JPS6246841B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、原子炉格納容器等の容器壁貫通部に
取付けられ、その容器内外に亘る電線路を構成す
るとともに、該貫通部の気密保持部分となる光フ
アイバ線条体の密封支承装置に関するものであ
る。

第１図は従来のこの種の装置を示すものであ
る。同図において、１は原子炉格納容器壁等を貫
通する光フアイバケーブルあるいは光フアイバロ
ツド等の光フアイバ線条体、２は上記容器壁貫通
部を閉塞して取付けたフランジ部材で、上記光フ
アイバ１を貫通させる貫通孔を設けている。３は
上記フランジ部材２の貫通孔にシール材４を介し
て挿着支持したパイプ、５はこのパイプ３内に挿
通させた上記光フアイバ線条体１の、シール性を
向上させるために、該光フアイバ線条体１とパイ
プ３との間に充填した密封シール材である。

このようなシール構成の従来装置によれば、現
在広く使用されている有機ケーブルに比べて、機
械的強度に劣る光フアイバ線条体が外力負荷によ
り破損に至るのを防止できるとともに、該光フア
イバ線条体を囲むシール部分の保護機能をも兼ね
ることができる。

しかしながら、一般的に使用されている上記シ
ール材は、エポキシ樹脂あるいはシリコン樹脂等
よりなるものであるため、該シール材の有する耐
熱性、および温度差による伸縮性が、それの及ぼ
す影響により、技術的問題点を惹き起こしてい
た。例えば、上述のようなシール構成を備えてい
ても、上記フランジ部材２の面上における軸方向
および径方向に温度差が生じた時には、フランジ
部材２と、パイプ３および光フアイバ線条体１と
の間に、不均一な熱膨張差をもたらし、それに基
づく熱応力がシール部材に作用するために、シー
ル材を割れに至らしめる等の恐れがあつた。

なおまた、放射線レベルの高い場所において
は、上記構成の装置が放射線を吸収し、その吸収
エネルギによつて、装置の構造材中に放射線劣化
現象を生じさせ、それによりシール性が低下する
という欠点もあつた。

本発明は以上の点に鑑み、耐熱性と温度差によ
る伸縮性とにすぐれた、光フアイバの密封支承装
置を提供するもので、光フアイバと熱膨張係数の
ほぼ等しいシール素子を用いるとともに、これを
可撓性部材により保持することを提案するもので
ある。

以下図示実施例について、本発明を説明する。
第２図において、１は光フアイバ線条体、６はこ
の光フアイバ線条体を囲繞して設けた可撓性部材
で、該光フアイバ１と熱膨張係数の近い、例え
ば、コバールのような金属から成り、一端が小
径、他端が大径の筒状体に構成されている。そし
てこの可撓性部材６は、管体７内に挿着され、そ
の大径部外周面が、該管体７の内周面に当接して
溶接あるいはロウ付けされる。８は上記光フアイ
バ１と略等しい熱膨張係数を有するシール素子、
たとえばガラス封着部材であり、上記可撓性部材
６の小径部内において、光フアイバ１との間を密
閉封着している。９は上記管体７の貫通孔を設け
て、これに該管体７を溶着支持させた端板で、容
器壁貫通部に取付けられる。１０は上記光フアイ
バ線条体１と管体７との間に挿入されるスペーサ
であり、光フアイバ線条体１への機械的外力を防
止しており、例えばFRP製のものである。

また、第３図は上記構成の密封支承装置を軽水
炉プラントに適用した実施例を示すものであつ
て、この実施例では光フアイバ線条体１が、原子
炉格納容器壁１１およびコンクリート壁１２を貫
通しているため、この光フアイバ線条体の支承部
分が原子炉格納容器内側空間１３と同外側空間１
４とを厳密に遮断する密封閉塞構成となる必要が
ある。そこで、図示の如く容器壁１１およびコン
クリート壁１２の貫通部にスリーブ１５を取付
け、かつこのスリーブ１５内両側に上記第２図に
示す密封支承装置を対向して配設させ、これによ
り上記内外側空間１３，１４を遮断する気密空間
１６を形成させている。

上記各構成に示すように、本発明によれば、光
フアイバ線条体１を封塞するシール素子８は、該
光フアイバ線条体１と熱膨張係数のほぼ等しい素
材、たとえばガラス封封着素子よりなるため、原
子炉格納容器の内側空間１３と同外側空間１４と
の間に、温度差が生じても、上記光フアイバ線条
体１まわりのシール部への熱応力を防止でき、シ
ール性が向上する。しかも、端板９および管体７
に、金属を用いていることにより生ずるシール部
との熱膨張差も、このシール素子８と管体７との
間に介在させた可撓性部材６によつて、吸収され
るという効果がある。なおまた、上記可撓性部材
６も、光フアイバ線条体１に近い熱膨張係数をも
つ金属（例えばコバール）を用いるようにすれ
ば、これら光フアイバ線条体１とシール素子８お
よび可撓性部材６との、熱膨張差はなくなり、シ
ール性をより改善することができる。

なお更に、上記容器内空間１６へ、乾燥N₂ガ
スを封入してこのN₂ガス圧を圧力計１７にて監
視すれば、なんらかの原因によつてシール部に損
傷を受けても、各シール部への損傷有無が確認で
き、また、上記乾燥、N₂ガスが、シール素子８
における湿気吸着をも防止することができる。

次に、上述した本発明装置の、気密性等の信頼
性をさらに高めた、一実施例について説明する。
第４図において、１８は管台であり、管体７と可
撓性部材６との間に介挿されて溶着されており、
対向する他の密封支承部を継着接続できるように
なつている。このようにすれば、管体７を継着し
て構成された各光フアイバーアセンブリー単体
を、端板９に、溶接あるいはロウ付けして貫通部
密封機構を構成できるために、その機械的強度が
増し、耐震性を向上させることができる。しか
も、この管体１８には孔１９を具備しているた
め、製作段階においても、上記光フアイバーアセ
ンブリー単体の管体１８部分に施された孔１９か
ら、気体を封入することによつて、光フアイバー
アセンブリー単体のシール性を、検査することが
可能であり、このことは、製作段階より現地据付
段階に至るまで、各光フアイバーアセンブリー単
体の、品質管理を可能とするものである。

また、万一シール部に損傷が発生しても、上記
光フアイバーアセンブリー単体を、管体７と端板
９との接続部より取り外せるために、修理および
点検作業が容易となる。

以上述べたように本発明によれば、耐熱性に優
れ、かつ温度差の変動による熱歪みのない光フア
イバ線条体の支承構成が得られ、したがつて、シ
ール材の割れや、シール性低下のおこることのな
い、光フアイバ線条体の密封支承装置を得ること
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来装置の構造断面図、第２図は本発
明の一実施例に基づく基本構造断面図、第３図お
よび第４図は本発明の他の実施例をそれぞれ示す
構造断面図である。 １：光フアイバ線条体、４，５，８：シール素
子、６：可撓性部材、９：端板、１０：スペー
サ、１１：原子炉格納容器壁、１５：スリーブ、
１６：気密空間、１７：圧力計、１８：管台。な
お、図中同一番号は同一または相当部分を示す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 容器壁の貫通部に取付けた端板と、この端板
   を貫ぬいて定着され内部に光フアイバ線条体を挿
   通させた管体と、この管体内に固定され上記光フ
   アイバ線条体を囲繞する可撓性部材と、この可撓
   性部材の他端と上記光フアイバ線状体との間を封
   塞して設けられ該光フアイバ線条体とほぼ等しい
   熱膨張係数を有するシール素子とを備えたことを
   特徴とする光フアイバ線条体の密封支承装置。 ２ 可撓性部材を光フアイバ線条体とほぼ近似の
   熱膨張係数を有する素材により構成するととも
   に、シール素子としてガラス封着によるシール素
   子を適用したことを特徴とする特許請求の範囲第
   １項記載の光フアイバ線条体の密封支承装置。 ３ 端板、管体、可撓性部材、およびシール素子
   よりなる密封ユニツトを容器壁貫通部に対向して
   配備し、これら密封ユニツト間に気密空間を形成
   したことを特徴とする特許請求の範囲第１項また
   は第２項記載の光フアイバ線条体の密封支承装
   置。 ４ 密封ユニツト間に形成された気密空間内に
   N₂ガスを封入し、該ガス圧を監視して密封異常
   を検出することを特徴とする特許請求の範囲第３
   項記載の光フアイバ線条体の密封支承装置。 ５ 管体と可撓性部材との間にこれらに固定して
   内部検出孔を有する管台を取付け、この管台の他
   端に管体、可撓性部材、およびシール素子よりな
   る密封支承部を形成したことを特徴とする特許請
   求の範囲第１項または第２項記載の光フアイバ線
   状体の密封支承装置。