JPS6314416Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はトランスに関し、特にいわゆるOI型
鉄心トランスを薄型構造とし、しかも口出線の導
出を容易にし、かつ口出線と鉄心との間に高耐圧
および規定の空間沿面距離を確保しうるようにす
るものである。

例えば特公昭56−46244号に開示されているよ
うに、OI型鉄心トランスは電磁鋼帯を環状に巻
成層した２個の鉄心と、この２個の環状巻鉄心の
側端面のほぼ中央にはさまれる形に配置される短
冊形電磁鋼板の積層された直方体鉄心により構成
され、中央の直方体鉄心の部分に巻線を設置され
た構造を有するものであり、方向性電磁鋼板の性
能を有効に利用し、漏洩磁束が少なく、しかも電
圧変動率の低い高性能が得られ、カツトコアトラ
ンスやトロイダルトランスに比して巻線作業が容
易で、低価格なトランスとして適していることが
知られている。

しかしながら、このような構造では、特に巻線
口出線引出し部およびその口出線と外部引出線の
接続部分等が環状鉄心の一部に近ずきやすい構成
となり、充電部と鉄心間の高耐圧確保や沿面、空
間距離確保のため希望の寸法、形状のものを作る
上で障碍となり、余分な作業を要し、大型となる
ため不経済な面があつた。特に、最近要望の強い
薄形扁平型状のトランスにおいては、口出線引出
し部は環状鉄心２個にはさまれた狭い空間を利用
せざるをえないので、口出線と鉄心間の耐電圧と
沿面、空間距離の確保、口出線相互間の絶縁距離
確保が不可能なことがあつた。

従つて、本考案は上述のごとき従来技術の問題
点を一掃しうるように構成された新規にして改良
された構造を有するトランスを提供することを目
的とするものである。

以下図面を参照して本考案の実施例につき説明
しよう。

第１図Ａは本考案の実施例によるトランスを部
分的に破断して示す概略的な一部断面平面図であ
り、第１図Ｂはそれの端面図である。このトラン
スは、電磁鋼帯を環状に巻成層として２個の鉄心
２０ａ，２０ｂと、この２個の鉄心２０ａ，２０
ｂの側端面のほぼ中央にはさまれる形に配置され
る短冊形電磁鋼板の積層された直方体鉄心２１
と、その短冊形鉄心２１に巻装された一次、二次
コイル２２ａ，２２ｂとを具備している。

第２図を参照すると、本考案による一次巻線用
の内側（下巻）ボビンが数字１で示されており、
この内側ボビン１はその両側に一対の鍔２ａ，２
ｂが設けられている。本考案によれば、これら一
対の鍔２ａ，２ｂのうちの少なくともいずれか一
方に、図示の実施例では鍔２ａにそれの縁側から
内方に向つて延長して形成された予め定められた
個数の口出線用切込溝４が設けられ、さらに、鍔
２ａの内縁に沿つて延長された板部３０とこの板
部３０の両端から鍔２ａの外縁に向つて延長され
た両側板部３１，３１とによつてコ字状に形成さ
れた衝立３が、上記溝４が設けられた部分を取囲
むように立設されている。

また、第２図には、矢印で示されている方向か
ら前記内側ボビン１を挿嵌しうるようになされた
外側ボビンが数字５で示されており、この外側ボ
ビン５はその両端に一対のの鍔６ａ，６ｂが設け
られており、これらの一対のの鍔６ａ，６ｂのう
ちの少なくともいずれか一方に、図示の実施例で
は内側ボビン１に対応して鍔６ａに、その内側ボ
ビン１の衝立３が嵌入突出しうるようになされた
切欠部８が設けられ、その切欠部の両側に一対の
衝立壁９が互いに平行離間関係をもつて設けられ
ている。この衝立壁９，９は、外側ボビン５に内
側ボビン１が嵌挿された場合、内側ボビン１の鍔
２ａに立設されている衝立３の側板部３１，３１
に重なるように近接対向する面３２，３２を備え
ている。なお、７は一次巻線（下巻）と鉄心間の
空間、沿面距離と高耐電圧を確保するための絶縁
部分であり、１４は一次（下巻）と二次（上巻）
間の絶縁および二次巻線のボビンである。

第３図は本考案による外側ボビン５の実施例を
示す要部拡大斜視図であり、この場合には、切欠
部８に衝立壁９間の鍔部平面１０よりの延長突出
部１０′が設けられており、その部分１０′とそれ
に隣接した衝立壁９との間に、前述のごとくして
内側ボビン１に外側ボビン５を挿嵌した場合にそ
のボビン１に設けられた衝立３が嵌入しうるよう
になされた切込み１２が設けられている。このよ
うに、鍔部平面１０を延長して上述の突出部１
０′を設けると、それを巻線と口出線との間の絶
縁手段として利用できるという利点が得られる。

また、本考案においては、第３図において数字
１１で示されているように、前記一対の衝立壁９
の間であつて前記平面部分１０，１０′に内側仕
切または突片を設けてもよい。なお、第３図には
それらの内側衝立と突片とが並べて図示されてい
るが、これはあくまで図示の便宜上そのように図
示されているにすぎないものであつて、それらは
いずれか一方でもよくあるいは両方でもよい。こ
ののような内側仕切または突片１１を設けること
により、前記平面部分１０，１０′に口出線相互
間の沿面空間距離と確実な位置決めを確保するこ
とができる。また例えば第１図Ａからわかるよう
に、本考案においは、外側ボビン５の平面１０ま
たは衝立壁９に保持手段１３を設けかつそれによ
り保持せしめて絶縁板１５を設け、この絶縁板１
５の上面に沿つて、巻線口出線を外部引出しリー
ド線または端子部に導くようにしてもよい。さら
にまた、外側ボビン１５の衝立壁９に隣接または
絶縁板１５の上および２個の環状巻線鉄心の少な
くとも２面を囲む絶縁カバー１７を設け、これに
より一次側充電部と鉄心間の沿面、空間距離を確
保するようにしてもよい。

以上の説明から理解されるように、冒頭におい
て述べたOI型鉄心トランスでは巻線のすぐそば
に環状鉄心が存在していて、その鉄心に巻線口出
線が接近せざるをえない構造であること、および
その構造が薄型に構成されているがために、巻線
口出線の導出空間が狭くならざるをえないが、本
考案によれば、そのような狭い導出空間であつて
も、口出線の導出が容易であり、特に内側ボビン
１の衝立３の側板部３１，３１が外側ボビン５の
衝立壁９，９の面３２，３２に近接対向している
ことと相俟つて、口出線と鉄心との間に高耐圧お
よび規定の空間沿面距離を確保することができる
とともに、口出線を外部端子やリード線に接続し
やすく、かつ口出線相互間のおよび口出線と巻線
との間の空間距離を確保し、シヨート事故を防止
できる構造が実現され、しかもその構造は前述の
ごとく単に内側ボビンを外側ボビンに挿嵌するだ
けで組立てられうるものであるから、組立が容易
でかつ全体として非常に簡単なものとなしうる等
の種々の実益を奏しうるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図Ａは本考案の一実施例によるトランスを
示す断片的な一部断面平面図、第１図Ｂはそれの
端面図、第２図は本考案による内側および外側ボ
ビンの一例を示す斜視図、第３図は前記外側ボビ
ンの要部を示す拡大斜視図である。 図面において、１は内側ボビン、２ａ，２ｂは
鍔、３は衝立、５は外側ボビン、６ａ，６ｂは
鍔、７は絶縁部分、８は切欠部、９は衝立壁、１
０，１０′は平面部分、１１は内側仕切または突
片、１３は保持手段、１５は絶縁板、１７は絶縁
カバーである。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 電磁鋼帯を環状に巻成層とした２個の鉄心２
   ０ａ，２０ｂと、この２個の環状巻鉄心２０
   ａ，２０ｂの側端面のほぼ中央にはさまれる形
   に配置される短冊形電磁鋼板の積層された直方
   体鉄心２１により構成され、中央の直方体鉄心
   ２１の部分に１次側巻線を巻回する為の内側
   （下巻）ボビン１と、２次側巻線を巻回する為
   の外側（上巻）ボビン５を内外（上下）に挿嵌
   する構造のボビン巻コイルを備えたトランスに
   おいて、内側ボビン１の両端に設けた一対の鍔
   ２ａ，２ｂの少なくとも一方２ａに、この鍔２
   ａの内縁に沿つて延長された板部３０ａとこの
   板部３０の両端から前記鍔２ａの外縁に向つて
   延長された両側板部３１，３１とによつてコ字
   状に形成された衝立３を、前記鍔２ａの巻線口
   出線を引出す部分を囲むように立設するととも
   に、外側ボビン５の両端に設けた一対の鍔６
   ａ，６ｂのうち一方の鍔を内方向へ延長し、前
   記内側ボビン１の衝立３を設けた鍔２ａの外面
   を被う絶縁部分７を設け、その絶縁部分７のう
   ち、前記内側ボビン１の衝立３が外方向へ突出
   するように切欠部８を設けるとともに、その切
   欠縁部に、前記内側ボビン１の衝立３の側板部
   ３１，３１に重なるように近接対向する面３
   ２，３２を有し、その面３２，３２を鍔６ａの
   外縁方向に延長する形の、一対の衝立壁９を垂
   直外方向に設け、これ等によつて囲まれた空間
   に巻線口出線を引き出しうるようにしたことを
   特徴としたトランス。 ２ 実用新案登録請求の範囲第１項記載のトラン
   スにおいて、前記外側ボビンの切欠部８に鍔部
   よりの延長突出部１０′を設け、巻線と口出線
   間の絶縁手段に利用することを特徴とする前記
   トランス。 ３ 実用新案登録請求の範囲第１項または第２項
   記載のトランスにおいて、前記外側ボビンの衝
   立壁９一対間の平面部１０，１０′に口出線相
   互間の沿面空間距離を確保し、かつ位置決めを
   するための内側仕切りまたは突片１１を設けた
   ことを特徴とする前記トランス。 ４ 実用新案登録請求の範囲第１〜３項のうちの
   １つに記載されたトランスにおいて、前記外側
   ボビンの平面１０又は衝立壁９に設けた保持手
   段１３により保持された絶縁板１５の上面に沿
   つて、巻線口出線を外部引出しリード線又は端
   子部に導くことを特徴とする前記トランス。 ５ 実用新案登録請求の範囲第１〜４項のうちの
   １つに記載されたトランスにおいて、前記外側
   ボビンの衝立壁９に隣接、又は、絶縁板１５の
   上面及び２個の環状巻鉄心の少なくとも２面を
   囲む絶縁カバー１７により、１次側充電部と鉄
   心間の沿面、空間距離を確保することを特徴と
   する前記トランス。