JPS627881Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は差動制限装置に係り、特に差動抵抗
トルクの値を容易に調整するに好適な差動制限装
置に関する。

一般に、摩擦式差動制限装置、例えば予圧ばね
式の摩擦式差動制限装置では、デイフアレンシヤ
ルピニオンシヤフト内部に予圧ばねが設けられ、
またデイフアレンシヤルサイドギヤとデイフアレ
ンシヤルケースとの間に摩擦板が介在されて、前
記予圧ばねによつて前記摩擦板が強圧状態とされ
ている。この状態下で駆動車輪の片輪がスリツプ
したり或いは旋回時片輪が空転して、両車輪に大
きな回転差が生じると、前記摩擦板に滑りが生
じ、差動抵抗トルクとしての摩擦トルクが発生し
て差動を制限し、車両の駆動力が増加する。

この摩擦トルクの値は前記予圧ばねの復元力、
摩擦板の摩擦係数および摩擦板の枚数により決定
されるが、車両走行に伴い摩擦板が摩耗して摩擦
係数が低下し、従つて摩擦トルクの値が低下する
ことがある。

しかしながら、第３図に示される如く、従来の
デイフアレンシヤルケース４１は、中央部で２分
割される構造とされ、組付け状態では軸方向長さ
が一定であるため、摩擦トルクの値を適正値に回
復するには予圧ばね或いは摩擦板を交換しなけれ
ばならない。

また道路状況、走行方法等の走行条件に応じた
摩擦トルクを得たい場合にも、それに適合する予
圧ばね或いは摩擦板に交換しなければならず、こ
のように、従来の差動制限装置では、差動抵抗ト
ルクの調整が煩雑になるという問題点がある。

この考案は、上記従来の問題点に鑑みなされた
ものであつて、差動抵抗トルクを容易に調整する
ことができる差動制限装置を提供することを目的
とする。

上記目的を達成するために、この考案に係る差
動制限装置は、回転可能とされ且つ内部にデイフ
アレンシヤルピニオンギヤを軸支するデイフアレ
ンシヤルピニオンシヤフトが配設されるデイフア
レンシヤルケースと、該デイフアレンシヤルケー
ス内部に配設され前記デイフアレンシヤルピニオ
ンギヤに噛合されると共にそれぞれが左右の車軸
に連結される一対のデイフアレンシヤルサイドギ
ヤと、該両デイフアレンシヤルサイドギヤ間に介
在されて該両サイドギヤを相離反する方向に押圧
する予圧ばねと、前記両デイフアレンシヤルサイ
ドギヤの背面と前記デイフアレンシヤルケース間
に配設され前記予圧ばねの押圧下で該デイフアレ
ンシヤルケースと該デイフアレンシヤルサイドギ
ヤとの回転差により差動抵抗トルクを発生する摩
擦板と、を有する差動制限装置において、前記デ
イフアレンシヤルケースが分割され、一方が他方
に対して前記予圧ばねの伸縮方向に調節移動可能
とされるものであり、前記一方のデイフアレンシ
ヤルケースを前記他方のそれに対して前記予圧ば
ねの伸縮方向に移動させることにより、該予圧ば
ねの復元力を変化させ、前記差動抵抗トルクの値
を変化させるものである。

以下本発明の実施例を図面を参照して説明す
る。

デイフアレンシヤルケース１は、その軸方向中
央部で、外周部にリングギヤ２が嵌合されるＡケ
ース３と、Ｂケース５とに分割されている。この
Ａ，Ｂケース３，５の接合部には、十文字形状で
中央部に円形孔７が形成されるデイフアレンシヤ
ルピニオンシヤフト９が嵌合されている。このデ
イフアレンシヤルピニオンシヤフト９の４本の円
柱部には、それぞれ４つのデイフアレンシヤルピ
ニオンギヤ１１が高速回転可能に軸支されてい
る。

また、デイフアレンシヤルケース１の内部に
は、一対のサイドギヤ１３，１４が、それぞれの
傘部１５，１６を互いに対向させてそれぞれデイ
フアレンシヤルケース１と同軸に支持されてい
る。また、これらのサイドギヤ１３，１４はデイ
フアレンシヤルピニオンギヤ１１に噛合されると
共に、それぞれ左右の車軸に連結されている。

円形孔７およびデイフアレンシヤルサイドギヤ
１３，１４によつて囲繞される空間には、円筒状
で底部にフランジ部を有するリテーナ１７，１９
がデイフアレンシヤルサイドギヤ１３，１４と同
軸的に配設されている。このリテーナ１９は、フ
ランジ部をデイフアレンシヤルサイドギヤ１４の
傘部１６に当接させ、円筒部をデイフアレンシヤ
ルサイドギヤ１３の側に向けて配設されている。
また、リテーナ１７はフランジ部をデイフアレン
シヤルサイドギヤ１３の傘部１５に当接させ、円
筒部をデイフアレンシヤルサイドギヤ１４の側に
向け、且つ円筒部内部にリテーナ１９の円筒部を
嵌合して配設されている。

また、リテーナ１７，１９のフランジ部間に
は、径の異なる大小２つの予圧ばね２１，２２
が、その伸縮方向をデイフアレンシヤルサイドギ
ヤ１３，１４の軸方向と同一にして介在されてい
る。この予圧ばね２１，２２はリテーナ１７，１
９を介して、デイフアレンシヤルサイドギヤ１
３，１４をこれらの軸方向で相離反する向きに押
圧している。

一方、デイフアレンシヤルサイドギヤ１３の傘
部１５の背面とＡケース３との間、およびデイフ
アレンシヤルサイドギヤ１４の傘部１６の背面と
Ｂケース５との間にはそれぞれ摩擦板２３が設け
られている。この摩擦板２３は、デイフアレンシ
ヤルサイドギヤ１３又は１４に係合されるクラツ
チプレート２５と、Ａケース３またはＢケース５
に係合されるスラストワツシヤ２７と、からな
り、これらクラツチプレート２５、スラストワツ
シヤ２７が複数枚重ね合わされて構成されてい
る。

さらに摩擦板２３は、クラツチプレート２５、
スラストワツシヤ２７が重ね合わされた状態で、
デイフアレンシヤルサイドギヤ１３または１４を
介して予圧ばね２１，２２により押圧されてい
る。従つて、デイフアレンシヤルケース１とデイ
フアレンシヤルサイドギヤ１３，１４との間に回
転差が生じた際に、この摩擦板２３に差動抵抗ト
ルクが発生し、差動が制限可能とされる。

また、前記Ａケース３は、軸方向に延在する筒
部２９と、摩擦板２３が当接する底部３１とに分
割されている。筒部２９の先端円周内部にはねじ
部３３が形成され、このねじ部３３に底部３１が
螺合されて、この底部３１がＡケース３の軸方
向、即ち予圧ばね２１，２２の伸縮方向に移動可
能とされている。

さらに、筒部２９の先端部には、鉤形状の固定
用つめ３５が、ワツシヤ３７を介してボルト結合
されている。この固定用つめ３５の先端部は、底
部３１に穿設される固定用穴３９に嵌入され、こ
の底部３１の軸方向移動が規制可能とされる。こ
の固定用穴３９は、底部３１の外面の周側縁近傍
で、円周方向複等配位置に設けられている。

次に作用を説明する。

車両走行に伴い、摩擦板２３が摩耗、または予
圧ばね２１，２２の復元力が低下して摩擦板２３
に発生する摩擦トルクが低下した場合には、固定
用つめ３５を固定用穴３９から離脱させ、底部３
１を軸方向で予圧ばね２１，２２の向きに移動さ
せる。この移動により予圧ばね２１，２２に復元
力が回復または増大し、摩擦板２３或いは予圧ば
ね２１，２２を交換することなく、摩擦板２３に
発生する摩擦トルクを最適値に保持することがで
きる。

また車両走行条件により摩擦トルクを変化させ
たい場合にも、底部３１を軸方向に移動させるの
みで前記摩擦トルクを調節することができる。

第２図は同実施例におけるデイフアレンシヤル
ケースの変形例を一部を省略して示す断面図であ
る。

この変形例ではＡケース３を分割せず、Ｂケー
ス５を筒部２９Ａと、底部３１Ａとに分割するも
のであり、他の構成は前記実施例と同様である。
従つて、前記実施例と同様の効果を得ることがで
きる。

以上のように、この考案に係る差動制限装置に
よればデイフアレンシヤルケースを分割し、一方
を他方に対して予圧ばねの伸縮方向に調節移動可
能としたことから、この予圧ばねの復元力を変化
させることにより、差動抵抗トルクの値を容易に
調整することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係る差動制限装置の一実施
例を示す半断面図、第２図は同実施例におけるデ
イフアレンシヤルケースの変形例を一部を省略し
て示す断面図、第３図は従来のデイフアレンシヤ
ルケースを一部を省略して示す断面図である。 １……デイフアレンシヤルケース、３……Ａケ
ース、５……Ｂケース、９……デイフアレンシヤ
ルピニオンシヤフト、１１……デイフアレンシヤ
ルピニオンギヤ、１３，１４……デイフアレンシ
ヤルサイドギヤ、２１，２２……予圧ばね、２３
……摩擦板、２９……筒部、３１……底部、３３
……ねじ部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 回転可能とされ且つ内部にデイフアレンシヤル
   ピニオンギヤを軸支するデイフアレンシヤルピニ
   オンシヤフトが配設されるデイフアレンシヤルケ
   ースと、該デイフアレンシヤルケース内に配設さ
   れ前記デイフアレンシヤルピニオンギヤに噛合さ
   れると共にそれぞれが左右の車軸に連結される一
   対のデイフアレンシヤルサイドギヤと、該両デイ
   フアレンシヤルサイドギヤ間に介在されて該両サ
   イドギヤを相離反する方向に押圧する予圧ばね
   と、前記両デイフアレンシヤルサイドギヤの背面
   と前記デイフアレンシヤルケース間に配設され前
   記予圧ばねの押圧下で該デイフアレンシヤルケー
   スと該デイフアレンシヤルサイドギヤとの回転差
   により差動抵抗トルクを発生する摩擦板と、を有
   する差動制限装置において、前記デイフアレンシ
   ヤルケースが分割され、一方が他方に対して前記
   予圧ばねの伸縮方向に調節移動可能とされること
   を特徴とする差動制限装置。