JPS6243714Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は工作機械の工具駆動用スピンドルに工
具ホルダーを介して連結されるホイルホール付き
回転切削工具に対する給油装置に関するものであ
る。

この種オイルホール付き回転切削工具は、刃先
部より切削油を注出しつつ切削を行うことによ
り、刃先部の冷却と潤滑を図り、切削工具の寿命
を延ばすと共に仕上げ面を良好にするために使用
される。しかして、切削工具への給油は、工具ホ
ルダーとこれを回転自在に支持する非回転支持部
材との間に環状油路を形成し、この環状油路と切
削工具のオイルホールとを連結する油路を工具ホ
ルダーに穿設し、上記支持部材を通して油を供給
したり、あるいは工作機械のスピンドル部分の給
油口に接続する油路を工具ホルダーに設けて、こ
の油路を切削工具のオイルホールに連通して上記
給油口より送油する等の種々の手段が採用されて
いる。

しかしながら、上述した給油における送油圧が
従来では専ら給油源のポンプ等による油圧が依存
しているため、送油経路中での圧損等により、注
出不足や注出停止を生じ安定した注出状態が得ら
れ難く、特に上記前者の手段の如く回転部分の中
心部に周辺側から接続した油路を有する場合、該
油路で回転に伴う遠心力が送油方向とは逆方向に
作用し、油圧が低下するという問題があつた。

本考案はこのような問題点を解決する回転切削
工具用給油装置を提供するものであり、以下、本
考案を図示実施例に基づいて説明する。

第１図において、１は略丸軸状の工具ホルダー
であつて、一端側にマニユピレータ用把持部２と
先細り状のシヤンク部３とが同心状に連設され、
他端側にはオイルホール付き切削工具（図示略）
の取付部４が同心状に連設されている。５は前記
工具ホルダー１の中央部を取り囲んで軸受６を介
して工具ホルダー１を回転自在に支持する環状の
非回転支持部材であつて、その一側方の突出部５
ａには廻り止め機構を兼用する油導入筒７が装着
されている。この油導入筒７は外筒８とこれに螺
合する内筒９とから内外２重に構成され、支持部
材５の筒状装着部５ｂよりシヤンク部３のある方
向へ外方突出した位置に突片状に起立した廻り止
め部材１０が外筒８と止めリング１１との間で固
着され、また内筒９の内部にはスプリング１２ａ
と球体１２ｂとからなる逆止弁１２が装備され、
この逆止弁１２を介して不使用時には筒口７ａが
封止されている。しかして油導入筒７は装着部５
ｂに軸方向出退移動可能に装着されると共に、装
着部５ｂの内底と油導入筒７の基部近傍の内面に
係着したばね受け座１３との間に装着したスプリ
ング１４にて外方突出側へ付勢されている。この
付勢により、不使用下では廻り止め部材１０がマ
ニユピレータ用把持部２に隣接する位置に設けら
れた係合溝１５に嵌合し、支持部材５は工具ホル
ダー１に対して回転不能に係止されている。

一方、工具ホルダー１と支持部材５との界面部
には、第３図および第４図でも示すように支持部
材５側の凹陥にて構成してた第１環状油路１６と
第２環状油路１７とが隔壁３５（第１図）を介し
て軸方向に隣接して並行に形成されている。この
第１環状油路１６には、主ポンプ室３６が形成さ
れている。該主ポンプ室３６内には、工具ホルダ
ー１の周面に一体形成された主ギヤ１８の歯部１
８ａが嵌入している。また支持部材５の突出部５
ａ内には主ポンプ室３６に連通する円形空所状の
副ポンプ室１９が形成されており、この副ポンプ
室１９内に前記主ギヤ１８に噛合する副ギヤ２０
が回転自在に装着され、副ギヤ２０の歯部２０ａ
の通過経路が第３環状油路２１を構成している。
しかして主副ポンプ室３６，１９の両ギヤ１８，
２０の噛合開始位置近傍に吐出口２２が、また両
ギヤ１８，２０の離脱位置近傍に吸入口２３が開
口している。吸入口２３は、油導入筒７の筒口７
ａより装着部５ｂに至る油路２４に対して連絡口
２５を介して連通した油路２６に連通している。
更に吐出口２２は第２環状油路１７に連通してお
り、この第２環状油路１７は主副ポンプ室３６，
１９から吐出した切削油の中継室３７とされ、該
中継室３７に対して工具ホルダー１の直径方向に
穿設された油路２７の両端が常時連通しており、
また油路２７は取付部４に至る軸心に沿つた油路
２８に接続している。しかして油路２８は装着さ
れる回転切削工具（図示略）のオイルホールに連
絡するように構成されている。

上記構成において切削加工を行うには、従来と
同様に操作すればよい。すなわち、工具ホルダー
１の取付部４にオイルホール付き回転切削工具
（図示略）を装着し、この把持部２をマニユピレ
ータにて把持させ、第２図で示す工作機械の工具
駆動用スピンドル２９をシヤンク部４の挿入によ
りセツトする。この時、該スピンドル２９を支承
する固定部材３０にボルト３１を介して取付けら
れた給油連結ブロツク３２の先端凹所３２ａに、
油導入筒７の筒口７ａが当接し、油導入筒７を装
着部５ｂ側へ退入させる。この退入作動に伴つて
廻り止め部材１０が係合溝１５より離脱し、工具
ホルダー１は支持部材５に対して回転自在とな
り、同時に給油連結ブロツク３２の給油路３３が
油路２４に接続される。尚、油導入筒７の外筒８
と内筒９との螺合位置を変えることより、機種の
違いに基づく給油連結ブロツク３２の先端位置の
差に対応させることができる。

次に上述の如く工具ホルダー１をスピンドル２
９にセツトした後、スピンドル２９を回転駆動さ
せると同時に給油路３３より切削油を送り込み、
所定の切削加工を開始する。この時、第３図のの
如く工具ホルダー１の回転によつて主ギヤ１８が
一体回転し、これに伴て副ギヤ２０が副ポンプ室
１９内で遊転するから、逆止弁１２の開弁により
油路２４，２６を通して吸入口２３に達した切削
油は、吸引されて両ギヤ１８，２０の各歯部１８
ａ，２０ａの間に入り、第１環状油路１６と第３
環状油路２１とに分岐して移送される。しかして
吐出口２２よりやや先方位置で両ギヤ１８，２０
が噛合するので、各歯部１８ａ，２０ａの間に入
つて移送されて来た切削油は、押し出されて合流
し、増圧されて吐出口２２より排出される。すな
わちこの移送機構は一般のギヤポンプと同様の機
能を示す。このようにして増圧された切削油は中
継室３７を形成する第２環状油路１７を中継し
て、これに常時連通する油路２７，２８を経て切
削工具のオイルホールへ連続的に流入し、その刃
先部より注出する。

以上のように本考案によれば、工作機械のスピ
ンドルに取り付けられる工具ホルダーと、当該工
具ホルダーを回転可能に支持する非回転支持部材
とを備え、工作機械側から供給される油を前記工
具ホルダーに取付けられる回転切削工具のオイル
ホールへ導入するための油路を非回転支持部材及
び工具ホルダーに夫々連通形成してなる給油装置
において、非回転支持部材に、工作機械の固定部
材に離脱可能に係合し、且つ該固定部材側給油路
に接続可能な廻り止め機構兼用の油導入筒を備
え、該油導入筒によつて切削油の固定部材側から
非回転支持部材に供給すると共に、非回転支持部
材を非回転状態に維持するようになつているため
構造が極めて簡単で、かつ作動性に秀れている。

特に本考案は、工具ホルダーと非回転支持部材
との界面部に、第１環状油路と第２環状油路とを
隔壁を介して軸方向に隣接して並行に設け、第１
環状油路には、主ポンプ室を形成すると共に、そ
の主ポンプ室には工具ホルダーの回転を利用して
回転駆動する主ギヤを設け、前記非回転支持部材
に主ポンプ室と連通する副ポンプ室を形成すると
共に、その副ポンプ室には主ギヤと噛合する副ギ
ヤを回転自在に設け、主副ポンプ室内の両ギヤの
噛合開始位置近傍に第２環状油路に連通する吐出
口を、その両ギヤの離脱位置近傍に前記油導入筒
側に連通する吸入口をそれぞれ形成し、前記第２
環状油路を前記吐出口より圧送された圧油を、工
具ホルダーに設けられ回転切削工具のオイルホー
ルに導入するための油路に常時供給するための中
継室を形成してなることを最大の特徴とする。

即ち本考案においては、切削油の送油経路中に
主副ポンプ室を形成するものであるから、送油経
路中での圧損や遠心力作用による油圧低下を十分
に補償することができると共に、上記主副ポンプ
室は工具ホルダーの回転力を利用するものである
から増圧のための特別な駆動手段を必要としない
利点があることは勿論であるが、特に本考案にお
いては上述のように主副ポンプ室を形成する第１
環状油路と、中継室を形成する第２環状油路とを
夫々独立して設けてなるため、第１環状油路に流
入した油を十分効率的に増圧した状態で第２環状
油路に圧送することができ、而も第２環状油路は
工具ホルダーに設けられた油路に常時連通する中
継室を形成するものであるから第２環状油路に圧
送された圧油は、継続することなく且つ減圧され
ることなく連続して回転切削工具のオイルホール
に給送され、常に均一に増圧された圧油を切削工
具に供給することができるという秀れた効果を発
揮する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す部分縦断面側
面図、第２図は同使用状態を示す部分縦断面側面
図、第３図は第１図の−線の矢視断面図、第
４図は第１図の−線の矢視断面図である。 １……工具ホルダー、３……シヤンク部、４…
…取付部、５……非回転支持部材、７……油導入
筒、１６……第１環状油路、１８……第２環状油
路、１８……主ギヤ、１９……副ポンプ室、２０
……副ギヤ、２２……吐出口、２３……吸入口、
２７，２８……油路、３５……隔壁、３６……主
ポンプ室、３７……中継室。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 工作機械のスピンドルに取り付けられる工具ホ
   ルダーと、当該工具ホルダーを回転可能に支持す
   る非回転支持部材とを備え、工作機械側から供給
   される油を前記工具ホルダーに取付けられる回転
   切削工具のオイルホールへ導入するための油路を
   非回転支持部材及び工具ホルダーに夫々連通形成
   してなる給油装置において、非回転支持部材に、
   工作機械の固定部材に離脱可能に係合し、且つ該
   固定部材側給油路に接続可能な廻り止め機構兼用
   の油導入筒を備え、また工具ホルダーと非回転支
   持部材との界面部に、第１環状油路と第２環状油
   路とを隔壁を介して軸方向に隣接して並行に設
   け、第１環状油路には、主ポンプ室を形成すると
   共に、その主ポンプ室には工具ホルダーの回転を
   利用して回転駆動する主ギヤを設け、前記非回転
   支持部材に主ポンプ室と連通する副ポンプ室を形
   成すると共に、その副ポンプ室には主ギヤと噛合
   する副ギヤを回転自在に設け、主副ポンプ室内の
   両ギヤの噛合開始位置近傍に第２環状油路に連通
   する吐出口を、その両ギヤの離脱位置近傍に前記
   油導入筒側に連通する吸入口をそれぞれ形成し、
   前記第２環状油路は前記吐出口より圧送された圧
   油を、工具ホルダーに設けられ回転切削工具のオ
   イルホールに導入するための油路に常時供給する
   ための中継室を形成してなる回転切削工具用給油
   装置。