JPS624598B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は主として、中径管以下の曲管部の耐
摩耗性を向上する方法および曲管部の耐摩耗性補
修方法に関する。

近年、石炭等のスラリー輸送が注目されてい
る。スラリー輸送は粉体に混じ、パイプラインを
利用して輸送するものであるが、直管部分に較
べ、曲管部分の摩耗が著るしく、対策が要望され
ている。

すなわち、摩耗位置はベンド管の外周内面が特
に顕著であつて、輸送する研摩性媒体の種類、流
体や流速により異なるが、一度ベンド管の外周内
面に摩耗溝がつくと、その部分を集中的に摩耗さ
せ研摩性媒体の通り道となり、終に穿孔されるに
至る。

この局部摩耗は非常に不経済であり、従つてそ
の対策として例えばベンド管を高クロム、耐摩耗
性鋳鉄等で鋳造し、しかも外周の肉厚を内周より
も厚くする等が行われているが、コストが割高と
なり、またこの種の材質は溶接割れが発生し易
く、部分摩耗して孔ができても溶接肉盛りで補修
できず、結局新品と交換しなければらならない欠
点がある。従つて本発明の目的は、比較的安価に
耐摩耗性の大きいベンド管を製造する方法ならび
に耐摩耗性の大なるベンド管の補修方法を提供す
るにある。

本発明は、溶接可能な鉄または鋼を素材とする
ベンド管をつくり、その少なくとも彎曲部の外周
の外側に耐摩耗性金属を溶接、鋳かけ等で肉盛り
した後、該部分を蔽うようにベンド管周囲に強化
プラスチツクの被覆層を形成することを特徴と
し、本来ベンド管に耐摩耗性金属の盛金を施す場
合、研摩性媒体が直接衝突する面、すなわち彎曲
部外周内面に施すのが常識であるが、本発明の特
徴は、彎曲部外周外面に耐摩耗性金属の盛金を施
すようにし、さらに該部分を蔽うように、ベンド
管周囲に強化プラスチツクの被覆層を形成し、耐
摩耗性金属が剥離しないようにする点にある。

大径のベンド管の場合は外周部内面に耐摩耗性
金属を盛金することが容易であるが、例えば直径
30cm以下の中小径ベンド管の場合は内面肉盛りが
不可能である。そこでベンド管を縦割りにして外
周部内面の盛金を施して後、再び合せて溶接接合
してベンド管に復元するのであるが、この方法は
硬化盛金を施すことにより大きい変形が生じ、元
の形状に復元するのに非常な加工手間を要する。
しかるに、本発明の方法の採用により、このよう
な問題を一挙に解消できるのである。

以下、本発明をさらに詳細に説明する。

ベンド管素材１には易溶接性の鋳鉄、鋳鋼、普
通鋼等を用いる。ベンド管の少なくとも彎曲部の
外周の外側、すなわち研摩性媒体が最も強く衝突
する部分の外側、第１図２の部分に耐摩耗性硬化
金属３を溶接法あるいは鋳けかけ法等で盛金する
（第２図）。

耐摩耗性硬化金属としては、例えばＣ：５〜６
％，Cr：22〜30％を含む高クロム鋼、あるいは
これにNb，Ｗ，Mo，Ｖの１種または２種以上を
含む高クロム炭化物系合金等、研摩耗に対しよく
抵抗する炭化物析出型合金で、硬度HRC60程度
のものが望ましい。

盛金の厚みは10〜15mm程度とすることが可能で
あり、最終層以外は全面盛金とし、溶接盛金の場
合は最終層は第２図に示す如く、研摩性媒体の流
れの方向と直角方向に、かつ各ビードを重ねて盛
金せずにビード３′とビード３′の間隔を５mm以下
ほどあけて凹凸に盛金を施すと、その上に被覆す
る強化プラスチツク層６との接合を強くするので
好ましい。

耐摩耗性硬化金属は一般に靭性に欠けており、
溶着ビードに割れが発生するので、この金属層自
体の耐衝撃性は極めて低い。そこで本法では耐摩
耗性硬化金属の盛金部分３を蔽うようにベンド管
周囲に強化プラスチツクの被覆層６を形成する。

被覆の方法は、例えば耐摩耗性硬化金属の盛金
部分を蔽うようにベンド管周囲にガラス繊維、カ
ーボン繊維、金属繊維、あるいはナイロン、テフ
ロン等の樹脂繊維等の繊維４を巻付け、１回巻付
毎に熱硬化性樹脂５として例えば不飽和ポリエス
テル樹脂、フエノール樹脂、ビニールエステル系
樹脂、あるいはエポキシ樹脂を含浸して、これを
１プライとし、ベンド管の肉厚や大きさに応じて
プライ数を決めてベンド管周囲に強化プラスチツ
ク（FRP）の被覆層６を形成するのである。

このようにして製造したベンド管は、当初研摩
性媒体が硬度の低いベンド管素材１を容易に摩耗
させてしまうが、素材部分が摩耗しきると耐摩耗
性硬化金属の盛金層３が摩耗面に出現する。素材
金属との融合がたちきられ硬化金属のみとなつた
この段階では、もし硬化金属の外側に強化プラス
チツクの層６が無ければ、硬化金属は容易に剥離
を生ずるようになるが、本発明の場合、強化プラ
スチツクの層が恰もベンド管外周内側に強化金属
肉盛を施した場合のベンド管素材と同様の効果を
発揮し、強化プラスチツク層は研摩性媒体による
摩耗面への衝撃応力を吸収して硬化金属の剥離を
防止する。すなわち、強化プラスチツクの強度
は、鼠鋳鉄JIS FC25，FC30程度の強度を有し、
例えばガラスクロス充填ポリエステル成形品の場
合、引張強さ40.8Kg／mm²，比抗張力（引張強さ／
比重）24.0、であり、極めて軽量で、強化プラス
チツク被覆による重量増が非常に少ないに拘ら
ず、十分、耐摩耗性硬化金属の裏当材としての効
果を発揮し、また耐摩耗性硬化金属との密着強度
にも優れている。

本発明のその他の特徴は、ベンド管に摩耗孔を
生じた場合、極めて容易に耐摩耗性の修理ができ
ることである。

すなわち摩耗孔周辺の強化プラスチツク層を除
去して摩耗孔と相似の補修用素材片（可溶接材
料）を準備してこれを摩耗孔に嵌め込み溶接す
る。然るのち該溶接ビードも含めて補修用素材片
の外面に耐摩耗性硬化金属を溶接、鋳かけ等で肉
盛りし、この部分を蔽うように、これ迄の強化プ
ラスチツク層に一部ラツプさせて、ベンド管周囲
に強化プラスチツクの被覆層を前述したような方
法等により形成して修理を完了する。

なおこの場合、補修用素材片の内面に予め耐摩
耗性硬化金属の肉盛りを施しておくと、さらに一
層の寿命延長が図られるようになる。第３図はベ
ンド管の補修部分の縦断面図であつて、８が摩耗
孔に嵌め込んだ補修用素材片、３″はその内面に
予め肉盛しておいた耐摩耗性金属、９，９は補修
用素材片と母体ベンド管素材部１との軟鋼溶接
部、３は該軟鋼溶接部すなわち溶接ビードも含
めて補修用素材片の外面に盛金した耐摩耗性金
属、３，３はこれに隣接する従来の耐摩耗性金属
層、６′は補修用素材片外面の耐摩耗性金属の外
側に施した新たな強化プラスチツク層、６，６は
これに隣接する従来からの強化プラスチツク層で
ある。

次に本発明の実施効果について述べる。

内径143のカーボランダム等の研摩剤をポン
プ輸送するためのベンド管ベンド部で、炭素鋼鋼
管製の肉厚11mmのものを比較例No.１とし、同じく
Ｃ：2.7％，Cr：27％の高クロム鋳鉄性ベンド管
で内周部肉厚11mm、外周部肉厚16mmのものを比較
例No.２とし、前記比較例No.１のベンド管の外周部
外側にＣ：６％，Cr：22％，Nb：８％，Mo：７
％，Ｗ：２％，Ｖ：２％の高クロム・ニオブ・モ
リブデン炭化物系硬化金属を盛金し、硬度
HRC63〜65を与え、該部分を蔽うようにガラス
繊維を巻付け、エポキシ樹脂を含浸し、これを５
プライ実施して強化プラスチツク層を形成した本
発明方法によるベンド管とを用いて耐久試験を実
施した。

その結果、比較例No.１は５日、比較例No.２は30
日使用後それぞれ穿孔したが、これに対し本発明
方法によるベンド管は90日の使用に耐え、その後
穿孔部を前記本発明の方法で補修してさらに80日
の使用に十分耐えることができた。

【図面の簡単な説明】

第１図はベンド管の斜視図。第２図は本発明方
法を実施したベンド管の縦断面部分図。第３図は
本発明のベンド管再生補修方法を説明する縦断面
部分図である。 １：ベンド管素材、３：耐摩耗性硬化金属の盛
金、４：繊維、５：熱硬化性樹脂、６：強化プラ
スチツク層、８：補修用素材片、９：軟鋼溶接
部、１０：研摩性媒体。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 溶接可能な鉄または鋼を素材とするベンド管
   の少なくとも彎曲部の外周の外側に耐摩耗性硬化
   金属を溶接、鋳かけ等で肉盛りした後、該部分を
   蔽うようにベンド管周囲に強化プラスチツクの被
   覆層を形成することを特徴とする耐摩耗性ベンド
   管の製造方法。 ２ 溶接可能な鉄または鋼を素材とするベンド管
   の補修しようとする孔に、該孔と略々同一形状の
   溶接可能な鉄または鋼の素材片を嵌め込みベンド
   管と溶接した後、該溶接ビードも含めて素材片の
   外面に耐摩耗性硬化金属を溶接、鋳かけ等で肉盛
   りし、該部分を蔽うようにこれ迄の強化プラスチ
   ツク層に一部ラツプさせてベンド管周囲に強化プ
   ラスチツクの被覆層を形成することを特徴とする
   耐摩耗性ベンド管の補修方法。 ３ ベンド管の補修しようとする孔と略々同一形
   状の溶接可能な鉄または鋼の素材片の内面に予め
   耐摩耗性硬化金属を肉盛りしておくことを特徴と
   する前記特許請求の範囲２に記載の耐摩耗性ベン
   ド管の補修方法。