JPS631223B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、地上から車上に伝達する速度制御
信号の地上における列車後方閉そく区間への信号
切替えに、従来のごとき多数の回路を用いること
なく、周波数変換を行なうようにした自動列車制
御装置に関するものである。

従来の自動列車制御（略称ATC）における地
上装置は、速度制御用信号の送信器、受信器およ
び列車検知用のリレーを各閉そく区間ごとに設
け、列車の在線する閉そく区間の列車検知リレー
が、列車の軌間短絡により復旧する列車検知条件
によつて、隣接する後方閉そく区間に、例えば最
低速の下位速度制御信号を送信し、この送信信号
を受信する該区間のリレーの受信条件によつて、
さらにつぎの後方区間に一段上位の速度制御信号
を送信するというリレー論理回路によつて順次速
度制御信号を切替え送信し、後方閉そくの速度現
示を決定していた。

本発明は、例えば列車集中制御（略称CTC）
における列車の運行上、各閉そく区間から得なけ
ればならない情報は、列車の存否であり、列車
（速度）制御信号の内容は必ずしも必要でないこ
とに注目して地上設備の簡略化を計つたものであ
る。すなわち、発振の基本周波数を最下位の速度
制御信号とする信号用発振器をATC地上装置内
に設け、閉そく区間の列車進入端に接続された受
信器の検知する入力信号が無信号の場合は、前記
基本周波数の信号を隣接する後方閉そく区間に送
信し、有信号の場合は、受信した信号の周波数を
分周または倍周、もしくは加減算を施す等の周波
数変換を行なつて順次後方閉そく区間の列車進出
端軌条に速度制御信号として送出するようにした
もので、前方閉そく区間の速度制御信号を解読
し、新たに送信信号を作成することなしに、列車
の速度制御信号を周波数変換によつて作成する装
置の提供を目的としたものである。

以下、本発明の実施例を図面と共に説明する。

第１図において、列車線路Ｌの閉そく区間Ｔ１
の左方向へ進行の列車Ｃが在線する場合には、閉
そく区間Ｔ１の列車進入端軌条に接続されている
受信器Ａ１への入力は、列車Ｃの車軸による軌条
間短絡により無信号となる。この無信号の検知条
件によつて、受信器Ａ１内に設けた周波数1の発
振器OSC１（後述）から、隣接する後方閉そく
区間Ｔ２の列車進出端軌条に周波数1の信号を送
信する。ここに周波数1の信号は列車の最低速度
現示に対応する周波数の信号である。

つぎに、閉そく区間Ｔ２後端の受信器Ａ２は周
波数1の信号を受信し、受信器Ａ２内に設けた分
周器により周波数1を分周して1/2となし、後
方閉そく区間Ｔ３に送信する。閉そく区間Ｔ３の
後端の受信器Ａ３は周波数1/2の信号を受信し、
受信器Ａ３内の分周器により受信信号周波数1/
２をさらに分周した周波数1/4の信号を後方閉そ
く区間Ｔ４に送信する。以下同様にして列車位置
に応じて速度制御の信号周波数を決定する。なお
最高速度現示に対応した周波数の信号を入力した
受信器では分周を行なわず、受信信号と同一周波
数の信号を後方閉そく区間に送信する。

なおまた、閉そく区間境界の軌条絶縁が破壊さ
れると、隣接閉そく区間の信号が漏洩入力する恐
れがあるので、つぎに説明する第２図の信号搬送
波発振器OSC２を隣接区間相互で異なる周波数
の搬送波の一つc2の発振器とし、同図に示すよ
うに変調器MODで平衡変調して両側帯波の変調
波で送信し、受信側では同図に示す検波器DET
を設けて変調波を検波することにより、漏入する
異信号を防護する。

第２図は信号の基本周波数1を1/8分周した第
５現示（無信号を含む）の信号波を入力する受信
回路の１例を示すブロツクダイヤグラムで、RT
は受信入力回路の整合変成器、BPF１はc2とは
異なる搬送波c1の帯域フイルタ、DETはさきに
述べた検波器、Sch１は入力レベル検知のシユミ
ツト回路、Ｒ１は入力レベル検知リレー、FFは
分周器、BPF２は周波数1/8、すなわち、この
場合最高速度現示に対応する周波数の信号を通す
帯域フイルタ、Sch２はフイルタBPF２の出力レ
ベルを検知するシユミツト回路、Ｒ２は同じくレ
ベル検知リレー、また発振器OSC１は周波数1
の信号波発振器、発振器OSC２はさきに述べた
異なる周波数の一方の搬送波周波数c2を発振す
る搬送波発振器、MODは変調器、PAは信号の
出力増巾器、STは送信出力回路の整合変成器で
ある。

上記第２図の受信回路の動作について説明する
と、受信変成器RTを介して入力する信号の周波
数を1/8とし、その搬送波周波数をc1とする
と、この入力信号はフイルタBPF１を通り、検
波器DETで検波された後、シユミツト回路Sch１
でレベル検知され、設定レベルを越えていると検
知リレーＲ１が動作すると共に、検波された入力
信号は周波数1/8の帯域フイルタBPF２を通
り、さらにシユミツト回路Sch２でレベル検知さ
れた後レベル検知リレーＲ２を動作させる。レベ
ル検知リレーＲ１，Ｒ２が共に動作すると、検知
リレーＲ２の復旧接点（接点記号はその属するリ
レーと同一記号、以下同じ）を介する入力回路を
断たれるので分周器FFは分周動作せず、また、
フイルタBPF２を通つた1/8信号波は検知リレ
ーＲ２および検知リレーＲ１の動作接点を介して
変調器MODに入力する。変調器MODには発振
器OSC２から搬送波c2が入力しているので、こ
の搬送波は周波数1/8の信号波で変調され、出
力増巾器PAで増巾された後送信変成器STを通
り、隣接する後方閉そく区間に送信される。

また入力する信号波が、列車制御の最高速度に
対応する1/8周波でなく、1〜1/4周波の信号
であつた場合は、これらの信号波はフイルタ
BPF２で通過を阻止されるから、検知リレーＲ
２が復旧する。従つてフイルタBPF１を通つて
入力した信号波はレベル検知リレーＲ１を動作さ
せる一方、復旧接点Ｒ２を通り分周器FFで分周
される。分周された信号波はレベル検知リレーＲ
１の動作接点を介して変調器MODに入力し、こ
こで搬送波c2をその信号波で変調して出力する。
さらに入力信号がないときはレベル検知リレーＲ
１が復旧し、その復旧接点を介して発振器OSC
１の発振する基本周波数1が変調器MODに入力
してその信号波で搬送波c2を変調して出力する。

第３図は列車制御の最低速度に対応する信号周
波数を1とし、これを順次上位速度に対応する信
号周波数に分周し、分周波数1/8を最高制御速
度に対応する信号周波数として、線路Ｌに設けた
一連の閉そく区間Ｔ１，Ｔ２，……Ｔ７に配置し
た状態を示す信号周波数の分配図で、搬送波c1，
c2を隣接閉そく区間に交互に配している。

上記の実施例は基本周波数1を順次分周した信
号波をATCの速度制御に対応させた場合を示し
たが、第２図の分周器FFの代りに倍周器または
周波数の加減算器等を用いても周波数変換を行な
い得ることはいうまでもない。また車上受信器で
は使用周波数に応じて周波数選択回路を用いるこ
とは勿論である。

以上の実施例について述べたように、本発明は
従来のATCに用いられていた信号切替のための
リレー論理回路の結合結線が不用となり、第２図
に示したように、信号の送受信回路を一つのブロ
ツクにまとめることが容易となる。そのため装置
が小型化されて大幅なコストダウンが可能にな
る。特に信号現示数が多いほど、その効果は大き
い。また回路構成の種類が少ないので大量生産が
可能であり、閉そく区間ごとの装置を１個所にま
とめる集中型にも、区間ごとに設置する分散型に
も使用可能であるなど、従来の装置に較べて格段
に効果を発揮するものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明自動列車制御装置の実施例を示す
もので、第１図は線路の各閉そく区間送受電端に
おける受信器の接続状態を示す１例図、第２図は
受信器構成の１例を示す回路ブロツク図、第３図
は各閉そく区間における信号周波数の配分を示す
１例図である。 OSC１：基本周波数信号発振器、OSC２：搬
送波発振器、FF：分周器、BPF１：搬送波通過
帯域フイルタ、BPF２：最高速度に対応する信
号の通過帯域フイルタ、Ｒ１：受信信号検知リレ
ー、Ｒ２：最高速度に対応する信号検知リレー、
MOD：変調器。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 軌条短絡方式を用い、かつ閉そく区間ごとに
   当該区間に存在する列車に対して許容速度に対応
   した周波数による速度制御信号を送出して列車の
   後方防護を行なう自動列車制御装置において、隣
   接する前方閉そく区間の受信端における受信信号
   が無であることを検出する第１の検出回路と、該
   受信信号が列車の最高許容速度を指示する周波数
   の信号であることを検出する第２の検出回路と、
   列車の最低許容速度を指示する周波数の信号を発
   生する発振回路と、該受信信号を予め定められた
   関係の周波数に変換する周波数変換回路とを備
   え、前記第１の検出回路の出力があるときは、前
   記発振回路の出力を、前記第１および第２の検出
   回路の出力が共にないときは、前記周波数変換回
   路の出力を、前記第２の検出回路の出力があると
   きは該受信信号をそのまゝ送出することを特徴と
   する自動列車制御装置。