JPS6311751Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔概要〕 本考案は、垂直に装着されたプリント基板への
布線作業を可能とするハンドワイヤーボンダに関
し、 プリント基板を取り外すことなく手作業による
布線作業を効率的に行ない得ることを目的とし、 台板に対して垂直に設置されるプリント基板の
左右両端部に設けられ、且つガイド溝が形成され
た一対のサブポストと、該一対のサブポストの各
ガイド溝と嵌合し、上下移動する一対のスライド
コマと、該一対のスライドコマの各々に両端部が
固着されたスライドバーと、該スライドバー上を
左右方向に摺動自在で、且つその摺動を行うため
に作業者が保持する固定グリツプを有するボンダ
本体と、該スライドコマの移動方向及び該ボンダ
本体の該スライドバー上の摺動方向の両方に対し
て垂直方向に摺動自在で且つ、その摺動を行うた
めに作業者が保持するグリツプと、ボンデイング
チツプを保持するチツプホルダーを有するスライ
ダーとを設けたものである。

〔産業上の利用分野〕

本考案は、電子機器等に取りつけられたプリン
ト基板、特に垂直に装着されたプリント基板（以
下、バツクパネルと称す）への布線作業を可能と
するハンドワイヤーボンダに関する。

〔従来の技術〕

一般にプリント基板への布線作業は被接合面を
水平に配置し、プリント基板に対してボンダの加
熱ヘツドを垂直に上下させて接合面のボンデイン
グを行なうことが知られている。これは、所謂固
定のボンダにおける作業テーブル上に上記プリン
ト基板を配置し布線作業を行なうものであり、該
配線（布線作業）が行われた配線済みのプリント
基板は、台板に対して垂直に実装されるバツクパ
ネル及び、バツクパネルに対して垂直に且つ台板
に対して水平に実装され、電子機器等を構成す
る。

〔考案が解決しようとする問題点〕

一方、上記のように布線作業が行われたプリン
ト基板は電子機器等に実装されるが、該プリント
基板に対する設計変更や障害等による布線変更に
際しては、上記プリント基板を取り外しボンデイ
ング装置における作業テーブル上に配置して作業
を行なう必要があり、極めて非能率的な作業工程
となつている。

特に、プリント板を実装して相互に電気的に結
合するためのパターンを形成したバツクパネルに
ついては取り外し作業、また持ち運びが作業能率
の低下を招く問題を有している。これは、各々の
回路が形成される多数のプリント基板については
交換が容易なように取り外しが簡単化されている
が、上記バツクパネルは本来取り外す必要性が少
ないことから螺子締め等により固定されて装着さ
れると共に、大型であるためである。

従つて、本考案は上記問題を解決すべく、上記
プリント基板を取り外すことなく手作業による布
線作業を効率的に行ない得るハンドワイヤーボン
ダを提供することを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

このため、本考案におけるハンドワイヤーボン
ダは、台板６に対して垂直に設置されるプリント
基板５の左右両端部に設けられ、且つ、ガイド溝
１０ａが形成された一対のサブポスト１０と、該
一対のサブポスト１０の各ガイド溝１０ａと嵌合
し、上下移動する一対のスライドコマ１２と、該
一対のスライドコマ１２の各々に両端部が固着さ
れたスライドバー１６と、該スライドバー１６上
を左右方向に摺動自在で、且つその摺動を行うた
めに作業者が保持する固定グリツプ２５を有する
ボンダ本体１７と、該スライドコマ１２の移動方
向及び該ボンダ本体１７の該スライドバー１６上
の摺動方向の両方に対して垂直方向に摺動自在で
且つ、その摺動を行うために作業者が保持するグ
リツプ２８と、ボンデイングチツプ３９を保持す
るチツプホルダー３２を有するスライダー２９を
設けたことを特徴とする。

〔作用〕

上記の如く構成することにより本考案では、プ
リント基板５の左右両端部にガイド溝１０ａを形
成し、且つバツクパネル５に対向する形でスライ
ドバー１６を設けているため、ボンダ本体を操作
者が自由にＸ−Ｙ方向に移動することができ、ひ
いては接合部における信頼性、位置決め等が確実
となり、手作業によるボンデイングを有効に行な
うことができる。

〔実施例〕

以下、本考案を図面に基づき詳細に説明する。

第１図は、電子機器の構成を示す図であり、部
品を実装した多数のプリント基板１を搭載した基
板保持筐体２を有し、該プリント基板１は布線用
プリント基板、即ちバツクパネル５，５′を介し
て台板６上に垂直に設置された４本のメインポス
ト７に支持されている。更にメインポスト７には
連結棒９を介してサブポスト１０がそれぞれバツ
クパネル５，５′の左右両端部に固設されている。
サブポスト１０には同様に台板６に対して垂直な
方向にガイド溝１０ａが設けられており、バツク
パネル５，５′を挾む一対のサブポスト１０，１
０のガイド溝１０ａ，１０ａは本考案によるハン
ドワイヤボンダ１１のスライドコマ１２，１２′
第２図に示すように、台板６に対して垂直方向に
摺動自在に嵌合することができる。

第２図は、本考案の一実施例のハンドワイヤボ
ンダを示す図であり、スライドコマ１２，１２′
にはストツパーねじ１３，１３′を締めつけるこ
とにより、スライドコマ１２，１２′、即ちハン
ドワイヤボンダ１１をサブポスト１０，１０′の
一定高さ位置に係止保持することができる。スラ
イドコマ１２，１２′の摺動方向に対して垂直に
スライドバー１６，１６′が固着されている。ス
ライドバー１６，１６′には、ボンダ本体１７及
び微調整装置１９が複数のベアリング２０（第４
図、第５図参照）を介して摺動自在に嵌合してお
り、微調整装置１９には微調整ねじ２１が設けら
れ、微調整ねじ２１はボンダ本体１７に螺合し、
スライドバー１６を左右方向に摺動するボンダ本
体１７の移動方向への微調整が可能である。

また、微調整装置１９にはストツパー螺子２２
が螺着しており、螺子２２をスライドバー１６に
対して締めつけることによりボンダ本体１７をス
ライドバー１６，１６′の任意の位置に固定する
ことができる。ボンダ本体１７には第６図に示す
ように、あり溝１７ａを介して固定グリツプ２５
が摺嵌されており、更にボンダ本体１７には微調
整ギア２３が設けられ、微調整ギア２３は固定グ
リツプ２５に形成されたラツク２５ａと噛合し、
固定グリツプ２５を第３図における左右方向、即
ちスライドコマ１２，１２′の摺動方向に微調整
が可能である。固定グリツプ２５には、第２図及
び第７図に示すように、スライドバー１６，１
６′の軸心に対して垂直方向、即ち図中矢印Ａ，
Ｂ方向に溝２５ｂが先端にストツパー２５ｃを固
着した形で設けられており、更に固定グリツプ２
５には、第２図に示すように、複数のローラー２
７が２列に配置されている。

また、固定グリツプ２５には一端にグリツプ２
８を有するスライダー２９がローラー２７に挾持
される形で図中矢印Ａ，Ｂ方向に摺動自在に設け
られており、スライダー２９の溝２９ｂと対向す
る位置には、第７図に示すように突起２９ａが設
けられ、突起２９ａは溝２５ｂと係合し、スライ
ダー２９の移動ストローク１を一定値に規制して
いる。スライダー２９と固定グリツプ２５の間に
は、第２図及び第３図に示すように、コイルばね
３０，３０′が張設されており、コイルばね３０，
３０′はスライダー２９を常時図中矢印Ｂ方向、
即ちバツクパネル５と反対側に付勢している。ま
た、スライダー２９には複数のローラー３１が２
列に設けられており、ローラー３１はチツプホル
ダー３２を図中矢印Ａ，Ｂ方向に移動自在に挾持
している。チツプホルダー３２とスライダー２９
の間には、ボンデイング圧力調整ねじ３３が設け
られており、ボンデイング圧力調整ねじ３３には
該ねじ３３を被覆する形でコイルばね３５が縮設
されている。コイルばね３５はチツプホルダー３
２を常時矢印Ａ方向に付勢しており、またねじ３
３を適宜回転させることによりチツプホルダー３
２が矢印Ａ，Ｂ方向に移動してばね３５を伸縮さ
せ、ボンデイング圧力を調整することができる。
チツプホルダー３２にはマイクロスイツチ３６が
設けられており、チツプホルダー３２が矢印Ｂ方
向に移動してきた際に、マイクロスイツチ３６の
作動子３６ａとスライダー２９上に設けられたス
トツパー３７とが係合し、マイクロスイツチ３６
が閉じてボンデイング用の通電が開始される。

また、チツプホルダー３２の先端にはボンデイ
ングチツプ３９が設けられており、チツプ３９に
は電源供給用ケーブル４０が連結されている。

一方、固定グリツプ２５には第３図に示すよう
に、支柱４１がねじ４２により締着されており、
支柱４１には顕微鏡４３が調整ダイヤル４５によ
り移動自在に装着されている。顕微鏡４３にはラ
イト４６が装着されており、ライト４６はボンデ
イング部を照明して正確なボンデイング作業がで
きるように構成されている。

本考案は、上記のような構成を有するもので、
ハンドワイヤーボンダ１１を用いて基板保持筐体
２に垂直状態で実装されたバツクパネル５に対し
てワイヤーをボンデイングする際には、第２図に
示すようにバツクパネル５を挾む一対のサブポス
ト１０，１０′のガイド溝１０ａ，１０ａに沿つ
て摺動させ、所定高さに達したところでストツパ
ーねじ１３，１３′によつてボンダ本体１１をポ
スト１０，１０′に固定保持する。次にボンダ本
体１７及び微調整装置１９をスライドバー１６，
１６′に沿つてスライドコマ１２，１２′の摺動方
向に対して垂直な方向及び、ボンダ本体１７の移
動方向に移動させ所定のボンデイング箇所にボン
デイングチツプ３９の先端を略整合させ、ストツ
パーねじ２２により微調整装置１９をボンダ本体
１７と共に固定する。次に顕微鏡４３を覗きなが
ら微調整ギア２３を回転してボンダ本体１７に対
して固定グリツプ２５を上下させ垂直方向の微調
整を行なうと共に、微調整ねじ２１を回転してボ
ンダ本体１７をスライドバー１６，１６′に沿つ
て移動させ、水平方向の微調整を行ないボンデイ
ングチツプ３９の先端とボンデイング箇所を正確
に整合させる。整合が完了すると、ワイヤーをボ
ンデイング箇所に供給しつつ固定グリツプ２５と
スライダーのグリツプ２８を握りしめる。する
と、スライダーの２９はコイルばね３０，３０′
に抗してローラー２７及び溝２５ｂと係合した突
起２９ａに案内され、第３図示す想像線の位置よ
り矢印Ａ、方向即ちバツクパネル５側へ移動す
る。スライダー２９がＡ方向に移動すると共にチ
ツプホルダー３２もＡ方向に移動し、スライダー
２９の移動ストローク１の途中でチツプホルダー
３２のボンデイングチツプ３９がバツクパネル５
のボンデイング箇所に当接する。更に、グリツプ
２５，２８を握りしめることにより、スライダー
２９は突起２９ａがストツパー２５ｃに当接する
までＡ方向に移動し、従つてバツクパネル５とボ
ンデイングチツプ３９が当接状態にあるチツプホ
ルダー３２はコイルばね３５に抗して相対的に、
第２図に示す矢印Ｂ方向に移動し、コイルばね３
５はボンデイング箇所にチツプホルダー３２の移
動によつて生じるコイルばね３５の圧縮量に応じ
た圧力をボンデイングチツプ３９を介して加え
る。

また、チツプホルダー３２がＢ方向に相対的に
移動することにより、チツプホルダー３２上のマ
イクロスイツチ３６の作動子３６ａがストツパー
３７と当接係合し、マイクロスイツチ３６が閉じ
電源ケーブル４０を介してボンデイングチツプ３
９に通電が開始される。すると、ボンデイングチ
ツプ３９の先端が通電による抵抗熱で発熱しバツ
クパネル５上のハンダが溶融して、ワイヤーの所
定箇所へのボンデイングが行われる。ボンデイン
グが完了するとグリツプ２５，２８を握つていた
手を緩める。すると、スライダー２９はコイルば
ね３０，３０′の弾性により第３図における矢印
Ｂ方向にローラー２７に案内されつつ移動する。
スライダー２９がＢ方向に移動すると、バツクパ
ネル５と当接押圧状態を保持していたチツプホル
ダー３２はコイルばね３５の弾性によつて、ロー
ラー３１を介して第２図における矢印Ａ方向に相
対的に移動を開始し、コイルばね３５が伸長して
チツプホルダー３２のＡ方向への相対的移動が終
了すると、チツプホルダー３２はスライダー２９
と共にＢ方向へ移動するボンデイングチツプ３９
とバツクパネル５との当接状態も解除される。こ
の際、チツプホルダー３２のＡ方向への相対的移
動によつて、チツプホルダー３２上のマイクロス
イツチ３６の作動子３６ａとストツパー３７との
当接係合状態が解除され、通電ケーブル４０によ
るボンデイングチツプ３９への通電は停止され
る。

一方、スライダー２９は突起２９ａと共に、第
７図におけるＢ方向に移動するが、一定ストロー
ク１だけＢ方向に移動すると突起２９ａと溝２５
ｂの先端２５ｄとが当接し、スライダー２９のそ
れ以上のＢ方向への移動を阻止しスライダー２９
は、第３図における想像線の位置で停止する。

以上でボンデイング作業は終了し、更に別の箇
所をボンデイングする場合はスライドコマ１２，
１２′を移動させて前述と全く同様の手順で作業
を行なう。

尚、上述の実施例はハンドワイヤーボンダ１１
を用いてワイヤーをボンデイングする場合につい
て述べたが、これはワイヤーボンデイングだけに
限らずコネクタ等についても可能である。更に上
述の実施例は、垂直状態に実装されたバツクパネ
ル５に対してボンデイングする場合について説明
したが、水平、斜め等のような状態に実装されて
いても可能なことは勿論である。

〔考案の効果〕

以上、本考案によるハンドワイヤーボンダによ
れば実装状態のプリント基板についての布線作業
を極めて能率的に行なうことができ、作業性が向
上させる効果を有すると共に、本来のボンダの機
能を損なうことなく高性能なハンドワイヤーボン
ダを提供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、基板保持筐体を示す図、第２図は、
本考案によるハンドワイヤーボンダの一実施例を
示す平面図、第３図は、第２図の側面図、第４図
は、ボンダ本体の軸受部を示す断面図、第５図
は、微調整装置を示す断面図、第６図は、ボンダ
本体と固定グリツプとの接続部を示す断面図、第
７図は、固定グリツプとスライダーとの係合状態
を示す断面図。 図中、５，５′……プリント基板（バツクパネ
ル）、１１……ハンドワイヤーボンダ、１２，１
２′……スライドコマ、１５，５′……アーム、１
６，１６′……スライドバー、１７……ボンダ本
体、２５……固定グリツプ、２８……グリツプ、
２９……スライダー、３２……チツプホルダー、
３９……ボンデイングチツプ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 台板６に対して垂直に設置されるプリント基板
   ５の左右両端部に設けられ、且つガイド溝１０ａ
   が形成された一対のサブポスト１０と、 該一対のサブポスト１０の各ガイド溝１０ａと
   嵌合し、上下移動する一対のスライドコマ１２
   と、 該一対のスライドコマ１２の各々に両端部が固
   着されたスライドバー１６と、 該スライドバー１６上を左右方向に摺動自在
   で、且つその摺動を行うために作業者が保持する
   固定グリツプ２５を有するボンダ本体１７と、 該スライドコマ１２の移動方向及び該ボンダ本
   体１７の該スライドバー１６の摺動方向の両方に
   対して垂直方向に摺動自在で且つ、その摺動を行
   うために作業者が保持するグリツプ２８と、ボン
   デイングチツプ３９を保持するチツプホルダー３
   ２を有するスライダー２９とを設けたことを特徴
   とするハンドワイヤーボンダ。