JPS6245149B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は糸送り装置と摩擦ローラにより回転す
るボビンの間に配設される糸の張りを制御する装
置を有し、回転カムドラムを通過しボビン上に糸
等を巻き取る糸巻き装置に関する。

ボビンに沿つて往復運動をする糸ガイドにより
糸を巻き取る際、糸の巻き取り速度と張りに種々
の原因による変化や変動が起る。横送りの方向が
反転する所では、回転カムドラムのらせん状の溝
の傾斜角（ドラムの径方向との角）はゼロとな
り、その後逆方向に最大値へと増加してゆく。こ
の傾斜角の変化により往復運動中糸の速度は絶え
ず変化し、したがつて一定の周速度で回転するボ
ビンに対して糸の速度が一定にならず、糸の張り
も変化する結果となる。さらに糸ガイドが反転す
る２点と上方の固定糸案内具により画成される、
いわゆる糸三角形の影響で、糸の往復運動中に糸
の速度に変化が起る。この固定糸案内具は一般
に、糸ガイドの往復運動の行程の中点の上方に、
糸ガイドとある距離を持つて位置している。この
距離は糸三角形により生じる糸の長さの違いを減
少させるために出来るだけ長くすることが望まし
く、一般には往復運動行程の２倍から４倍であ
る。往復運動行程の中点から、その末端へ糸ガイ
ドが動く際、糸ガイドと固定案内具間の距離は増
加する。ボビンは一定速度で回転しているので、
この変化により糸の速度も増加する。往復運動行
程の末端からその中点への糸の動きに対しては逆
に糸の速度が減少する。巻取り時の上記の不可避
な速度の変化により、処理機械から一定速度で供
給される糸を直接巻取る場合には、絶えず糸の張
りが変化することになる。このことは、この糸を
使つて生産された製品にも影響を与え、その質を
低下させる。

糸が非常に高速で巻取られる場合に特有の障害
が起る。糸三角形を長くすると装置全体が大きく
なりあまり長くすることは出来ない。それゆえ高
速の場合は糸三角形による糸に加わる張力は極め
て大きくなり、さらに空気摩擦による張力がそれ
に加わる。

これらの障害を取り除く試みがくりかえしなさ
れてきた。ある周知の装置では、糸が摩擦ローラ
の速度よりも高速で運転された２個のゴデツトの
まわりに導かれている。しかしながらこの装置で
は装置の各部が同期のとれるよう運転される必要
があり、そのため電力消費量が大きくなる。糸三
角形の高さを低くすると糸の強度が不十分となり
糸に加わる張力により糸の太さが変化する危険が
ある。別の装置においては、回転カムドラムの糸
ガイドの糸の流れの下流に溝付きローラが設置さ
れ、そこから糸は直接巻取りボビンに導かれる。
反転を行う場所の溝が他の所よりも深く形成され
ている溝付きローラを使用することによつて糸三
角形により生ずる糸に加わる張力を減少させよう
としている。このような溝付ローラでは、糸が置
かれる溝があらかじめ形成されるため、糸は溝に
より案内され自由に移動することが出来ない。ま
た溝の底面の摩耗は比較的に早く起る。一方糸束
へ行く前に溝付ローラ上を直接糸が通過すること
は製品の質を損なう可能性がある。さらに、溝付
ローラの回転速度を変化させると必ず回転カムド
ラムの回転速度との関連においてさらに多くの不
都合が生じる。それゆえそれぞれの速度を精密に
関連させるよう気をつかわねばならない等、種々
の欠点があつた。

本発明の目的は回転カムドラムと糸ボビン間の
糸に加わる張力を制御し、糸三角形による巻取時
の悪影響を簡単かつ確実に解消し、糸の張りの減
少した状態で糸束を形成する装置を提供すること
である。本発明の特徴として、前述の種類の装置
において、横送り糸ガイドの糸の送られる方向か
ら見て後方すなわち下流に周上に糸を受けとる周
面が平滑なローラおよびさらにその下流に第２の
横送り糸ガイドを配置し、前記ローラを摩擦ロー
ラとは異つた周速度すなわち高速度または低速度
で駆動するようにしたことである。

回転カムドラムの糸ガイドから糸束への糸送り
装置をこのように改善することにより、ボビン上
に糸を効率よく正確にかつ確実に巻きつけること
が出来る。いわゆる糸三角形により糸に加わる張
力は減少され、糸の流れは、定常になる。したが
つて糸三角形による糸束の端部が固く巻かれるこ
と、すなわちいわゆる端止が解消される。摩擦ロ
ーラ周上には糸が良好に当接し、したがつて糸を
非常に穏かに扱うことができる。挿入された平滑
なローラは使用中糸と摩耗を起すことは全くな
い。糸はなめらかな面のさまざまな位置を通るこ
とが出来るので、糸が挿入ローラのなめらかな周
の一定の位置になるよう調整する必要はない。こ
の挿入ローラは糸の送り出し装置としても機能
し、ゴデツト等の他の送り出し装置の必要がなく
なる。またこのような配置にすることで、糸三角
形が比較的長く取れることになり、このため糸の
張りに十分な融通性が得られる。したがつて糸は
一定速度でボビンに供給される。回転カムドラム
の回転速度は挿入ローラの周速度とは独立して選
択出来、巻き取りボビンに対して最適の交差角で
糸を送り込むことが可能である。回転カムドラム
の回転速度を意図的に変動させても、挿入ローラ
の回転速度に影響を与えることはないしそれゆえ
糸の張りに影響を与えることもない。

本発明のさらなる特徴をあげれば、第一の糸ガ
イドが第２の糸ガイドの上流に配置され、糸を第
２の糸ガイドに導びくようにしていることであ
る。この場合、すなわち第１および第２の糸ガイ
ドの間隔を回転カムドラムのらせん状溝のほぼ半
ピツチにすべきである。ローラ上で糸の送り角度
の増大による糸の緊張は除去され、それゆえ挿入
ローラを出たあとの糸はなめらかな動きになる。

さらなる特徴として、糸の動きを改善するため
摩擦ローラが第２の糸ガイドと糸を巻き取るボビ
ンの間に挿入されている点である。これにより第
２の糸ガイドから摩擦ローラへの糸の長さを短く
することができる。糸が摩擦ローラから離れボビ
ン上に向う前に糸は摩擦ローラの周の一部に置か
れるために糸の流れは安定する。その結果ボビン
への糸の送り出しは非常に整つたものとなりした
がつて糸束を能率的に作成できる。

第１と第２の糸ガイドは一個の回転カムドラム
の周の反対の位置に設置される。しかしながら、
第２の糸ガイド用にさらにもうひとつの回転カム
ドラムをとりつけることもできる。

以下、図面を参照して本発明を詳細に説明す
る。

糸１は直接あるいは一定の回転速度で回転する
ローラ３及び４を備えた送り出し装置２によつて
回転カムドラム５へと導かれ、ボビン６に巻かれ
て糸束７を作る。ボビン６すなわち糸束７の回転
は摩擦ローラ８により行われ、摩擦ローラ８は動
力を備えたローラ８ａのように構成されてもよ
く、固定軸９で支持される。ボビン６は糸束７の
直径が増加するにつれて固定主軸１１のまわりで
振れることの出来るスイングアーム１０上に配置
されている。

回転カムドラム５は糸ガイド１２を有し、糸ガ
イド１２はらせん路をなす溝と噛み合い案内溝１
３によつて回転式カムの縦方向に案内され持続的
に往復運動を行う。回転カムドラム５の駆動は１
５のような伝動ベルトを用いてモータ１４で行わ
れる。

糸１を送るローラ１７はなめらかな周表面を有
し、往復運動機構１２，１３を有する回転カムド
ラムの下流に配置され、ボビン６すなわち糸束７
への糸の供給路を形成する。ローラ１７は摩擦ロ
ーラ８と異なる回転数、例えば高速度で駆動され
てもよい。

例えば、摩擦ローラ８が毎分4000回転の周速度
を有する場合、ローラ１７はそれより高速か又は
同速か又は低速の周速度で回転される。ローラ１
７用のモータは参照番号１８で表わされ、伝動部
は１９で表わされている。摩擦ローラ８がローラ
１７よりも低い周速度を有する場合には糸の張り
は減少する。

糸１はローラ１７を通過後、第２の糸ガイド２
１により方向づけられる。糸ガイド２１は糸ガイ
ド１２を動作させているのと同じ回転カムドラム
５によつて動かされることも出来る。糸ガイド２
１は案内溝２２にそつてスライドする。第１の横
方向に往復運動する糸ガイド１２は第２の糸ガイ
ド２１の上流に配置されている。第１および第２
の糸ガイドの間隔は、らせん形の溝２３の半ピツ
チが好ましい。糸１は第２の糸ガイド２１により
摩擦ローラ８の周上に送られ、ある距離その周上
を移動し、摩擦ローラ８によつて回転される糸束
７に巻き取られる。

本発明の場合空気中を糸が通る路を特に短く出
来ることから、第２の糸ガイド２１からボビン６
すなわち糸束７つまりは摩擦ローラ８へ糸を正確
に送ることができる。

第２の糸ガイド２１の挿入により糸は摩擦ロー
ラ８を通つて糸束へと正確な経路で向うことを確
実にする。糸三角形すなわち往復機構１２の上流
で糸が取る経路の移動から形成される三角形によ
り糸に生ずる張力は、その後なめらかな表面のロ
ーラ１７を通過し、さらに第２の糸ガイド２１で
糸が案内されることにより完全に除去される。糸
は挿入されたローラ１７のなめらかな周上に何の
障害もなく送り込まれ移動することが出来る。こ
れは結果的に糸をガイドする速度を一般に知られ
ている意図的に変動させる場合（いわゆる動揺処
理）にも採用される。このように完全な構造的な
配置を維持した上で、いわゆる糸三角形の高さを
操作高以内に維持し、かつまた糸の送りに十分な
融通性をもたせることが出来る。第２の糸ガイド
２１は回転カムドラム５と同期して回転する第２
の独立した回転カムドラムにより駆動されること
も出来る。

回転カムドラム５、ローラ１７および摩擦ロー
ラ８は独立したモータを夫々必要とし、その回転
速度はそれぞれ所定の割合に保たれる。この方法
により糸の巻き取り操作は十分に改良され、糸に
加わる張力が過度になるために起る運転障害もな
く、非常な高速運転が可能である。なめらかなロ
ーラの周面は軸方向に若干上反りした形にするこ
とも可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の糸巻き機の一実施例の機構を
示す説明図、および第２図は回転カムドラムの詳
細を示す図。 １…糸、２…送り出し装置、５…回転カムドラ
ム、６…ボビン、８…摩擦ローラ、１２，２１…
糸ガイド、１３，２２…案内溝、１７…ローラ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 糸送り出し装置と摩擦ローラにより回転させ
   るボビンとの間に、カムドラムによつてあや振り
   運動がなされる第１の糸ガイドと、糸を受ける滑
   らかな円筒周面を有し、かつ独立して駆動される
   ローラと、カムドラムによつてあや振り運動がな
   される第２の糸ガイドとを糸の移動方向上流から
   下流に順次配設したことを特徴とする糸巻き装
   置。 ２ 前記第１の糸ガイドが前記第２の糸ガイドの
   前方に配設され、前記第１および第２の糸ガイド
   の間隔が前記回転カムドラムのら旋溝の半ピツチ
   である特許請求の範囲第１項に記載の糸巻き装
   置。 ３ 前記摩擦ローラが前記第２の糸ガイドと前記
   ボビンの間に配設される特許請求の範囲第１項ま
   たは第２項に記載の糸巻き装置。 ４ 前記第１および第２の糸ガイドが同一の回転
   カムドラムに配設される特許請求の範囲第１項か
   ら第３項のいずれかに記載の糸巻き装置。 ５ 前記第２の糸ガイドが配設される第２の回転
   カムドラムを更に具える特許請求の範囲第１項か
   ら第３項のいずれかに記載の糸巻き装置。