JPS6315372Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、仮設型防舷装置に関するものであ
り、更に詳しくは一時的に大型船舶用繋留岸壁と
して中小規模の岸壁施設を使用する場合、該大型
船舶の舷側部防護部材として機能し得る着脱自在
な仮設型防舷装置に関するものである。

(イ) 従来技術 既存の中小規模の岸壁を短期間または臨時にフ
エリーボートや貨物船等の大型船舶用繋留岸壁と
して使用する場合がある。この場合、繋留すべき
船舶の寸法殊に舷側の高さが岸壁の高さと適合し
ない為、既設の防舷材はその本来の機能を殆んど
発揮することができない。一方、斯かる中小規模
の岸壁は、立地条件上の制約から大型船舶用の防
舷装置を常設する程の余地を殆んど持ちあわせて
おらない。この為、岸壁規模に適合しない大型船
舶を繋留しようとすると、該船舶の舷側部に岸壁
との衝突、擦過に起因する損傷が発生する場合が
あり、斯かる不都合の回避が強く要望されてい
た。

(ロ) 考案の目的 本考案の主要な目的は、在来の中小規模岸壁構
造物、特にその防舷装置に認められた上記の如き
問題点を全面的に解消し得る仮設型防舷装置を提
供することにある。

本考案の他の主要な目的は、比較的安価な設備
投資で大型船舶に対し良好な舷側部防護性能を発
揮し得る仮設型防舷装置を提供することにある。

(ハ) 考案の構成 本考案は、繋留すべき船舶と対向する受衝板１
の前面部全域に亘り低摩擦性受衝パツド２を備え
る一方、該受衝板の少なくとも下半部にゴム製防
舷材３を備え、且つ、該受衝板の後面上端部に岸
壁構造物４に対して着脱自在な仮設用枠部材５を
配置してなる仮設型防舷装置を要旨とするもので
ある。

(ニ) 実施例 第１図および第２図は本考案に係る仮設型防舷
装置を例示する一部破断正面図である。

これらの図面に於いて低摩擦性受衝パツド２
は、テフロン（テトラフルオロエチレン）、ナイ
ロン（ポリアミド）、ポリエチレン等の低摩擦性
プラスチツクで構成され、繋留すべき船舶と対向
する受衝板１の前面部全域に亘りタイル張り状に
固着されている。前記受衝パツド２は、船舶の舷
側が接触した場合に、その衝撃エネルギーを吸収
し、且つ、舷側にスクラツチを生ぜしめない材質
を選択する必要があり、適度の弾性と低摩擦性を
有するプラスチツク材料が好適である。受衝パツ
ド２の形成材料として硬質ゴムも使用することが
できるが、硬質ゴムはプラスチツクより摩擦係数
が高いので、低摩擦性受衝面を形成する為、表面
にプラスチツクシートを接着し、或いは減摩性塗
料を塗布する等の表面加工を施すことが好まし
い。また、受衝パツド２の衝撃エネルギー吸収能
を同上せしめる為、受衝パツド２と受衝板１の間
にゴム板製の緩衝部材（図示せず）を間挿しても
よい。

受衝板１としては、普通、鋼板から組立てられ
たフレームが使用されるが、仮設時の運搬作業を
容易化する為、前者に比較して軽量の木製フレー
ムも使用することができる。

受衝板１の後面の少なくとも下半部には適当な
配設間隔でゴム製防舷材３が固着されており、該
防舷材は受衝板１に与えられた衝撃エネルギーを
吸収して船舶および岸壁構造物４の破損を防止す
る。防舷材３は、第１図および第２図に例示する
略Ｖ字状断面を有するもののほか、公知の筒状防
舷材も使用可能である。

また、受衝板１の後面上端部には、岸壁構造物
４に対して着脱自在な仮設用枠部材５が配置され
ている。仮設用枠部材５は、第１図に示す実施態
様に於いては、複数枚の三角形状鉄板を所定の配
設間隔を維持して受衝板１の後面上部に固着した
ものとして例示されている。図示する如く、仮設
用枠部材５は、その底面に抉り込まれた凹部６
を、岸壁構造物４の上面に敷設固定されている係
止レール７と着脱自在に係合させている。該仮設
用枠部材５ならびに前記受衝板１は、通常の状態
では分解して適当な収納場所に格納されており、
大型船舶を繋留する必要が生じたときに一体構造
に組立てチエーン１０により岸壁構造物４に固着
して仮設する。前記仮設用枠部材５の構成部材で
ある三角形状鉄板は、大型船舶接舷時に前記受衝
板１が受ける衝撃エネルギーを緩和し得るよう
に、該三角形状鉄板の底面先端部分と岸壁構造物
４の上面との間に若干の隙間８を残存させてい
る。この隙間８は、受衝板１の上端部が船舶の舷
側によつて押圧され、防舷材３を固着した受衝板
１が係止レール７を回転中心として揺動する際
に、前記防舷材３に働らく曲げ応力と挫屈応力を
緩和するエネルギー吸収域として機能するもので
あつて、岸壁構造物４との対向面にゴム製緩衝材
８′を固着している。

また、第２図に示す実施態様に於いては、Ｕ字
状横断面を有する鋼板製フレーム内に適当な間隔
を置いて複数枚の鋼板製仕切板を熔接した仮設用
枠部材５が使用されている。該仮設用枠部材５
は、締付ボルト９によつて岸壁構造物４に固着さ
れており、一方、受衝板１は、該仮設用枠部材５
ならびに岸壁構造物４に固定端を有するチエーン
１０によつて懸垂支持されている。該チエーン１
０によつて懸垂支持された状態で、受衝板１の上
端に固着され仮設用枠部材５の上面に向つて延び
る支持板１１は、前記仮設用枠部材５との間に前
記第１の実施例同様の隙間８を残存させている。

好ましい実施態様に於いては、支持板１１の下
面にはプラスチツク材料製の緩衝材８′が固着さ
れ、前記隙間８を維持している。この実施例に於
いても仮設用枠部材５ならびに受衝板１は、不要
時、チエーン１０ならびに締付ボルト９による固
着状態を解除して岸壁構造物４から徹去し、適当
な収納場所に格納する。

(ホ) 考案の効果 以上の説明に明らかな如く、本考案に係る仮設
型防舷装置は、大型船舶繋留時のみ仮設すること
によつて中小規模の岸壁を大型船舶繋留用岸壁に
転換することができる。従つて、本考案は、比較
的少額の設備投資で大型船舶繋留施設を提供し得
るものとして極めて高い実用価値を有する。ま
た、本考案装置は大型船舶に対して優れた防舷性
能を有するのみならず、不要時には分解して格納
することができるから、中型もしくは小型船舶に
対する繋留機能も何等損われない。よつて、本考
案は岸壁施設の繋船能力向上手段を提供するもの
として極めて大きな利益を期待し得るものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は本考案に係る仮設型防舷
装置を例示する一部破断正面図である。 １……受衝板、２……低摩擦性受衝パツド、３
……ゴム製防舷材、４……岸壁構造物、５……仮
設用枠部材、６……凹部、７……係止レール、８
……隙間、８′……緩衝材、９……締付ボルト、
１０……チエーン、１１……支持板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 繋留すべき船舶と対向する受衝板の前面部全域
   に亘り低摩擦性受衝パツドを備える一方、該受衝
   板の少くとも下半部にゴム製防舷材を備え、且
   つ、該受衝板の後面上端部に岸壁構造物に対して
   着脱自在な仮設用枠部材を配置してなる仮設型防
   舷装置。