JPS625766Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 本考案は押出プレスに供給される材料としての
ビレツトの表面に形成されているスケールを供給
前に除去するスケール除去装置に関するものであ
る。

〔従来技術〕

押出プレスは、一般にダイスと、ダイスに一端
を密着させうる中空円筒状のコンテナと、このコ
ンテナ内で摺動する押出用ステム等を備えてお
り、素材である中実状または中空状のビレツトを
コンテナの中に入れてダイスの反対側から押出用
ステムで押すことによりビレツトをダイスの孔か
ら押出して型材や円管等特定の断面形状を有する
連続材または長尺材を得るものである。

この種の押出プレスに供給される材料としての
ビレツトの表面には圧延時に発生したスケールが
形成されていてこれをそのまゝ押出プレスに供給
すると押出製品が脆化するので、これを除去する
必要がある。従来この種のスケール除去装置とし
ては、先端にノズルを有するパイプ状のものを用
い、ビレツトを回転させながらこれに高圧の水を
吹き付けるものが一般に使用されているが、この
ような従来の装置においては、作業に長時間を要
し、特にホロービレツトと呼ばれる中空状のビレ
ツトではビレツトの外周面と内周面とのスケール
を除去しなければならないので、さらに長時間を
要し非能率的であつた。また水を扱う作業である
ために身体や衣服に水が掛かることが多くきわめ
て作業環境が悪かつた。

〔考案の概要〕

本考案は以上のような点に鑑みなされたもの
で、ビレツト台上を軸芯方向に搬送されるビレツ
トの外周面に対向するノズルと、ビレツトが中空
状のときにその内孔内へ進入して内周面に対向す
るノズルとを設け、ビレツト台を横方向へ移動さ
せて上昇させることにより小径のビレツトに対応
させかつビレツト台のまゝ装置外へ搬出するよう
に構成することにより、ビレツト径およびその中
実・中空にかゝわらずビレツトの搬入から搬出ま
でを自動化することを可能にして省力化を計つた
押出プレス用ビレツトのスケール除去装置を提供
するものである。以下、本考案の実施例を図面に
基いて詳細に説明する。

〔実施例〕

第１図ないし第３図は本考案に係るスケール除
去装置の実施例を示し、第１図はその概要平面
図、第２図は同じく概要側面図、第３図は第２図
のAA断面図である。図において、全体を符号１
で示すスケール除去装置は、フレーム２で４周と
上方の一部とを覆われており、その上流側にはビ
レツト３を加熱するビレツトヒータ４が配設され
ている。本実施例においてはビレツト３が中空円
筒状の場合を示している。スケール除去装置１に
はその幅方向の一方へ片寄つた大径ビレツト用径
路５がビレツトヒータ４に対応して配設されてお
り、この大径ビレツト用径路５の上流側前端部に
は、上面上に複数個の回転ローラ６を備えた固定
ビレツト台７が床面に固定されて設けられてい
る。そしてビレツトヒータ４内で加熱されたビレ
ツト３は、ビレツトヒータ４側に設けた押出装置
によつて固定ビレツト台７を経て第１ビレツト台
８上へ押し出される。第１ビレツト台８はビレツ
ト３を転動させる複数個のローラ９と、床面の図
示しないレール上を装置１の幅方向へ転動する４
個の車輪１０とを備えており、前記大径ビレツト
用径路５と、装置１の幅方向にこの径路５と並列
して設けられた小径ビレツト用径路１１との間を
図示しない駆動装置に駆動されて移動可能である
とともに、ビレツト径の大小に対応してその中心
位置を確保できるよう図示しない昇降装置に駆動
されて昇降できるように構成されている。さらに
第１ビレツト台８のビレツト３移動方向下流側に
は、複数個のローラ１２と車輪１３とを備えた第
２ビレツト台１４が第１ビレツト台８と同一軸線
上に設けられており、このビレツト台１４は第１
ビレツト台８と同じくビレツト３を軸線方向へ転
動させる機能と、両径路５，１１間で移動する機
能と、ビレツト径の大小に対応して昇降する機能
とを有するとともに、図示しない押出し装置で駆
動されて第３図に鎖線で示す装置外位置へ押出さ
れるように構成されている。

符号１５，１６で示すものは、大径，小径ビレ
ツト用各径路５，１１の上方にそれぞれ対応して
配設されたビレツトプツシヤであつて、フレーム
２上の図示しないレールに沿つて転動する車輪を
備えたＬ字状の台車１５ａ，１６ａと、その前後
両端部に蝶番で開閉自在に垂下されかつ垂下状態
で固定可能なＬ字状のプツシヤ片１５ｂ，１５
ｃ，１６ｂ，１６ｃ（１６ｃは図示せず）とで形
成されている。台車１５ａ，１６ａにはフレーム
２側に並列して固定された各シリンダ１７のピス
トンロツド１８の作用端がそれぞれ枢着されてお
り、ピストンロツド１８を油圧で進退させること
によりビレツトプツシヤがビレツト３の軸芯方向
に進退し、プツシヤ片１５ｂ，１５ｃ，１６ｂ，
１６ｃでビレツト３を押してビレツト台８，１４
上を移動させるように構成されている。

このようにして移動するビレツト３には、その
外周面と内周面とに水を噴射してスケールを除去
するノズルヘツドが付設されている。すなわち、
両ビレツト台８，１４の間には、環状に形成され
た大径ビレツト用のノズルヘツド１９と小径ビレ
ツト用のノズルヘツド２０とが両径路５，１１上
に位置してそれぞれ配設されており、各ノズルヘ
ツド１９，２０の内周面には、図示しない給水源
と接続されて高圧水を噴出させるノズル２１，２
２がそれぞれ設けられている。そして両方のノズ
ルヘツド１９，２０は、ビレツト３に合わせて中
心位置を調節するための上下動装置２３によつて
支持されている。

前記第２ビレツト台１４の下流側に設けた台２
４上には、一対の台車２５，２６が両径路５，１
１上に位置してビレツト３の軸芯方向へ移動自在
に設けられており、これに支持されて水平状に突
出するロツド２７，２８の先端部には、図示しな
い給水源と接続されて高圧水を噴出させるノズル
２９，３０がそれぞれ設けられている。３１は高
圧水で除去されたスケールをビレツト３の内部か
ら掻き出す掻き出し具であつて、ノツド２７，２
８の先端部に突設されている。なお、台車２５
は、実施例に示すようにビレツト３が中空の場合
にはビレツト３の径にしたがつていずれか一方を
実線位置におき、またビレツトが中実の場合に
は、ビレツトから退去させて非使用位置である鎖
線位置へ移動させる。さらに中空ビレツト３の装
置外搬出時にも鎖線位置へ退去させる。

以上のように構成されたスケール除去装置の動
作を説明する。

ビレツト３が大径円筒状の場合、ビレツトヒー
タ４で加熱されたビレツト３は、開放されたプツ
シヤ片１５ｃの下方を通り固定テーブル７上を経
て第１ビレツト台８上に押し出され、このときプ
ツシヤ片１５ｃが閉じてシリンダ１７のピストン
ロツド１８が前進するので、ビレツト３はプツシ
ヤ片１５ｃで押されて第１ビレツト台８上から第
２ビレツト台１４へと徐々に移動する。この場
合、あらかじめ上下動装置で中心位置が調整され
たノズルヘツド１９と静止状のロツド２７のノズ
ル２１，２９から高圧水が噴出しており、ビレツ
ト３がこのノズル２１，２９の位置を一端から他
端まで順次通過するので、ビレツト３の外周面と
内周面とのスケールが同時に除去される。また除
去された内周面のスケールは掻き出し具３１で掻
き出される。このようにしてスケールの徐去が行
なわれたのち台車２５が鎖線位置へ退去し、第２
ビレツト台１４が押出し装置によつて装置側方か
ら押されることにより第３図の鎖線位置へ移動
し、搬出されたビレツト３が次工程へ送られる。
このあと第２ビレツト台１４と台車２５とを元の
位置へ戻しプツシヤ片１５ｃを開いて前記動作を
繰返す。

次にビレツト３が小径円筒状の場合には、台車
２６を使用位置である図の実線位置へ移動させ、
台車２５はそのまゝにするか鎖線位置へ退去させ
るかいずれでもよい。次に第２ビレツト台１４を
小径ビレツト用径路１１側へ移動させたのち、昇
降装置で支承板を上昇させてその高さを小径ビレ
ツトに対応させた状態で待期させる。そして前記
と同様にして小径ビレツトを第１ビレツト台８上
へ押し出したのち、第１ビレツト台８を小径ビレ
ツト用径路１１へ移動させ、シリンダ１７の作動
によりビレツトを待期中の第２ビレツト台１４上
へ移動させる。この場合、小径ビレツト外周用の
ノズルヘツド２０が上下動装置によつてあらかじ
め中心位置を調整されており、またロツド２８が
小径ビレツトと同心位置におかれているので、ビ
レツトが第１ビレツト台８から第２ビレツト台１
４へ移動することにより、ノズル２２，３０で外
周面と内周面のスケールが除去されるとともに、
掻き出し具３１によつてスケールが掻き出され
る。除去後の小径ビレツトは、第２ビレツト台１
４を装置外へ移動させることにより搬出されて次
工程へ送られる。なお、第１図においては大径ビ
レツトの移動径路を実線矢印で示し、小径ビレツ
トの移動径路を点線矢印で示している。また前記
各動作は、シーケンス回路により順序にしたがつ
てこれを行なわせることが容易であり、こうする
ことによつてビレツトの供給から搬出までを完全
に自動化することができる。

なお、ビレツト３が円柱状の場合には、ビレツ
ト孔用のノズル２９，３０は不要であり、かつ邪
魔になるので、台車２５，２６は鎖線で示す位置
に後退させておく。

〔考案の効果〕

以上の説明により明らかなように、本考案によ
れば押出プレス用ビレツトのスケール除去装置に
おいて、ビレツト台上を軸芯方向に搬送されるビ
レツトの外周面に対向するノズルと、ビレツトが
中空状のときにその内孔内へ進入して内周面に対
向するノズルとを設け、ビレツト台を横方向へ移
動させて上昇させることにより小径のビレツトに
対応させかつビレツトをビレツト台のまゝ装置外
へ搬出するように構成することにより、ビレツト
が大径の場合と小径の場合とで搬送径路を変え、
ビレツトが中実の場合と中空の場合とでノズルを
使用位置・非使用位置間で進退させて各種のビレ
ツトのスケール除去作業をビレツトの供給から搬
出に至るまで自動化することが可能となるので、
省力化が計れるとともに、作業者が水を浴びるこ
とがなく作業環境が向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図は本考案に係る押出プレス
用ビレツトのスケール除去装置の実施例を示し、
第１図はその概要平面図、第２図は同じく概要側
面図、第３図は第２図のAA断面図である。 １……スケール除去装置、２……フレーム、３
……ビレツト、５……大径ビレツト用径路、８…
…第１ビレツト台、１１……小径ビレツト用径
路、１４……第２ビレツト台、１５……ビレツト
プツシヤ、１７……油圧シリンダ、１９，２０…
…ノズルヘツド、２１，２２……ノズル、２７，
２８……ロツド、２９，３０……ノズル。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ビレツトを軸芯方向へ移動自在に支承し、前記
   軸芯方向と直交する方向に並列する大径ビレツト
   用径路と小径ビレツト用径路との間で移動可能な
   ビレツト台であつてビレツト径対応用の昇降装置
   を備えた第１ビレツト台と、この第１ビレツト台
   に対するビレツトの軸芯方向移動下流側に並列し
   てビレツト径対応用の昇降装置を備え前記第２ビ
   レツトと同方向ならびに装置外へ移動可能な第２
   ビレツト台と、前記ビレツトと係合し駆動手段で
   駆動されてビレツトを前記両ビレツト台上で移動
   させるビレツトプツシヤと、ビレツトの軸芯方向
   への移動径路内における機体側に固定されビレツ
   トの外周面に対向するノズルを内周面に備えた外
   周用ノズルヘツドと、中実状ビレツトと中空状ビ
   レツトとに対応して選択的に作動位置へ進退し中
   空状ビレツトの軸芯方向への移動によりその内周
   面の全長にわたつて順次対向するノズルをビレツ
   ト内孔係入ロツドの先端部に備えた内周用ノズル
   ヘツドとを設けたことを特徴とする押出プレス用
   ビレツトのスケール除去装置。