向に配して被覆貼着せしめたこ
とを特徴とする歯付ベルト。