JPS624979B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は内視用電子走査型超音波探触子、特に
リニア電子走査と機械的セクタ走査との両者を切
替制御可能な超音波探触子の改良に関する。

超音波パルスビームを被検体中に送波し、生体
組織からの反射エコーを受波することによつて、
該反射エコーに基づいた画像表示を行う超音波診
断装置が周知であり、非観血的に多くの診断情報
が得られることから、種々の内科的診断に実用化
されている。

近年、前述した超音波診断装置を内視用に用い
ることが行われ、前立腺、膀胱、精嚢あるいは子
宮等の診断に用いられる。この種の内視用超音波
診断装置においては、被検体の体腔例えば直腸そ
の他に外筒を挿入し、該外筒内に振動子を設けた
内筒を挿通し、前記振動子を励振駆動することに
よつて体腔内から被検体の診断を必要とする所望
組織へ超音波パルスビームが送受波される。従つ
て、この装置によれば、被検体の深部にある生体
組織に対しても減衰の少ない良好な超音波パルス
ビームの送受波を行うことができ、高分解能の画
像が得られるという利点がある。

しかしながら、従来の内視用電子走査型超音波
探触子では、内筒に設けられる振動子は単一ビー
ム送受波型の振動子であつたため、比較的広い診
断範囲を短時間で画像表示することができず、内
筒あるいは外筒を機械的に走査しながら画像を得
なければならないという欠点があつた。このため
に、実時間の画像を得ることができず、特に動き
のある臓器その他に対して適確な診断情報が得ら
れないという問題があり、また筒軸方向に単一ビ
ームを移動させるため、被検体の体腔内で外筒を
各画像面ごとに少しずつ移動しなければならず、
このとき、被検者に大きな苦痛を与えるという問
題があつた。

従来の改良された内視用超音波探触子として、
内筒内に電子走査される複数の振動子を配設した
構造が提案されているが、この装置では、リニア
走査による縦断面像のみしか得ることができず、
これに関連した横断面像を観察するために、他の
探触子を体腔内に差替挿入しなければならず、診
断時間が長く、また被検者に苦痛を与えるという
問題があつた。

特に前立腺等組織の体積計測には、前記縦断面
および横断面像が必要であり、この種の診断に際
しては、従来簡単でかつ正確に画像を得ることが
困難であるという欠点があつた。

本発明は上記従来の課題に鑑みなされたもの
で、その目的はリニア電子走査される振動子を含
み、かつリニア電子走査による縦断面像とこれに
対応する任意個所の横断面像を任意に画像表示可
能な改良された内視用電子走査型超音波探触子を
提供することにある。

上記目的を達成するために、本発明に係る探触
子は、被検体の体腔内に挿入される外筒と、該外
筒内に回動自在に挿通され筒軸に沿つて配列され
た複数の振動子を有する内筒と、該内筒を前記外
筒内で回動する回転機構と、該内筒の回転角を検
出する回転角検出部と、各振動子を電子走査して
縦断面像を得るリニア電子走査制御と振動子群か
ら選択された所定の振動子のみを励振しながら前
記内筒を回動させ前記回転角検出部と協働して単
一ビームによる機械的セクタ横断面像を得る機械
的セクタ走査制御とを行いかつ両者を切替可能な
走査制御部と、を含むことを特徴とする。

以下図面に基づいて本発明の好適な実施例を説
明する。

第１図には、本発明の実施例が示され、被検体
の体腔内に挿入される外筒１０はほぼ円筒形状か
ら成り、その一方の側面には、超音波パルスビー
ムを送受波するための開口窓１０ａが設けられて
いる。外筒１０の一端は筒体１２を介して把手１
４に連通され、筒体１２の一部には締付ネジ１６
が設けられており、周知のゴム袋を外筒１０の先
端に締付ネジ１６で気密に固定することができ、
前記把手１４に設けられた流水口１８からゴム袋
内に水を送り込むことによつて、体腔内に挿入さ
れた外筒１０と体腔壁との間に介在する空気等を
押しのけることができる。

前記外筒１０の内部には、内筒２０が外筒１０
内で回動自在に挿通されており、該内筒２０の一
端は把手１４内に伸張しており、把手１４内に設
けられた図示しないモータにより内筒２０が外筒
１０内で回動制御されている。実施例において
は、把手１４内に設けられたモータが内筒２０を
外筒１０内で回動する回転機構を形成するが、本
発明において、該回転機構を操作者が手動操作可
能な回転ハンドルなどで形成することも可能であ
る。

前記内筒２０の一側面には、筒軸に沿つて複数
の振動子２２が配列され、後述する走査制御部に
よつてリニア電子走査されたビームあるいは単一
ビームを選択的に切り替えて、外筒１０の開口窓
１０ａから被検体に向かつて放射することができ
る。リニア電子走査を行う場合、内筒２０は外筒
１０内でその回動位置が静止されており、一方、
単一ビームを放射する場合には、必要に応じて、
内筒２０は外筒１０内で任意角度、実施例におい
ては、120゜以内で回動制御され、単一ビームに
よる機械的セクタ走査を行うことが可能となる。

前記内筒２０の回動位置を検出するために、実
施例においては、把手１４内にポテンシヨメータ
などから成る角度検出器が設けられ、電気的に内
筒２０の基準位置からの回転角度が検出される。

前記内筒２０の振動子２２を励振制御して所望
の超音波ビームを放射するために、第２図に示さ
れる走査制御部が設けられており、走査制御部は
振動子２２を電子走査して縦断面像を得るリニア
電子走査制御と振動子２２から選択された所定の
振動子のみを励振して単一ビームによる機械的画
像を得る機械的セクタ走査制御を切り替えること
ができる。

走査制御部は振動子２２へ励振信号を供給し、
また振動子２２で受波した反射エコーを電気的に
受信する送受信回路２４を含み、該送受信回路２
４へアドレス信号発生器２６および遅延トリガ回
路２８からの信号を供給することによつて所望の
送受信制御が行われる。また送受信回路２４の受
信信号は遅延切替回路３０に供給され、前記アド
レス信号発生器２６からのアドレス信号とともに
受信信号が処理され、高周波増幅器３２を介して
端子３４からビデオ出力として図示していないモ
ニタ装置に出力される。

前述したアドレス信号発生器２６へリニア電子
走査制御信号および単一ビーム制御信号を供給す
るために、切替スイツチ３６が設けられ、その一
方の入力端には走査制御回路３８からリニア電子
走査制御信号が供給されており、切替スイツチ３
６を接点３６ａ側へ切り替えることによつて、各
振動子２２へは走査制御される励振信号が供給さ
れる。

一方、切替スイツチ３６の他方の接点３６ｂに
はアドレス位置選択器４０の出力が供給されてお
り、振動子２２の筒軸方向から任意に選択された
位置で単一ビームを出力するための振動子励振位
置が選択される。すなわち、切替スイツチ３６が
接点３６ｂに切り替えられたとき、アドレス位置
選択器４０は振動子２２の筒軸方向の任意位置を
選択する信号をアドレス信号発生器２６へ供給
し、アドレス信号発生器２６は選択された振動子
のみを励振する励振信号を送受信回路２４へ供給
する。従つて、振動子２２からはその筒軸方向に
選択された任意位置からのみ単一ビームが放射さ
れることとなる。

そして、アドレス位置選択器４０へは端子４２
から手動入力を供給して任意の単一ビーム放射位
置を設定することも可能であり、また回転角検出
部としての回転角検出回路４４から内筒２０の回
転角を検出し、所定の回転角度範囲例えば実施例
における120゜の範囲で内筒２０が回動するたび
に、順次単一ビームの放射位置を筒軸に沿つてず
らし制御することも可能である。回転角検出回路
４４へは端子４６から前述した把手１４内に設け
られた角度検出器よりの角度検出信号が供給さ
れ、内筒２０が回動角度範囲の両端に達したとき
に、アドレス位置選択器４０から筒軸方向に歩進
したアドレス位置選択信号が出力される。回転角
検出回路４４からは更に内筒２０の回転角信号が
端子４８へ出力され、単一ビームによる機械的セ
クタ走査制御の場合のセクタ像を得る回転角信号
としてモニタなどへ出力される。

本発明に係る超音波探触子は以上の構成から成
り、以下にその作用を第２図ないし第５図に基づ
いて説明する。

第２図に示されるように、切替スイツチ３６が
接点３６ａ側へ切替制御されると、アドレス信号
発生器２６へは走査制御回路３８からのリニア電
子走査制御信号が供給され、振動子２２は順次筒
軸方向に沿つて所定の走査周期で励振駆動され
る。この結果、探触子からは、第３図に示される
ように、リニア電子走査される超音波ビームが放
射され、探触子の筒軸を含む平面を実時間で画像
表示することが可能となる。

一方、切替スイツチ３６を接点３６ｂ側へ切り
替えると、アドレス位置選択器４０で選択された
所望の振動子のみが励振駆動され、例えば、第４
図に示されるように、振動子２２群のほぼ中央位
置から単一ビームが放射され、このとき、内筒２
０を外筒１０内にて回動制御すれば、第４図で示
されるような所定の回動範囲、実施例における
120゜の範囲内で機械的にセクタ走査される超音
波ビームを得ることが可能となる。

そして、前記振動子群２２から選択され励振さ
れる振動子をアドレス位置選択器４０によつて変
更することにより、第５図で示されるように、他
の任意の位置、例えば第５図の内筒２０の最下端
から単一ビームを放射することができ、このと
き、同様に内筒２０を回動することによつて第５
図で示した機械的セクタ面を得ることが可能とな
る。

以上のように本発明によれば、切替スイツチ３
６の切替によつて、リニア電子走査による縦断面
像と、単一ビームと機械的回動作用とを組み合わ
せた機械的セクタ像と、を任意に選択して画像表
示することができ、被検体の体腔内へ挿入した外
筒１０の位置あるいは挿入深さを何ら変更するこ
となく、所望の生体組織の縦断面あるいは横断面
を実時間で、あるいはほぼ実時間で画像表示し、
短時間に多くの診断情報を得ることができるとい
う利点を有する。従つて、例えば、前立腺等の生
体組織の体積計測を正確にかつ短時間で行うこと
が可能となる。

また、リニア電子走査と機械的セクタ走査とを
自由に切替えできるので、自由度の高い探触子の
操作が可能であり、生体内の病巣等の特定部位を
短時間に探して画像表示することができる。

以上説明したように、本発明によれば、被検体
の組織を縦・横の両面から立体的に観察すること
ができ、実時間で極めて有益な情報を得ることが
でき、またリニア電子走査と機械的セクタ走査と
の切替えによつて自由度の高い操作を行うことが
可能となる。更に、これら複数の断層像を得るた
めに被検体に挿入される外筒を移動する必要がな
く、この結果、被検者への苦痛を減少し、また手
術中の患部看視を容易に行うことができるなど、
極めて実用効果の高い超音波探触子が得られると
いう利点を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る内視用電子走査型超音波
探触子の好適な実施例を示す外観図、第２図は第
１図に用いられる走査制御部のブロツク回路図、
第３図、第４図および第５図はそれぞれ本発明の
実施例における超音波ビーム走査面を示す説明図
である。 １０……外筒、２０……内筒、２２……振動
子、２４……送受信回路、２６……アドレス信号
発生器、３６……切替スイツチ、３８……走査制
御回路、４０……アドレス位置選択器。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 被検体の体腔内に挿入される外筒と、該外筒
   内に回動自在に挿通され筒軸に沿つて配列された
   複数の振動子を有する内筒と、該内筒を前記外筒
   内で回動する回転機構と、該内筒の回転角を検出
   する回転角検出部と、各振動子を電子走査して縦
   断面像を得るリニア電子走査制御と振動子群から
   選択された所定の振動子のみを励振しながら前記
   内筒を回動させ前記回転角検出部と協働して単一
   ビームによる機械的セクタ横断面像を得る機械的
   セクタ走査制御とを行いかつ両者を切替可能な走
   査制御部と、を含むことを特徴とする内視用電子
   走査型超音波探触子。