JPS627646Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は溶接用ワイヤをループ状に積層し収納
したペイルパツクから、溶接用ワイヤをからみ、
もつれのない状態で円滑にペイルパツク外上部へ
連続的に取出す為の溶接用ワイヤの押圧部材に関
する。

大容量の溶接用ワイヤ収納容器として上述した
ペイルパツクが使用されるが、ペイルパツクから
のワイヤ取出しは、ワイヤ積層体の上部のものか
ら順にペイルパツク外上部へ取出し、必要に応じ
てワイヤ矯正器で曲がりぐせを除去したのち、コ
ンジツトチユーブを経て溶接トーチへと該溶接ト
ーチ側に設けられたワイヤ送給機構により導くと
いう順序で行なう。このペイルパツクからの溶接
用ワイヤの取出しを円滑に行なうべく種々の取出
し装置が考えられているが、いずれも長時間連続
的に取出す、特に高能率溶接に対応させて高速取
出しを行なうと、からみ、もつれ等が生じ満足の
いくものではない。

殊に最近のペイルパツクに収納された溶接用ワ
イヤのように弾性限界の範囲内で捩り、例えばワ
イヤ１ターン当り360゜の捩りを与えて収納され
た溶接用ワイヤでは、ペイルパツク内でワイヤに
捩れようとする力が内在し、外周側へ広がろうと
する力が常に働いて、ワイヤを自由にするとペイ
ルパツクの外筒内壁に沿つて上部に跳ね上がろう
とする傾向を有するため、ワイヤ取出し時におけ
るからみ、もつれ等はより顕著にあらわれる。こ
のため従来においてペイルパツクの内筒と外筒の
間にループ状に積層収納されたワイヤ積層体の上
部に剛体からなる円環状の押え板を載置してワイ
ヤを上方から押えることによつてワイヤの跳ね上
がりをなくす方法が提案されている。しかし、こ
の方法では円環状の押え板と外筒内壁との間に間
隙があるため、該間隙からワイヤが跳ね上がり飛
び出すことによりからみ、もつれ等の不都合を生
じワイヤ取出しが中断することがある。このよう
に溶接時にペイルパツク内のワイヤにからみ、も
つれ等が生じると、溶接トーチにワイヤが送給さ
れず溶接作業を継続できないか、できたとしても
溶接欠陥の発生をまぬがれなかつた。

本考案は上記従来技術の欠点を解消するために
なされたものであつて、ペイルパツクからのワイ
ヤ取出し時においてからみ、もつれ等がなく円滑
に取出し得る溶接用ワイヤの押圧部材を提供する
ことを目的とし、その特徴とするところは、ペイ
ルパツク内に積層収納された溶接用ワイヤの押圧
部材であつて、ワイヤ積層体の上部に載置するワ
イヤ取出し孔を中央に設けた環状部材と該環状部
材の外周端縁に垂直に立設した壁状部材とからな
ることにある。以下本考案を図面に示す実施例ぬ
基づいて説明する。もとより、下記の実施例は本
考案を限定するものではなく、適宜本考案の主旨
を逸脱しない範囲で種々の実施例が考えられる。

第１図は本考案の溶接用ワイヤの押圧部材の使
用状態を示した断面図で、第２図は第１図におけ
るＡ−A′断面矢視図である。

ペイルパツク１は内筒（内筒は無くてもよい）
２と外筒３を備え、これらは同心円状に配置さ
れ、これらの内、外筒の間の空間には溶接用ワイ
ヤがループ状に積層されて収納される。W′はこ
の溶接用ワイヤのループ状の積層体を示す。内筒
２は下端が外筒３の底板部に固着され、有底外筒
３の開放上端部は、円錐状の蓋部材４で閉鎖さ
れ、これらの部材３，４の突合せ部は締結バンド
５により連結される。蓋部材４の中央頂部にはワ
イヤＷが通る孔があけられ、コンジツトチユーブ
６と接続している。なお必要に応じて該孔に位置
合せしてワイヤ矯正器７が着脱自在に取付けられ
る。

ペイルパツク１内に収納されたワイヤ積層体
W′の上部には溶接用ワイヤの押圧部材８が載置
され、該押圧部材は剛体からなるワイヤ取出し孔
を中央に設けた環状部材８′と該環状部材８′の外
周端縁に複数個（図の実施例では４個）所定間隔
をあけて垂直に立設した壁状部材８″とからな
る。押圧部材８はワイヤＷの消費につれてワイヤ
積層体W′上部とともに下降しつつその外周部に
おいては立設した壁状部材８″により外筒３内壁
に沿うワイヤＷの跳ね上がり、飛び出しを防止
し、その下部では環状部材８′の自重でワイヤＷ
の跳ね上がりを防止するものであり、又その内周
部においては内筒２外壁と所定の間隙Ｂを形成し
ている。ペイルパツク１の内、外筒間に積層収納
されたループ状の溶接用ワイヤＷは、上記環状に
形成した間隙Ｂを旋回するようにしてペイルパツ
ク外上方へと取出される。押圧部材８の壁状部材
８″と外筒３内壁とは非接触で対峙し、その間に
わずかな間隙を有しているが、この間隙からワイ
ヤが飛び出ることはない。すなわちペイルパツク
の内、外筒間に積層収納されたワイヤのループ径
は環状部材の外径よりも小さくワイヤ積層体
W′の断面状態は花模様を呈して収納されている
ので、ワイヤ積層体W′の上端のワイヤループは
その一部を環状部材８′の下方に位置し押圧され
た状態にあり、これにより、該位置を支点として
ワイヤループは前記壁状部材８″と外筒３内壁間
の間隙から跳ねようとするが、壁状部材８″は所
定の高さをもつて外筒３内壁と対峙しているた
め、壁状部材８″の遮蔽作用により跳ね上がりが
阻止され、上方に飛び出すことはない。

押圧部材８は環状部材８′とその外周端縁に立
設した壁状部材８″とを一体的に構成してもよい
し、又別体とし適宜の手段により取付けてもよ
い。第３図ａ，ｂ，ｃは押圧部材８のいくつかの
実施例を示した図であり、ａは第１図、第２図に
示した押圧部材で、環状部材８′の外周端縁に４
個の板状の壁状部材８″所定間隔をあけて立設し
たもの、ｂは環状部材８′の外周端縁に複数個の
棒状物９を壁状部材として所定間隔をあけて立設
したもの、ｃは環状部材の外周部に所定高さの円
筒部材１０を壁状部材として立設したものであ
る。

押圧部材８の環状部材８′、壁状部材８″の材質
は特に限定せず、例えば鋼製、塩化ビニール等の
合成樹脂製あるいは、ハードボード製、段ボール
製でもよい。なお壁状部材８″の外筒内壁に対峙
する面を摩擦係数の大なる材質で構成すると、跳
ね上がろうとするワイヤループに対するより一層
の遮蔽効果を期待できる。また内筒２は上記説明
から明らかなように捩りを与えられて積層収納さ
れたワイヤに対して格別の機能を有していない。
これはワイヤを積層収納する際、取り出す際もそ
うであり、従つてこの場合内筒２は除去してもよ
い。

以上詳細に説明したように本考案では、ペイル
パツク内に積層収納されたワイヤ積層体上部に載
置する押圧部材を環状部材とその外周端縁に立設
した壁状部材とにより構成しているので、捩り入
りのワイヤのペイルパツク外筒内壁に沿う跳ね上
がり、飛び出しを防止し、もつれ、からみ等の不
都合を生じることなく、押圧部材の中央のワイヤ
取出し孔からワイヤを円滑に旋回運動させながら
取出し得る。本考案の押圧部材は通常の溶接用ワ
イヤを長時間連続的に、又高速取出しを行なう場
合はもちろんのこと、特に捩りを与えられてペイ
ルパツク内に積層収納された溶接用ワイヤの取出
しにその効果を発揮し、溶接作業を中断すること
なく、ワイヤ取出しを円滑に継続して行なうこと
が可能であり、簡単な構成にもかかわらず極めて
その実用性は高い。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の押圧部材の使用状態を示した
断面図であり、第２図は第１図におけるＡ−
A′断面矢視図で、第３図ａ，ｂ，ｃは押圧部材
のいくつかの実施例を示した図である。 １……ペイルパツク、２……内筒、３……外
筒、８……押圧部材、８′……環状部材、８″，
９，１０……壁状部材、Ｗ……溶接用ワイヤ、
W′……ワイヤ積層体。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) ペイルパツク内に積層収納された溶接用ワイ
   ヤの押圧部材であつて、ワイヤ積層体の上部に
   載置するワイヤ取出し孔を中央に設けた環状部
   材と、該環状部材の外周端縁に垂直に立設した
   壁状部材とからなることを特徴とする溶接用ワ
   イヤの押圧部材。 (2) 複数の壁状部材をほぼ等間隔で設けた実用新
   案登録請求の範囲第１項記載の溶接用ワイヤの
   押圧部材。