JPS625187Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は加圧式粉末消化器、詳しくは、消火器
本体内に内装した高圧ガスボンベの封板を破るこ
とにより前記本体内の内圧を高め、該本体内に充
填されている粉末消化薬剤を弁体を介してノズル
から放出させるごとくした加圧式粉末消化器に関
する。

通常、此種消火器は、消火器本体の開口部に、
薬剤放出路と、該放出路を開閉する弁体及び前記
ボンベの封板を破る破壊軸とを備えた口金を取付
けて、前記弁体のスピンドルを前記口金の外方に
突出させ、操作具の操作により前記スピンドルを
介して弁体及び破壊軸を作動させるごとく成すと
共に、薬剤放出路には、前記弁体を閉方向に付勢
するコイルスプリングを設けて、該スプリングの
押圧力により弁体を押圧し、前記放出路を閉鎖す
るごとく構成されている。

所が、以上の如く薬剤放出路にコイルスプリン
グを設けている為、消火器の使用時には粉末消化
薬剤が前記放出路を通過し、その際消火薬剤の一
部が前記コイルスプリングにおける線材間の隙間
から該線材間及びスプリング内に侵入して密集硬
化し、この密集硬化により、例えば前記消火器本
体内の粉末消化薬剤を一度に全量放出することな
く、その一部を放出した後、前記放出路を弁体に
より一旦閉鎖し、再度前記放出路を開放して残り
の消火薬剤を放出させるとき、或いは前記本体内
の消火薬剤の全量放射後、口金内の薬剤放出路の
清掃を忘れて消火器本体内に新たな消火薬剤を充
填し、再使用する場合、前記弁体を作動させるべ
く前記操作具を押圧操作しても、前記スプリング
内で密集硬化した粉末消化薬剤が大きな抵抗とな
り、前記弁体を正常に作動させることが困難とな
る。

その結果前記本体内の消火薬剤を満足に放出で
きないばかりか、前記操作具を無理に押圧するこ
とにより部品の変形或いは破損する等の問題があ
つた。

本考案は以上の如き従来の問題点に鑑み考案し
たもので、消火薬剤を一度に放出させることなく
繰返し放出させる場合、及び薬剤放出後、口金の
薬剤放出路の清掃を忘れて再使用する場合であつ
ても、前記弁体を所定の操作力で確実に所定スト
ローク移動させることができるようにしたのであ
つて、前記放出路に、前記スプリングを囲繞する
弾性筒体を設け、この筒体の両端を、前記弁体と
前記スプリングを支持する前記口金とに密着させ
て前記筒体内を密閉状とし、前記消火薬剤の前記
スプリング内への侵入を防ぐごとくしたことを特
徴とするものである。

以下本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

図において、１は上端に開口部１ａを有する消
火器本体であり、２はこの本体１内に内装される
高圧ガスボンベであつて、このボンベ２の開口部
は封板３により閉鎖されている。又４は前記本体
１の開口部１ａに取付ける口金であつて、この口
金４には、薬剤放出管５を介して前記本体１内の
底部に連通開口する縦孔４１ａと該縦孔４１ａの
上方部から弁座４２を介して横方向に延びる横孔
４１ｂとから成る薬剤放出路４１と、ガス放出管
（図示せず）を介して前記本体１内の底部に開口
するガス放出路４３とを設けて、前記薬剤放出路
４１の縦孔４１ａに、前記放出路４１を開閉する
弁体６と、該弁体６を閉方向に付勢するコイルス
プリング７とを設けて、このスプリング７を、ガ
ス通路８１をもつた誘導具８を介して前記口金４
に支持すると共に、前記弁体６のスピンドル６１
を前記縦孔４１ａの上方部から口金４の上面に突
出させ、この突出端部を、前記口金４の上部に固
定レバー９を介して枢支した操作具１０に掛止
し、この操作具１０の操作により前記スピンドル
６１を介して弁体６を作動させるようにしてい
る。又前記口金４には、一端を尖鋭にとがらせた
破壊軸１１が上下方向に自由に移動可能となる様
に誘導具８にて支持されると共に、この破壊軸１
１の移動方向下方部にはボンベ２が螺着されてい
る。さらに前記破壊軸１１は縦孔４１ａにて弁体
６に連結されている。

この考案は以上の如く構成した消火器におい
て、前記スプリング７を囲繞する直筒状の弾性筒
体２０を形成し、この筒体２０を前記スプリング
７の外周に套嵌して、該スプリング７とともに前
記薬剤放出路４１に挿入すると共に、前記筒体２
０の両端に、前記スプリング７の両端面と対向す
る環状フランジ２１，２２を突設して、これらフ
ランジ２１，２２を、前記スプリング７の押圧力
により前記弁体６と前記誘導具８とに密着させて
前記筒体２０内を密閉状態とし、前記本体１内に
充填された粉末消化薬剤が前記放出路４１を通過
するとき、該消火薬剤が前記スプリング７内に侵
入するのを防ぐごとく成すのである。尚、前記弾
性筒体２０は、屈撓性の高いゴムにより形成する
のであるが、その他軟質合成樹脂などの弾性材料
により形成してもよいのである。

尚、図中１２は口金４を消火器本体１に取付け
るキヤツプ、１３は前記口金４における薬剤放出
路４１の出口に取付ける放出ホース、１４は前記
誘導具８の口金４への取付部に設けるシール材、
１５は前記破壊軸１１の支持部に設けるシール
材、１６は前記固定レバー９に枢支した安全レバ
ーである。

本考案は以上の如く構成するもので、使用する
に際しては、先ず安全レバー１６を揺動させて、
該レバー１６による操作具１０の起動阻止を解除
し、次いでこの操作具１０をコイルスプリング７
の押圧力及び弾性筒体２０の弾性力に抗して作動
させることにより、スピンドル６１を介して弁体
６及び破壊軸１１が下方に移動して、前記弁体６
により薬剤放出路４１が開放されると同時に、前
記破壊軸１１により高圧ガスボンベ２の封板３が
破られ、前記ボンベ２内の高圧ガスが、ガス通路
８１及びガ放出路４３からガス放出管を介して消
火器本体１内の底部に流出し、この高圧ガスによ
り前記本体１内の内圧が直ちに上昇して、該本体
１内の粉末消化薬剤が、薬剤放出管５、薬剤放出
路４１及び放出ホース１３を経て、該ホース１３
の先端に取付けたノズル（図示せず）から外部に
放射されるのである。

しかしてこの消火薬剤の放出時、前記薬剤放出
路４１を通過する消火薬剤が、前記放出路４１に
設けた弁体の下部、コイルスプリング７内に侵入
しようとしても、前記スプリング７は、内部を密
閉状態とした弾性筒体２０により囲繞されてお
り、前記消火薬剤のコイルスプリング７内への侵
入を防いでいるため、前記消火薬剤はコイルスプ
リング７内に侵入することなく薬剤放出路４１を
通過するのである。従つて前記本体１内の消火薬
剤の全量を連続放射することなく、その一部を放
出した後、前記放出路４１を弁体６により一旦閉
鎖し、再度前記放出路４１を開放して残りの消火
薬剤を放出するとき、或いは前記本体１内の消火
薬剤の全部を放出した後、前記口金４の薬剤放出
路４１の清掃を忘れて前記本体１内に新たな消火
薬剤を充填し、再使用可能とした場合であつて
も、前記操作具１０の押圧操作により前記弁体６
及び破壊軸１１を確実に所定ストローク移動させ
ることができ前記本体１内の消火薬剤を常に満足
に放出できるのである。さらに前記破壊軸１１の
支持部への粉末消化薬剤の侵入も阻止できる為、
口金４内の清掃を簡単に行なうことができるので
ある。

尚、以上の説明では、弾性筒体２０を、コイル
スプリング７と別に形成して、套嵌により前記ス
プリング７を囲繞したが、その他弾性筒体２０の
成形時、前記スプリング７自体を囲繞してもよ
い。この場合、コイルスプリング７における線材
周りに弾性材料をライニングすると共に、前記線
材間を弾性材料により連結して前記スプリング７
を囲繞するのである。又前記筒体２０は、第４図
の如く弾性材料により前記弁体６と一体に形成し
てもよい。この場合、図示した如く筒体２０の一
端に、外向きの環状フランジ２３を設け、このフ
ランジ２３を、前記誘導具８の口金４への螺合に
よる取付けにより挟着するのであつて、斯くする
ことにより、前記シール材１４を不要にできる利
点がある。さらに前記筒体２０の両端は、第１図
の如く前記スプリング７の押圧力により前記弁体
６と誘導具８とに密着させる他、第４図の如く一
端を成形時に密着させ、他端を挟着により密着さ
せてもよいのであつて、要は筒体２０の両端から
消火器本体１内の消火薬剤が侵入するのを防ぎ得
るように密着させればよいのである。

以上の如く本考案は、弁体と該弁体を閉方向に
付勢するコイルスプリングとを内装した口金の薬
剤放出路に、前記スプリングの外周を囲繞する弾
性筒体を設け、この筒体の両端を、前記弁体と前
記スプリングを支持する口金とに密着させて前記
筒体内を密閉状態とし、消火薬剤の前記スプリン
グ内への侵入を防ぐごとくなしたから、消火薬剤
を一度に放出させることなく繰返し放出させる場
合、及び薬剤放出後、口金の薬剤放出路の清掃を
忘れて再使用する場合であつても、前記弁体を所
定の操作力で確実に所定ストローク移動させるこ
とができるのである。そのため消火器本体内の消
火薬剤を常に満足に放出できると共に、操作具の
操作力による変形をも防止できたのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す一部省略縦断
面図、第２図は弾性筒体のみの縦断面図、第３図
及び第４図は別の実施例を示すもので、第３図は
スプリング及び弾性筒体のみの縦断面図、第４図
は一部省略縦断面図である。 １……消火器本体、１ａ……開口部、４……口
金、４１……薬剤放出路、６……弁体、７……コ
イルスプリング、１０……操作具、２０……弾性
筒体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 粉末消化薬剤を収容する消火器本体の開口部
   に、薬剤放出路と、該放出路を開閉する弁体とを
   備えた口金を取付けて、前記弁体のスピンドルを
   前記口金の外方に突出させ、操作具の操作により
   前記スピンドルを介して弁体を作動させるごとく
   成すと共に、前記放出路に、前記弁体を閉方向に
   付勢するコイルスプリングを設けて成る加圧式粉
   末消化器において、前記放出路に、前記スプリン
   グを囲繞する弾性筒体を設け、この筒体の両端
   を、前記弁体と前記スプリングを支持する前記口
   金とに密着させて前記筒体内を密閉状とし、前記
   消火薬剤の前記スプリング内への侵入を防ぐごと
   くしたことを特徴とする加圧式粉末消化器。