JPS6312757B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 イ 産業上の利用分野 この発明は、レモン、オレンジ、リンゴ、ナシ
等の果実類やトマト等の菜果類を押し切りして半
径方向に等区割するのに使用される刃体に関する
もので、手動または自動操作方式による果実等の
分割装置の刃体として好適に利用される。

ロ 従来技術 果実等を半径方向に区割される複数片に分割す
る場合、従来では包丁やナイフ等の一枚刃の刃物
を用いることから、分割数が多くなると非常に手
間がかかると共に、３分割や５分割以上では等分
割することが困難であり、また分解操作に危険を
伴なつていた。

ハ 発明の目的 この発明は、果実等を一回の押し切り操作によ
り安全に所望の半径方向区割数に分割でき、しか
も分割過程で果実等が一定姿勢を保持して位置ず
れを生じず、等分割可能であると共に、果実等が
無理なく切断されることにより押し潰れる惧れも
ない分割用刃体を提供しようとするものである。

ニ 発明の構成 この発明は、円筒状の刃体ケース１８と、上記
刃体ケース１８の中心部に軸線方向に沿つて配置
され、先端１４ａを切断前方側に突出させた針軸
１４と、上記刃体ケース１８内周と上記針軸１４
との間に、上記針軸１４を中心として適宜の間隔
で放射状に配置され、各刃先１７を上記針軸１４
側に低くなるように傾斜させると共に、互いの刃
先１７に上記刃体ケース１８の軸線方向に高低差
ｔを設けた複数枚の切断刃１５とからなる果実等
の分割用刃体に係る。

ホ 実施例 以下、この発明の一実施例を図面に基いて説明
する。

第１図は果実等の分割装置を示す。図におい
て、１は上部に水平配置した天板２を備える分割
台であり、天板２に開設された上下方向に透通す
る円形開口３に刃体４が装置され、開口３の下方
には前方側へ開放した空間５を有している。６は
開口３を挾む両側にそれぞれ垂直に立設されたガ
イド柱であり、両ガイド柱６，６は連結板７を介
して平行状態を確保するように頂部で連結されて
いる。８は両ガイド柱６，６間に上下摺動自在に
架設された昇降板で、中央下面側に刃体４に対応
する溝９を備えた略円柱状圧接体１０が取付けて
ある。１１は前端に取手１２を固着した操作レバ
ーであり、中間部で昇降板８の上面に枢着される
と共に、後端がリンク１２の上端に枢着連結され
ている。このリンク１２は下端が分割台１に枢着
されている。１３はレバー復帰用の押し上げ軸で
あり、分割台１内に内蔵されるばね（図示略）に
より、上端に枢着した操作レバー１１を上方回動
側へ押圧付勢している。

第２〜６図は刃体４部分の詳細を示す。図示の
如く、刃体４は、尖鋭な先端１４ａが上方へ突出
するステンレススチール製の針軸１４を中心とし
てその周囲に、複数枚のステンレススチール製の
切断刃１５…を半径方向に放射状に等配して構成
されている。しかして各切断刃１５は、針軸１４
の周面に刻設した条溝１４ｂに内端を挿入してア
ルゴン溶接１６することにより、刃先１７が針軸
１４側に低くなるように傾斜し、且つ刃体４の周
方向一枚おきに切断刃１５ａと１５ｂとの間で高
低差ｔを有するように、針軸１４に対して固着さ
れている。１８は刃体４を収める短円筒状の刃体
ケースであり、各切断刃１５の外端に対応したス
リツト１９が周方向に等配された本体２０と、該
本体２０の上部外縁に設けた環状段差２０ａに嵌
着する蓋体２１とからなり、両者はビス孔２０ｂ
に螺合するビス２２を介して連結される。しかし
て刃体４は、各切断刃１５の外端部においてスリ
ツト１９の内側傾斜した底面１９ａで支承され、
且つ、高位側の切断刃１５ａの内端上部が蓋体２
１にて押さえ付けられることにより、ケース１８
に固定されている。尚、刃体４を収めた刃体ケー
ス１８は、本体２０の周面１ケ所に取付けた位置
決めピン２３により周方向回転不能状態で、天板
２の開口３に嵌着される。

上記構成の分割装置により果実等の分割を行な
うには、刃体４上に果実等を単に載置するか、も
しくは下部中心部分を針軸１４に突き刺した状態
で刃体４上に載置し、取手１２を把持して操作レ
バー１１を第１図示矢印のように下方回動させる
ことにより、昇降板８を両ガイド柱６，６に沿つ
て下方摺動させ、圧接体１０の下面を果実等に下
向きに圧接してその溝９に切断刃１５が嵌入する
まで押圧する。この操作により果実等は刃体４の
切断刃１５の数に対応して半径方向に等分割され
て開口３を通過し、空間５に落下する。

上記分割操作の過程において、刃体４の各切断
刃１５の刃先１７が針軸１４側すなわち中央側に
低く傾斜しているため、各切断刃１５は果実等を
引き切るように作用することから、刃先１７が水
平である場合に比較して切れ味が著しく向上し、
果実等は少ない押圧力で容易に分割される。また
分割過程で針軸１４が果実等の中心部に突き刺さ
り、切断中の果実等の回転および中心ずれが阻止
されるため、分割片の大きさの不揃いや切断面の
曲がり等が防止され、等分され且つ外観も良好な
分割片が得られる。更に、特にリンゴやナシ等の
芯部分の抵抗の大きな果実類を対象とした場合、
針軸１４が切断刃１５に先行して芯部分を砕くの
で、無理なくスムーズに等分割できる。

一方、通常の果実類は果肉に比較して表皮部分
が硬く、切断開始時に一般的に大きな押圧力を必
要とするが、各切断刃１５の周方向一枚おきに高
低差ｔを設けることにより、切断開始時に果実等
に接触する切断刃１５ａ数が少なくなつて切断抵
抗が低下するので、押圧力が少なくて済む効果が
ある。

尚、上記実施例における刃体４は、切断刃１５
が８枚であるものを例示したが、切断刃１５の刃
数は２枚以上の任意の枚数に変更できる。また刃
体４を刃体ケース１８に着脱可能に収めた構成以
外に、刃体ケース１８に固着した構造、刃体ケー
ス１８等を使用せずに分割台１の天板２の開口３
に直接に固着もしくは取外し可能に装着した構成
等、種々変更可能である。更に、このような刃体
４は第１図示の分割装置以外に、圧接体１０の駆
動構造が異なるもの、逆に刃体４側を駆動させる
もの、上下方向ではなく斜めもしくは水平方向に
押し切りするもの、これら駆動をモーター等の電
動機、流体圧シリンダー、電磁装置等の自動的手
段で行なうもの等、他の構成の分割装置の刃体と
しても利用できる。またこれら分割装置の刃体と
せず、刃体ケース１８に柄部分を設けること等に
より、刃体４自体が独立の押し割り器となるよう
に構成してもよい。さらに、刃体は中心が最も高
い山形に構成してもよい。

ヘ 発明の効果 この発明に係る果実等の分割用刃体によれば、
果実等を１回の押切り操作により、所望の半径方
向区割数に安全に分割できる。しかも、刃体の各
切断刃の刃先に互いに高低差を設けてあるから切
断開始時に果実等に接触する切断刃数が少なくな
つて切断抵抗が減少するため、刃体あるいは果実
等の、果実あるいは刃体に対する押圧力が少なく
て済むと共に、切断開始時における果実等の潰れ
が防止される。また、切断刃の刃先が刃体中央部
側に低くなつているため、分割開始前の果実等の
載置安定性が向上する。

更に、切断過程において、上記切断刃の刃先が
刃体中央部側に低くなつていることにより、果実
等を引き切るように作用するから、刃先が水平で
ある場合に比較して切れがよく、少ない押圧力で
容易に分割でき、しかも、上記切断過程において
針軸が上記果実等を位置決め保持するため、果実
等の回転や中心ずれによる分割の不揃いや切断面
の曲りを生じず、外観良好な等分割片が得られる
と共に、芯部分の抵抗が大きな果実類を対象とし
ても針軸が切断刃に先行して芯部分を砕くから、
無理なくスムーズに等分割でき、また、針軸が種
子を外方へ分散させ、切断を容易にすることがで
きる。従つて果実等を押し割りする場合に懸念さ
れる押し潰れが回避される。

【図面の簡単な説明】

図面はこの発明の一実施例を示すもので、第１
図は分割装置の斜視図、第２図は刃体ケースに収
めた刃体の平面図、第３図は第２図の―線の
断面矢視図、第４図は刃体ケースの本体の平面
図、第５図は第４図の―線の断面図、第６図
は針軸の断面図である。 ４…刃体、１４…針軸、１４ａ…先端、１５…
切断刃、１７…刃先、１８…刃体ケース、ｔ…高
低差。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 円筒状の刃体ケースと、 上記刃体ケースの中心部に軸線方向に沿つて配
   置され、先端を切断前方側に突出させた針軸と、 上記刃体ケース内周と上記針軸との間に、上記
   針軸を中心として適宜の間隔で放射状に配置さ
   れ、各刃先を上記針軸側に低くなるように傾斜さ
   せると共に互いの刃先に上記刃体ケースの軸線方
   向に高低差を設けた複数枚の切断刃とからなる果
   実等の分割用刃体。