JPS6312153Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、牽引用手動式ウインチに関し、その
うち特に被牽引物の荷重による重力の作用が生じ
ない横方向のみの仕事に利用される、いわゆる横
引き専用のウインチに関するものである。

従来、被牽引物の荷重による重力の作用が生じ
ない横引きの仕事、例えばテント屋根の開閉等に
使用されるウインチには、該仕事に対応する専用
のウインチはなく、そのため一般のウインチ（巻
上機）を使用していた。

しかしながら、該巻上機には、、横引き等の牽
引には不用な、被吊下物の荷重を支承する機構の
制動装置が設けられており、かつ、該巻上機に牽
引用ワイヤロープを早く戻すための早戻し装置を
別途に設けなければならないために、構造が複雑
になると共に、高価なものになるという欠点があ
つた。

そこで本考案は、上記従来の欠点に鑑みて、こ
れを解消するためになされたものであつて、制動
装置や早戻し装置等の構造が複雑で高価となる機
構をなくし、仕事を中断したり、あるいは仕事が
完了したとき回転軸をロツクしておくことがで
き、かつ、開放時には牽引用ワイヤロープを早く
戻すことができ、しかも、それらの切替操作がワ
ンタツチで迅速に、かつ、安全に行なうことがで
きる牽引用手動式ウインチを提供することを目的
とするものである。

そのため本考案では、該手動式ウインチを、ワ
イヤロープを巻付ける回転軸の延長部に、その軸
方向に沿うスライドキーと、軸方向に直列する２
つの係合部を設け、回転体の軸孔に前記スライド
キーに摺動自在に係合する係合溝を形成し、該回
転体の外周面を多角形状に形成し、かつ、該回転
体に、前記軸孔に先端が出没し、前記係合部に係
脱自在になる係合部材と、該係合部材の先端を前
記係合部に押圧する弾性部材を取付けると共に、
前記回転軸延長部側の框体の外側面に、前記回転
体が嵌脱自在で、かつ、嵌合時には該回転体の回
転を阻止するようになされた嵌合孔を有する受板
を固定した構造とすることにより、所期の目的を
達成するようにしたものである。

以下、本考案を図示せる実施例に随つて説明す
る。

牽引用手動式ウインチＡは、框体ａと、該框体
ａに回転自在に枢着され、ワイヤロープ（図示せ
ず）を巻付けるドラムｂと、該ドラムｂを回転さ
せる操作部ｃとから構成されている。

框体ａは、ベースプレート１１と、該ベースプ
レート１１の両側に立設され、ドラムｂを回転自
在に支承する支承板１２とから成されている。ベ
ースプレート１１の両側には上方に折曲げられた
立上部１１ａが形成され、該立上部１１ａには支
承板１２の下端がボルト１３とナツト１４により
固定されている。支承板１２の中央には軸孔１５
が穿設され、該軸孔１５にはブツシユ１６を介し
てドラムｂの回転軸１７が回転自在に枢着されて
いる。

前記支承板１２のうち一側の支承板１２の外側
面には、後述する操作部ｃの回転体２７が嵌脱自
在で、かつ嵌合時には該回転体２７の回転を阻止
するようになされた、スプロケツト状に穿設され
た嵌合孔１８を有する受板１９が、リング状のス
ペーサ３８を介して取付ボルト２０により固定さ
れている。又、他側の支承板１２の外側面にはメ
タルカバー２１が小ネジ２２により固定されてい
る。

ドラムｂは、前述したように、その回転軸１７
が前記支承板１２に回転自在に枢着され、該回転
軸１７の前記受板１９側の一側には、外方に延長
された延長部２３が形成され、該延長部２３には
軸方向に沿つてスライドキー２４が固定され、か
つ、該延長部２３の外周面の適宜位置には軸方向
に直列する２つの係合部２５ａ，２５ｂが形成さ
れている。該ドラムｂの他端側にはワイヤロープ
（図示せず）の基端を係止する係止孔２６が穿設
されている。３９はワイヤロープ係止用ボルトで
ある。

操作部ｃは、前記回転軸１７の延長部２３に嵌
合される回転体２７と、該回転体２７に着脱可能
に取付けられるハンドル２８とから成されてい
る。回転体２７の外周は、前記受板１９の嵌合孔
１８の適宜間隔を存した山部と合致する角部を有
する多角形状に形成されている。又、回転体２７
の中央部には前後方向に貫通し、前記回転軸１７
の延長部２３に摺動自在に嵌合される軸孔２９が
穿設され、その後部は段部２９ａを有して大径に
なされている。該軸孔２９には、前記スライドキ
ー２４に摺動自在に係合する係合溝３０が形成さ
れている。前記回転軸１７の延長部２３の後端面
には、周縁が前記軸孔２９の段部２９ａに係合す
るようになされた抜止板３１がビス３２により固
定されている。これにより、回転体２７は前記回
転軸１７の延長部２３に摺動自在に嵌合され、か
つ、抜落ることがないように取付けられている。

又、前記回転体２７には、前記軸孔２９に先端
が出没し、前記係合部２５ａ，２５ｂに係脱自在
なる係合部材３３が介装され、該係合部材３３の
基端側は、前記回転体２７に螺挿された取付ボル
ト３４の空洞部３４ａ内に摺動自在に嵌挿され、
該空洞部３４ａの奥部に嵌挿された弾性部材であ
るクツシヨンゴム３５の弾性力により、該係合部
材３３の先端を前記係合部２５ａもしくは２５ｂ
に押圧するようになされている。これにより、回
転体２７が前記受板１９から外れている時、すな
わち、ドラムｂの作動状態にあるときは、係合部
材３３は係合部２５ａに係合し、又、回転体２７
が前記受板１９に嵌込まれている時、すなわち、
ドラムｂの回転体阻止状態にあるときは係合部材
３３は係合部２５ｂに係合し、それぞれの位置を
保持するようになされている。

尚、上記実施例において、係合部２５ａ，２５
ｂを第１図、第２図に示すように、二条の縦溝に
より形成したが、係合部材３３の先端が係脱でき
るものであれば、その形状は限定されない。又、
弾性部材もクツシヨンゴムに限ることなくコイル
スプリング等でもよく、係合部材もベアリング状
のものを使用してもよい。又、上記実施例では、
回転体２７の外周を多角形状とし、受板１９の嵌
合孔１８を回転体２７の外周の角部と合致する山
部を有するスプロケツト状としたが、これに限る
ことなく、双方を多角形状とするか、あるいはス
プロケツト状にする等、回転体の嵌合時に回転を
阻止できるものであればその形状は限定されな
い。

回転体２７の外端面には、ハンドル２８の一端
を嵌挿する嵌挿部３４ａを有するハンドル取付板
３４がボルト３５により取付けられている。

ハンドル２８の一端は前記ハンドル取付板３４
の嵌挿部３４ａに着脱可能に嵌挿され、該ハンド
ル取付板３４に螺挿された押えボルト３６によつ
て固定されている。該ハンドル２８の他端には操
作用握手３７が設けられている。

上記構成により、回転体２７が受板１９から外
れているときは、ドラムｂの回転が自由となり、
ハンドル２８を回転させることにより、スライド
キー２４が回転体２７の係合溝３０に係合されて
いるため、該回転体２７を介してドラムｂを回転
させワイヤロープ（図示せず）を巻付けることが
できる。又、ハンドル２８を外し、ワイヤロープ
を引くことにより、該ワイヤロープを早く戻すこ
とができる。

又、回転体２７が受板１９に嵌込まれていると
きは、該回転体７の外周の角部が受板１９の嵌合
孔１８の山部に係合して回転動作が阻止されるた
め、ドラムｂの回転動作を阻止される。

前記回転体２７の受板１９への嵌脱は、ハンド
ル２８を押込んだり、引出したりするだけでよ
い。

尚、前記回転体２７の嵌脱の際、係合部材３３
はクツシヨンゴム３５の弾性力に抗して回転体２
７内に一時的に没し、再び軸孔２９内にその先端
が突出し、係合部２５ａ，２５ｂのいずれかと係
合し、該位置を保持するようになされている。

以上述べたように本考案によれば、ワイヤロー
プを巻付けるドラムを回転させる回転体を摺動可
能とし、かつ、框体の支承板の外側面に設けた受
板に嵌脱可能とし、嵌合時にはドラムの回転を阻
止するようになしたので、被牽引物を任意の位置
で掛止させておくことができる。又、回転体を受
板から外せばワイヤロープの早戻しもすることが
できる。

又、本考案によれば、一般の巻上機のような制
動装置やワイヤロープを早く戻すための早戻し装
置等が不要であるため、構造が簡単で安価に提供
することができる。

さらに本考案によれば、回転体の嵌脱はハンド
ルを操作することによつてワンタツチで簡単迅速
に行なうことができ、しかも、係合部材と２つの
係合部によつて、それぞれの位置決めが容易にで
きる等の効果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による手動式ウインチの作動時
の状態を示す側断面図、第２図は同上の固定状態
を示す側断面図、第３図は第２図の−線端面
図である。 Ａは手動式ウインチ、ｂはドラム、１７は回転
軸、１８は嵌合孔、１９は受板、２３は延長部、
２４はスライドキー、２５ａ，２５ｂは係合部、
２７は回転体、２９は軸孔、３０は係合溝、３３
は係合部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ワイヤロープを巻付けるドラムの回転軸を框体
   内側に回転自在に枢着し、該回転軸の一側を外方
   に延長し、該延長部に回転体を嵌合し、該回転体
   に取付けたハンドルを操作してドラムを回転さ
   せ、ワイヤロープを該ドラムに巻付けて被牽引物
   を牽引するようになした手動式ウインチにおい
   て、前記回転軸の延長部に、その軸方向に沿うス
   ライドキーと、軸方向に直列する２つの係合部を
   設け、前記回転体の軸孔に前記スライドキーに摺
   動自在に係合する係合溝を形成し、該回転体の外
   周を多角形状に形成し、かつ、該回転体に、前記
   軸孔に先端が出没し、前記係合部に係脱自在にな
   る係合部材と、該係合部材の先端を前記係合部に
   押圧する弾性部材を取付けると共に、前記回転軸
   延長部側の框体の外側面に、前記回転体が嵌脱自
   在で、かつ、嵌合時には該回転体の回転を阻止す
   るようになされた嵌合孔を有する受板を固定した
   ことを特徴とする牽引用手動式ウインチ。