JPS625331Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、ワイヤを記録媒体に対し、接触離隔
することによつて、ワイヤの先端部に付着してい
るインクを記録媒体に付着させるワイヤドツトプ
リンタに関する。

従来のワイヤドツトプリンタとして、特開昭52
−58617号の明細書に示されたものが知られてい
る。このワイヤドツトプリンタは第１図に示され
ているのでこれを説明する。第１図において符号
１はプラテンを示しており、このプラテン１に接
触して記録媒体２が配置されており、この記録媒
体２に対向してワイヤ保持部材３が設けられてい
る。このワイヤ保持部材３の記録媒体２に対向す
る先端部にはパイプ状の保持部４が配置されてい
る。この保持部４には保持孔５が形成されてお
り、この保持孔５に連通してインク溜部６が設け
られている。インク溜部６にはインク７が充填さ
れており、このインク溜部６および保持孔５を挿
通し、かつ、摺動可能にワイヤ８が配置されてい
る。このワイヤ８の記録媒体２に対向する先端部
には上記インク溜部６からワイヤ８と保持孔５壁
との間隙によつてインク７が供給される。上記ワ
イヤ８の記録媒体２と対向しない後端部は、駆動
手段９に連結されている。ワイヤ８は、この駆動
手段９によつて記録媒体２に対して、接触離隔す
ることにより、ワイヤ８の先端部に付着したイン
クを記録媒体２に付着させてドツトを形成する。

一般にワイヤドツトプリンタにおいては、連続
的なワイヤの記録媒体に対する接触離隔運動に合
わせて、インク溜部にあるインクをワイヤの先端
部へいかに定常的に供給するかが重要な課題とな
つている。

特開昭52−58617の明細書に示された上述のワ
イヤドツトプリンタは、連続的なドツト形成を行
うとワイヤ８の先端部にインク７の供給がなされ
なくなり、正常なドツトの形成が阻害されるとい
う欠点をもつている。この原因としてはワイヤ８
の先端部へのインク７の供給を、ワイヤ８と保持
孔５壁との間隙におけるインクの表面張力にのみ
依存しているためであると考えられる。

また、第２図のように、上述の保持部４を独立
したパイプ状のものとせずに複数の保持孔５を一
体に形成したガイド部１０を設け、それぞれの保
持孔５に配置されたワイヤ８を駆動手段９によつ
て摺動させ、かつ、記録媒体２に対して接触離隔
させることによりドツトを形成するものが知られ
ている。しかし、このワイヤドツトプリンタにお
いても連続的なドツト形成の場合には正常なドツ
ト形成のなされないことがあり、あるいはドツト
の濃度にむらが生じるなどの欠点がある。

本考案の目的は、上述の欠点を解消することが
できるワイヤドツトプリンタを提供することにあ
る。

本考案は、記録媒体に対しワイヤを接触離隔さ
せることによつて、ワイヤの先端部に付着したイ
ンクを記録媒体に付着させてドツトを形成するワ
イヤドツトプリンタにおいて、ワイヤ保持部材に
内径の異なる保持孔を形成し、ワイヤ保持部材の
小径の保持孔を記録媒体側に配置させ、大径の保
持孔をインク溜部に連通させ、上記小径および大
径の保持孔を通過するワイヤが小径および大径の
保持孔に対応した小径部および大径部を有するこ
とを特徴とする。

以下に第３図乃至第９図に示す実施例に基づい
て本考案を詳細に説明する。

第３図において符号１１はプラテンを示してお
り、これに接触するように記録媒体１２が配置さ
れている。この記録媒体１２に対向してワイヤ保
持部材１３が配置されている。ワイヤ保持部材１
３の記録媒体１２に対向する先端部には複数の保
持部１４が設けられている。これらの保持部１４
には、保持孔１５が形成されており、この保持孔
１５に連通してインク溜部１６が設けられてい
る。このインク溜部１６にはインク１７が充填さ
れている。また、上記保持孔１５とインク溜部１
６とを挿通し、かつ、摺動可能なようにワイヤ１
８が配置されている。上記ワイヤ保持部材１３の
後端部にはソレノイドなどの駆動手段１９が配置
されており、この駆動手段１９は、上記ワイヤ１
８の後端部に連結されている。上記ワイヤ保持部
材１３は、記録媒体１２に対して相対的に水平方
向へ間欠的もしくは連続的に往復移動される。上
記ワイヤ１８はこのワイヤ保持部材１３の往復移
動に伴つて、上記駆動手段１９により、選択的に
記録媒体１２に対して接触離隔することにより、
ワイヤ１８の先端部に付着しているインク１７を
記録媒体１２に付着させてドツトを形成する。さ
らに上記ワイヤ保持部材１３の記録媒体１２に対
する往復移動に対応して、記録媒体１２がワイヤ
保持部材１３の移動方向に垂直な方向へ間欠的も
しくは連続的に移動される。

上記保持部１４には、第４図に示すように小径
の保持孔１５ａと大径の保持孔１５ｂとからなる
保持孔１５が形成されており、この保持部１４の
大径の保持孔１５ｂの壁部には、通液孔２０が形
成されている。上記ワイヤ１８は直径の異なる小
径部１８ａと大径部１８ｂとからなり、これらの
小径部１８ａと大径部１８ｂとが、上記保持部１
４の小径の保持孔１５ａと大径の保持孔１５ｂに
それぞれ摺動可能に配置されている。さらにワイ
ヤ１８は、小径部１８ａと大径部１８ｂとの接合
部に段差面２１が形成されており、この段差面２
１が、上記保持部１４におけるＡ位置からＣ位置
まで移動可能に設定されている。

上記ワイヤ１８の小径部１８ａと大径の保持孔
１５ｂの壁との間には間隙部２２が形成されてお
り、この間隙部２２には、インク溜部１６にある
インク１７が通液孔２０によつて常に充填されて
いる。

上記間隙部２２は、ワイヤ１８に形成された段
差面２１がＡ位置からＢ位置へ移動することによ
つて容積を減らす。このとき間隙部２２の内にあ
るインク１７は、通液孔２０から段差面２１の移
動による間隙部２２の容積の減少分だけインク溜
部１６へと流出する。さらに段差面２１がＢ位置
を通過すると、上記通液孔２０がワイヤ１８の大
径部１８ｂの側面部によつて閉じられるため、間
隙部２２の内のインク１７は通液孔２０から流出
しなくなる。さらにワイヤ１８の段差面２１がＣ
位置方向に移動すると、間隙部２２の内のインク
１７は、上記段差面２１によつてワイヤ１８の小
径部１８ａと小径の保持孔１５ａの壁との間隙か
ら押し出されて、保持孔１５の小径側の開口部方
向へ移動される。上記段差面２１がＣ位置に達す
ると、ワイヤ１８は上記駆動手段１９によつて記
録媒体１２に対して反対方向へ移動される。この
ワイヤ１８の移動によつて段差面２１もＣ位置か
らＡ位置方向に移動する。この段差面２１がＢ位
置を通過すると、上記間隙部２２とインク溜部１
６とが通液孔２０によつて連通されて、インク溜
部１６内にあるインク１７が通液孔２０から上記
間隙部２２内に流入する。

さらに、上記保持部１４は、第５図および第６
図に示すように、大径の保持孔１５ｂの壁部に溝
状の通液孔２０を１つまたは複数個形成したもの
でもよい。第５図において、保持部１４にはワイ
ヤ１８の大径部１８ｂが保持孔１５ｂに摺動可能
に配置されており、このワイヤ１８の大径部１８
ｂと小径部１８ａとの接合部に形成された段差面
２１が、Ａ位置からＣ位置まで移動可能に設定さ
れている。この段差面２１がＡ位置からＢ位置ま
で移動すると、ワイヤ１８の小径部１８ａと大径
の保持孔１５ｂとによつて形成される間隙部２２
の容積が減少する。このとき段差面２１の移動に
よる間隙部２２の容積の減少に伴つて、その減少
量と等量のインク１７が間隙部２２から通液孔２
０を通過してインク溜部１６内に流出する。さら
に段差面２１がＢ位置を通過すると、ワイヤ１８
の大径部１８ｂの側面によつて上記通液孔２０が
閉じられるために、間隙部２２内のインク１７は
この通液孔２０から流出しなくなる。このために
間隙部２２の内のインク１７は、上記段差面２１
によつて、ワイヤ１８の小径部１８ａと小径の保
持孔１５ａの壁との微少な間隙から押し出され
て、保持孔１５の小径側の開口部方向へ移動され
る。

上記段差面２１がＣ位置に達すると、ワイヤ１
８は上記駆動手段１９によつて、記録媒体１２に
対して反対方向へ移動される。このワイヤ１８の
移動によつて、段差面２１がＣ位置からＡ位置方
向に移動する。この段差面２１がＢ位置を通過す
ると、上記間隙部２２とインク溜部１６とが通液
孔２０によつて連通されて、インク溜部１６内に
あるインク１７は上記通液孔２０から間隙部２２
内に流入する。

本考案のワイヤドツトプリンタの他の実施例が
第７図に示されているので次にこれを説明する。

第７図において、プラテン１１と接触した記録
媒体１２に対向したワイヤ保持部材１３の先端部
にガイド２３が設けられている。このガイド２３
には複数の保持孔２４が形成されている。ガイド
２３の後端面には保持部１４が接触して設けられ
ており、これらの保持部１４には、小径の保持孔
１５ａと大径の保持孔１５ｂが形成されている。
この小径の保持孔１５ａは上記ガイド２３に形成
された保持孔２４と連通している。上記保持部１
４に形成された小径の保持孔１５ａと大径の保持
孔１５ｂとガイド２３に形成された保持孔２４に
それぞれ摺動可能なようにワイヤ１８が配置され
ている。このワイヤ１８は小径部１８ａと大径部
１８ｂとからなる。さらにワイヤ１８の後端部は
駆動手段１９に連結されている。上記ワイヤ保持
部材１３は記録媒体１２に対して平行に間欠的も
しくは連続的に往復移動される。上記ワイヤ１８
は、このワイヤ保持部材１３の記録媒体１２に平
行な往復移動に伴つて、上記駆動手段１９によ
り、選択的に記録媒体１２に対して接触離隔する
ことによつてワイヤ１８の先端部に付着している
インク１７を記録媒体１２に付着させてドツトを
形成する。さらに記録媒体１２は上記ワイヤ保持
部材１３の往復移動に対応して、ワイヤ保持部材
１３の移動方向と垂直な方向へ間欠的もしくは連
続的に移動される。

上記複数のワイヤ１８の配列は記録媒体１２の
移動方向に対して垂直な方向へ、一列状あるいは
複数列状に配置し、これらの列状に配置されたワ
イヤ１８を静止した状態にして、これらに垂直な
方向に記録媒体１２を間欠的または連続的に移動
してもよい。

本考案のワイヤドツトプリンタに用いるワイヤ
１８は第６図に示すように第４図における段差面
２１を斜面としてもよいし、また第７図に示すよ
うに段差面２１を湾曲面としてもよい。

本考案のワイヤドツトプリンタは、連続的なド
ツトの形成においても、ワイヤの先端部へのイン
クの供給が定常的なものとなり、ドツトの濃度に
むらが生じることなく、かつ、正常なドツトの形
成を良く維持することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は従来のワイヤドツトプリ
ンタを示す一部切欠正面図、第３図は本考案のワ
イヤドツトプリンタの実施例を示す一部切欠正面
図、第４図は本考案のワイヤドツトプリンタの要
部を示す一部切欠正面図、第５図は本考案の要部
の他の実施例を示す一部切欠正面図、第６図は第
５図における本考案の要部を示す側面図、第７図
は本考案の他の実施例を示す一部切欠正面図、第
８図および第９図は本考案のワイヤドツトプリン
タに用いるワイヤの他の要部を示す断面図であ
る。 １２……記録媒体、１３……ワイヤ保持部材、
１４……保持部、１５……保持孔、１６……イン
ク溜部、１７……インク、１８……ワイヤ、１９
……駆動手段、２０……通液孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ワイヤを保持する保持孔を形成したワイヤ保持
   部材と、上記保持孔に連通していてワイヤの先端
   部にインクを供給するためのインク溜部と、この
   インク溜部および保持孔を挿通し、かつ、保持孔
   に対して摺動可能に配置したワイヤとを備え、か
   つ、記録媒体とワイヤ保持部材とを相対的に移動
   しながら、ワイヤを記録媒体に対して接触離隔さ
   せることによつてワイヤの先端部に付着している
   インクを記録媒体に付着させてインクのドツトを
   形成するワイヤドツトプリンタにおいて、上記ワ
   イヤ保持部材に内径の異なる保持孔を形成し、ワ
   イヤ保持部材の小径の保持孔を記録媒体側に配置
   させ、大径の保持孔をインク溜部に連通させ、上
   記小径および大径の保持径を通過するワイヤが小
   径および大径の保持孔に対応した小径部および大
   径部を有することを特徴とするワイヤドツトプリ
   ンタ。