JPS6243639Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は減圧造型法によつて鋳型を造型・保持
するために用いられる合せ金枠に関する。

減圧造型法は、金枠内に充填された乾燥砂の砂
粒間〓内を負圧にすると共に、模型で形成された
キヤビテイを正圧とし、両者の圧力差を利用して
鋳型を造型・保持するもので、鋳型の造型・保持
に粘結剤を必要としないため砂処理設備が不要に
なる、鋳込み時の湯回りがよいため精度が高く鋳
肌の美しい製品が得られる等のメリツトがあり、
近年急速に普及しつつある。

ところで前記造型法で造型した鋳型に注湯する
場合、従来は横鋳込方式（鋳型を保持した一対の
合せ金枠をその合せ面を水平にして枠合せし、上
鋳型に設けられた湯口及び湯道を介して溶湯を鋳
型キヤビテイへ注入する方式）を主として取つて
おり、縦鋳込方式（鋳型を保持した一対の合せ金
枠をその合せ面を垂直にして枠合せし、両鋳型の
合せ面に設けられた湯口及び湯道を介して注湯す
る方式）はあまり取られていなかつた。

しかし前記横鋳込方式では、鋳型造型後の離型
時、製品部の離型と湯口・湯道部の離型とを同時
に行うことが技術的に不可能であり、別個に離型
しなければならず、造型工程が複雑になつてい
た。これに対し前記縦鋳込方式では、離型時、湯
口・湯道部と製品部とを同時に離型できるため造
型工程の簡素化が可能であり、また注湯時、溶湯
が上から下へ流れるため高品質の製品が得られ、
また歩留りの向上・仕上工数の低減等も可能であ
り、近時該方式に対して大きな関心が寄せられて
いる。しかしこの方式では、枠合せした金枠をコ
ンベヤで注湯場へ搬送する際、振動により合せ面
がずれ、鋳型の型面にぐいちができ、製品不良が
発生する恐れがあつた。

本考案は上記のような事情を背景になされたも
のであり、減圧造型法で造型した鋳型に縦鋳込方
式で注湯することを目的とし、該目的にかなう合
せ金枠を提供せんとするものである。

以下、本考案を実施例に基づき詳細に説明する
と、第１図及び第２図は本考案に係る合せ金枠を
示し、該合せ金枠は各々の合せ面を垂直にして枠
合せ可能な主金枠１と従金枠２とから成つてい
る。前記主金枠１は開口された垂直の合せ面及び
背面を備えると共に上部の見切線に沿う部分が開
口されており、注湯時、該開口部から注湯される
ようになつている。

前記主金枠１の内部空間には、多数の細孔を透
設すると共にその外周を金網で囲装したフイルタ
パイプ４が複数個配設されており、該フイルタパ
イプ４の一端は、前記主金枠１の底部内空に設け
られた減圧室５に連通しており、該減圧室５は更
に、図示されない減圧装置と連通接続している。
なお６は前記フイルタパイプ４の支持部材であ
る。前記主金枠１の左右両側面にはピン７が各１
個、その先端を合せ面から突出させて取り付けら
れている。前記主金枠１の底部には該主金枠１と
前記従金枠２とを枠合せした時、該従金枠２を載
置・支持可能な突出部８が合せ面から突出て形成
されており、該突出部８の先端は更に、前記主従
両金枠１，２が枠合せされた時、該従金枠２の背
面と相俟つて同一垂直面を形成するようにされて
いる。なお前記主金枠１の底面は水平にされてお
り、ローラコンベヤ９上を移動可能にされてい
る。

前記従金枠２は前記主金枠１と同様、開口され
た垂直の合せ面及び背面を備えると共に上側の見
切線に沿う部分が開口されており、注湯時、該開
口部から注湯されるようになつている。また前記
従金枠２の内部空間にも、前記主金枠１における
と同仕様のフイルタパイプ１０が複数個配設され
ており、該フイルタパイプ１０の一端は該従金枠
２の底部内空に設けられた減圧室１１に連通して
おり、該減圧室１１は更に、前記減圧装置（図示
せず）と連通接続している。

なお１２は前記フイルタパイプ１０の支持部材
である。前記従金枠２の左右両側面には、該従金
枠２を前記主金枠１と枠合せした時、前記ピン７
が挿嵌可能なブツシユ１３が各１個取り付けられ
ている。なお前記主金枠１の突出部８の上面と前
記従金枠２の底面とは各々相対応するテーパとな
つており、両者の枠合せがスムーズになされるよ
うに考慮されている。

以上のように構成された合せ金枠を用いて鋳型
を造型する工程を説明すると、まず型面をフイル
ムで覆つた模型板（図示せず）上に前記主金枠１
をその合せ面を下にして載置し、負圧で前記フイ
ルムを前記型面に吸着させた状態で該主金枠１の
背面から乾燥砂を枠内へ投入充填する。次に前記
主金枠１の背面にフイルム（図示せず）を張つた
上、枠内をフイルタパイプ４を介して負圧にし、
以て枠内の砂を硬化させると共に、前記模型板上
面におけるフイルムの吸着状態を解除して離型す
ると、合せ鋳型の一方１４が得られる。離型後の
前記主金枠１は、突出部８が形成された側を下に
して注湯場行きのローラコンベヤ９上に載置され
る。

更に前記従金枠２により、前記主金枠１の場合
と同様の作業手順で合せ鋳型の他方１５を造型
し、注湯用開口部を上にした状態で両金枠１，２
を水平方向から枠合せすると、内部に製品キヤビ
テイ１６を形成すると共に上端に湯口１７を形成
した合せ鋳型が出来上る。

次に別の主金枠１を用いて前記と同様の手順で
合せ鋳型の一方１４を造型し、該主金枠１を突出
部８が形成された側を下にして前記ローラコンベ
ヤ９上に載置すると共に、該主金枠１の背面を前
記従金枠２の背面に当接させる。

更に別の従金枠２を用いて前記と同様の手順で
合せ鋳型の他方１５を造型し、注湯用開口部を上
にした状態で該従金枠２を前記主金枠１に水平方
向から枠合せすると、内部に製品キヤビテイ１６
を形成すると共に上端に湯口１７が形成されたも
う１個の合せ鋳型が出来上る。

以上のようにして前記ローラコンベヤ９上へ合
せ金枠を団子状に連ねて載置すると共に、これを
注湯工程へと搬送する。

以上の説明から明らかなように、本考案はその
合せ面を垂直にして枠合せするようにした合せ金
枠において、一方の金枠の底部に突出部を形成
し、該突出部上に他方の金枠が載置・支持される
ように成したものである。このため前記合せ金枠
が複数個、団子状に連なつてコンベヤ上に載置さ
れる時、該合せ金枠の一方の金枠は、他方の金枠
のピン、該他方金枠の突出部及び隣接金枠の背面
の三者によつて支持・押圧され、極めて安定した
状態に置かれる。その結果、前記合せ金枠をコン
ベヤで搬送する際、振動により合せ面がずれる心
配がなく、従つて鋳型の型面のぐいちによる製品
不良の発生が避けられる。このような合せ金枠を
使用することにより、減圧造型鋳型に対して縦鋳
込方式の注湯が可能になるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る合せ金枠の立体図、第２
図は鋳型を保持した合せ金枠が枠合せされ、かつ
団子状にコンベヤ上に載置された状態を示す縦断
正面図である。 １：主金枠、２：従金枠、４，１０：フイルタ
パイプ、５，１１：減圧室、８：突出部、９：ロ
ーラコンベヤ、１４，１５：合せ鋳型。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 一方の金枠１の底部に、他方の金枠２を載置・
   支持可能な突出部８を形成したことを特徴とする
   減圧造型鋳型の合せ金枠。