JPS6261842B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は原子力発電プラント中を循環する冷却
材中に酸素ガスを注入する酸素ガス注入装置に関
する。

原子力発電プラントは、原子炉圧力容器より発
生した蒸気でタービンを駆動し、このタービンを
通過した蒸気を復水器へ導いて凝縮し、加熱した
のち、冷却水として再び原子炉圧力容器内へ流入
させるように構成されている。

ところがこのようなプラントを構成する機器類
および配管中には腐食生成物が生じ易く、その腐
食生成物が放射化されて冷却材と共に循環するこ
とによつて循環系全体が放射能汚染されるおそれ
もある。

そこで、腐食生成物の発生量を減少させる対策
として、循環冷却材中に酸素を溶存させ、機器類
および配管の内面に安定な酸化被膜をつくること
が考えられる。しかし冷却材流路の途中で酸素ガ
スを注入してもそれより上流側における腐食生成
物の発生を抑えることはできず、かと言つて復水
器のホツトウエル内に溜つた冷却材中に注入する
には、ホツトウエル内が負圧になつている関係
上、酸素ガスの溶解率が低く、大形の酸素貯蔵設
備を要し、プラントの運転費用が嵩むことにもな
る。しかも酸素は助燃ガスであるため、多量の酸
素を貯蔵しておくこと自体、プラントの安全性の
面ではマイナスとなる。

本発明はこのような事情にもとづいてなされた
もので、その目的は、酸素貯蔵設備を設けること
なく、効率よく冷却材中への酸素ガスの注入を行
ない、機器類および配管の内面に安定な酸化被膜
を形成して腐食生成物の発生を抑え、原子力発電
プラントの安全性を高めうる循環冷却材中への酸
素ガス注入装置を提供することにある。

すなわち、本発明に係る酸素ガス注入装置は、
フイルタを通して大気を流入させ、炭酸ガス除去
器で炭酸ガス成分を除去したのち、流量調節弁お
よび吸気ポンプを通して注入ノズルより、復水器
内の冷却材中に微細な気泡として注入するもので
ある。

以下、本発明の一実施例を図面を参照して説明
する。

第１図は原子力発電プラントの系統図で、原子
炉圧力容器１より発生した蒸気は主蒸気配管２を
通してタービン３へ導かれ、このタービンを駆動
したのち復水器４内へ流入し、復水器４で凝縮さ
れ、復水器４のホツトウエル５内に冷却材６とし
て溜められる。このホツトウエル５内の冷却材６
は低圧復水ポンプ７により復水配管８を通して復
水脱塩器９へ導かれ、ここで腐食生成物その他の
不純物を除去される。そして高圧復水ポンプ１０
で昇圧されたのち、給水配管１１を通して給水加
熱器１２へ導かれ、加熱されて、給水ポンプ１３
により給水配管１４を通して再び原子炉圧力容器
１内へ供給されるようになる。

また図中１５は酸素ガス注入装置で、この装置
１５は、フイルタ１６を通して大気１７を流入さ
せ、炭酸ガス除去器１８を通して大気１７中の炭
酸ガス成分を除去したのち、流量調節弁１９およ
び吸気ポンプ２０を通して注入ノズル２１より、
復水器４のホツトウエル５内に溜められた冷却材
６中に微細な気泡として注入するように構成され
ている。

なお、第２図は酸素ガス注入装置１５と復水器
４との関係を示すもので、注入ノズル２１より放
出された気泡状の大気は復水器４のホツトウエル
５内をジグザグ状に進み、流出部５Ａへ達するま
での間に冷却材６と十分に接触し、冷却材６中に
溶解する。

前記炭酸ガス除去器１８は、たとえば、大気１
７を酸化カルシウム等の脱炭酸剤に接触させて大
気中の炭酸ガス成分を除去する構成になつてい
る。また前記注入ノズル２１は、たとえば、孔径
が100μｍ程度の多孔性焼結合金管よりなるもの
である。

一方、前記復水器４と低圧復水ポンプ７との間
の復水配管８には第１の溶存酸素計２２が、また
前記給水加熱器１２と給水ポンプ１３との間の給
水配管１４には第２の溶存酸素計２３がそれぞれ
接続されている。これらの溶存酸素計２２，２３
はいずれも配管内を通過する冷却材６中に溶存し
ている酸素の量を検出するもので、これらの検出
信号は前記流量調節弁１９へ出力され、この調節
弁１９の開度を、冷却材６中の溶存酸素濃度が20
〜200ppbの範囲に収まる如く制御するようにし
ている。

また、前記復水器４には排ガス処理装置２４
が、ホツトウエル５の気相部に連通するように接
続されている。そこで、注入ノズル２１より冷却
材６中の放出された大気１７は、酸素ガス成分を
冷却材６に溶解させ、残部は他の非凝縮性ガスと
ともにホツトウエル５内の気相部へ放出され、さ
らに排ガス処理装置２４へ排出される。

以上のような構成であると、原子力発電プラン
ト循環冷却材中にはホツトウエル５内において大
気中の酸素ガスが効率よく注入されるので、プラ
ント中の機器類および配管の内面には安定な酸化
被膜が形成され、腐食生成物の発生量が減少す
る。したがつて放射化された腐食生成物の循環に
伴なうプラント全体の放射能汚染は減少し、運転
員の被曝線量も減少する。また大気中の酸素を使
用するので十分な酸素量を得ることができ、大形
の酸素貯蔵設備を設ける必要がなく、プラントの
運転費用が低減するとともに、多量の酸素を貯蔵
しておく必要がない点においてもプラントの安全
性が高められることになる。

以上、実施例にもとづいて説明したように、本
発明に係る循環冷却材中への酸素ガス注入装置
は、フイルタを通して大気を流入させ、炭酸ガス
除去器で炭酸ガス成分を除去したのち、流量調節
弁および吸気ポンプを通して注入ノズルより、復
水器内の冷却材中に微細な気泡として注入するよ
うに構成されているので、酸素貯蔵設備を設ける
ことなく、効率よく冷却材中への酸素ガスの注入
を行なうことができ、原子力発電プラント中にお
ける機器類および配管の内面に安定な酸化被膜を
形成して腐食生成物の発生を抑えることができ、
プラントの安全性を高めることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す系統図、第２
図は第１図の一部を取出して示す系統図である。 １……原子炉圧力容器、４……復水器、６……
冷却材、１２……給水加熱器、１５……酸素ガス
注入装置、１６……フイルタ、１７……大気、１
８……炭酸ガス除去器、１９……流量調節弁、２
０……吸気ポンプ、２１……注入ノズル、２２…
…第１の溶存酸素計、２３……第２の溶存酸素
計。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 大気を流入させその大気中不純物を除去する
   フイルタと、このフイルタを通過した大気中の炭
   酸ガス成分を除去する炭酸ガス除去器と、この炭
   酸ガス除去器を通過した大気の流量を調節する調
   節弁と、この調節弁の下流側に設けられた吸気ポ
   ンプと、原子力発電プラント中の復水器内に導入
   され前記吸気ポンプを通過した大気を復水器内の
   冷却材中に微細な気泡として放出する注入ノズル
   とを具備したことを特徴とする循環冷却材中への
   酸素ガス注入装置。 ２ 前記調節弁を、前記復水器の流出部に設けら
   れた第１の溶存酸素計による検出値または給水加
   熱器の流出部に設けられた第２の溶存酸素計によ
   る検出値の少なくとも一方が所定の範囲に収まる
   如く制御するようにしたことを特徴とする特許請
   求の範囲第１項記載の循環冷却材中への酸素ガス
   注入装置。