JPS6250710B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、オイルシールの製造方法、殊に、
シールリツプ部の内面の軸に摺接する部分に、四
弗化エチレン樹脂、各種化学繊維、その他の補強
材料等の低摩擦材料、耐摩耗材料からなる環状板
材を同体に固着したオイルシールの製造方法に関
する。

最近、オイルシールの低トルク化や密封性向
上、さらには使用条件の苛酷化に伴なう耐熱性の
向上等のために、前記の如き環状板材をシールリ
ツプ部の内面に貼付したものが提案され、その製
造方法として、例えば、特公昭46−23681号公
報、特公昭49−9528号公報、特公昭42−3451号公
報等に記載の方法が提案されている。

特公昭46−23681号公報のものは、第４図ａ，
ｂに示す如く、下型１の段部２上に、リング状の
弗素系樹脂薄板３及び未加硫のドーナツ状ゴム素
材４を置き、上型５を矢符の如く加圧し、加硫に
よるゴム素材４の粘着流動圧によつて前記薄板３
を圧曲しながら塑形し、前記薄板３をシールリツ
プ部内面に同体に組合させたオイルシールを成形
するものであつて、成形後、第５図に示すよう
に、オイルシール６のシールリツプ部７に、前記
薄板３の余剰部３ａが突出するため、該余剰部３
ａを矢符Ａの位置で切除することが必要である。

ところで、このような加工方法においては、前
記余剰部が、加工上、必須であり、しかもゴム素
材の塑形が進行している間は、前記薄板が下型の
段部に載せられるたけであるから、該薄板の取付
位置の変位が生ずる危険があり、該変位によりシ
ールリツプ部の精度が低下するとか、余剰部をカ
ツトするための工数増、該カツトに起因する寸法
精度の低下、弗素系樹脂の材料損失（カツトによ
る無駄）等の欠点がある。

特公昭49−9528号公報の寸法は、予備成形され
た被覆材８を、第６図に示すように、上型９と下
型１０との間に挾持固定し、オイルシール素材１
１を加熱成形し同体化するものであつて、第４図
ａ，ｂの場合と同じく、被覆材８に、上下金型間
に挾持される余剰部８ａを形成しておくことを必
須とするものであるから、成形後、前記余剰部の
カツト工程という成分の工数を要すると共に、カ
ツトに起因する寸法精度の低下、カツトされる前
記余剰部の無駄等の不都合があつて、コスト増を
免れないという欠点がある。

特公昭42−3451号公報のものは、前記２例とは
異なり、第７図に示すように、下型１２の中子型
部分に周縁１３を設け、この溝１３に予備成形さ
れた被覆材１４を嵌着してその外周面に接着剤を
塗布しておき、そして予め成形されたオイルシー
ル１５を嵌挿し上型１６で押圧し両者を結合する
ものであつて、この場合、被覆材に前記２例の如
き余剰部分がないという利点があるが、被覆材と
オイルシールとを接着結合した後、下型から取外
すに当り、被覆材、殊にその上縁部が、周溝の上
縁にひつかかつて取外しがきわめて困難であると
同時に、そのリツプ先端に傷がつくという重大な
欠陥がある。また、オイルシールが予備成形され
ていることから、前記接着力が弱いという欠点も
ある。

この発明は、以上のような従来の方法における
欠点のすべてを解消し、オイルシールの主体部
分、すなわちゴム、合成ゴム等からなる部分と、
低摩擦材料、耐摩擦材料等からなる被覆材、すな
わち環状板材との結合を強力に行わせ、かつ成形
完了後は、その成形用金型からの取外しを容易な
らしめると共に、簡単なバリ取りを行うのみで環
状板材に余剰部分を必要としない、従つて該板材
のカツトを要しない方法を提供することを目的と
するものである。

この発明は、前記の如き環状板材をシールリツ
プの内面に同体に固着結合したオイルシールの製
造において、オイルシールの内径面を成形するた
めに下型の上面中央に形成する中子型部を、シー
ルリツプ部の最小径位置にて上下に分割して下型
と一体の中子型部分と、その上端に所定位置に着
脱する中型とに分離し、中子型部分の上端に所要
形状の環状板材を装着し整形すると共に、下型の
成形空間内に芯金及びドーナツ状のシール素材を
入れ、中型及び上型を下型に組合わせ、加熱、加
圧（及び同時加硫）することによつてシール素材
を所定形状に塑形させ、成形されたシールリツプ
部内面に環状板材を固着結合させ、成形後、下型
から取外したオイルシールの前記環状板材のカツ
ト工程を不要とすると同時に、前記取外し工程に
おいて、シールリツプ部の損傷等の不都合を皆無
としたことを特徴とするものである。

以下この発明を、第１図及び第２図ａ，ｂ，ｃ
に示した実施例について説明する。

第１図はこの発明に係るオイルシール２０の一
例の要部を示す縦断面図であつて、ゴム、合成ゴ
ム等の柔軟弾性材料からなる主体部分２１と、そ
のシールリツプ部２２の内面に固着結合した四弗
化エチレン樹脂、ナイロン、炭素繊維、ガラス繊
維等の化学繊維、或はその他の補強材等の低摩擦
材料、耐摩擦材料等からなる環状板材２３と、予
め所定形状に成形された金属板、硬質合成樹脂板
等からなる芯金２４とにより構成されている。

オイルシール２０の成形は、第２図ａ，ｂ，ｃ
に示す如く、少なくとも上下に分割された金型に
より実施される。上型２５及び下型２６は、これ
を上下に組合わせることによつてその対向面間に
オイルシールの成形用空間を形成するように構成
されている。

以上において、オイルシール２０の内径面を成
形するために、下型２６の上面中央部に形成する
中子型部２７を、シールリツプ部２２の最小径位
置にて上下に分割して、下型２６と一体の中子型
部分２８と、その上端に、ボス２９を着脱可能に
嵌合して所定位置に組付けるようになつた中型３
０とに分離する。

中子型部分２８は、その上端がシールリツプ部
２２の最小径位置に相当するから、全体としては
截頭円錐形をなす。この中子型部分２８の上端部
に、予め所要形状に形成した環状板材２３を装着
することにより該板材２３自体の展性と収縮性と
を利用して金型形状にならわせ、所定形状に成形
すると共に、下型２６の成形空間内の所定位置
に、予め所定形状の塑形した芯金２４を載置し、
さらにその上に、ドーナツ状に形成したシール素
材３１を載置して、中型３０を中子型部分２８上
に組付け、つづいて第２図ａ，ｂに矢符で示す如
く上型２５を下型２６に向つて加圧し組合わせ
る。なおこのとき、上型２５、下型２６及び中型
３０は、シール素材３１を加温して成形するに必
要な温度に加熱してあり、シール素材３１がゴ
ム、合成ゴム等であれば、前記加圧と同時に加硫
を行う。また必要があれば、環状板材２３の外周
面、すなわちシール主体部分２１との結合面に所
要の接着剤を施しておく。

第２図ｃに示す如く上型２５による加圧が終了
した時点で、シール素材３１が金型の成形空間に
完全に充填され、所要のオイルシール２０の成形
が完了する。そこで上型２５及び中型３０を取外
せば、下型２６からオイルシール２０を容易に取
外すことができ、このオイルシール２０は、環状
板材２３の先端部を切断する必要はなく、金型構
成により生じたゴムのバリを除去するのみで仕上
げを完了する。なお下型２６上に載置してオイル
シール２０の外径面成形のために配設した外型３
２は、図示の如く下型２６から分離しうるように
してもよく、また下型２６と一体に構成してもよ
い。

オイルシール２０のシールリツプ部２２の内面
に固着する環状板材は、第３図に示す如く断面く
字状の環状板材２３Ａとすることができ、この形
状は使用目的、条件等に応じて任意に変形するこ
とができ、オイルシール主体部、芯金等に形状、
構造等も任意に変形して実施しうることはいうま
でもない。

この発明は以上のように、シールリツプ部に固
着結合する環状板材を、オイルシール成形後にカ
ツトする必要がないから、該板材の歩留りが良
く、かつそのカツト工程を省略しうるので、オイ
ルシールの原価低減に寄与し、しかも成形品を下
型から取外すに当り、その取外しきわめて容易で
あると共に、軸に摺接するリツプ部を、該取外し
工程で傷損するおそれが皆無となり、その精度を
大幅に向上させることができる。

またオイルシール主体部がゴム等の場合、成形
工程と同時に加硫工程を実施し、環状板材の結合
面に予め適当な接着剤を施しておくことにより、
その結合力を著るしく強力とすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明におけるオイルシールの一例を
示す半部省略縦断面図、第２図ａ，ｂ，ｃは本発
明におけるオイルシールの成形工程を順を追つて
示す半部省略縦断面図、第３図は本発明における
オイルシールの他の例を示す半部省略縦断面図、
第４図ａ，ｂ、第５図は、従来のオイルシールの
製造方法とオイルシールの一例を示す半部省略縦
断面図、第６図及び第７図はそれぞれ他の従来方
法を示す断面図である。 ２０……オイルシール、２１……主体部分、２
２……シールリツプ部、２３，２３Ａ……環状板
材、２４……芯金、２５……上型、２６……下
型、２７……中子型部、２８……中子型部分、３
０……中型、３１……シール素材、３２……外
型。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ シールリツプ部の内面に、低摩擦材料、耐摩
   耗材料等からなる環状板材を同体に固着したオイ
   ルシールを、少なくとも上型と下型とに分離した
   成形用金型を用いて成形するオイルシールの製造
   方法において、オイルシールの内径面を成形する
   ために下型の上面に形成する中子型部を、シール
   リツプ部の最小径位置にて上下に分割して下型と
   一体の中子型部分とその上端に着脱する中型とに
   分離し、中子型部分の上端に所要形状の環状板材
   を装着すると共に、下型の成形空間内に所定形状
   に塑形した芯金と、ドーナツ状のシール素材とを
   配置し、中型及び上型を下型に組合わせてオイル
   シール素材を加温、加圧し、所定形状に塑形させ
   ると共に、芯金及び環状板材と同体化させること
   を特徴とするオイルシールの製造方法。 ２ オイルシール素材がゴム、合成ゴム等の柔軟
   弾性材料であつて、成形用金型を加硫温度に予め
   加熱して加硫成形する特許請求の範囲１記載のオ
   イルシールの製造方法。 ３ 下型が、オイルシールの外周面を成形する外
   型部分を含む特許請求の範囲１又は２記載のオイ
   ルシールの製造方法。 ４ 外型部分を、下型上面に分離可能に組合わせ
   た特許請求の範囲３記載のオイルシールの製造方
   法。