JPS6245665B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、マイクロ波放電を利用した光源装
置に関するものである。

マイクロ波放電光源装置の主たる構成は、マイ
クロ波を発生するマグネトロン、マイクロ波を伝
送する導波管、内部に少なくとも始動補助用希ガ
スと放電維持封入物が封入された無電極の放電灯
（以後ランプと称す）を内部に配設したマイクロ
波空胴よりなり、マイクロ波によりランプを点灯
するもので、ランプに電極を必要としないために
電極消耗によるランプ寿命の制限が無くなり長寿
命となること、また放電のインピーダンス変化が
初期状態と安定状態との間で小さいために点灯初
期から電力の注入が容易であるとともに放電がラ
ンプ壁に偏つている等の理由でランプの安定時間
が短いこと等の点で従来の有電極放電ランプを用
いた光源装置に対して優れた特徴を有し、これら
の特徴を活かすべく多方面への応用が期待される
ものである。しかしながらマイクロ波放電光源装
置は一般的に、上記マイクロ波空胴を構成する壁
面が光学的な反射面としても利用されており、特
に近距離から広範囲を均一な照度（紫外線強度）
で照射する必要のある写真製版などの分野での活
用においては、第１図の従来例で示すように、マ
イクロ波空胴としてのマイクロ波上の特性、光学
的な反射特性、熱的な問題のすべてを解したマイ
クロ波空胴は得られていなかつた。すなわち、第
１図ａは、従来のマイクロ波放電光源装置のマイ
クロ波空胴を示す断面図であり、図においてマイ
クロ波空胴６は、光を通過させるがマイクロ波は
透過しない網面３と、この網面３に直交する軸２
を回転軸とし、かつ軸２上に置かれたランプ４を
焦点とする放物線の一部がなす回転体１により構
成されており、網面３は、この回転体１の開口部
に図示されていない手段で固定され、開口部を閉
塞する構造となつている。５はランプ中心を表わ
す。

また９はマイクロ波空胴へ、マイクロ波を入射
させるための回転体１に形成されたマイクロ波給
電口（以下、給電口と略称する）、７，８は回転
体１にランプ４からの光が１回の反射で光源装置
の外へ照射される光線、１０，１１はランプ４か
らの直射光で、特に光線８は網面３の端を通る光
線を示す。

この様に構成された光源装置は、ランプ４が給
電口９の近くに配設されているため、電源投入直
後、マイクロ波空胴６内の洩れ電界によるランプ
４への電力供給が容易になるため始動時間が短い
こと、さらに反射光７，８に代表される様にすべ
ての反射光は光軸と大きく傾いた方向へ制御され
ていて、直射光１０，１１が光軸付近の照度を高
くする傾向にあるのに対し、光源装置に近接して
配置された図示されていない写真製版感光面のよ
うな被照射面の周辺部を照射して、均一な照度が
得られるものである。ところが、全体容積が小さ
くなるために、マイクロ波空胴やランプの温度上
昇が著しく、特にランプ４は再入射する反射光の
比率が大きくなるため熱によるランプ破損が生じ
易く、長時間点灯ができないという欠点があつ
た。

第１図ｂは、第１図ａにおける温度上昇の欠点
を改善した従来のマイクロ波放電光源装置のマイ
クロ波空胴を示す断面図であり、この図に示すも
のにおいては、容積は比較的大きくとられており
熱的な問題は少なくなる。しかし、光線１２の様
な複数回の反射後の光線は軸２方向に向かう傾向
を生じるために広い範囲を均一に照射する光源装
置としての機能に反する問題が生じ、さらに給電
口９とランプ４との間の距離が大きいため、ラン
プ４近辺での洩れ電界が弱く始動が困難であると
いう欠点があつた。

この発明は広範囲を均一に照射する目的のマイ
クロ波放電光源装置における上記のような欠点を
除去するためになされたもので、マイクロ波を通
過しない網面と、この網面と直交する軸を回転軸
とする椀状の回転体を閉塞する構成を有するマイ
クロ波空胴、および、このマイクロ波空胴内に配
設された無電極ランプを備えたマイクロ波放電光
源装置において、回転体の網面に対向したランプ
背面部位に網面側に突出するとともに、給電口を
有した、上記回転体の回転軸を共有した回転面を
形成したことを特徴としている。

以下、この発明の一実施例を第２図に基づいて
説明すると、図において１ａ，１ｂは網面３とと
もに従来のマイクロ波空胴に相当する空胴共振器
６を構成している２つの回転体であり、回転体１
ａは第１図ｂにおける回転体１の中でランプ４か
らの光線が１回の反射で空胴共振器６外へ出る領
域に等しい部分であり、回転体１ｂは回転体１ａ
の内部に突出しており、給電口９が配設されてい
るものである。１３はランプ４から回転体１ｂに
入射して、さらに回転体１ａでの反射をした後、
空胴共振器６外へ出る光線の例を示している。こ
の実施例においては、第１図ｂに示した従来例と
比較して明らかな様に、複数回反射した後に空胴
共振器６外へ出る光線１３を比較的広配光に制御
し、熱的にも許容し得る大きさを保ちながら、給
電口９とランプ４を近接して設けたことにより始
動後単時間に安定放電状態に達する利点を有する
ものである。

第３図は、この発明の他の実施例を示すもので
あり、図において１ａ，１ｂ，１ｃは網面３とと
もに空胴共振器６を構成する３つの回転体であ
り、回転体１ａは第２図中の回転体１ａと等し
く、回転体１ｂはランプ４の中心５を第１の焦点
とし、網面３の周辺付近の点１４を第２の焦点と
する楕円を軸２のまわりに回転してできる回転面
の一部からなるものであり、回転体１ｃは回転体
１ａの網面３上に無い方の端点とランプ４の中心
５を結ぶ直線を軸２のまわりに回転してできる回
転面の一部からなるものであり、回転体１ａと回
転体１ｂを接続している。１５，１６は回転体１
ｂにより反射されて空胴共振器６外へ出る光線の
例である。この様に回転体１ｂを回転体１ａの内
部に突出させて回転楕円面としたことによつて複
数回の反射を無くして損失を減少するとともに極
めて広配光の光源装置を得られる利点がある。さ
らに回転体１ｂに給電口９を設けることによつ
て、ランプ４と給電口９の距離を小さくできるた
め始動が容易になり、安定状態に達するまでの時
間が短くなる利点をも得られる。

尚、回転体１ｂの第２の焦点１４は、回転体１
ａ上の網面３付近にとつても広配光の光源装置と
することができる。

また上記実施例のいずれにおいても、回転体の
回転放物面を回転楕円面とするか、あるいは回転
楕円面で例示した面を回転放物面としても同様の
効果が得られる。さらに回転体の部材全体が光と
マイクロ波を反射する必要はなく、少くとも空胴
共振器６内面に相当する表層部が光とマイクロ波
を反射する部材であれば良い。尚ここでは広配光
の器具について例示したが、狭配光等の光源装置
においても同様の効果を得られることは言うまで
もない。

この様に上記実施例のものによれば、広配光等
の光学的条件、給電口９とランプ４間の距離等の
マイクロ波的条件、さらに熱的条件などの種々の
条件を満足する空胴共振器６を実現できるため、
写真製版用紫外線光源としての広配光で近接して
置かれた被照射面上でも均一な照度が得られると
同時に始動時間の短い光源装置を始めとして各種
の用途に適したマイクロ波放電光源装置の提供が
可能となり、その実用性を高め、応用分野を拡大
するきわめて価値の高いものである。

この発明は以上に述べたように、回転体と網面
とで構成されるマイクロ波空胴内に配設される無
電極ランプをマイクロ波により点灯するマイクロ
波放電光源装置において、回転体をランプ背面部
位に回転体の回転軸を共有した回転面を網面側に
突設したものとし、かつこの突出面に給電口を設
けたので、始動性を損なうことがないとともに放
電灯の破損もなく、光学的損失も少ないという効
果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図ａおよびｂはそれぞれ従来のマイクロ波
放電光源装置を示す概略図、第２図はこの発明の
一実施例を示す概略図、第３図はこの発明の他の
実施例を示す概略図である。 図において１は回転体、１ａは第１の回転体、
１ｂは第２の回転体、１ｃは第３の回転体、２は
軸、３は網面、４は無電極放電灯、６はマイクロ
波空胴である。尚、各図中同一符号は同一または
相当部分を示す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 一面が開口しかつマイクロ波を給電するため
   の給電口を設けた椀状の回転体およびこの回転体
   の開口面を覆うマイクロ波を通過させない材料で
   形成された網面でマイクロ波空胴を構成するとと
   もに、このマイクロ波空胴内に無電極ランプを備
   え、この無電極ランプをマイクロ波により点灯す
   るマイクロ波放電光源装置において、上記網面に
   対向した回転体のランプ背面部位に、上記回転体
   の回転軸を共有した回転面を網面側に突設すると
   ともに、この突出した回転面に上記給電口を設け
   たことを特徴とするマイクロ波放電光源装置。 ２ 回転面を第１、第２、第３の回転面で形成
   し、これらの回転面の最大半径は、第１＞第２＞
   第３の順に大とし、上記第１の回転面の内部に第
   ３の回転面を突出させたことを特徴とする特許請
   求の範囲第１項記載のマイクロ波放電光源装置。