JPS63114946A - 耐摩耗性に優れた焼結合金部材およびその製造法 - Google Patents

耐摩耗性に優れた焼結合金部材およびその製造法

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JPS63114946A
JPS63114946A JP25982586A JP25982586A JPS63114946A JP S63114946 A JPS63114946 A JP S63114946A JP 25982586 A JP25982586 A JP 25982586A JP 25982586 A JP25982586 A JP 25982586A JP S63114946 A JPS63114946 A JP S63114946A
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sintered alloy
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alloy member
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JP25982586A
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Inventor
Shigezo Osaki
茂三 大崎
Sumio Jinno
神野 純夫
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Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、エンジンの動弁系の構成部品等を形成するに
用いられる耐摩耗性に優れた焼結合金部材、および、斯
かる焼結合金部材を得る製造法に関する。
(従来の技術) エンジンにおけるロッカーアーム等の耐摩耗性が要求さ
れる可動部品を形成するにあたって、従来では、本体部
を鋳鉄で形成するとともにカムとの摺動面にチル層を形
成する方法、あるいは、カムとの摺動面にクロムメッキ
を施す方法等が知られている。しかしながら、上述の如
くの方法によって形成されたロッカーアームにおけるカ
ムとの摺動面は、エンジンの作動時における過荷重等に
“起因して孔食(ピッチング)あるいは傷(スカッフィ
ング)等を生じ易く、一般に、耐摩耗性に劣るという問
題がある。
これに対し、例えば、特開昭59−83704号公報G
こも記載されている如く、炭素、はう素、モリブデン及
び燐等が含まれた合金粉末が用いられ、それが成形され
て形成される圧粉体が焼結されることにより得られて、
その母地組織中にほう素、モリブデン及び燐等の炭化物
及び複合炭化物が生成されることによって耐摩耗性の向
上が図られた焼結合金によりチップ材を形成し、斯かる
チップ材を、ロッカーアーム等の摺動面に鋳ぐるむ方法
が知られている。
(発明が解決しようとする問題点) しかしながら、上述の如くの焼結合金により形成された
チップ材がロッカーアームの摺動面に適用される場合で
も、例えば、エンジンの高出力化を図るべく、バルブの
リフト量が比較的大なる値に設定されることにより、ロ
ッカーアームにおけるカムとの摺動面に作用する圧力が
比較的大とされる状態においては、摺動面の耐摩耗性が
損なわれてしまうという問題がある。また、炭素を含有
した合金粉末中に燐が含まれていると、焼結合金の母地
組織中に生成される炭化物の周囲等に、−般に硬度は高
いが脆いものとなる燐化合物が晶出してしまう問題を生
じる。このような、燐化合物が晶出した焼結合金は、そ
れが摺動面を有する部材の形成に用いられる場合には、
その部品の摺動面に当接する他の部材の磨滅摩耗の程度
が大とされる不都合を伴うものとなってしまう。
斯かる点に鑑み、本発明は、摺動面を有する部材を形成
すべく用いられ、摺動面に比較的大なる圧力が作用する
状態においても耐摩耗性が損なわれることなく、しかも
、摺動面に当接する他の部材の耐摩耗性を著しく損なう
ことがない、耐摩耗性に優れた焼結合金部材およびその
製造法を提供することを目的とする。
(問題点を解決するための手段) 上述の目的を達成すべく、本発明に係る耐摩耗性に優れ
た焼結合金部材は、3.5〜6.0重量%の炭素、2.
5〜5.0重量%のクロム、及び、7.5〜13.0重
量%のモリブデン、1.5〜3.0重量%の燐及び1.
5〜3.0重量%のほう素のうちの少なくとも1種を含
み、残部が鉄とされた合金粉末が焼結されて得られ、そ
のソルバイト組織とされた基地中に、複合炭化物が分散
混入するとともに、粒径が1.0pm以下の粒状炭化物
が析出したものとされる。
また、本発明に係る耐摩耗性に優れた焼結合金部材の製
造法は、3.5〜6.0重量%の炭素、2.5〜5.0
重量%のクロム、及び、7.5〜13.0重量%のモリ
ブデン、1.5〜3.0重量%の燐及び1.5〜3.0
重量%のほう素のうちの少なくとも1種を含み、残部が
鉄とされた合金粉末により圧粉体を形成し、その圧粉体
を焼結して焼結体を得た後、得られた焼結体をAI変態
点以下まで冷却し、冷却された焼結体に対し880〜9
80℃の加熱温度で20〜60分間の焼入れ処理を行い
、さらに、焼入れされた焼結体に対し540〜590℃
の加熱温度で80〜120分間の焼戻し処理を行うこと
により、焼結合金部材を得るものとされる。
このように、本発明に係る耐摩耗性に優れた焼結合金部
材およびその製造法における合金粉末が、炭素を3.5
〜6.0重量%、クロムを2.5〜5.0重量%、及び
、モリブデンを7.5〜13.0重量%あるいは燐もし
くはほう素を1.5〜3.0重量%含有するものとされ
るのは、以下の理由に基づく。
先ず、炭素は、焼結時に鉄、燐、モリブデン及びほう素
等と結合して、低融点の液相を形成することにより焼結
合金の密度を向上させるとともに、複合炭化物を形成し
て焼結合金の耐摩耗性の向上に寄与するものとなる。こ
のような事柄を踏まえて炭素の含有量を規定する実験を
行った結果、炭素の含有量が3.5重量%未満では、焼
結時に生成される液相成分が少となって焼結合金の密度
の向上が図れず、かつ、複合炭化物の生成が少となって
焼結合金の充分な耐摩耗性が得られないこと、また、炭
素の含有量が6.0重量%を越える場合には、複合炭化
物の結晶粒が粗大化することに起因して、焼結合金の靭
性が著しく低下してしまうことが確認された。従って、
炭素の含有量は3.5〜6.0重量%の範囲とされる。
クロムは、焼結時に炭素と結合して炭化物を形成するこ
とにより、焼結合金の耐摩耗性の向上に寄与するととも
に、焼結合金中に炭素が黒鉛として残留する事態を防ぐ
役目を果たす。このような事柄を踏まえてクロムの含有
量を規定する実験を行った結果、クロムの含有量が2.
5重量%未満では、焼結合金中に含存された炭素と充分
に結合せず、それにより焼結合金の耐摩耗性が損なわれ
てしまい、かつ、焼結合金中に黒鉛が残留してしまうこ
と、また、炭素の含有量が5.0重量%を越える場合に
は、クロム炭化物の結晶粒が粗大化することに起因して
、焼結合金の靭性が著しく低下してしまうことが確認さ
れた。従って、クロムの含有量は、2.5〜5.0重量
%の範囲とされる。
モリブデンは、焼結合金の母地組織の強化に寄与するも
のとなる硬質相を形成するとともに、焼結時に鉄及び炭
素と結合することにより、焼結合金の融点を下げて液相
成分の生成を促進することにより、焼結合金の密度を上
げる役目を果たす。
このような事柄を踏まえてモリブデンの含有量を規定す
る実験を行った結果、モリブデンの含有量が7.5重量
%未満では、焼結合金の融点を降下させるに充分な効果
が得られず、そのため焼結合金の密度が上がらないこと
、また、モリブデンの含有量が13.0重量%を越える
場合には、焼結時に生成される液相成分が過多となり、
焼結合金の靭性が著しく低下してしまうことが確認され
た。従って、モリブデンの含有量は、7.5〜13.0
重量%の範囲とされる。
燐は、焼結時に鉄及びクロムと結合して燐共晶を形成し
、焼結合金の耐摩耗性を向上させるとともに、焼結合金
の融点を下げて液相成分の生成を促進することにより、
焼結合金の密度を上げる役目を果たす。このような事柄
を踏まえて燐の含有量を規定する実験を行った結果、燐
の含有量が1゜5重量%未満では、焼結合金の融点を降
下させるに充分な効果が得らず、そのため焼結合金の密
度が上がらないこと、また、燐の含有量が3.0 m1
%を越える場合には、焼結合金の母地組織中に燐共晶が
ネット状に晶出することにより、焼結合金の靭性が著し
く低下してしまうことが確認された。
従って、燐の含有量は、1.5〜3.0重量%の範囲と
される。
はう素は、焼結時に鉄及び炭素と結合して硬質相を形成
するとともに、焼結合金の融点を下げて液相成分の生成
を促進することにより、焼結合金の密度を上げる役目を
果たす。このような事柄を踏まえてほう素の含有量を規
定する実験を行った結果、はう素の含有量が1.5重量
%未満では、硬質相の形成量が少となって、焼結合金の
耐摩耗性が充分に向上されないこと、また、はう素の含
有量が3.0重量%を越える場合には、焼結合金の母地
組織中に鉄−はう酸−炭素の三元共晶がネ・ノド状に晶
出することにより、焼結合金の靭性が著しく低下してし
まうことが確認された。従って、はう素の含有量は、1
.5〜3.0重量%の範囲とされる。
また、本発明に係る焼結合金部材の製造法において、合
金粉末から成る圧粉体を焼結した後、得られた焼結体を
A、変態点以下に冷却するのは、以下の理由に基づく。
即ち、焼結合金が、AI変態点を越える温度に保持され
てオーステナイト組織とされる場合には、焼結合金中に
粒状炭化物が析出せず、また、焼結合金が、AI変態点
以下に冷却されてパーライト組織とされると、焼結合金
中に充分な粒状炭化物が析出することが確認された。従
もて、焼結合金がツルバイlit織とされた状態で、焼
結合金中に粒状炭化物を析出させるべく、焼結体をA1
変態点以下に冷却するのである。
さらに、本発明に係る焼結合金部材の製造法において、
合金粉末から成る焼結体に対し、880〜980℃の温
度をもって20〜60分間の焼入れ処理が行われるのは
、以下の理由に基づく。
即ち、焼結体に対する焼入れ温度が880°C未満であ
る場合には、焼入れ後の焼結合金が充分なマルテンサイ
トの組織とならず、そのため焼結合金の耐摩耗性が充分
なものとされないこと、また、焼結体に対する焼入れ温
度が980℃を越える場合には、焼結合金中の結晶粒が
粗大化するとともに、焼結合金中における残留オーステ
ナイトの組織が大となり、それにより、相対的にマルテ
ンサイトの組織が不足して、焼結合金の耐摩耗性が充分
に向上されないことが確認された。従って、焼結体に対
する焼入れ温度は、880〜980℃の範囲とされる。
これに加え、焼結体に対する焼入れ処理時間が20分間
未満である場合には、焼入れ処理時における焼結体に対
する加熱が均等に行われず、そのため焼結合金中に析出
する粒状炭化物の量が不足して、焼結合金の耐摩耗性が
充分なものとされないこと、また、焼結体に対する焼入
れ処理時間が60分間を越える場合には、焼結合金中に
析出する粒状炭化物が飽和状態となることが確認された
従って、焼結体に対する焼入れ処理時間は、20〜60
分間の範囲に設定される。
(作 用) 上述の如くの、本発明に係る耐摩耗性に優れた焼結合金
部材は、ソルバイト組織とされた基地中に、複合炭化物
が分散混入するのみならず、粒径が1.0μm以下の粒
状炭化物が析出するものとなるので、優れた耐摩耗性を
有するものとなる。しかも、焼結時に炭素と結合して燐
共晶を生成する燐の含有量が比較的小とされているので
、摺動面を有する部材を形成するものとされるとき、そ
の摺動面に当接する他の部材の耐摩耗性を著しく損なう
ことがない。
また、本発明に係る耐摩耗性に優れた焼結合金部材の製
造法が実施される場合には、合金粉末により形成された
圧粉体を焼結して得られた焼結体に対し、A、変態点以
下まで冷却した後、880〜980℃の加熱温度で20
〜60分間の焼入れ処理が行われることにより、焼結合
金部材の基地中に、焼結合金部材の耐摩耗性を向上させ
るものとなる粒状炭化物が析出することになる。
(実施例) 以下、本発明に係る耐摩耗性に優れた焼結合金部材の製
造法の一例及びそれにより得られる焼結合金部材の一例
について述べる。
先ず、炭素(C)を3.5〜6.0重量%、クロム(C
r)を2.5〜5.0重量%、モリブデン(MO)を7
.5〜13.0重量%、及び、燐(P)を1.5〜3.
0重量%含むとともに残部が鉄(Fe)とされ、粉末粒
度が150メツシユ以下とされた共晶合金粉末を用意す
る。
斯かる共晶合金粉末は、具体的には、例えば、下記の表
−1に示される如くの成分組成を有するX+ 、X2+
  X3及びX4の如くのものとされる。
表−1 次に、上述の如くにして用意した共晶合金粉末X + 
〜X aに、Crが12.0〜13.2重量%でFeが
残部とされた成分組成を有し、粉末粒度が150メツシ
二以下とされたFe−Cr系の合金粉末を、45〜60
重量%の配分比率を占めるものとなるように配合して、
混合合金粉末を得る。
そして、斯かる混合合金粉末に、ステアリン酸亜鉛2.
0重量%もしくは、アセトンで希釈された樟脳1.5重
量%を添加し、5.5〜6.Oton/cnfの圧力を
加えて所定形状の圧粉体を形成する。
下記の表−2は、上述の表−1に示される4種の共晶合
金粉末X1〜X4に対し、Fe−Cr系の合金粉末を、
夫々、55重重量、55重景%、50重量%及び60重
量%の配分比率を占めるものとなるように配合して得ら
れた混合合金粉末を用いて、チップ形状とされた4種類
の圧粉体Y、、Y2゜Y、及びY4を得た場合を示す。
(以下余白) 表−2 このようにして形成された、共晶合金粉末X1〜X4と
Fe−Cr系の合金粉末とが混合されて得られた混合合
金粉末から成る圧粉体Y、〜Y4に対し、10℃/mi
nの昇温速度で600℃に加熱された水素ガス(H2)
雰囲気中に5分間保持することにより予備焼結を行い、
得られた4種類の予備焼結体に対し、以下の如くの熱処
理を行う。
圧粉体Y、から成る予備焼結体に対しては、真空炉中に
おいて、10℃/minの昇温速度で1100℃まで加
熱して20分間保持することにより焼結体を得る。そし
て、得られた焼結体に対し、5℃/minの降温速度で
A、変態点(726℃)以下である680℃まで降温し
て20分間保持した後、窒素ガス(N2)雰囲気中にお
いて、10℃/winの昇温速度で900℃まで加熱し
て30分間保持することにより、焼入れ処理を行う。
圧粉体Y2から成る予備焼結体に対しては、真空炉中に
おいて、10℃/winの昇温速度で1100℃まで加
熱して20分間保持することにより焼結体を得る。そし
て、得られた焼結体に対し、5℃/minの降温速度で
A、変態点(726℃)以下である680℃まで降温し
て20分間保持した後、窒素ガス雰囲気中において、1
0℃/lll1nの昇温速度で930℃まで加熱して3
0分間保持することにより、焼入れ処理を行う。
圧粉体Y、から成る予備焼結体に対しては、真空炉中に
おいて、10℃/lll1nO昇温速度で1090℃ま
で加熱して20分間保持することにより焼結体を得る。
そして、得られた焼結体に対し、常温まで冷却した後、
窒素ガス雰囲気中において、10℃/sinの昇温速度
で950℃まで加熱して50分間保持することにより、
焼入れ処理を行う。
圧粉体Y4から成る予備焼結体に対しては、真空炉中に
おいて、10℃/minの昇温速度で1110℃まで加
熱して30分間保持することにより焼結体を得る。そし
て、得られた焼結体に対し、5℃/minの降温速度で
A、変態点(726℃)以下である680℃まで降温し
で20分間保持した後、窒素ガス雰囲気中において、1
0℃10+inO昇温速度で880℃まで加熱して30
分間保持することにより、焼入れ処理を行う。
このようにして得られた、圧粉体Y1〜Y4から成る4
種類の焼結体に対し、窒素ガス雰囲気中において、55
0〜580℃の加熱温度で80〜120分間保持して焼
戻し処理を施すことにより、チップ形状とされた4種類
の焼結合金部材T + 、 T2 。
T3及びT4を得る。
上述の如くにして得られる、各々が本発明に係る焼結合
金部材の一例である焼結合金部材TI。
T z 、 T z及びT4は、夫々、HNC=54.
H*c=55、HRC=54及びH,1c=56の硬度
を有した、耐摩耗性に優れたものとなる。
斯かる焼結合金部材T I”” T 4のうちの、圧粉
体YIに基づいて得られた焼結合金部材T+における内
部金属組織が、第1図に顕微鏡写真をもって示されてい
る。第1図の写真において、母地組織は微細なソルバイ
トであり、母地組織中に含まれた灰色部分は複合炭化物
である。また、母地組織中に分散する微小な白色部分は
、母地組織中に析出した直径1μm以下の粒状炭化物で
ある。このように、本発明に係る焼結合金部材は、その
ソルバイト組織とされた基地中に、複合炭化物が分散混
入するとともに、粒径が1.0.crm以下の粒状炭化
物が析出したものとされる。
次に、上述された本発明に係る製造法の一例により得ら
れた焼結合金部材T、〜T4と、本発明に係る製造法と
は別の製造法により得られた焼結合金部材である比較例
Ts 、Tb 、T7及びT@との比較について述べる
比較例T、は、表−2に示される圧粉体Y2に対し、予
備焼結を行った後、真空炉中において1100℃で20
分間保持し、さらに、5°C/minの降温速度でA1
変態点以上である900℃まで降温して30分間保持す
ることにより焼結体を得、得られた焼結体に対し、窒素
ガスによる焼入れ処理を行った後、窒素ガス雰囲気中に
おいて、560℃の温度で100分間保持して焼戻し処
理を施すことにより得られた。
この比較例TSの内部金属組織を、第2図に顕微鏡写真
をもって示す。第2図の写真において、母地組織は焼戻
しマルテンサイトであり、母地組織中には複合炭化物(
灰色部分)が含まれているが、母地組織中に粒状炭化物
が析出していない。
この比較例T、の硬度は、H*c=56であった。
比較例T6は、表−2に示される圧粉体Ylに対し、予
備焼結を行った後、真空炉中において1100℃で20
分間保持し、A、変態点以下である680℃まで降温し
て20分間保持し、その後、860℃で30分間保持す
ることにより焼結体を得、得られた焼結体に対し、窒素
ガスによる焼入れ処理を行った後、窒素ガス雰囲気中に
おいて、560℃で100分間保持して焼戻し処理を施
すことにより得られた。この比較例T、は、A1変態点
以下である680℃まで降温された後において、比較的
低温である860℃の温度をもって加熱されたため、そ
の硬度が、HRC=49であった。
比較例T7は、表−2に示される圧粉体Y3に対し、予
備焼結を行った後、真空炉中において1090℃で20
分間保持した後、常温まで冷却し、その後、990℃で
50分間保持することにより焼結体を得、得られた焼結
体に対し、窒素ガスによる焼入れ処理を行った後、窒素
ガス雰囲気中において、580℃で100分間保持して
焼戻し処理を施すことにより得られた。この比較例T、
は、H++c=56の硬度を有するものとなったが、常
温まで冷却された後において、比較的高温である990
℃の温度をもって加熱されたため、結晶粒が粗大化して
いることが確認された。
比較例T、tは、Cが2.5重量%、Crが11.5重
量%、Moが1.7重量%、Feが残部の組成を有した
圧粉体に対し、予備焼結を行った後、真空炉中において
1100℃で20分間保持した後、900℃で30分間
保持することにより焼結体を得、得られた焼結体に対し
、窒素ガスによる焼入れ処理を行った後、窒素ガス雰囲
気中において、560℃で100分間保持して焼戻し処
理を施すことにより得られた。
ぞして、本発明に係る製造法の一例により得られた焼結
合金部材T1〜T4と、本発明に係る製造法とは別の製
造法により得られた焼結合金部材である比較例T、〜T
、との、耐摩耗性等の比較を行うため、焼結合金部材T
1〜T4及び比較例T、〜Tllの夫々を、例えば、ア
ルミニュウム・ダイカストによって鋳ぐるんで、第3図
に示される如く、焼結合金部材T1〜T4及び比較例T
〜TIlの夫々で形成された摺動面部2’r+〜2T8
を有する8本のロッカーアーム4を得た。そして、各ロ
ッカーアーム4の摺動面部2T1〜2T6とそれらに対
応するカムシャフト6のカムノーズ部8T、〜8 T 
eとを夫々摺接させ、夫々のロッカーアーム4について
、スプリング10のセント荷重を34kgとし、同一の
潤滑油(潤滑油温度40℃)による潤滑のもとに、エン
ジンを200Orpmの回転数で200時間の連続運転
を行った。
なお、カムシャフト6は、Cが3.2重量%、珪素(S
t)が1,5重量%、マンガン(Mn)が0゜7重量%
、Pが0.06重量%、硫黄(S)が0.07重量%、
Crが0.23重量%、Feが残部の組成を有した合金
鋳鉄により形成され、カムノーズ部8T、〜8 T a
がチル化されたものが用いられた。
第4図A及びBは、比較結果をあられし、第4図Aは、
焼結合金部材T I”’ T 4及び比較例T。
〜T8で夫々形成された摺動面部2T1〜2T。
の各々の摩耗量を、その表面の後退距離(μm)であら
れしており、また、第4図Bは、焼結合金部材T1〜T
4及び比較例T、〜Tllで夫々形成された摺動面部2
 T +〜2 T aに夫々当接するカムノーズ部8T
、〜8T、の各々の摩耗量を、その表面の後退距離(μ
m)であられしている。
第4図Aかられかる如く、比較例T、〜T8で形成され
た摺動面部2Ts〜2Tsの摩耗量が、夫々、7μ、2
0μ、14μ及び10μであるのに対し、焼結合金部材
T1〜T4で形成された摺動面部2T+〜2T4におけ
る摩耗量は7μ以下である。
斯かる結果より、焼結合金部材T1〜T4の夫々が、優
れた耐摩耗性を有していることが認められる。また、第
4図Bかられかる如く、比較例T。
〜T8で形成された摺動面部2Ts〜2 T sに夫々
当接するカムノーズ部8T、〜8T8の摩耗量が、夫々
、28μ、23μ、65μ及び23μであるのに対し、
焼結合金部材T I−T 4で形成された摺動面部2 
T + 〜2 T aに夫々当接するカムノーズ部8T
、〜8T4の摩耗量は、17μ以下である。斯かる結果
より、焼結合金部材T、〜T4の夫々が、それにより摺
動部材が形成されるとき、その摺動部材に当接する他の
部材の耐摩耗性を著しく損なうことがないものとされて
いることが認められる。
(発明の効果) 以上の説明から明らかな如く、本発明に係る耐摩耗性に
優れた焼結合金部材は、ソルバイト組織とされた基地中
に、複合炭化物が分散混入するのみならず、粒径が1.
0μm以下の粒状炭化物が析出するものとされるので、
それにより形成された摺動部材の摺動面に比較的大なる
圧力が作用する状態においても、摺動面の耐摩耗性が損
なわれる事態を著しく低減することができる。しかも、
斯□かる焼結合金部材は、焼結時に炭素と結合して燐共
晶を生成する燐の含有量が比較的小とされているので、
摺動面を有する部材を形成するものとされるとき、その
摺動面に当接する他の部材の耐摩耗性を著しく損なうこ
とがないものとなる利点を有する。
また、本発明に係る耐摩耗性に優れた焼結合金部材の製
造法によれば、合金粉末により形成された圧粉体を焼結
して得られた焼結体に対し、AI変態点以下まで冷却し
た後、880〜980℃の加熱温度で20〜60分間の
焼入れ処理を行うことにより、焼結合金部材の基地中に
、焼結合金部材の耐摩耗性を向上させるものとなる粒状
炭化物を析出させることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る耐摩耗性に優れた焼結合金部材の
一例の内部金属組織を示す顕微鏡写真、第2図は本発明
に係る耐摩耗性に優れた焼結合金部材とは異なる焼結合
金の内部金属組織を示す顕微鏡写真、第3図は本発明に
係る耐摩耗性に優れた焼結合金部材の一例及びそれとは
異なる複数の焼結合金の特性比較実験に供される、ロッ
カーアームを含むエンジンの動弁系の一部を示す図、第
4図A及びBは本発明に係る耐摩耗性に優れた焼結合金
部材の一例及びそれとは異なる複数の焼結合金の特性比
較実験の結果をあられす図である。 図中、2 T +〜2 T sは摺動面部、4はロッカ
ーアーム、6はカムシャフト、8 T +〜8Taはカ
ムノーズ部である。 特許出願人   マツダ株式会社 第4図

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. (1)3.5〜6.0重量%の炭素、2.5〜5.0重
    量%のクロム、及び、7.5〜13.0重量%のモリブ
    デン、1.5〜3.0重量%の燐及び1.5〜3.0重
    量%のほう素のうちの少なくとも1種を含み、残部が鉄
    とされた合金粉末が焼結されて得られ、ソルバイト組織
    とされた基地中に、複合炭化物が分散混入するとともに
    、粒径が1.0μm以下の粒状炭化物が析出して成る耐
    摩耗性に優れた焼結合金部材。
  2. (2)3.5〜6.0重量%の炭素、2.5〜5.0重
    量%のクロム、及び、7.5〜13.0重量%のモリブ
    デン、1.5〜3.0重量%の燐及び1.5〜3.0重
    量%のほう素のうちの少なくとも1種を含み、残部が鉄
    とされた合金粉末により圧粉体を形成する工程と、上記
    圧粉体を焼結して焼結体を得る工程と、該焼結体をA_
    1変態点以下まで冷却する工程と、A_1変態点以下ま
    で冷却された上記焼結体に対し880〜980℃の加熱
    温度で20〜60分間の焼入れ処理を行う工程と、焼入
    れされた上記焼結体に対し540〜590℃の加熱温度
    で80〜120分間の焼戻し処理を行う工程と、を含ん
    で成る耐摩耗性に優れた焼結合金部材の製造法。
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