JPS6245547Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は刈払機用防振管継手に係り、特にク
ラツチ部ハウジングと伝動軸外管との間に設けた
筒状芯部材に特殊形状の防振部材を取着すること
により、エンジンの振動が把手に伝達するのを効
果的に防止し得る刈払機用防振管継手に関する。

従来、刈払機においては、クラツチ部ハウジン
グと伝動軸を被包する伝動軸外管との間を単に剛
性の筒状芯部材からなる管継手により連結してい
たので、エンジン駆動時に発生する振動が把手に
伝達するのを遮断することができなかつた。この
ため、作業者に疲労を与えるとともに白蝋病の原
因となる不都合があつた。この不都合を解消する
ために、刈払機においては、クラツチ部ハウジン
グと伝動軸外管との間に筒状芯部材及び弾性体等
の部材を設けた防振装置を具備している。

刈払機の防振装置としては、例えば実開昭55−
90235号公報に開示されている。この公報に記載
の防振装置は、２つ割状のクランプ金具とクラツ
チ部ハウジング間に２つの割状の防振ゴム体をこ
れ等各部材が相互に回動不能となるように挿入
し、２つ割状のクランプ金具を螺子で緊定して構
成されている。これにより、グリツプの取付位置
をエンジン側に近接させバランスを良好にして作
業性を向上させ、また、クラツチ部ハウジングの
連結管部と長尺柄管間に防振処理を施して防振及
び断熱効果を得て、しかも、組立作業を容易にし
ている。また、刈払機の防振装置としては、特公
昭49−7888号公報に開示されている。この公報に
記載の防振装置は、エンジンの主杆取付筒部と主
杆後端部との間に緩衝部材を挿入して設け、この
緩衝部材を加圧変形せしめることによりエンジン
の主杆取付筒部に主杆後端部を咬着する緩衝部材
加圧装置を設けた構成である。これにより、エン
ジンの振動が主杆を経て作業者に伝達するのを防
止するとともに、必要なときにエンジンと主杆と
の間における相対的回動を許容し、更に通常の使
用状態においてエンジンと主杆との間を堅固に結
合している。

しかしながら、これ等防振装置においては、防
振ゴム体や緩衝部材等の弾性体からなる防振部材
の外周面全体がクラツチ部ハウジングの内周面に
接触して装着されたり、あるいは防振部材の内周
面全体がクラツチ部ハウジングの外周面に接触し
て装着されているので、クラツチ部ハウジングと
防振部材との接触面積が大きくなり、つまりクラ
ツチ部ハウジングからの振動の伝達面が多くな
り、エンジンの振動の伝達を効果的に防止するこ
とができない不都合があり、改善が望まれてい
た。

また、実願昭55−90235号公報に記載の防振装
置は、クラツチ部ハウジングの環状凹陥部及び鍔
状部を被包すべく防振ゴム体を設けるとともにこ
の防振ゴム体をクランプ金具で締付けて成り、ま
た防振ゴム体及びクランプ金具を２つ割状に構成
しているので、クラツチ部ハウジングの形状、防
振ゴム体の形状及びクランプ金具の形状が複雑に
なり、全体として複雑な構造である。しかも、こ
の防振装置はクラツチ部ハウジングの外周形状に
合致させて防振部材である防振ゴム体の形状を変
更する必要があるので、従来の管継手を構成する
筒状芯部材に防振部材を容易に取着することがで
きず、実用上不便であり、しかも製作費が高くな
り、もつて高価になる不都合を招いた。

そこでこの考案の目的は、上述の不都合を除去
すべく、クラツチ部ハウジング内径と略同一の外
径で且つ外周面に凹凸を有し筒状芯部材の小径部
に外嵌する防振部材を設けるとともに防振部材に
は筒状芯部材の段差部に位置しクラツチ部ハウジ
ングの突出端面が当接する防振つば部を設けたこ
とにより、刈払機のエンジン駆動時に生じた振動
がクラツチ部ハウジングから伝動軸外管、把手へ
と伝達するのを効果的に防止し、刈払作業を容
易・安全に行い得て、作業者に与える疲労を緩和
し、また防振部材には防振つば部と外周面に凹凸
を形成するだけなので、防振部材の構成が簡単で
あり、更に防振部材を従来の筒状芯部材にでも簡
便に取着し得て実用上有利であり、しかも製作費
を低くして廉価とし得る刈払機用防振管継手を実
現するにある。

以下図面に基づいてこの考案の実施例を詳細且
つ具体的に説明する。

第１〜５図はこの考案の実施例を示すものであ
る。図において、１は刈払機であり、２はエンジ
ン、４はクラツチ、６はクラツチ部のハウジン
グ、８は伝動軸外管、９は伝動軸、１０は防振管
継手、１２は筒状芯部材、１４は防振部材、そし
て１６は把手である。前記クラツチ部のハウジン
グ６と先端にカツタ１８を有する伝動軸外管８と
を連結する防振管継手１０は、該防振管継手１０
の剛性を保持させるために例えば金属製の筒状芯
部材１２とゴム等からなる円筒状の防振部材１４
とからなり、筒状芯部材１２に防振部材１４を外
嵌して構成される。

また、前記防振部材１４の外周面には、第５図
に示す如く、円周方向に凹条を多数形成したり、
あるいは窪部を多数形成して凹凸を形成する。こ
れにより、防振管継手１０とハウジング６との連
結に際し、防振部材１４の外周面の凹凸により防
振部材１４とハウジング６との接触面積を小さく
し、振動の伝達面を少なくする構成である。更
に、前記防振部材１４には、ハウジング６からの
振動を減衰する防振つば部１４ａを形成する。即
ち、第２，３図に示す如く、筒状芯部材１２は、
前記伝動軸外管８の内径と略同一で伝動軸外管８
に嵌入される大径部１２ａと、該大径部１２ａを
伝動軸外管８に嵌入した際に該伝動軸外管８の後
端面に一致し大径部１２ａに連設した段差部１２
ｂと、該段差部１２ｂに連なる小径部１２ｃとか
らなる。該小径部１２ｃの外径は、防振部材１４
を外嵌するように、防振部材１４の内径と略同一
に形成されている。また、防振部材１４の外径
は、ハウジング６を外嵌するように、該ハウジン
グ６の内径と略同一に形成されている。また、前
記防振部材１４には、筒状芯部材１２の段差部１
２ｂと伝動軸外管８の後端面とに端面が当接し且
つエンジン２側からハウジング６の突出端面が当
接する所定幅の防振つば部１４ａが一体成形され
ている。つまり、防振つば部１４ａは、ハウジン
グ６から伝動軸外管８への直接的なエンジン２の
振動の伝達を遮断するために、防振部材１４の厚
さと略同等の所定幅を有している。

更に、筒状芯部材１２の大径部１２ａには、ハ
ウジング６と伝動軸外管８と防振管継手１０との
離脱防止を行うために、取付手段である例えばね
じ２０を螺合するねじ穴２１が複数形成されてい
る。

以下、この実施例の作用を説明する。

刈払機１のクラツチ４のハウジング６と伝動軸
外管８とを、防振管継手１０を介在させて連結
し、ねじ２０を外方から大径部１２ａのねじ穴２
１に螺合することにより固定して夫々の部材の離
脱防止を行う。

刈払機１のエンジン２を駆動し、該エンジン２
の回転軸（図示せず）の回転力を伝動軸９に伝達
し、先端に設けたカツタ１８を回転させて刈払作
業を行う。このとき、エンジン２の駆動により発
生する振動がクラツチ部のハウジング６を伝わ
り、前記防振管継手１０を経て把手１６側へ至ら
んとする。

しかし、この実施例においては、第２、第３、
第５図に示す如く、ハウジング６内径と略同一の
外径で且つ外周面に凹凸を有し筒状芯部材１２の
小径部１２ｃに外嵌する防振部材１４を設けると
ともに該防振部材１４には筒状芯部材１２の段差
部１２ｂに位置しハウジング６の突出端面が当接
する防振つば部１４ａを設けたことにより、所定
幅を有する防振つば部１４ａがクラツチ４のハウ
ジング６の突出端面と伝動軸外管８の後端面とに
より挾持されることとなるので、防振つば部１４
ａがハウジング６からの振動を減衰するととも
に、防振部材１４の外周面の凹凸により防振部材
１４とハウジング６との接触面積が小さいので、
ハウジング６からの振動の伝達面が少なくなり、
これにより振動が減衰され、従つてハウジング６
から伝動軸外管８への直接的な振動の伝達を効果
的に遮断している。これにより、エンジン２の振
動が把手１６に伝達することがなく、作業者に与
える疲労を大幅に緩和し得る。また、この実施例
における防振部材１４は、径の大きさを変更する
だけで、従来の筒状芯部材にでも簡便に取着する
ことができ、実用上有利であり、しかも製作費を
低減して廉価とする。

また、防振部材１４は筒状芯部材１２の小径部
１２ｃとハウジング６との間に嵌入されるだけな
ので、所要の弾性力を確保するとともに損傷する
惧れがない。従つて、防振部材１４の機能を良好
に維持させ、防振管継手１０の使用寿命を長くし
得る。

更に、継手部位においては、第２図に示す如
く、大径部１２ａが伝動軸外管８に深く嵌入し、
また小径部１２ｃと防振部材１４とハウジング６
とが充分に重合しているので、徒に撓んだり、離
脱する惧れがなく、堅固に連結することが可能と
なり、安全性の向上を図り得る。

更にまた、防振管継手１０の組付け・分解を容
易に果し得るとともに、防振管継手１０の一部材
の機能が低下した場合には、機能低下した部材、
例えば防振部材のみを容易に交換し得て、経済上
及び実用上有利である。

また、防振つば部１４ａの端面を段差部１２ｂ
及び伝動軸外管８の後端面に当接させるととも
に、防振つば部１４ａの突出したエンジン側面に
ハウジング６の突出端面を当接させることによ
り、防振つば部１４ａの弾性力を確保しつつ防振
部材１４及び防振つば部１４ａを保持させること
ができ、またハウジング６の取付位置を容易に設
定し得る。

第４図は、４種類の管継手を用いて回転数毎に
伝動軸外管の把手近傍の振動数を比較測定しその
結果をグラフ図にしたものである。この第４図に
おいて、Ａはこの考案の実施例の防振部材１４を
取着した鉄材の管継手、Ｂは従来の鉄材の管継
手、Ｃは黄銅材の管継手、Ｄはアルミ材の管継手
の夫々の数値を示すものである。この第４図から
明らかなように、この実施例による防振管継手１
０によれば、他のものに比し極めて効果的に防振
を果し得るものである。

なお、この実施例においては、防振管継手の筒
状芯部材の材質を金属製のものとしたが、筒状芯
部材を鉄・黄銅・アルミ材等の種々多様の剛体材
料によつて形成することも可能である。

以上詳細な説明から明らかなようにこの考案に
よれば、クラツチ部ハウジング内径と略同一の外
径で且つ外周面に凹凸を有し筒状芯部材の小径部
に外嵌する防振部材を設けるとともに該防振部材
には筒状芯部材の段差部に位置しクラツチ部ハウ
ジングの突出端面が当接する防振つば部を設けた
ことにより、防振つば部がクラツチ部ハウジング
の突出端面と伝動軸外管の後端面とにより挾持さ
れることとなるので、防振つば部がクラツチ部ハ
ウジングからの振動を減衰するとともに、防振部
材の外周面の凹凸により防振部材とクラツチ部ハ
ウジングとの接触面積が小さいので、クラツチ部
ハウジングからの振動の伝達面が少なくなつて振
動が減衰され、従つてクラツチ部ハウジングから
伝動軸外管への直接的な振動の伝達を効果的に遮
断している。これにより、エンジンの振動が把手
に伝達することがなく、作業者に与える疲労を大
幅に緩和し得る。

また、防振部材は、径の変更等をするだけで従
来の筒状芯部材にでも簡便に取着することがで
き、実用上有利であり、しかも製作費を低減して
廉価とし得る。

【図面の簡単な説明】

第１〜５図はこの考案の実施例を示し、第１図
は刈払機の斜視図、第２図はクラツチ部ハウジン
グと伝動軸外管とを防振管継手により連結した状
態を示す拡大断面図、第３図は防振管継手の拡大
半断面図、第４図は４種類の管継手を用いて回転
数毎に把手近傍の振動を比較測定したグラフ図、
第５図は防振部材の外周面の形状を示す概略説明
図である。 図において、１は刈払機、２はエンジン、４は
クラツチ、６はハウジング、８は伝動軸外管、９
は伝動軸、１０は防振管継手、１２は筒状芯部
材、１２ａは大径部、１２ｂは段差部、１２ｃは
小径部、１４は防振部材、１４ａは防振つば部、
そして１６は把手である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 刈払機のクラツチ部ハウジングと伝動軸外管と
   を連結する刈払機用防振管継手において、伝動軸
   外管の内径と略同一外径で前記伝動軸外管に嵌入
   する大径部と該大径部を前記伝動軸外管に嵌入し
   た際に前記伝動軸外管の後端面に一致し前記大径
   部に連設した段差部と該段差部に連なる小径部と
   を有する筒状芯部材を設け、前記クラツチ部ハウ
   ジング内径と略同一の外径で且つ外周面に凹凸を
   有し前記筒状芯部材の小径部に外嵌する防振部材
   を設けるとともに該防振部材には前記筒状芯部材
   の段差部に位置し前記クラツチ部ハウジングの突
   出端面が当接する防振つば部を設けたことを特徴
   とする刈払機用防振管継手。