JPS6247677B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、大根等から刺身その他の料理の盛
付け用のつま、即ちけんを作る場合に使用される
根菜類の桂剥き器に関する。

大根等からけんをつくる場合、それを５〜６cm
の所定寸法に切断したのち、庖丁で皮をむくよう
なやり方で薄く桂剥きし、然る後これを重ねて細
く切断することが行われている。ところが実際
上、上記桂剥きは、これを薄く均一かつ連続状態
に剥くには大変な熟練技術を要し、料理職人でさ
え相当に困難なものであつた。一方家庭等ではジ
グザグ状の刃を備えた掻き剥き器で大根等を細か
く削いでけんを作ることもあるが、この場合に
は、長さ寸法が太さの不揃い、あるいは断面形状
の不揃い等により、見栄え、口触りの良い良質の
けんを得ることが困難であつた。

この発明は、上記のような事情に鑑み、素人で
も簡単かつ能率的に、均一な厚さに桂剥きを遂行
しうる専用の器具を提供しようとするものであ
る。

以下、この発明の構成を図示実施例について説
明する。

先ず、フレーム体Ａは、木製あるいは合成樹脂
製の基台１と、その上に所定間隔を隔てて対峙状
に立設された左右の木製あるいは合成樹脂製の側
板２，３と、これら両側板２，３間の下部を被蔽
した断面略〓状の金属製の底部被覆板４とで構成
されている。

上記フレーム体Ａには、所定寸法に切断された
大根等の被削体イの中心部を両側から脱着自在に
挾持して該被削体を積極的に回転せしめる回転挾
着機構Ｂを具備する。該回転挾着機構Ｂの構成
は、第２図に抽出して示すように、前記側板２，
３を同一軸線上でそれぞれ水平に貫通した１対の
回転軸５，６を有する。一方の回転軸５は軸線方
向には不動のもので、外方端部には回転駆動用の
ハンドル７が取付けられると共に、内方端部には
１対の刺込み爪８ａ，８ｂを有する挾着板８が取
付けられている。かつ上記刺込み爪８ａは、被削
体イを確実に回転せしめるため、断面略Ｌ形のも
のとなされている。他方の回転軸６は、側板３に
軸線方向にも移動自在に貫挿されたもので、外方
端部には摘み片９が取付けられると共に、内方端
部には平板状の１対の刺込み爪１０ａ，１０ａを
有する挾着板１０が取付けられ、更に該挾着板と
側板３との間にコイルばね１１が巻装されて常時
他方の回転軸５の方向に付勢されたものとなつて
いる。従つて、被削体イは、摘み片９によつて回
転軸６をばね１１に抗して退動させ、両挾着板
８，１０間に中心部を臨ませてから、ばね１１に
よる付勢方向に回転軸６を強く押し込むことによ
り、刺込み爪８ａ，１０ａの刺込みと相俟つて両
挾着板８，１０間に挾着し、かつハンドル７を回
すことによりこれを積極的に回転せしめうるもの
となされている。

上記回転挾着機構Ｂの隣位には、切削機構Ｃが
設けられている。この切削機構Ｃは、主要部材と
して略コ字状の切削刃取付枠１２と、その開放先
端部に横架状に取付けられた取付軸線を中心に揺
動自在な切削刃１３とを有する。上記取付枠１２
は、挾着機構Ｂの回転軸線と平行して両側板２，
３間の上部に軸受片１４を介して取付けられた横
軸１５に基端部を揺動自在かつ軸線方向移動自在
に支承されたもので、一方の軸受片１４との間に
おいて横軸１５に捲装されたコイルばね１６によ
り、常時は第３図右方向への押動位置を保つよう
になつている。かつこの取付枠１２上にはＬ字状
の指掛片１７が取付けられており、これに親指を
かけて取付枠１２を上記ばね１６に抗して反対方
向へ移動させうるものとなつている。

切削刃１３は、第３図ないし第５図にその詳細
を示すように、被削体イの上部周面に喰い込むよ
うに斜め下向きにセツトされた刃部１８と、これ
と対向的に位置して被削体イの周面に当接するこ
とにより上記刃部１８による切込み深さを規制す
る切込み深さ規制用当接片１９とを具備する。こ
の切削刃１３が両端の取付軸部２０，２０を中心
に揺動自在なものとされているのは、被削体イの
直径の漸減に拘わらず、常に一定の常さで該被削
体イを剥消しうるものとなすためである。なお、
図示実施例の切削刃１３は、挾着機構Ａの軸線と
平行に設けたものを示したが、これを僅かに傾斜
させて斜めに設けることは、剥削作用を一層軽快
に行いうるものとなしうる点で好ましい。

上記切削機構Ｃの反対側には、断面く字状に形
成したスクレーパ部材２１が、前記回転軸線と平
行な横軸２２に枢支して起伏自在に設けられ、こ
れを倒伏させて第５図に示すように被削体イの周
面に先端部を当接せしめることにより、切削刃１
３によつて剥かれた被削体イからの薄剥片ロを該
被削体イの周面から離間する方向に導きうるもの
となされていいる。なお、２３は前記指掛片１７
と対向する状態に、一方の側板３の上面に立上り
状に取付けられた相手方の指掛片、２４は切削刃
取付枠１２を常時倒伏方向に促している弱い付勢
用ばねである。

上記において桂剥きを行うに際しては、切削刃
取付枠１２及びスクレーパ部材２１を一旦第４図
に鎖線で示すように起立させた状態にして前述の
ような要領で所定寸法の被削体イを回転挾着機構
Ｂに挾着保持せしめ、然る後第４図に示すように
上記取付枠１２及びスクレーパ部材２１を倒伏さ
せて被削体イの上部周面に当接させる。而して、
一方の手でハンドル７を回わして被削体イを回転
させつつ、他方の手の人差し指と親指をそれぞれ
第１図に鎖線で示すように指掛片２３，１７に掛
け、専ら親指による押圧力とばね１６による復元
弾力とで切削刃取付枠１２を横軸１５に沿つて左
右方向に往復作動させる。すると、切削刃１３の
刃部１８が被削体イに当接しつつその長さ方向に
往復作動するために、被削体イの回転と相俟つて
第５図に示すように被削体イの表面部が順次薄く
剥かれ、薄剥片ロを生じる。この薄剥片ロは連続
のものとなるが、順次スクレーパ部材２１によつ
て外方に導かれるため、被削体イに再び付着する
ことはなく、器外の作業台上に連続帯状のものと
なつて溜められる。なお、この帯状の薄剥片ロ
は、これを折畳んで細かく庖丁で切断することに
より、刺身のつまないしけんに仕上げられるもの
である。

この発明による桂剥き器によれば、上述のよう
に根菜類の桂剥きを極めて簡単に、しかも正確
に、即ち薄くて均一な厚さで、かつ途中で切断し
てしまうことなく長い帯状の薄剥片を生ぜしめう
る如くに遂行しうるものであり、格別の熟練を要
することなく一般家庭人においても良質のけんな
いしつまの作出を可能とする画期的な作用効果を
奏する。ちなみに、単に、被削体イの周面に切削
刃１３を接触させた状態で被削体イを強制的に回
転させても、およそ該被削体イを円滑に回転さ
せ、それを薄く均一な厚さで剥くことは不可能で
あるが、この発明においては、上記回転と同時に
切削刃１３を軸線方向に往復動させ、これによつ
て被削体イを切込みつつ、上記回転により順次切
り進めるものとしているので、非常にスムーズに
桂剥きを遂行することができる特長を有するもの
である。

なお、図示実施例では、被削体イの回転及び切
削刃１３の往復作動のいずれも、それらを手動で
行うものを示したが、前者の回転駆動を電動機か
らの動力で行い、かつその回転動力を公知の伝動
機構を介して往復運動に切換えて切削刃取付枠１
２に伝達するものとする等の設計的変更により、
自動で上記回転及び往復動を司るものとしても良
い。また、切削刃１３の往復作動は、これを電気
的なバイブレーターを用いて、細かい振動により
付与するものとしても良い。

【図面の簡単な説明】

図面はこの発明の実施例を示すもので、第１図
は斜視図、第２図は回転挾着機構の斜視図、第３
図は一部を切欠いて示した平面図、第４図は第３
図−線の断面図、第５図は剥削状態を示す一
部の断面図である。 Ａ……フレーム体、Ｂ……回転挾着機構、Ｃ…
…切削機構、５，６……回転軸、７……ハンド
ル、８，１０……挾着板、８ａ，１０ａ……刺込
み爪、１２……切削刃取付枠、１３……切削刃、
１５……横軸、１７……指掛片、１８……刃部、
１９……切込み深さ規制用当接片、２０……取付
軸部、２１……スクレーパ部材、イ……被削体、
ロ……薄剥片。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 所定寸法に切断された大根等の被削体の中心
   部を両側から脱着自在に挾持して該被削体を積極
   的に回転せしめる回転挾着機構と、この回転挾着
   機構の回転軸線と平行する横軸に基端部を揺動自
   在かつ軸線方向移動自在に支承され、被削体の剥
   削時において上記軸線方向に積極的に往復駆動さ
   れるものとなされた切削刃取付枠と、該取付枠の
   先端部に揺動自在に枢着された刃部および切込み
   深さ規制用当接片を対向的に有する切削刃と、更
   に前記切削刃取付枠と対向的に位置し、前記切削
   刃によつて剥かれた被削体からの薄剥片を該被削
   体の周面から離間する方向に導くスクレーパ部材
   とを具備してなることを特徴とする根菜類の桂剥
   き器。