JPS6313416Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はエアクリーナの蒸発燃料吸着装置に係
り、特に蒸発燃料の吸着材を有するエアクリーナ
エレメントの顆粒状吸着材の保持構造の改良に関
する。

紙或いは不織布等から成る２層のフイルタ間
に蒸発燃料の吸着材を配設して成るエアクリーナ
エレメントをエアクリーナケース内に配置し、エ
ンジンの吸着系に連らなるエアクリーナのクリー
ン側へのキヤブレタ等からの蒸発ガソリンを上記
吸着材に吸着せしめ、公害対策としてこれの大気
への流出を防止するとともに、エンジンの高温再
始動時におけるエアクリーナのクリーン側に蒸発
ガソリンが充満してオーバーリツチとなつて始動
困難となるのを防止するようにした蒸発燃料吸着
装置は知られている。

ところが前記吸着材が顆粒状の活性炭である場
合には、振動により顆粒が片寄つて前記両フイル
タ間に隙間が発生したり、更に顆粒同志の衝突に
よる破砕のためにその吸着機能が低下し、又振動
によつて生じた微粒状破片がクリーン側のフイル
タを通つて吸気系へ吸引され、キヤブレタに目詰
まり等の不具合が生じる虞がある。

本考案は以上の不具合を解消すべく成されたも
ので、その目的とする処は、顆粒状吸着材を確実
に保持して振動による片寄りを防止するととも
に、顆粒の破砕を抑制し、従つて顆粒状吸着材に
対する耐振性を具備させ、以つて吸着材の吸気系
への流出の防止並びに吸着機能の維持適正化及び
耐久性向上を実現し得るエアクリーナの蒸発燃料
吸着装置を提供するにある。

斯かる目的を達成すべく本考案は、吸着材を保
持する紙或いは不織布等から成る２層のフイル
タ間の空間を仕切りフイルタにより更に多数の独
立した室に画成し、これら独立した全室に顆粒状
の吸着材を各充填したことを要旨とする。

以下に本考案の好適実施例を添付図面に基づい
て詳述する。これにより本考案の更なる目的及び
利点を明らかにする。

第１図はユニツト化したエアクリーナエレメン
トの一例を示す斜視図で、第２図はその縦断面
図、第３図は本考案のエアクリーナエレメントの
第１実施例を示す横断面である。

先ず図示しないが、エアクリーナのケースの上
面はカバーにて閉じられ、ケースの周壁には外気
取入管が設けられ、同底面中央には管路が接続さ
れ、エアクリーナは管路を経てエンジンの吸気系
に即知の如く連通している。

斯かるエアクリーナケース内には平面円環状又
は図示の如く略長円環状のエアクリーナエレメン
ト１０が収納され、エアクリーナエレメント１０
は通常の波形紙から成るエレメント１１と、蒸
発燃料の吸着材を有するエレメント２１とを上下
に重ね合わせた２段構造をもつて構成されてお
り、その外周側は外気を取入れるダーテイ側Ｄ
に、内周側は吸気系に連らなるクリーン側Ｃに
夫々臨んでいる。

そしてエアクリーナエレメント１０は詳細には
第２図及び第３図に示す如く構成されている。

即ち上部の紙から成るエレメント１１は、上
下のチヤンネル状レール１２，１３に接着保持さ
れ、その内周面は多孔板であるパンチングプレー
ト１４にて保持されており、このパンチングプレ
ート１４もレール１２，１３に接着されている。

更に下部の吸着材を有するエレメント２１は、
顆粒状の活性炭から成る平面環状の吸着材層２２
と、これの内・外周面に配された不織布から成る
両フイルタ２４及び２７とから成り、フイルタ２
４，２７は上下のチヤンネル状レール３１，３２
に接着保持されている。又フイルタ２４，２７の
内・外周面はパンチングプレート３３，３４にて
保持されており、これにより吸着材層２２の内・
外周からの確実なる保持がなされ、これらパンチ
ングプレート３３，３４もレール３１，３２に接
着されている。

ここで第２図は右側が、第３図では下側が夫々
前記ダーテイ側Ｄを示し、同じく左側及び上側が
夫々クリーン側Ｃを示しているため、空気は第２
図では右から左へ、第３図では下から上へと流れ
る。

ところで前記上部エレメント１１の下部レール
１３の内周片１３ａには複数（図示では４個）の
ホルダプレート１５…がスポツト溶接により垂下
固着され、これらホルダプレート１５…の下端に
は外側に折曲して成る係止部１５ａ…が各形成さ
れており、前記下部エレメント２１を斯かるホル
ダプレート１５…に下方から押し込むことにより
係止部１５ａ…を下部エレメント２１の上部レー
ル３１の内周片３１ａが乗り越え、これにより下
部エレメント２１の保持がなされる。斯くして上
下２段のエレメント１１，２１から成るエアクリ
ーナエレメント１０が合体され、エアクリーナケ
ース内に上下のパツキング３５，３６を介装して
以上の如くユニツト化したエアクリーナエレメン
ト１０が収納配置されている。

従つて上下２段の両エレメント１１，２１が着
脱可能であるため、機能を異にする両エレメント
のうち一方のみを耐久性に応じて交換することが
でき、メンテナンスのコストも安価となる。

尚両エレメント１１，２１間には図示の如くゴ
ムシール１６が全周に亘つて介装されているた
め、この間からダスト等の異物がクリーン側Ｃへ
侵入するのは防止される。

そして本実施例では、下部エレメント２１の
内・外のフイルタ２４，２７間に平面波形を成す
別体の仕切りフイルタ４１を全周に亘つて挾入配
置し、この仕切りフイルタ４１の各波形部４１ａ
…により前記ダーテイ側Ｄへ底辺が臨む平面略三
角形を成す独立した小さな室２２ａ…と、前記ク
リーン側Ｃへ底辺が臨む平面略三角形を成す独立
した小さな室２２ｂ…とを交互に形成した。斯か
る独立した小さな室２２ａ…及び２２ｂ…の全室
内に夫夫顆粒状活性炭２３…を一杯に充填して吸
着材層２２を形成している。

尚この仕切りフイルタ４１も不織布から成る。

更に実施例では、斯かる独立した小さな室２２
ａ…及び２２ｂ…に画成して成る吸着材層２２の
内・外周面を囲繞する両フイルタ２４，２７をも
とに粗・密なる２層構造とし、矢印で示した空気
流入方向に対する上流側を粗フイルタ２５，２８
とし、同上流側を密フイルタ２６，２９として構
成している。

次に以上のエアクリーナエレメント１０による
作用を述べる。

先ず通常の紙から成るエアクリーナエレメン
ト１１と、吸着材を有するエアクリーナエレメン
ト２１とを上下２段、即ち空気流入方向に平行な
る並列２段構造とし、クリーン側Ｃに連らなるエ
ンジン吸気系のキヤブレタに近い側に吸着材層２
２を配置しているので、吸入空気のダスト過機
能と適切な通気抵抗とを上部の紙から成るエア
クリーナエレメント１１により維持しつつ、吸着
材層２２により蒸発燃料を充分に吸着することが
でき、以つて公害対策及びエンジンの高温再始動
性を向上せしめることができ、併せてエアクリー
ナエレメント１０全体としての耐久性をも向上せ
しめ得る。又同時にエアクリーナ内の収納スペー
スの効率的な有効利用をも達成し得る。

特に斯かるエアクリーナエレメント１０の下部
を構成する吸着材を有するエアクリーナエレメン
ト２１の吸着材層２２を仕切りフイルタ４１によ
り独立した小さな室２２ａ…及び２２ｂ…に画成
し、その全室に顆粒状活性炭２３…を夫々充填し
たため、分割されて配置構成した活性炭２３…の
確実なる保持を仕切りフイルタ４１（即ち本実施
例ではその各波形部４１ａ…）により実現するこ
とができる。従つて活性炭２３…が振動によつて
周方向等に片寄るのを防止することができ、隙間
の発生を防止することができるため、吸着機能の
維持適正化を達成することができるとともに、活
性炭２３…同志が衝突して破砕されるのを防止す
ることができるため、クリーン側Ｃへの吸着材粉
の流出を防止してキヤブレタ等のエンジン吸気系
への影響を減少せしめることができる。

しかも波形の仕切りフイルタ４１により画成し
たダーテイ側Ｄ及びクリーン側Ｃの各横断面略三
角形の独立した小さな室２２ａ…及び２２ｂ…の
両方全室に活性炭２３…を充填したため、環状吸
着材層２２の全周に亘つてその内外方向への肉厚
が大きく採れ、これにより蒸発燃料の吸着能率の
向上を構成することができ、併せて仕切りフイル
タ４１によるフイルタ機能をも具備することがで
きる。

又実施例の如く吸着材層２２をダーテイ側Ｄで
保持するフイルタ２７を空気流入方向から粗フイ
ルタ２８、密フイルタ２９の順で構成すれば、大
気中のダスト等の異物は先ず粗フイルタ２８の粗
い目でふるわれ、次に密フイルタ２９の密なる目
で微粉の吸着材層２２への侵入を防止することが
できるため、粗フイルタ２８による充分なる吸気
量の維持並びに密フイルタ２９の目詰まりの抑制
を実現してフイルタ機能の向上を達成することが
できるとともに、吸着材層２２のその吸着機能を
低下の抑制をも達成することができ、従つてフイ
ルタ及び吸着材の耐久性の向上を達成することが
できる。

更に吸着材層２２をクリーン側Ｃで保持するフ
イルタ２４も空気流入方向から同じく粗フイルタ
２５、密フイルタ２６の順で構成すれば、ダーテ
イ側のフイルタと同様に粗フイルタ２５による吸
気量の充分なる維持並びに密フイルタ２６の目詰
まりの抑制を実現してフイルタ機能の向上を達成
することができるため、フイルタの耐久性の向上
を達成し得ると同時に、クリーン側への吸着材粉
の流出をより一層防止することができる。

加えて両フイルタ２４，２７及び仕切りフイル
タ４１を何れも不織布のようにクツシヨン機能を
具備する材質で形成すれば、これらによつて保持
される吸着材粒に対する耐振性をより一層向上せ
しめ得る。

ところで以上第１実施例では、仕切りフイルタ
を別体なる単層体としたが、これに代え第４図に
示す第２実施例の如く構成しても良い。

即ち本第２実施例では、クリーン側Ｃの粗・密
フイルタ２５，２６を多数個所でダーテイ側Ｄ方
向へ折り畳んで重ね合わせ、その折曲部先端２５
ａ…を夫々ダーテイ側Ｄの密フイルタ２９の内周
面に密着させた多数本の仕切りフイルタ４２…を
クリーン側Ｃのフイルタ２４から一体に形成して
いる。ここで各仕切りフイルタ４２…はその内方
の重ね合わさつた密フイルタ部４２ａ…その密度
の高さをもつて芯材となつている。

斯かるクリーン側Ｃのフイルタ２４と一体の仕
切りフイルタ４２…により独立して画成された図
示では横断面方形状の小さな室２２ｃ…の全室に
顆粒状活性炭２３…を一杯に充填して吸着材層２
２を構成すれば、前記と同様の作用効果を奏する
ことができるのは勿論のこと、この種フイルタエ
レメントの組付性の向上及び構成要素の削減をも
達成することができる。

又第５図に示すように、ダーテイ側Ｄ及びクリ
ーン側Ｃのフイルタ２７，２４から夫々一体なる
仕切りフイルタ４３…，４４…を交互に形成し、
これらの仕切りフイルタ４３…，４４…を周方向
に沿つて一様に傾斜させて第１実施例の如く横断
面略三角形状の小さな室２２ｄ…，２２ｅ…を多
数形成すれば、仕切りフイルタ４３…，４４…そ
れ自体も空気流入方向に対して粗・密なる複層構
造体となるため、そのフイルタ機能の向上をも達
成することができる。

尚各実施例では、吸着材を保持する内外のフイ
ルタをともに２層構造としたが、単層構造であつ
て、密度を粗・密に変化して成る一体のフイルタ
としても良く、又単なる密度が一様な単層体であ
つても良く、更にフイルタ材は不織布のみに限ら
ず、紙等によつて構成しても可能であり、勿論
吸着材を有するエレメントだけでエアクリーナエ
レメント全体を構成しても良い。

以上の説明で明らかな如く本考案によれば、吸
着材を保持する２層のフイルタ間の空間を仕切り
フイルタにより更に多数の独立した室に画成する
とともに、その全室に顆粒状の吸着材を夫々充填
したため、吸着材粒を分担して確実なる保持が行
え、これにより吸着材粒の片寄り防止及び破砕の
抑制をもとに実現でき、従つて顆粒状吸着材に対
する耐振性を具備させることができ、以つて吸着
材の吸気系への流出防止と吸着機能の維持並びに
耐久性向上とをともに達成することができる等多
大の利点を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図はユニツト化したエアクリーナエレメン
トの一例を示す斜視図、第２図は第１図−線
断面図、第３図は第２図−線断面図、第４図
は変更例を示す第３図と同様の図、第５図は更な
る変更例を示す同様の図である。 尚図中２１は本考案に係るエアクリーナエレメ
ント、２２は吸着材層、２２ａ，２２ｂ…２２ｅ
は室、２３は吸着材粒、２４，２７はフイルタ、
２５，２８はその粗フイルタ、２６，２９は同密
フイルタ、４１，４２…４４は仕切りフイルタで
ある。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 紙或いは不織布等からなる２層のフイルタ
   間に蒸発燃料の吸着材を配設して成る内燃機関
   用エアクリーナエレメントにおいて、フイルタ
   を夫々空気流入方向から順に粗密に配した密度
   を有するフイルタに構成するとともに、２層の
   フイルタ間の空間を更に紙或いは不織布のク
   ツシヨン機能を有する仕切りフイルタにより多
   数の独立した室に画成し、これら独立した全室
   に顆粒状の吸着材を各充填したことを特徴とす
   る内燃機関用エアクリーナの蒸発燃料吸着装
   置。 (2) 前記仕切りフイルタは波形に形成され、該波
   形の仕切りフイルタにより当該エアクリーナエ
   レメントの空気流入方向における上流側及び下
   流側に夫々横断面略三角形状の独立した前記室
   を交互に形成して成る前記実用新案登録請求の
   範囲第１項記載の内燃機関用エアクリーナの蒸
   発燃料吸着装置。 (3) 前記仕切りフイルタを前記吸着材を挾んで対
   向する前記２層のフイルタのうち少なくとも一
   方のフイルタと一体的に形成して成る前記実用
   新案登録請求の範囲第１項記載の内燃機関用エ
   アクリーナの蒸発燃料吸着装置。