JPS6311956B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、都市水道水の末端給水栓に直結し
て、水道水から異臭味、色濁度成分、微量の有機
物、金属類および残留塩素を除去して、いわゆる
おいしい水を作るための家庭用浄水器に関するも
のである。

従来の技術 家庭用浄水器は、水道水中の残留塩素、異臭
味、色濁度成分を除去して、味の良い水を作るの
であるが、従来の家庭用浄水器は浄水器中に活性
炭を入れ、この活性炭のみで残留塩素等を吸着さ
せて浄水を作るに過ぎなかつた。

発明が解決しようとする問題点 従来の家庭用浄水器は、上記のように活性炭に
残留塩素を吸着させて浄水を作るのであるが、活
性炭に残留塩素が吸着されてしまうので、浄水器
中の浄水取出後浄水器中に残つた水、および活性
炭中の水には残留塩素は含まれず、殺菌作用はな
く、増菌抑制措置も施されていない。

したがつて使用開始数日後から浄水器中の水が
細菌で汚染され、味は良くなつても細菌で汚染さ
れた水を吐出するようになる。本発明者は従来の
家庭用浄水器のうち、Ａ社製、Ｂ社製、Ｃ社製の
ものについて通水実験を行ない次のような結果を
得た。これらはカートリツジ内に装てんされた粉
末状活性炭をろ材とし、浄水器の有効能力は160
／日で、半年に１個カートリツジを交換するよ
うに指定されている。そこで、１日あたり160
の通水を30日実施した後で、一定水量を通水し、
採取した浄水について分析した。一般殺菌は浄水
器使用開始後３〜15日の間に１日あたり160通
水後で10²個／ml以上を認め、著しいものでは15
日後に10⁴個／mlを検出するものもあつた（第７
図）。また使用開始後30日を経過したものについ
て通水実験を行なつた所、通水当初10⁴〜10⁵個／
mlあつた一般細菌数は1000通水させた後でも、
10²〜10³個／mlの範囲で認められ細菌汚染のはな
はだしい進行がうかがえた。（第８図） 新聞の報道によれば厚生省は、家庭への普及が
進んでいる蛇口取付型浄水器のうち代表的な10機
種を選び昭和59年７月から10月まで試験を行なつ
た。その結果臭い水の１因である残留塩素はど
の機種でもよく除去できるが、鉄分は殆んど除去
されないろ過を休むと活性炭層に細菌が繁殖
し、条件によつては水道水の水質の基準を超えた
一般細菌を含む恐れがあるなどの問題点が明かに
なつた（昭和59年11月25日発行朝日新聞ほか２
紙） 問題点を解決するための手段 上記のように従来の家庭用浄水器は、残留塩素
が活性炭に吸着されるために使用数日後から細菌
汚染された水を吐出するようになる。本発明に於
ては活性炭を通さない残留塩素を含む水道水で短
時間活性炭を洗い、また最終の段階で残留塩素を
含む水道水を少量混和して細菌を殺し、細菌汚染
を防ぐようにしたものである。

本発明の家庭用浄水器は第１図乃至第４図に示
すように、中空円筒状の主容器中に下から給水空
間１、活性炭第１層２、活性炭第２相３、陽イオ
ン交換樹脂層４、混合空間５の各層を設けたもの
であつて、各層間には多数の細穴を有する仕切板
があり、仕切板の下側にはフランネル製のろ布１
５を密着させる。ただし、陽イオン交換樹脂層と
混合空間の間の仕切板は上側にもろ布を施す。活
性炭第１層２、活性炭第２層３、陽イオン交換樹
脂層４の各層は一枚または２枚のじやま板１４を
備えている。主容器の下端側面には給水栓（水道
栓じや口）に直結する流入口があり、切換コツク
１３を経て二本のパイプにわかれ、一方のパイプ
は主容器中に直立する５本のシヤワーパイプ６，
７，８，９，１０に通じ、他方のパイプは主容器
の底部、給水空間１に通じている。

５本のシヤワーパイプは、第３図に示すように
配置され、そのうちの３本６，７，８は高さを異
にし、シヤワーパイプ６は陽イオン交換樹脂層４
の上端に達し、上部は蓋によりふさがれている。
このパイプは陽イオン交換樹脂層４にのみに開口
するノズルを有する。シヤワーパイプ７は活性炭
第１層２の上端に達し、上部は蓋でふさがれてい
る。このパイプには活性炭第１層２にのみ開口す
るノズルが設けられている。シヤワーパイプ８は
活性炭第２層３の上端に達し上部は蓋でふさがれ
ている。このパイプには活性炭第２層３にのみ開
口するノズルが設けられている。

シヤワーパイプ９，１０は最上部の混合空間５
に達し、混合空間５にのみ開口するノズルを備
え、また混合空間５には２個の水車１１，１２が
設けられている。上端には浄水を取出す流出口が
ある。なお活性炭第１層から陽イオン交換樹脂層
までを一体としたカートリツジにすることも可能
である。

作 用 本発明の家庭用浄水器は上記のような構成より
なる。以下その作用について説明する。

まず流入口を水道栓のじや口につなぎ、切換コ
ツクを開いて水道水を浄水器底部に通すと、水道
水は給水空間１に充満した後、水道水の水圧によ
り上昇して活性炭第１層２へ侵入する。この活性
炭第１層で水道水中の残留塩素や異臭味は物理吸
着される。水は更に水圧によつて活性炭第２層３
へ浸入し、ここではなお残存する水溶性有機物等
が物理吸着される。活性炭第２層で比較的浄化さ
れた水はその上の陽イオン交換樹脂層４に水圧に
より浸入して、微量金属、アンモニア類やその他
の物質が化学吸着され、軟水化された極めて良質
の浄水が得られる。なお活性炭第１層２、活性炭
第２層３、陽イオン交換樹脂層４の各層にはじや
ま板１４があるので、これらを通過する水は迷走
しろ材との接触面積が広がり有効なろ過ができ
る。しかしこのように浄化された水は残留塩素が
殆ど吸着されてしまうので、味の良い水が得られ
る反面、浄水器中に水が残存した場合残留塩素を
除かれた水中で長時間のうちには細菌が繁殖し、
次に浄水器を使用した時細菌汚染された水が出て
くるようになる。

そこで本発明の特徴の一つとして、本発明に於
ては、浄水器底部給水空間から水道水を浸入させ
ると同時に、シヤワーパイプから残留塩素を含む
水道水を噴射することにより細菌汚染を防止す
る。即ち、シヤワーパイプ６，７，８，９，１０
を通過する水はろ材を通らないので残留塩素を含
んだままであり、この水がシヤワーパイプ７から
は活性炭第１層２へ、シヤワーパイプ８からは活
性炭第２層３へ、シヤワーパイプ６からは陽イオ
ン交換樹脂層４へ、夫々水道水の水圧により噴射
される。

このようにして、ろ材の各層に水道水が供給さ
れてろ材は撹拌されながら水道水の残留塩素が添
加されるので、浄水の細菌汚染が防止できる。ま
たシヤワーパイプ９，１０を通る水道水は、水圧
により最上部の混合空間へ噴射し、こゝにある２
個の水車１１，１２を廻転させるので、陽イオン
交換樹脂層４から浸入する浄水と均一に混合さ
れ、浄水は最終的に微量の残留塩素が再び添加さ
れて流出口から外部へ流出する。流入口にある切
換コツクを操作して最終的に浄水中に遊離残留塩
素を0.1ppm程度含有するようにすることができ
るし、また切換コツクを操作して、各シヤワーパ
イプの流量調節をすることもできる。

このようにして本発明の家庭用浄水器は浄水効
果を減ずることなく微量塩素を残存させて、浄水
の細菌汚染を防止できるものである。

実施例（比較例） 市販浄水器と本発明の浄水器の比較を第５図と
第６図に示す。

実施例（比較例） １ 第５図に示すように新品の市販浄水器は使用開
始当初から、すでに初流水で10⁵個／mlの一般細
菌数を認められ、更に通水を続け100を超えて
も10²個／ml以上を検出した。これに対し、本発
明の浄水器は、初流水でも一般細菌は検知され
ず、通水を続けても一般細菌数は認められず、残
留塩素も常に0.1ppmを保持していた。

実施例（比較例） ２ 市販浄水器と本発明の浄水器について、使用を
継続して行ない延通水量2000を超えた時点での
通水実験効果を第６図に示した。これによれば前
述結果の傾向は更に著しく、市販浄水器では100
以上通水しても一般細菌数が10³個／ml認めら
れたのに対し、本発明の浄水器は初流水からほぼ
不検出であり安定した水質を保持していた。

発明の効果 本発明に於ては、主ろ材である活性炭を２層に
区切り、ろ過効率を高めて、塩素臭、異臭味、有
機物の除去が完全に行なわれる。また最終的に陽
イオン交換樹脂を通すので、水道水中の微量の重
金属イオンは除去される。同時に活性炭中で蓄積
されたアンモニア性窒素が除去されるので、残留
塩素を含む水道水と混合してもクロラミンが発生
することはない。上記実施例（比較例）に見るよ
うに本発明の混合式家庭用浄水器は、微量残留塩
素を添加するので、従来の家庭用浄水器のように
細菌汚染された浄水を吐出することがなく、浄水
器としての効果を失なわずに、微量残留塩素を残
存させた安全な浄水を得ることができるという顕
著な効果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の家庭用浄水器の縦断面図であ
つて、シヤワーパイプは第２図、第３図の６，
７，８のうち７のみを示す。第２図はシヤワーパ
イプの位置を示す概略横断面図、第３図はシヤワ
ーパイプのうち、第２図の６，７，８のみを示す
概略縦断面図、第４図は混合空間の水車とシヤワ
ーパイプを示す横断面図、第５図、第６図は本発
明と従来の浄水器の一般細菌数を比較した図、第
７図は従来の浄水器の一般細菌数の経日変化に伴
う変化を示す図、第８図は従来の浄水器の一般細
菌数の通水量に伴う変化を示す図である。 １……給水空間、２……活性炭第１層、３……
活性炭第２層、４……陽イオン交換樹脂層、５…
…混合空間、６，７，８，９，１０……シヤワー
パイプ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 下方から給水空間、活性炭第１層、活性炭第
   ２層、陽イオン交換樹脂層、混合空間、よりなり
   下方より通水する中空円筒状の浄水を得る主容
   器、これらの層を貫いて直立し水道水を通水する
   シヤワーパイプよりなり、シヤワーパイプの一つ
   は活性炭第１層のみに水道水を噴射する開口を有
   し、シヤワーパイプの一つは活性炭第２層のみに
   水道水を噴射する開口を有し、シヤワーパイプの
   一つは陽イオン交換樹脂層のみに水道水を噴射す
   る開口を有し、他の２本は最上部の水車を有する
   混合空間のみに水道水を噴射する開口を有し、最
   上部には浄水を取り出す流出口を備えたことを特
   徴とする家庭用浄水器。