JPS6315368Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、ゴム製岸壁保護装置、特に岸壁上を
走行する車輌が海中へ転落するのを防止するため
のカーストツパーと、船舶の衝突による岸壁およ
び船舶自体の破損を防止するためのコーナー保護
具とを一体的に形成してなるゴム製岸壁保護装置
に関する。

従来岸壁では、船客の送迎や荷役作業のため走
行している車輌が誤つて海中へ転落するのを防止
するため、岸壁の辺縁に沿つてコンクリート製の
車止め（カーストツパー）が設置されているが、
このカーストツパーは重量車輌や荷役機械類の衝
突により破損されることが多い。

そのため、破損個所の補修もしくは取替工事を
容易にする目的のほか、新規カーストツパー設置
工事の簡略化の目的で、プラスチツク製カースト
ツパーが使用されるようになつたが、このものは
重量車輌や重量荷物の落下、衝突に遇うと、意外
に脆く簡単に破壊されることが判つた。これは前
記のごとき強大な衝撃力が繰り返し加えられる上
に、長期間設置されている間に紫外線の照射や塩
水、油の付着などにより、その物性が経時的に劣
化するためと推測される。

上記欠点を解消するため、コンクリート製カー
ストツパーの表面を金属板やプラスチツク板の成
型物で覆つたものも嘗て提案された。しかし、こ
の構造物はそれ自体の破損を防ぐことはできる
が、これに衝突する相手方の物品（荷役機械類や
梱包類）を破損させる。結局、本カーストツパー
は自体堅固であると同時に、ある程度の緩衝機能
を持つことが望ましい。

一方、最近殆どの岸壁にはそれ自体および船舶
の破損を防止するため、ゴム製の防舷材が設置さ
れている。しかし、比較的大型の船舶に交じつて
漁船のごとき小型船舶が着岸する岸壁では、大抵
の場合該船舶は岸壁に向かつて舳先から着岸する
ため、潮の干満の影響もあるが、折角設置された
ゴム製防舷材がなんの役にも立たず、該船舶の舳
先の衝突により、特に岸壁の上端角部分が破損す
る。そのため従来、岸壁の前記角部分にゴム製の
コーナー保護具が設置されている。

一般に、以上のカーストツパー、コーナー保護
具およびゴム製防舷材の総てを設置された岸壁施
設は少ない。しかし、施設保全の見地から云え
ば、前記部材の全部を備えていることが好ましい
が、従来は総てが別個に製造されているため、比
較的大型のこれら部材を別々に取り付けるには手
間が掛かり過ぎる上、費用もそれだけ高くなる。
そのため、有用であることが判つていても、これ
ら部材を総て設置する岸壁が少ないのが現状であ
る。

そこで本考案は、上記の欠点を解消し、取付け
の手間が簡単で、岸壁施設の保全に貢献し得る岸
壁保護装置を提供するもので、その骨子は、自体
堅固であると同時に緩衝機能を備えるカーストツ
パーと、ゴム製コーナー保護具とを一体的に形成
した構造に在る。なお、ゴム製防舷材について
は、岸壁施設の規模や対象船舶の瓲数により適応
する防舷材の型式や大きさが著しく異なるため、
これを前記部材と一体化することは、却つて本案
装置の製造を複雑にし、また取付けを困難にし兼
ねないので、本考案では除外する。

本案装置のカーストツパー部分は、逆Ｕ字状の
山形鋼材をゴム弾性材で被覆するか、もしくは前
記鋼材をゴム弾性材中に埋設して構成される。こ
の構成であれば、心材としての鋼材により外部か
らの衝撃に充分耐え得ると共に、表面のゴム弾性
材により衝撃力を緩和して相手物品の損傷をも防
止することができる。

本案装置はまた、上記カーストツパー部に連続
して該部と同質のゴム弾性材により断面形状が逆
Ｌ字状を呈するごとく一体的に形成されたコーナ
ー保護部を備える。この保護部は、本案装置が岸
壁に取り付けられた時、岸壁の上端角部および該
部に続く上部を覆う（第１図参照）。

上記カーストツパー部の底部の不連続端部、す
なわちコーナー保護部と連続する端部と反対側の
端部（第１図の符号４参照）、及び前記コーナー
保護部の不連続端部、すなわち前記カーストツパ
ー部と連続する端部と反対側の端部（第１図の符
号７参照）には、それぞれボルト挿通孔が穿た
れ、これらボルト挿通孔には、本案装置を岸壁に
取り付けるとき、予め岸壁に埋め込まれているア
ンカー・ボルトが挿通される。このボルト挿通孔
は、必要に応じてカーストツパー部とコーナー保
護部との連続部分にも形成されてよい。

本案装置は、以上のごとくカーストツパー部及
びコーナー保護部が一体的に構成されているの
で、各ホルト挿通孔にそれぞれアンカー・ボルト
を差し込んで本装置を岸壁の上端角部に載置した
後、各ボルトに対しナツトを螺合させて、これを
締付ければ、前記各保護部材を一時に、かつ簡単
に岸壁へ設置できる。しかも本案装置では、カー
ストツパー部が中空の鋼材により補強されている
ため、極めて堅固で、かつ比較的軽量である上、
該鋼材の表面をゴム弾性体で被覆されているた
め、該鋼材を海水による腐蝕や酸化腐蝕から保護
し、かつ衝撃による本部材自体および相手物品の
破損を防止できる。

以下本考案の実施例について説明する。

第１図は、本考案の一実施例による岸壁保護装
置の一部を断面で示す斜視図である。本例装置１
は、逆Ｕ字状の型鋼２を埋設されたゴム弾性材３
からなる中空のカーストツパー部Ａと、該部Ａ
の、図上向かつて右方へ水平に延びる底部５から
一体的にゴム弾性材３により形成された、断面形
状が逆Ｌ字状を呈するコーナー保護部Ｂとから構
成される。

カーストツパー部Ａは、図面上左方へ水平に延
びる底部４に型鋼２を通して複数個のボルト挿通
孔６……を穿たれている。ただし、図面上１個の
該孔６のみが図示され、他の孔６は隠れている。

コーナー保護部Ｂは、岸壁ｐに沿つて下方へ延
びる端部７にボルト挿通孔６が穿たれている。

本例保護装置は、以上のとおりカーストツパー
部Ａおよびコーナー保護部Ｂを一体的に形成され
ているから、前記コーナー保護部Ｂが岸壁ｐの上
端角部に当接するごとく載置し、かつカーストツ
パー部Ａの左方底部４のボルト挿通孔８及びコー
ナー保護部Ｂの下端７のボルト挿通孔６へ夫々挿
通されたアンカー・ボルト８にナツト９を螺合さ
せて締付ければ、前記各部材Ａ及びＢが同時的に
設置される。しかも、カーストツパー部Ａは、ゴ
ム弾性材３で被覆された型鋼２からなる中空体で
あるので、軽量で、コスト的にもより低廉とな
り、堅牢であるうえ緩衝能力も備えている。さら
に、漁船のごとき小型船舶が舳先から着岸してき
た場合、該舳先の衝突による岸壁および舳先自体
の損傷をゴム製のコーナー保護部Ｂの緩衝作用に
より有効に防止できる。

第２図は、本考案の別な実施例による岸壁保護
装置の第１図と同様な斜視図である。本例におい
ては、コーナー保護部Ｂが、カーストツパー部Ａ
の図面上右側の底部５から該部Ａの右側壁の延長
平面上に延びて一体的に形成されている点を除き
前例と同様である。

本例装置によれば、岸壁ｐのコーナー部がより
有効に保護される。

本考案は、以上のとおり人員及び器物に対する
危害を有効に排除しうる岸壁保護装置を提供し、
岸壁の保全機能の改善に寄与する。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の一実施例による岸壁保護装
置の一部を断面で示す斜視図、第２図は、別な実
施例による岸壁保護装置の第１図と同様な斜視図
である。各図において符号の意味は以下の通り。 Ａ；カーストツパー部、Ｂ；コーナー保護部、
１；装置全体、２；型鋼、３；ゴム弾性材、４；
Ａの左方底部、５；Ａの右方底部、６；ボルト挿
通孔、７；Ｂの下方端部、８；アンカー・ボル
ト、９；ナツト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 逆Ｕ字状鉄板と該鉄板を埋設し、もしくは該鉄
   板の表面に被着されたゴム弾性材とからなるカー
   ストツパー部及び前記カーストツパー部の底部の
   一側方から一体的にゴム弾性材により形成された
   Ｌ字状断面形状を有するコーナー保護部から構成
   されていることを特徴とする岸壁保護装置。