JPS6314604Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 【産業上の利用分野】

本考案は、被脱穀物を茎稈ごと全量供給して脱
穀する脱穀機に関するものである。

【従来の技術】

この種の脱穀機として、いわゆる直流式スレツ
シヤタイプのものが周知である。

【考案が解決しようとする問題点】

従来のこのタイプの脱穀装置においては、扱室
での被脱穀物の滞留時間が短いので、脱穀された
穀粒の全量が受網から漏下できず、排稈口より排
出される茎稈の中に相当量の穀粒が残つて脱穀ロ
スとなつている。この脱穀ロスとなる穀粒を回収
するためには、扱室から排出される全茎稈を選別
して排稈と穀粒に分ける必要があり、選別装置も
ストローラツク、揺動シーブ等、複雑で大型化
し、重量の重いものとなつている。また、従来型
のスレツシヤは直流式であるので、脱穀処理能力
を大きくするには、扱胴径を大きくするか、また
は複胴（ダブルシリンダ）等にして対応させてい
るが、これらにも限度があつた。

【問題点を解決するための手段】

本考案は前記の問題点を解決すべくなされたも
ので、外周部に受網を張設し、軸線方向一側に被
脱穀物の全量を供給する供給口、他側に脱穀排稈
を機外に排出する排出口を有する扱室と、この扱
室内に軸架され、被脱穀物を脱穀しながら脱穀排
稈排出口側に移送する軸流式の扱胴と、前記扱室
の下側に設けられ、一端に処理排稈を排出する排
出口を有する選別室と、この選別室内に軸架され
た軸流式の選別用スクリユーオーガと、スクリユ
ーオーガの下側に設けた選別網のさらに下方に設
けられた風力選別装置とを備えてなることを特徴
とするものである。

【作用】

前記のように構成することによつて本考案の脱
穀機は、茎稈ごと全量供給された被脱穀物の脱穀
および脱穀排稈と穀粒との選別を良好にし、さら
に、受網から漏下する被選別物の選別を効率よく
行い、しかも簡単な構造で軽量化でき、脱粒性難
の作物や水分条件等で脱粒し難い作物等には、軸
方向に扱室（扱胴）、選別室等を長くするだけで
対応できる。

【実施例】

以下、図面を参照して本考案の一実施例を説明
する。 図において、符号１は軸線をほぼ水平横方向に
設けた円筒状の扱室で、その外周面の下半分には
受網２が張設されている。この扱室１の左側端は
脱穀機のケーシング３で閉鎖され、右側端の下部
には、ケーシング３の一部を開口して脱穀排稈排
出口４が設けられている。扱室１のケーシング３
の左側端上部には、被脱穀物の全量を供給する供
給ホツパ５を設けている。このような扱室１内に
は、左右両側のケーシング３，３間に、扱胴６が
扱室１内に位置して扱胴軸６ａを軸架して回転自
在に設けられている。この扱胴６には、その周面
に立設した螺旋扱歯７と、この螺旋扱歯７の左側
端部および右側端部に位置して、相隣る扱歯７，
７間に、両扱歯を連結するようにして設けた複数
の板状扱歯８と、螺旋扱歯７の中間部に位置する
相隣る扱歯７，７間に設けた複数の独立扱歯９と
が設けられている。 前記扱室１の下側には、扱室１、扱胴６の軸線
方向に沿つて選別室１０がケーシング３により形
成され、その右側端下部に処理排稈排出口１１が
開口している。選別室１０の底部全域に選別網１
２が張設され、この選別網１２の上側には、前記
扱室１および扱胴６の軸線とほぼ平行に、選別用
スクリユーオーガ１３が回転軸１３ａをケーシン
グ３，３間に回転自在に軸支して設けられてい
る。 また、選別室１０の下側には、風選機構１４が
設けられている。この風選機構１４は、その長手
方向に沿う一側に唐箕フアン１５を設け、このフ
アン１５と対向する他側に排塵口１６を設けて、
選別室１０の選別網１２を漏下した穀粒と微細な
排塵物とを、排塵物のみを排塵口１６から排出し
て穀粒を落下させるようにしている。穀粒の落下
位置には穀粒収容溝１７が設けられ、適宜な手
段、例えばスクリユーコンベヤで穀粒を機外に排
出するようにしている。なお、符号１８は、前記
扱胴軸６ａ、回転軸１３ａおよび唐箕フアン１６
の回転軸１５ａの左側端に、ケーシング３外にお
いて取付けられたベルト伝動系である。 なお、前記受網２の網目の大きさは、選別網１
２の網目よりやや大きくしてあり、また、扱室
１、扱胴６、選別室１０、選別用スクリユーオー
ガ１３、風選機構１４等は、その長さを必要に応
じて長く、あるいは短く設定してもよいものであ
る。 また、前記螺旋扱歯７の形状、高さ、ピツチ等
は被選別物の種類に応じて変えることができ、ま
た、この扱歯７は連続したものに限らず他の形状
にしてもよいものである。さらに、供給ホツパ
は、扱室上方に限らず他の位置にしてもよいもの
である。 このような構成の脱穀機においては、供給ホツ
パ５から、例えば豆類ような被脱穀物Ａが茎稈ご
と全量扱室１に供給され、ベルト伝導系１８を介
して所定方向に回転する扱胴６によつて、被脱穀
物Ａは、螺旋扱歯７により脱穀作用と送り作用を
受け、脱穀排稈排出口４側に移動する。この移動
の間に、板状扱歯８が脱穀作用と共に受網２上に
滞留する被脱穀物を掻上げ、受網２の目詰りを解
消し、脱穀粒の漏下を助長する。また、独立扱歯
９は、脱穀作用をさらに良くし、被脱穀物の集団
をほぐして穀粒と脱穀排稈の分離を助長する。脱
穀の終つた排稈Ｂは脱穀排稈排出口４から機外に
排出されるが、この脱穀排稈Ｂ中には穀粒はほと
んど混入していない。 受網２を漏下した脱穀粒Ｃ中には、扱室１内で
発生した短い茎稈、莢穀等の夾雑物が混入してお
り、この脱穀粒Ｃは、スクリユーオーガ１３によ
り処理排稈排出口１１に向け移動され、選別網１
２との間で選別処理されて脱穀粒と夾雑物とを分
離し、選別網１２を漏下して風選機構１４に落下
する。選別網１２を漏下しなかつた比較的大きな
夾雑物は、処理排稈排出口１１から処理排稈Ｄと
して機外に排出される。風選機構１４に落下した
穀粒と微細な排塵物は、唐箕フアン１５からの選
別風で選別され、排塵物は排塵口１６から機外に
放出され、穀粒Ｇは穀粒収容溝１７に収容され
る。この穀粒Ｇは、選別室１０での選別および風
選機構１での風選によつて、夾雑物のないきれい
なものになつている。

【考案の効果】

このように本考案の脱穀機によれば、扱室の供
給口から供給された被脱穀物の全量を扱胴により
軸線方向に沿い脱穀排稈排出口に向け移動しなが
ら脱穀し、脱穀排稈は排出口から排出するので、
被脱穀物を比較的長時間脱穀して、能率よく、か
つロスを少くして脱穀することができる。 また、扱室受網から漏下した穀粒および付着粒
等を選別室において選別網上をスクリユーオーガ
で移動しつつ選別し、処理排稈はその排出口から
排出するようにしたので、能率がよく精度の高い
選別作業を行うことができる。 さらに、選別室の選別網から漏下した穀粒は、
風力選別装置により選別して穀粒のみを収容する
ことができる。 さらにまた、扱室および選別室ともに軸流式な
ので、脱粒性が難、または含水率の高い作物等を
脱穀する場合には、扱室、扱胴、選別室、スクリ
ユーオーガ等を長くしたものを用意すればよく、
従来の直流式のスレツシヤタイプのものに比べ、
機構の簡素化、軽量化を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示し、第１図は縦断
側面図、第２図は、第１図の−線断面図であ
る。 １……扱室、２……受網、３……ケーシング、
４……脱穀排稈排出口、５……供給ホツパ、６…
…扱胴、１０……選別室、１１……処理排稈排出
口、１２……選別網、１３……選別用スクリユー
オーガ、１４……風選機構、１５……唐箕フア
ン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 外周部に受網を張設し、軸線方向一側に被脱穀
   物の全量を供給する供給口、他側に脱穀排稈を機
   外に排出する排出口を有する扱室と、この扱室内
   に軸架され、被脱穀物を脱穀しながら脱穀排稈排
   出口側に移送する軸流式の扱胴と、前記扱室の下
   側に設けられ、一端に処理排稈を排出する排出口
   を有する選別室と、この選別室内に軸架された軸
   流式の選別用スクリユーオーガと、スクリユーオ
   ーガの下側に設けた選別網のさらに下方に設けら
   れた風力選別装置とを備えてなる脱穀機。