JPS6244181Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本願の考案は、車輌分野に利用されるデイフア
レンシヤルに関し、実に詳細には、ドライブ・ピ
ニオン・ギアにトルクが加えられた状態で左右の
アクスルに大きな回転差が出た場合、その回転差
を少なくするように構成した車輌用リミツテイツ
ド・スリツプ・デフに関するものである。

通常、たとえば片方のタイヤがぬかるみにはま
つた場合、ぬかるみにはまつたタイヤにかかる摺
動抵抗は非常に小さいので、プロペラシヤフトか
ら送り込まれた回転力が、そのタイヤにだけ伝わ
り空転してしまう。もちろん、もう一方のタイヤ
はロツクしたままだからクルマは一歩も前進しな
い。従来のリミツテイツド・スリツプ・デフは空
転しているサイド・ギアへ摩擦抵抗を加えて差動
作用を一定限度内に調整するものと、機械的にク
ラツチによつてはじめから無制限な差動作用が起
きないようにして上記せる空転現象を防止するも
のとがあるが、いずれも機構が複雑で故障しやす
く、組立てしにくい上に部品の摩耗が激しく取替
作業も大へんである。

本願の考案は、かかる欠点を解消すべくなされ
たものであり、その要旨は、リング・ギアと一体
回動さるデフケース内の両側にサイド・ギアを軸
支し、このサイド・ギアに直角に自転可能なピニ
オン・ギアを噛合させてなるデイフアレンシヤル
構造体に於て、上記両サイド・ギアの外周上には
周方向にジグザグな摺動溝を形成し、該摺動溝内
には、片側をデフケースの側面摺動溝内に左右摺
動可能に装着せる複数の摺動杆下面の案内頭を嵌
挿し、上記サイド・ギアにはそれぞれ左右にアク
スルシヤフトを取付け、上記摺動杆の案内頭をサ
イド・ギア上の摺動溝に沿つて摺動させ、案内頭
と摺動溝との接触抵抗を利用して両サイド・ギア
に駆動力を付与しアクスル・シヤフトの差動回転
を少くするように形成してなる車輌用リミツテイ
ツド・スリツプ・デフである。

以下に本考案を実施例に基づき詳述する。

第１図及び第２図は、本考案の一実施例を示し
た車輌用のリミツテイツド・スリツプ・デフ（以
下「デフ」という）Ａの内部構造を示したもので
ありデフＡはデフケース１とリング・ギア２とよ
り構成され、デフケース１の外側にリング・ギア
２を固定し、このリング・ギア２にドライブ・ピ
ニオン・ギア（図示せず）を噛合させ、このドラ
イブ・ピニオン・ギアをプロペラシヤフト（図示
せず）にて駆動させてリング・ギア２を回転さ
せ、この回転力によつてデフケース１を回転させ
るように構成する。ここまでの構造は、通常の車
輌のデイフアレンジヤル・キヤリヤーと同一であ
る。

本考案の主要部であるザフケース１内には、左
右にサイド・ギア３，４を設け、このギア３及４
からデフケース１の外方向へアクスルシヤフト
５，６を左右にそれぞれ延設し、このアクスルシ
ヤフト５及び６に車輪（図示せず）を取付ける。

一方、デフケース１内のサイド・ギア３と４と
の間には〓間を設け、この〓間にピニオン・シヤ
フト７を上記アクスルシヤフト５及び６に対して
直交するよう貫挿し、両端部をデフケース１に固
定すると共に、ピニオン・シヤフトの両端にピニ
オン・ギア８，８を自転可能に取付け、ピニオ
ン・ギア８，８と上記サイド・ギア３，４とをそ
れぞれ噛合させて互に回転可能に連結し、このサ
イド・ギア３，４の外側面には周方向に摺動溝９
及１０をジグザグ模様に形成して各折返し部９
ａ，１０ａ部には小さい曲率を持たせ、この摺動
溝９及び１０にそれぞれ摺動杆１１，１２の案内
頭１３，１４を嵌挿し、摺動杆１１，１２は、デ
フケース１の側面に開口せる摺動溝１５，１６に
摺動可能に装着している。尚、図中１７，１８は
摺動杆１１及び１２の上部に形成せる補強用スラ
イド部片、１９及び２０は摺動杆１１及び１２の
一端を支持し、摺動溝を形成せる受け部であつ
て、デフ・ケースの内壁中央部に突設している。

このようにサイド・ギア３及び４上にジグザグ
模様の摺動溝９及び１０を設け、この摺動溝９，
１０内に沿つて左右に摺動する摺動杆１１，１１
及び１２，１２をそれぞれ独立作動可能にデフケ
ースの摺動溝１５及び１６に取付けており、車輌
の大きさに応じて摺動杆の本数を増減して取付け
駆動力を円滑に伝達し、又摺動杆１１，１２には
潤滑油が潤滑する様に油路（図略）を設ける。
尚、摺動杆１１及び１２の案内頭１３，１４の先
端平面の形状はひし型にし、ひし型案内頭１３，
１４の長手対角線がサイド・ギア３，４の取付軸
であるアクスルシヤフト軸線とほぼ一致するよう
に形成させてサイド・ギア上の摺動溝９，１０内
を周方向に摺動させるものである。

上記のように本実施例は構成されるものである
が、本考案では、上記実施例に制限されることな
く、摺動杆１１，１２の形状を、上部補強スライ
ド部片１９，２０を無くしたものや、先端スライ
ド部片２１，２２を無くした形状等各種の形状の
ものを適用できるものであり、又、サイド・ギア
３，４上の摺動溝９，１０の溝巾、溝深さも特定
する必要はない。

以上詳述せるように本考案のデフＡは構成され
ているものであり、例えば、片方のアクスルシヤ
フト５の車輪がぬかるみにはまつた場合、アクス
ルシヤフト５上の車輪には抵抗が少ししかきから
ず、空転する。この時、デフケース１内のサイ
ド・ギア３も周方向に回転し、回転に伴つて、サ
イド・ギア３の摺動溝１０内に嵌装されている摺
動杆１２の案内頭１４が、摺動溝１０内をジグザ
グに摺動する。この時デフケース１内の摺動溝１
６内に沿つて摺動杆には左右矢印方向に摺動す
る。この摺動杆１２が、サイド・ギア３の摺動溝
１０内をジグザグ運動を繰り返して、アクスル、
シヤフト５の回転方向へ回動すると共に、デフケ
ース１も周方向に回転する。そのため、デフケー
ス１の内壁中央部の受け１９及び２０内に一端を
支持させている反対側の摺動杆１１も周方向へ移
動し始める。摺動杆１１の案内頭１３，１３の動
きは、サイド・ギア４の摺動溝９内をジグザグに
移動するものであるが、平行に形成せる摺動溝９
の折り返しの部分９ａ，９ａ……に於いては、案
内頭１３，１３が折り返し部９ａ，９ａに接触し
て直進しようとする力が作用するための折り返し
返しの部分９ａ，９ａ……を案内頭１３，１３の
角でデフケース１回転方向へ押し出す作用が生起
される。そのため、サイド・ギア４が回転し始め
同ギア４に連結されたアクスル・シヤフト６を回
転させる。このようにして、抵抗の少ない側の回
転数と抵抗の大きい側のアクスル・シヤフトの回
転数の差異を無くする。尚、平滑な路面に於て
は、両アクスル・シヤフト５及び６には同じ抵抗
が加わるため、デフケース１の回転によつて両シ
ヤフト５，６が同一回転をするため、上記の差動
調整作用は動かない。

上述したように本考案によれば、デフケース内
に左右に摺動する摺動杆を左右独立に複数装着
し、同デフケース内に装着せる左右のサイド・ギ
ア上の摺動溝内に上記せる摺動杆の案内頭を嵌挿
し空転する側のアクスル・シヤフトに直結せるサ
イド・ギアの摺動溝に沿つて一方の摺動杆を摺動
させ、この駆動力によつて抵抗の大きい側の摺動
杆をサイド・ギア上の摺動溝に沿つて移動させ、
この時の摩耗抵抗でもつて抵抗の大きい側のサイ
ド・ギアを回転して同ギアに連結せるアクスル・
シヤフトを回転し同軸上の車輪を回転して車輌を
動かすものであるため、デフに無理が生せず、ス
ムーズに駆動力が伝達されて、アクスル・シヤフ
トの差動回転を解消させるものである。

又、本考案のデフは従前のクラツチ方式のよう
に摩耗する部品を装着していないため、デフを半
永久的に使用できると共に、構造が簡単であるた
め、故障が少なく組み立ても簡素で合理的に設計
されているため実用価値は極めて高い。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示すデフの断面
図、第２図は第１図の−線断面図。 図中、Ａ：リミツテイド・スリツプ・デフ、
１：デフケース、２：リング・ギア、３，４：サ
イド・ギア、５，６：アクスルシヤフト、７：ピ
ニオン・シヤフト、８：ピニオン・ギア、９，１
０：摺動溝、１１，１２：摺動杆、１５，１６：
デフケース１に形成せる摺動溝。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. リング・ギアと一体回動せるデフケース内の両
   側にサイド・ギアを軸支し、このサイド・ギアに
   直角に自転可能なピニオン・ギアを噛合させてな
   るデイフアレンシヤル構造体に於て、上記両サイ
   ド・ギアの外周上には周方向にジグザグな摺動溝
   を形成し、該摺動溝内には、片側をデフケースの
   側面摺動溝内に左右摺動可能に装着せる複数の摺
   動杆下面の案内頭を嵌挿し、上記サイド・ギアに
   はそれぞれ左右にアクスル・シヤフトを取付け、
   上記摺動杆の案内頭をサイド・ギア上の摺動溝に
   沿つて摺動させ、案内頭と摺動溝との接触抵抗を
   利用して両サイド・ギアに駆動力を付与しアクス
   ル・シヤフトの差動回転を少くするように形成し
   てなる車輌用リミツテイド・スリツプ・デフ。